環境省
VOLUME.73
2019年10・11月号

KEY PERSON INTERVIEW - やさしい運転を心がけるだけでも自動車から排出されるCO2は減らせます

KEY PERSON - 茂木和久さん 一般社団法人日本自動車工業会 環境委員会 運輸政策対応WG主査

 エコカーという言葉は皆さんも聞いたことがあると思いますが、具体的にどんな車を指すのかご存じでしょうか? 大きく分けてエコカーには4種類あります。まず「電気自動車」。これは家庭用コンセントや専用スタンドで充電した電気を使いモーターで走る車のことで、走行時はCO2を一切排出しません。2つめは、ガソリンエンジンと電気モーターの2つを動力源に備えた「ハイブリッド車」。低速時はモーター、高速時はエンジンを使って走るのが一般的で、モーターの電力はエンジンやブレーキなどの動力を電気エネルギーに変換することで賄われています。ハイブリッド車に外部充電機能をプラスし、電気で走れる距離を大幅に延ばしたのが「プラグインハイブリッド車」です。もうひとつ、水素と酸素で発電しモーターで走行する「燃料電池自動車」もエコカーのカテゴリーに含まれており、このタイプはまだほとんど市場に出回っていませんが、今後、普及が期待されています。

 ではエコカーは、国内でどれくらい普及しているのでしょう? エコカーの販売台数は近年右肩上がりに伸びていて、現時点で新車販売台数に占めるエコカーの割合は37.8%(2018年調査)。なかでもハイブリッド車の売れ行きが好調で、新車台数の約30%をハイブリッド車が占めています。

 エコカーへ買い換え需要が高まってきた理由としては、維持費の安さが一般に浸透してきたことが大きいと思われます。例えばハイブリッド車に買い換えた場合、燃費が大幅に向上し、月々かかる燃料代はかなりお得になります。さらに購入時にはエコカー減税などの優遇措置が受けられるため、長い目で見るとエコカーはそれほど高い買い物とはいえない時代になってきたのです。

 エコカーだけでなく、近年はガソリン車の燃費も飛躍的に改善されています。2017年度のガソリン乗用車の平均燃費は、20年前と比べて約2倍の22.6㎞/L。こうした現状を見ても、古い車を乗り続けるよりも新車に乗り換えるほうが、環境に優しい選択であることがわかるはずです。

 新車への買い換えは今のところ考えていないという人も、燃費を意識した運転、いわゆるエコドライブを日々心がけることで、CO2排出量は減らせます。「エコドライブ10のすすめ」に挙げられている項目が基本となりますが、特に習慣づけてほしいのが1~3の項目です。3つの中で燃費向上を最も実感できるのが、ふんわりアクセル。穏やかな発進を心がけるだけで約10%も燃費が改善します。同様に車間距離にゆとりを持つことも大切です。車間距離が短くなると、どうしてもムダな加速・減速の機会が多くなり市街地では約2%、郊外では約6%も燃費が悪化してしまいます。なるべく一定速度を保ちながら走行することを心がけましょう。さらに、減速の際はアクセルから早めに足を離して、エンジンブレーキを活用する癖をつければ2%程度燃費が改善します。こうした運転の工夫は、ガソリン車だけでなくエコカーを運転する際の燃費向上にも有効です。

 車好きな人は、エコドライブに“我慢の運転”というイメージをどうしても抱きがちです。しかし考え方を少し変えるだけで、エコドライブはぐっと楽しくなります。例えば毎回運転するたびに燃費計をチェックすることを習慣化すると「次はもっと低燃費で走ってみせるぞ!」と思うようになり、クリアできたときは大きな達成感や喜びを感じることになります。楽しみながらCO2を減らせ、さらには事故防止にも役立つエコドライブ。ぜひ明日からチャレンジしてみてください。

エコドライブ10のすすめ

楽しくエコドライブを学ぼう

やってみようエコドライブEラーニング

日本自動車工業会ではクイズやゲームを楽しみながら、エコドライブについて学べるスマホ用のコンテンツ「やってみようエコドライブEラーニング」をWebサイトで公開中。

http://jama-eco-drive.com/

東京モーターショー2019開催

TOKYO MOTOR SHOW 2019

10月24日~11月4日、日本自動車工業会主催の「第46回東京モーターショー2019」を開催。環境省と協力してエコドライブの普及と取り組みを紹介するブースも展開する。

https://www.tokyo-motorshow.com/

エコドライブ10のすすめ

KEYNOTE - これからのカーライフは環境を意識した買い換えや運転が大切

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