プラスチックごみとの賢い付き合い方を考えよう
私たちの生活に不可欠なプラスチック製品。しかし、正しく処分されなかったプラスチック製品は、最終的には海へと行き着き、分解されずに自然界に長くとどまります。近年、こうしたプラスチックごみによる環境汚染が世界的な課題となっています。
プラスチック製品が適切に処分されずに海に流れ着く量は、世界で年間800万tと試算されており、2050年には海洋に存在するプラスチックの総重量が海にいる魚の総重量を上回るとの試算もあります。ウミガメやクジラなどが、漂流するプラスチックごみを食べて死に至る、海岸に押し寄せたプラスチックごみが景観を損ねて観光客が減るなど、さまざまな影響を及ぼしています。また、波や紫外線にさらされて5mm以下の小さな粒となったマイクロプラスチックは、食物連鎖を通じて魚から陸上生物へと取り込まれていき、それに含まれる有害物質が生き物の体内に蓄積する可能性も懸念されています。
マイクロプラスチックの密度分布のモデル解析図
(出典:Eriksen et al.,”Plastic Pollution in the World's Oceans: More than 5 Trillion Plastic Pieces Weighing over 250,000 Tons Afloat at Sea,” PLoS ONE, 9(12): e111913, 2014.)
ポイ捨てなどにより、回収されずに河川などに流れ込んだプラスチックごみは、日々海へと運び込まれています。海洋への流出を防ぐためには、個人・企業・団体・行政など、あらゆる主体がそれぞれの立場でプラスチックとの賢い付き合い方を考え、アクションを起こしていくことが大切です。環境省は、こうした取り組みを応援し広げていくために「プラスチック・スマート」キャンペーンを実施しています。人間がプラスチックと賢く付き合う活動を続けていくことが、海の豊かさを保全し次世代へと継承し、持続可能な社会の実現へとつながります。
企業、自治体、NGOなどはそれぞれの取り組みを登録することで参加できる。登録された取り組みをさまざまな方法で国内外に発信することで、活動の広がりを促していく。
使用したプラスチック製品のポイ捨てをやめ、ごみの分別ルールを守って正しく処分することが、環境への流出を防ぐ第一歩です。また、マイバックやマイボトルを持ち歩くことで、使い捨てプラスチックを使用する機会を減らすことにつながります。ほかにも環境にやさしい代替素材で作られた製品を利用するなど、生活の中に取り入れられることはたくさんあります。まずはできることから始めてみましょう。
5月30日(ごみゼロの日)から6月8日(世界海洋デー)前後で実施された一斉清掃キャンペーン。全国約1300カ所で40万人以上がごみ拾いなどの清掃活動に取り組み、7月末時点で軽トラックおよそ1,300台分の海洋ごみを回収した。3カ年で延べ240万人のプロジェクト参加を目指し、引き続き取り組んでいく。