環境省
VOLUME.67
2018年10・11月号

課題解決ストーリー エコ・サクセス

エコに取り組み、目標を達成した
サクセスストーリーを紹介します

Vol.03 大豊シャクヤクの会〈第3回グッドライフアワード 環境大臣賞 グッドライフ特別賞〉

耕作放棄された棚田の再生活動に取り組む大豊シャクヤクの会。
一度は荒れてしまった土地をシャクヤクの花でよみがえらせ、小さな集落に活気を生み出しています。

【課題】耕作放棄された棚田を再生させたい…

START!
高齢化・過疎化の集落を元気に

 大豊シャクヤクの会が活動しているのは、高知県大豊町の山あいにある八畝(ようね)集落。高齢化と過疎化が進み、耕作放棄地が増えていることに心を痛めた八畝在住の大谷咲子さん夫妻が、高知大学農林海洋科学部講師の濵田和俊さんに「棚田でシャクヤクを育てたい」と相談を持ちかけ、地元有志も加わって2013年に会が発足した。

START!

耕作放棄地となっていた開墾直前の八畝の棚田

PROCESS
地域住民の温かさが支え

 棚田では大型の農機具が使えず、作業の大半を人の手で行う。荒れた棚田を耕す活動を担っているのは、高知大学などの学生たち。当初は人手不足に悩んでいたが、耕作放棄地が生まれ変わる様子に感動した学生が仲間を誘うようになり、活動が広がった。大谷さん夫妻をはじめ地域住民にも温かく迎えられ、活動の合間に学生が住民の農作業を手伝うなど、家族のような繋がりが生まれているという。

PROCESS

除草作業をしている様子。農作業を通して会のメンバーと学生たちとの絆も深まっていった

GOAL!!!
目指すは「日本一のシャクヤク園」

 活動開始から5年が過ぎ、再生した耕作放棄地は約4,800m²。現在は、215品種1,700株もの美しいシャクヤクが花を咲かせている。さらに、かつて八畝で作られていた地キビとモチキビの栽培の復活にも取り組み、収穫したキビを使った焼酎「八畝」の販売もスタート。焼酎の売上は、農機具の購入など活動資金に充てている。さらにさまざまなイベントの企画など、年々活動の幅を広げている。

 大豊シャクヤクの会の目標は、八畝を日本一のシャクヤク園にすること。今後は、シャクヤクの栽培、地キビやモチキビの栽培、学生の農業体験の3つを柱に農地の利用を拡大していく計画だ。「地元の皆さんに喜んでもらえることが私たちの喜び。再生できた耕作放棄地はまだごく一部なので、これからも利用面積を広げていきたいです」と濵田さん。棚田の景観を守り、地域に活力を取り戻す活動が、小さな集落で花を咲かせている。

GOAL!!! 4,800m²の棚田が生まれ変わりました

美しいシャクヤクと、ボランティアに励む学生たち。現在も八畝集落では、大豊シャクヤクの会を中心に地元住民や学生が一体となって地域活性化のためのさまざまな活動を続けている

SUCCESS HINT!

新しいチャレンジが継続の力になる

会が発足して以降、シャクヤクの栽培のほかにも、キビの栽培、焼酎の製造・販売、水田でニシキゴイを育てる「水田養鯉」、100%高知県産ウイスキーの製造など、毎年新たな活動に挑戦。チャレンジを続けて新鮮な気持ちを失わないことが、活動を継続し、拡大していく力になっている。

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