課題名

A-4 紫外線の増加が人の健康に及ぼす影響に関する研究

課題代表者名

山本 紀一 (国立予防衛生研究所ウイルス第一部)

研究期間

平成2−4年度

合計予算額

124,700千円

研究体制

(1)点突然変異等を指標とした紫外線量と皮膚癌との相関に関する疫学的研究

(国立がんセンター)

(2)紫外線による免疫機能生体防御機能の低下に関する研究

  ”存業生物感染の促進影響(国立予防衛生研究所)

 ◆“癌リスクの促進影響(国立環境研究所)

  光感作アレルギー反応の促進影響(産業医学総合研究所)

研究概要

 紫外線の人への影響は、皮膚癌、白内障、免疫能低下の3つである。その影響を疫学調査により実態把握し、動物実験や培養細胞による実験により、紫外線の害についての機序を明かにした。また、好ましくない影響について予防措置が可能か否かを検討した。

研究成果

(1)皮膚がんの疫学調査:皮膚癌死亡は過去30年間に半減しているが、県別標準化死比でみると沖縄、鹿児島、高知など日光暴露の強い地域に皮膚癌の多いことがわかった。前癌状態の日光角化症のDNA付加体や遺伝子変化を調べ、p53がん抑制遺伝子の異常が最初に起きているという可能性を発見し、早期診断の有力な手段を提供した。

 p53染色性と遺伝子DNAの異常はミスセンス変異では有意に相関を示したが、ノンセンス変異では必ずしも相関を示さず、これはストップコドンヘの変異が少なからずある事に関係すると思われた。

(2)紫外線による免疫機能等生体防御機能の低下に関する研究:UVB照射による皮膚癌発症の実験動物モデルを作成した。細胞増殖にともない発現される遺伝子の検出法を確立した。また、UVB照射に伴ってメタルチオネインやヒートショック蛋白が誘導される事を発見した。これら蛋白は紫外線照射の有害性を防御できる可能性を持つことが示唆された。

(3)紫外線照射によりヘルペスウイルスの増殖誘導:紫外線照射により不顕性感染にあるウイルスが活性化する場合がある。また、免疫能を持つマウスを紫外線照射しヘルペスウイルスを感染させると致死的ヘルペス脳炎になることがわかった。この際に皮膚の抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞の減少が関係することがわかった。

(4)紫外線照射時にカドミウム、水銀、亜鉛等の重金属が共存すると、細胞障害性が高くなることがわかった。メタロチオネイン等の紫外線誘導蛋白との干渉作用についての研究を進めた。

(5)眼球のレンズに紫外線照射すると変性クリスタリンが現れる。この代謝蓄積が白内障発生にどのように影響するかということをモノクロナール抗体も作成して研究した。