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[S-3 脱温暖化社会に向けた中長期的政策オプションの多面的かつ総合的な評価・予測・立案  手法の確立に関する総合研究プロジェクト]

1 温暖化対策評価のための長期シナリオ研究[PDF](1,171KB)
  (Abstract of the Final Report)[PDF](376KB)

(1)中長期温暖化対策シナリオの構築に関する研究[PDF](1,249KB)

    独立行政法人国立環境研究所
    地球環境研究センター
    温暖化対策評価研究室


甲斐沼美紀子・藤野純一・花岡達也

    独立行政法人国立環境研究所
    社会環境システム研究領域 
    統合評価モデル研究室


増井 利彦

    京都大学大学院 地球環境学堂

松岡 譲・河瀬 玲奈

    財団法人地球環境戦略研究機関

二宮 康司

    滋賀大学※※

中田 実

    立命館大学経済学部

島田 幸司

    みずほ情報総研(株)
    環境・資源エネルギー部※※※

日比野剛・榎原友樹・藤原和也

    社団法人日本エネルギー学会※※※

板橋 重幸

    (株)ジェイ・ケイ・エル※※※

長田 紘一・森 裕子

    独立行政法人森林総合研究所※※※
    木材特性研究領域


外崎真理雄

    独立行政法人森林総合研究所※※※
    林業経営・政策研究領域


久保山裕史・立花 敏

    独立行政法人森林総合研究所※※※
    関西支所

岡裕 泰

    独立行政法人森林総合研究所
    構造利用研究領域


恒次祐子・青井秀樹

         平成16年度のみ参画

      ※※  第Ⅰ期(平成16~18年度)参画

      ※※※ 第Ⅱ期(平成19~20年度)参画

<研究協力者>

 

    独立行政法人国立環境研究所

金森有子・芦名秀一・池上貴志・岩渕裕子

    京都大学大学院 地球環境学堂

倉田 学児

    みずほ情報総研(株)
    環境・資源エネルギー部

元木 悠子

  [平成16~20年度合計予算額]  578,520千円(うち、平成20年度予算額 164,775千円)

1)2007年2月15日に、2050年の日本のCO2排出量を1990年に比べて70%削減するような低炭素社会を実現することが可能であることを報告書にまとめ、記者発表した。
2)低炭素社会を実現する戦略を具体的に示すため、目指すべき姿、目指すべき社会像を実現するための障害と施策、それらを組み合わせた実現戦略を叙述的、また可能な限り定量的に記述した「低炭素社会に向けた12の方策」報告書を作成し、2008年5月22日に記者発表した。 3)論文特集号「低炭素社会のビジョンと実現シナリオ」地球環境Vol.12 No.2(2007)、論文特集号「Modeling long-term scenarios for low-carbon societies-」Climate Policy Vol.8 Supplement (2008)としてまとめた。また全体成果を、西岡秀三編著「日本低炭素社会のシナリオ 二酸化炭素70%削減の道筋」日刊工業新聞社(2008)にまとめた。
4)「日本において2050年に二酸化炭素70%削減の技術的可能性がある」ことを示すことで、安倍首相「美しい国日本」および2007年夏のハイリゲンダムでの世界50%削減提案の基盤となった。また、2008年洞爺湖サミットに向けて、福田ビジョン(「低炭素社会」への志向、2050年日本60-80%削減)形成を先導し、2008年7月の「低炭素社会づくり行動計画」につなげた。
5)2006年2月から日英共同「低炭素社会に向けた脱温暖化2050」研究プロジェクトを開始し、3回の国際ワークショップを通じた成果を2008年G8サミット前に神戸で開催された20ヶ国環境大臣会合で報告することで、日本が中心となった「Low Carbon Society Research Network: LCS-RNet」の世界的研究促進を図る提案合意となり、2008年後半から既にその活動が開始されている。
6)  滋賀県を対象に2030年までに1990年比50%削減する「持続可能社会の実現に向けた滋賀シナリオ」7)を2007年3月にまとめ、それらの成果を踏まえて滋賀県が2008年3月に 「持続可能な滋賀社会ビジョン」を策定した。

  [キーワード]  低炭素社会、ビジョン、イノベーション、バックキャスティング、方策


(2)産業構造変化要因に関する研究[PDF](515KB)

    財団法人地球環境戦略研究機関

小嶋 公史・木村 ひとみ(平成20年度)

    文教大学 国際学部※※

藤井 美文・山田 修嗣

    神戸大学大学院 経済学研究科※※

石川 雅紀

      平成16、19~20年度に参画

      ※※平成17年度より参画

<研究協力者>

 

    財団法人地球環境戦略研究機関

田村堅太郎(平成20年度)

  [平成16~20年度合計予算額]  59,090千円(うち、平成19年度予算額 19,000千円)

  日本における産業化とガバナンスのありかたに関し、エコロジカル・モダナイゼーションの過程の適用可能性について検討した。その結果、欧州型市民社会とは異なる日本型の社会的調整方法に基づく低炭素型社会モデル構築の条件として、a)「開かれた対話」をもとにリスク対処の作業の場の設定、b)政治化も形骸化もされない対話の維持、c)信頼・安心状況の社会的醸成、の3点が抽出された。貿易構造分析に関しては、貿易および産業構造を考慮した低炭素シナリオ作成に適した分析ツールを開発し、低炭素日本シナリオがもたらす貿易構造および産業構造への影響に関し、日本国内のみならず他国におよぼす影響も含め検討した。その結果、日本のみを対象とした低炭素化施策を導入した場合、日本を除くすべての地域の総計についてCO2排出量が若干増加する炭素リーケージが起こる結果となった。経済的側面については、低炭素日本シナリオにより日本の実質GDPが押し上げられる結果となったが、これは本研究で用いた一般均衡モデルにおいて低炭素化施策によるエネルギー効率改善という正の経済効果と、企業が投入の一部をエネルギー効率のために振り向けることによる生産性低下という負の経済効果の相対的バランスによってマクロ経済効果が決まってくるためである。今回の計算結果は、このようなメカニズムを考慮すると低炭素化施策がGDPを押し上げる可能性があることを示唆するものであるが、エネルギー効率改善に必要なコストなどについて粗い仮定を用いた試算結果であることに留意が必要である。低炭素日本シナリオにおける炭素削減目標の達成に必要な炭素価格は、日本単独の炭素税導入の場合ガソリン税換算で約16.8円/リットル、東アジア地域における排出権取引導入の場合はガソリン税換算で約3.0円/リットルとなった。最後に、低炭素社会における産業のあり方に関して、国際シンポジウム開催および政策対話を通じて対話型合意の方法論を模索するとともに、アンケート調査に基づき主要業種の低炭素社会に関する見解について分析した。

  [キーワード]  温暖化、産業構造、貿易構造、多地域一般均衡モデル、ガバナンス