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[キーワード] 二酸化炭素、エアロゾル、大気海洋結合モデル、モンスーン、降水量

[B−61 人間活動によるアジアモンスーン変化の定量的評価と予測に関する研究]

(2)気候モデル「地球温暖化」実験によるアジアモンスーン変化の評価[PDF](1,280KB)

  東京大学 気候システム研究センター

高藪 縁・木本昌秀

<研究協力者>

 

  国立環境研究所

野沢 徹・永島達也

  東京大学 気候システム研究センター

荒井美紀

  [平成18〜20年度合計予算額] 28,386千円(うち、平成20年度予算額 8,873千円)

[要旨]

  夏季アジアモンスーンの20世紀中の変化に対する人為起源要因を特定するため、大気海洋結合モデル実験の結果を解析し、以下の結果を得た。1)アジアモンスーン域の20世紀中(1901年−2000年)の降水トレンドにおいて、人為起源強制の及ぼす影響は自然起源強制の影響が無視出来るほど大きい。2)人為起源強制のうち、温暖化気体増加による効果と人為起源エアロゾル増加による効果が特に顕著である。3)温室効果気体増加に伴う降水トレンドの水平パターンと人為起源エアロゾル増加に伴うそれとは、西部亜熱帯太平洋域及び東部熱帯インド洋域との間の南北シーソー構造で特徴付けられる。ただし、それぞれの水平パターンは逆符号であり、振幅も同程度である。ここで得られた降水トレンドの空間構造は大気の内部変動において最も卓越するモードに伴う水平パターンとも酷似していることから、温暖化気体・人為起源エアロゾルの増加は内部変動の変調を引き起こしているものと考察される。
  アジアモンスーン域の20世紀中の降水変動に大きな影響を及ぼすと考えられる海面水温の変動も同様に解析した。温暖化気体増加により熱帯インド洋域は顕著な昇温が見られる一方で、人為起源エアロゾルの増加によって熱帯東部インド洋域では寒冷化傾向が見られた。この海面水温変動が降水トレンドにおける内部変動パターンを駆動していると考えられる。
  さらに、地球温暖化時のアジアモンスーン域の降水の長期変動について、温室効果気体が増加するシナリオに沿った大気海洋結合モデルによる21世紀の将来予測結果を用いて解析を行った。21世紀100年間のアジアモンスーン域降水トレンドの水平パターンは、20世紀実験のそれとは符号が逆転し、温室効果気体実験の空間構造とよく似ていた。これは、21世紀において温室効果気体増大のアジアモンスーン域の降水への効果が人為起源エアロゾル増大の効果より大きくなったことの表れと解釈でき、上記の結果とも整合的である。