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[キーワード] モンスーン、降水量、雨季、トレンド、台風

[B-61 人間活動によるアジアモンスーン変化の定量的評価と予測に関する研究]

(1)アジアモンスーン降水量の広域・高精度解析[PDF](1,748KB)

  首都大学 東京都市環境科学研究科

松本 淳

<研究協力者>

 

  首都大学 東京都市環境科学研究科

金森大成・福島あずさ

  独立行政法人海洋研究開発機構
  地球環境観測研究センター


久保田尚之・遠藤伸彦

  財団法人東京都環境整備公社
  東京都環境科学研究所


赤坂郁美

  [平成18~20年度合計予算額] 21,325千円(うち、平成20年度予算額 7,781千円)

[要旨]

  複数の陸上域での降水量のグリッドデータセットを用いて、過去の観測データによるアジアモンスーン地域での前世紀における降水量の長期変動傾向を調査し、長期の降水変化傾向のデータセット間での相違、地域や季節性について明らかにした。独自に収集したデータから新たな降水量グリッドデータも作成し、既存のデータとの比較も行った。データセット間での違いは中国やインドでは小さく、東南アジアやバングラデシュで大きく、これらの地域における長期変化の研究には注意が必要であることがわかった。降水量の長期変化傾向としては、夏のモンスーン季にチベット高原南東部やバングラデシュ・長江流域に有意な増加傾向が認められた。降水量の変化傾向として、インド周辺での春季と夏季に顕著な変化がみられたため、インドにおいて降水の季節変化および長期変化傾向の地域性について詳細な解析を行なった。長期変化の原因となる大気循環の変化として、夏についてはアラビア海での西風ジェットの弱まりが、春については季節内変動の変化が主要な原因として考えられた。フィリピンでは、これまで使われていなかった前世紀前半の日降水量データを本研究の実施中に発見し、新たなデータセットを作成し、降水量・降水日数・雨季入りの時期・台風襲来数などの長期変化についての詳細な解析を行った。夏の雨季入りが近年遅くなる傾向があると共に、年による変動がきわめて大きくなっていること、台風の上陸数には20世紀を通じて数十年スケールでの長期変動が卓越し、顕著な長期変化傾向は認められないことがわかった。台風の長期変化傾向については、地域による違いも大きいことがわかった。