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[キーワード]中国、食料貿易、地域分布、人口移動、高齢化

[C-052 酸性物質の負荷が東アジア集水域の生態系に与える影響の総合的評価に関する研究]

(4)東アジア諸国の人口移動、エネルギー消費等の変化に基づく排出源変化の予測[PDF](641KB)

  東京大学 大学院農学生命科学研究科

川島博之・本間正義

<研究協力者>

 

  東京大学大学院農学生命科学研究科

本田 学

  [平成17~19年度合計予算額] 22,134千円(うち、平成19年度予算額 6,603千円)

[要旨]

  中国における食料の生産と消費より発生する窒素負荷量の推定を行った。推定を行う上で、先ず公表されているデータの信頼性について検討したが、中国の食肉生産量は1990年代以降、公表値の70%程度とした方が食肉消費量や飼料消費量に係わる統計との整合性が良いことを明らかにした。中国の食料貿易についても検討したが、中国はこれまで穀物を大量に輸入することはなかった。しかし、食用油の原料となり、絞りかすが飼料となる大豆の大量輸入国になっている。今後もこの傾向は維持されると考えられ、中国は穀物の大量輸入国にはならないが、大豆輸入量は現在の1.5倍程度に増加する可能性がある。
  数理モデルを作成し、省市自治区毎に農村部と都市部に分けて食料消費量の推定を行った。食料消費の将来推計においては都市部や沿岸部への人口移動、高齢化による食料消費量の減少についても考慮した。現在、農村部の食肉消費量は都市部に比べれば少ないものの、その水準は飽和消費量と考えられる量の6割程度までに達しており、農村部人口が全人口に占める割合が5割程度に低下していることを考えるとき、今後、農村部において食肉消費量が増加しても、それが中国全体の食肉消費量の大幅な増加につながる可能性は少ない。以上の検討結果に基づき、今後中国において食料の生産と消費から発生する窒素負荷量を推定したが、その値は我々がこれまで推定していた値より小さなものになった。