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[キーワード] オゾン、オゾン前駆気体、ブラックカーボン、中国、エアロゾル光学特性
[B-051 アジアにおけるオゾン・ブラックカーボンの空間的・時間的変動と気候影響に関する研究 ]
(1)東アジア・中央アジアにおけるオゾン・ブラックカーボンの空間的・時間的変動に関する地上観測
[PDF](1,550KB)
1)東アジア・中央アジアにおける地上通年観測
2)BC/OC測定技術の高度化と中国における集中観測への参加
3)VOC測定技術の相互比較と中国における集中観測への参加
4)NO, NOx, NOy測定器の高精度化と中国における集中観測への参加
独立行政法人海洋研究開発機構
地球環境フロンティア研究センター
金谷有剛・駒崎雄一
独立行政法人国立環境研究所
アジア自然共生研究グループ
谷本浩志
首都大学東京 都市環境学部都市環境学科
加藤俊吾
<研究協力者>
独立行政法人海洋研究開発機構
地球環境フロンティア研究センター
パクポン・ポチャナート, ユー・リウ, 竹谷文一
[平成17~19年度合計予算額] 148,811千円(うち、平成19年度予算額 49,232千円)
[要旨]
大きな正の放射強制力を有する対流圏オゾンとブラックカーボン(BC)に着目し、測定の空白域であった東~中央アジア地域での通年観測を実施した。観測結果から、濃度レベル・季節変化・日変化の特徴を見出した。中国のオゾン濃度は5-6月と9月頃に極大を示し、真夏は海洋性清浄大気の流入により極小となること、中央アジアでは夏季に極大となることがわかった。泰山・黄山でのBC濃度の年平均値(MAAP装置による)はそれぞれ2.3, 1.0 gC/m
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であり、中国中東部において、BCによる大気上端での放射強制力は、二酸化炭素に匹敵しうることがわかった。キルギス観測サイトではBC濃度は非常に低く、平均値は0.10 gC/m
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であった。オゾン汚染が極大となる季節を狙い、2006年6月に、中国中東部(Central East China)におけるオゾンの輸送、光化学収支、BC,OC(有機エアロゾル), CO, NOx, 揮発性有機化合物(VOC)などの濃度レベル、濃度比を明らかにすることを目的とした集中観測を泰山にて実施した。BC濃度を4種の装置で測定することで濃度を50%以下の不確かさで決定することができ、factor of 4ともいわれている中国におけるBC排出量統計値の不確かさを減少させるのに十分な精度での測定を行うことができた。華北平原一帯で6月上旬に収穫を終えた冬小麦の農業廃棄物を野外で燃焼させることが汚染物質濃度が非常に高くなる原因の1つであること、観測された前駆体濃度を用いたオゾン光化学生成速度の計算から、一日に60ppbv程度のオゾンが主にNOx-limitedの条件下で生成していること、モデルとの比較から、BC, オゾン前駆体の排出量統計値が過小評価されていることが指摘された。またVOC, 含酸素揮発性有機化合物(OVOC)、 NO、 NO
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、 NOyの観測結果から、比較的酸化が進んだ大気が測定されたことがわかった。2007年9-10月には、中国・北京郊外の蟒山において集中観測を実施し、ブラックカーボン測定法の再比較を行うとともに、エアロゾル化学成分のうち、硫酸アンモニウム、有機物、硝酸アンモニウムがエアロゾル散乱を支配していることを明らかにした。