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[S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究]

テーマⅣ:プロジェクトの統合的推進と情報の共有[PDF](889KB)

    筑波大学大学院生命環境科学研究科

及川武久

    独立行政法人国立環境研究所
    地球環境研究センター


山形与志樹・藤沼康実

<研究協力者>

    独立行政法人国立環境研究所
    地球環境研究センター

町田敏暢・伊藤昭彦・平田竜一
岩男弘毅・木下嗣基

    独立行政法人産業技術総合研究所
    環境管理技術研究部門大気環境評価研究グループ


三枝信子

    独立行政法人森林総合研究所
    立地環境研究領域土壌資源研究室


松浦陽次郎

    独立行政法人農業環境技術研究所
    フラックス変動評価チーム


小林義和・間野正美・莫文紅

    岡山大学大学院環境学研究科

山本晋

    北海道大学大学院地球環境科学研究院

甲山隆司

    岐阜大学流域圏科学研究センター

小泉博

    筑波大学大学院生命環境科学研究科

西田顕郎・清野達之・加藤悦史

  [平成14~18年度合計予算額]  106,775千円(うち、平成18年度予算額 52,427千円)

  [要旨]

  研究テーマIVの主要課題は、テーマIおよびIIで得られた観測データ、テーマIIIで得られた衛星観測およびモデルシミュレーションのデータを集積し、東アジア地域全体の炭素収支の定量化に向けた統合的な解析を行うことである。本プロジェクトの成果からポスト京都議定書などの温暖化政策に貢献を行うには、個別の研究成果を理解しやすく総括し明確な形で示すことが極めて重要である。最終年度に臨んで統合解析サブグループを結成し、各研究テーマの成果に基づく統合解析を実施した。そこでは「システムアプローチ」と呼ばれる、地点観測からのボトムアップ的推定と大気観測に基づくトップダウン的推定を併用し、さらに空間詳細な衛星観測データと陸域生態系モデルを最大限に活用する手法を開発した。フラックス観測や森林・土壌調査といった地点観測のデータは生態系モデルの高度化と検証に利用され、衛星観測からは信頼性の高い土地被覆などのモデル入力データが提供された。日本周辺を含む東アジア地域を対象にして、空間分解能1kmのモデルシステムを開発し、2000?2005年の炭素収支マッピングを実施した。その結果、東アジアの陸域生態系は平均して年間0.057 Gt Cの吸収源と推定されたが、これは対象領域内の化石燃料消費による放出の約11%を相殺する規模であった。このモデル推定は、テーマIのフラックス観測のデータや、独立して実施されたテーマIIのトップダウン的手法による推定と比較することで検証が行われた。このような統合解析を通じて、異なる研究分野間での情報共有と学際的議論が行われ、プロジェクトの有機的な集成が達成された。その際、データを効率的に参加研究者が共有し、円滑な連携が促進されるよう、データベース管理と情報基盤整備を行うことが肝要であった。これはプロジェクト終了後もデータを有効活用できる体制整備にもつながることから、データベース(S1-DB)のハード・ソフト両面での整備を精力的に実施した。このようなテーマIVの活動は、平成18年10月に早稲田大学・国際会議場で開催されたプロジェクトの総括ワークショップで中心的な成果として公表された。ここで得られた東アジア陸域の炭素収支に関する科学的知見は、温暖化抑制のための炭素管理や政策立案に大きく寄与するものと期待される。


  [キーワード]  システムアプローチ、政策貢献、統合解析、データベース、東アジア陸域