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[キーワード]航空レーザー測距法、森林バイオマス、京都議定書、林分密度管理図、3次元気候モデル

[B-60 京都議定書吸収源としての森林機能評価に関する研究]

(1)森林の炭素吸収量計測システム・評価モデルの開発

1)リモートセンシングを活用したバイオマス計測手法の開発[PDF](854KB)

  愛媛大学農学部

末田達彦

  国立気象研究所 環境・応用気象研究部 第3研究室

馬淵和雄

  独立行政法人森林総合研究所
  北海道支所北方林管理グループ


鷹尾元・高橋正義

  早稲田大学 人間科学学術院

天野正博

  国際航業株式会社

瀬戸島政博・船橋学

<研究協力者>

 

  愛媛大学農学部

都築勇人

  早稲田大学人間科学学術院

日下部朝子

  [平成14~18年度合計予算額]  60,365千円(うち、平成18年度予算額 8,649千円)

[要旨]

  苫小牧国有林及び愛媛県全県を対象にLiDARによる推定の精度検証を行い、LiDARの計測結果と官庁統計データの間で土地利用及び森林蓄積の数値ともに違いがあることが解った。この違いには土地利用や森林に関する定義が異なること、官庁統計がリアルタイムに現実の動きを反映しきれていないことが背景にある。また広域への適用性を検証するためカナダ西部の亜寒帯林において5年を隔て2回実施したLiDARの調査で、亜寒帯林の森林蓄積は従来言われているよりかなり低いこと、亜寒帯南部は通説のように二酸化炭素のシンクではなくソースになっていることが判明した。つぎに、LiDAR等の遠隔探査技術と森林簿を組み合わせた炭素吸収量推定モデルを開発し、日本全国に適用できるようなモデルを開発した。具体的には、林分上層樹高と立木密度を遠隔探査により直接測定し、それらを「林分密度管理図」の等樹高曲線に代入して幹材積を推定し、さらに炭素量に換算する手法を取った。北海道の人工林について、1999年、2002年にLiDAR観測を行い、21林分で地上調査を行った。その結果、これらの林分での炭素蓄積の推定はやや過小だったが概ね良好であった。
  リモートセンシングでは得られた広域での陸面植生データを利用し、観測領域を中心とした地域における森林観測結果を数値実験的に再現することを目的として、大気―植生―土壌を含む一次元の陸面植生モデルを開発した。ベースとなったモデルは3次元気候モデル用に開発した植生モデルBiosphere-Atmosphere Interaction Model (BAIM)である。森林現地調査データを利用し、陸面植生モデルの精度の向上を図るとともに、モデルの高度化を行った。さらに、本陸面植生モデルを導入した3次元気候モデルを開発し数値実験により、モデルで再現された気候値の検証を行った結果、モデルは本研究に必要とされる精度の気候再現性を有していることが確認できた。