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[キーワード]雲レーダ、ライダー、FMCW方式レーダ、シナジーアルゴリズム、雲微物理量

[B-4 能動型と受動型リモートセンサーの複合利用による大気汚染エアロゾルと雲の気候影響研究]

(1)雲レーダによる雲観測手法高度化とシナジーアルゴリズムの研究[PDF](1,901KB)

  独立行政法人情報通信研究機構
  電磁波計測研究センター


熊谷博

  独立行政法人情報通信研究機構
  環境情報センシングネットワークグループ


大野裕一

  千葉大学大学院自然科学研究科

鷹野敏明

  東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター

岡本創

<研究協力者>

 

  東京大学気候システム研究センター

Nick Schutgens

  [平成14~18年度合計予算額] 166,491千円(うち、平成18年度予算額 24,344千円)

[要旨]

  地球放射収支を通して気候変動に大きな影響を与えるとして雲およびエアロゾルは近年非常に注目されている。この気候変動予測のキーとなる雲を、その高さ構造も含めて精度よく観測できる手法の開発が本サブテーマの目的である。そこで本研究では、ミリ波を使った雲レーダを開発し、さらにその観測手法や解析手法も併せて開発した。ミリ波雲レーダについては、パルス方式の航空機搭載型雲レーダ(SPIDER)と本プロジェクトで開発したFMCW方式雲レーダ(FALCON)を用いた。特にFMCW方式雲レーダは、2アンテナ方式のFALCON-Iおよび1アンテナ方式のFALCON-Ⅱを独自に低コストで開発したことから、マスコミなどに大いに注目された。また、雲レーダを使ったデータ取得も進め、SPIDERにおいては、2003年春季や2006年2月の直下ライダーを同時搭載した航空機観測や、2003,2004,2005,2006年に地上での長期観測、また、インドネシア赤道レーダサイトにおけるキャンペーン観測を実施した。また、FALCONは観測船みらいに搭載して長期観測を行い、北極海、赤道太平洋、インド洋など広い地域を観測して、多くのデータを取得した。そして、SPIDER、FALCONなどの雲レーダで取得されたデータを用いてレーダ単独による雲の微物理量解析手法やライダーと組み合わせたシナジーによる微物理量解析手法の開発も進めてきた。これらの結果を気候数値モデルなどと比較することで、モデルで得られた上層の巻雲が観測より多すぎるなど気候モデルの検証や改良に結びつく結果を得ることができた。また、エアロゾル数密度と有効半径、氷水量と比較することで雲エアロゾル相互作用に関しての検討材料を収集することができた。日本と欧州宇宙機関は、雲とエアロゾルの全球放射に対する役割を解明するために雲レーダとライダーを搭載したEarthCARE衛星の開発を2012年度の打ち上げを目指して進めている。この衛星の高次データ処理で必要となるレーダ・ライダーのシナジー解析手法は本手法を基にして今後詳細化を図りながら活用していく。