課題名

B-11地球温暖化の高山・森林・農業生態系への影響、適応、脆弱性評価に関する研究

課題代表者名

原沢 英夫(独立行政法人国立環境研究所社会環境システム研究領域)

研究期間

平成14−16年度

合計予算額

170,916千円(うち16年度 50,835千円)

研究体制

(1)自然、人工生態系の総合影響予測と適応策の総合評価に関する研究

(独立行政法人国立環境研究所、東京大学、筑波大学)

(2)高山生態系の脆弱性評価と適応策に関する研究

(独立行政法人国立環境研究所、静岡大学、石川県白山自然保護センター、
〈研究協力機関〉福井大学、糸魚川市青梅少年の家)

(3)自然林・人工林の脆弱性評価と適応策に関する研究

 ヾ┣溝喊∪犬寮兩稱册阿紡个垢訐伴綫評価に関する研究

(独立行政法人国立環境研究所、東北大学)

 亜熱帯・暖温帯・冷温帯の脆弱性評価と適応策に関する研究

(独立行政法人森林総合研究所、東京大学)

 アジアの熱帯林生態系の影響、脆弱性の評価に関する研究

(京都大学、独立行政法人森林総合研究所九州支所)

 た郵林生態系の脆弱性評価と適応策

(独立行政法人森林総合研究所九州支所)

(4)影響の変動性・地域性を考慮した農業生態系のリスク評価に関する研究

 _甲伐襲洞舛諒册粟・地域性を考慮した農業生態系のリスク評価手法の開発に関する研究

(独立行政法人農業環境技術研究所、京都大学)

 東アジアにおける農業生産量変動に対するリスクの評価

(独立行政法人農業環境技術研究所)

研究概要

1.序(研究背景等)

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第三次評価報告書は、過去50年の地球温暖化は主とし て人間活動に原因すること、すでに世界各地で温暖化の影響が現われていると指摘している。今後 さらに上昇する気温や変動する降水の高山、森林、農地生態系への影響の範囲や程度を予測する方 法や、影響を軽減するための適応策の評価方法を確立し、高山、森林、農地生態系の温暖化に対す る脆弱性を評価することが緊急課題となっている。 また、ミレニアムエコシステム国際共同研究が進められており、様々な生態系のもつ資源やサー ビス価値の見直しがなされつつあるとともに、温暖化が生態系や生物多様性へ与える影響について はヨハネスブルクサミットでも議論され、最重要課題(WEHAB:水、エネルギー、健康、農業・食料、 生物多様性)の一つとしてとりあげられている。

2.研究目的

  本研究は、IPCCの新たな排出シナリオ(SRESシナリオ)に基づく気候シナリオを用いて高山、森 林、農地生態系への影響を予測、評価できる方法を開発すること、地理情報システムを用いて予測 結果を地図化し、脆弱な生態系や地域を特定する方法を開発すること、さらに、影響リスクを低減 する適応策を検討することを目的としている。
 以下、本研究を構成するサブ課題とその内容を示す。
(1) 自然、人工生態系の総合影響予測と適応策の総合評価に関する研究
  IPCCの新たな排出シナリオに基づく気候シナリオを用いて自然、生態系の影響、適応、脆弱性を 総合的に評価するモデルを作成するとともに、各サブ研究課題により得られた適応策に関する知見 を総合的に評価する方法を検討する。

(2) 高山生態系の脆弱性評価と適応策に関する研究
  高山生態系を対象にして影響予測モデルの検討、各種データベースの作成、現地調査結果等をも とにモデルパラメータの整理を行い、これらをもとに高山生態系の影響予測を行い、影響が深刻な 問題地域を抽出し、適応策を検討する。

(3) 自然林・人工林の脆弱性評価と適応策に関する研究
  自然林・人工林生態系を対象にして影響予測モデルの検討、各種データベースの作成、現地調査 結果等をもとにモデルパラメータの整理を行い、これらをもとに自然・人工林生態系の影響予測を 行い、影響が深刻な問題地域については、適応策を検討する。

(4) 影響の変動性・地域性を考慮した農業生態系のリスク評価に関する研究
  アジア地域を対象として、気候変化に対する気象要素、積雪分布と融解速度、水田土壌への影響 (特に窒素の無機化)が農業生態系へ及ぼす影響を明らかにし、イネ・コムギ栽培の脆弱性の評価 と対応策を検討する。とくに中国については、温暖化の過程で発生する土壌劣化、水収支変化、土 壌水分変化の影響を考慮した農業生産量変動リスクを評価する。

 以上のサブ課題は、それぞれ植生全般、高山生態系、森林生態系(自然林・人工林)、農地生態 系を対象としていることから、各生態系への影響予測および適応策の検討においては、密な情報交 換を行うとともに、とくに ̄洞鼠渋の前提条件となる気候シナリオの利用及び計算結果等の地 理情報システムを用いた影響の地図作成を共通の条件として研究を進めた。
 3.では、各サブ課題で得られた研究成果をまとめ、4.では本研究プロジェクト全体で得られ た研究成果についてまとめた。

3.研究の内容・成果の概要

3.1 自然、人工生態系の総合影響予測と適応策の総合評価に関する研究
 本サブ課題は、(1)生態系の影響評価のための気候シナリオの高度化、(2)自然生態系への影響評価手法の高度化、及び(3)生態系への影響低減のための適応策の検討を進めた。また気候シナリオなど得られた成果は本研究プロジェクト全体で共通情報として活用した。
 (1)については、本研究プロジェクト開始当初は、IPCCのデータ配布センターが提供している気候モデルの将来予測の結果を主として利用したが、後に気象庁・気象研究所が開発した気候統一シナリオ(地域気候モデルによる日本域20kmの現状と将来気候値)が影響研究に利用できるようになった。この気候統一シナリオは、総合科学技術会議が推進する地球温暖化研究イニシャティブの一環として気象庁・気象研究所が、影響・リスク研究プログラムにおける利用を前提に開発、作成されたものであり、本研究プロジェクトでは、この気候統一シナリオも共通して利用する気候シナリオ(共通シナリオと呼ぶ)の一つとして利用を図ることとしたが、あわせて本シナリオのもつ特性も検討した。また積雪シナリオについては、日単位の気候データを用いることにより、積雪深だけではなく積雪開始や消雪時期などの積雪期間の予測が可能となる方法を考案した。
 (2)に関しては、温暖化の日本の自然・人工生態系への影響を植生帯の変化影響として捉え、予測するモデルを開発した。このモデルは既開発の生物地理モデル(BIOME3/Japanモデル)をもとに、生物地球化学的な要素を取り込んだ、より総合的な植生帯の変化を予測モデルである。
 (3)に関しては、温暖化の生態系への影響を低減する適応策については、利用できる方法が社会システムにおける適応策に比べると限定されるが、従来の自然保護や身近な自然を守る手法は適応策としても活用できることから、より広く知見を収集するとともに、本研究プロジェクトの各サブ課題で得られた適応の知見も含めてとりまとめた。

3.2 高山生態系の脆弱性評価と適応策に関する研究
 本サブ課題では、共通シナリオに基づいて我が国の高山帯生態系に及ぼす地球温暖化の影響を具体的に予測し、その結果に基づいて、適応策を検討した。共通シナリオによる解析の結果、国立公園の高山帯植生や希少種・固有種であるキタダケソウ、多年性雪渓である白山の千蛇ケ池雪渓が温暖化に対して脆弱であることが分かった。また、すでに現実問題となっている低地性植物の高地への侵入についてオオバコを例にした解析から、高地への侵入リスクが高いことが分かった。これらの結果から、我が国高山生態系が地球温暖化に対して脆弱性が高いことが示された。
 登山者数が多い登山道ではテンの糞のみ僅かに認められたに過ぎなかったが、登山者が少ない登山道ではオコジョ、キツネ、テンの糞が多数認められたことやオコジョの捕食者であるキツネ、テンの糞が多い場所ではオコジョの糞が少なかったこと、さらに、キツネの糞の中に登山者あるいは山小屋などから出されたと思われる残飯などに由来するものが見つかったこと、さらに、現在問題となっているオオバコの分布拡大には人間が大きく関わっていることが知られていることから、我が国の高山帯生態系が、気温などの気象要因ばかりでなく人間の直接的な影響も受けている例を示した。温暖化の適応策を考える際に、人間の影響を排除する方法は、人間の立ち入りや荷物の搬入を禁止することであるが、このような措置を高山帯の全てで行うことは現実的ではない。そのため、我が国の高山帯の利用目的により、人間の影響を極力排除できる場所とできない場所に分け、温暖化の影響に対する適応策を提案した。
 また、共通シナリオにより将来の温暖化影響を図化し、脆弱性を検討するまでには到らなかったものの、温暖化影響が危惧されるハクサンシャクナゲやオコジョについて、温暖化との関連性の観点からの解析を行うことができた。

3.3 自然林・人工林の脆弱性評価と適応策に関する研究
 ヾ┣溝喊∪犬寮兩稱册阿紡个垢訐伴綫評価に関する研究
 積雪推定精度の向上のため、気象、衛星、数値地図情報により日単位積雪分布を推定した。積雪水量モデルから推定される積雪分布と人工衛星画像から作成した積雪マップの比較により最適な融雪係数を決定し、積雪量を日本全域で推定した結果、積雪水量の分布については十分な精度で推定が可能となった。また、積雪量の分布と環境変動に伴う積雪量の変化を推定するために、アメダスデータを用いて日積雪水量の変化をlkmメッシュで推定するモデルを作成した。このモデルに気候変化シナリオに基づく気象要素の変化を導入して積雪変動を推定した結果、本州日本海側の平野部で積雪量、積雪期間ともに減少が著しく、積雪期間は2℃の温度上昇で60〜70%程度減少するという結果が得られた。
 植生と積雪の関係では、積雪環境変化が亜高山帯針葉樹林の更新に及ぼす影響を評価するために、積雪環境がもたらす針葉樹の更新阻害について検討した。多雪な山ほど地表での針葉樹の定着が阻害される傾向があり、コメツガの方がアオモリトドマツよりも少雪の段階で定着阻害が顕在化した。これらの結果をふまえ、現在のアオモリトドマツ林とコメツガ林の分布域の積雪環境を比較し、将来気候のシナリオとメッシュ気候値をもとに現在と将来の気候環境を推定した結果、2081〜2100年には奥羽山地や北上山地で積雪深の顕著な減少が予想され、多雪山地で優占し北海道に分布しないアオモリトドマツは分布域が著しく縮小すると予想した。アオモリトドマツの分布の消失を論じるには、積雪の不均一性をもたらす冬季季節風の変化を考慮した解析が今後必要である。温暖化の影響に対する適応策の可能性を探るために、八幡平地域において表層試料の花粉分析を多点で行い、アオモリトドマツが分布拡大する基点となった場所を検討した結果、1000年前にすでにアオモリトドマツが定着していたのは、この地域北部の湿原周辺などであった。また、アオモリトドマツ分布拡大の時期は積雪が少ない北上山地でも奥羽山脈と同様であった。

◆^’帯・暖温帯・冷温帯の脆弱性評価と適応策に関する研究
 本研究は、亜熱帯〜冷温帯の自然林を対象に、気候シナリオに基づく温暖化の影響予測を行い、脆弱な森林や地域を特定し、適応策を検討した。
 世界の群系区分でよく用いられるHoldridgeの三角座標は、熱帯で作られたために温度季節変化が卓越する温帯での植生分布制御要因を組み込めない。そこで湿潤で、温度要因が主たる生物分布要因となっている東アジア湿潤森林地域で積算温度と低温条件を組み込んだ温度区分システムを作成し、2気候要因が規定する日本の群系分布の現在と温暖化後の予測を図化した。その結果、最も変化が著しかったのは、暖かさの指数が85以上かつ、最寒月平均気温が-1℃以下の領域、すなわち中間温帯の範囲であり、遺存種が多く分布するこの植生帯が危機的となることが明らかになった。
 一般化線形モデル、一般化加法モデル、ツリーモデルの3種類の分布予測モデルの予測精度を、ブナ林の分布を例として比較したところ、ツリーモデルの予測精度が最高であった。そのため、本研究の分布予測にはツリーモデルを使用することにした。
 日本の代表的森林帯である冷温帯(ブナ帯)の温暖化影響を評価するために、CCSR/NIES気候シナリオ及び、気候統一シナリオを用いて、今世紀末のブナ林の分布可能域を予測し、温暖化に対する脆弱性を評価した。ブナ林の分布確率が50%以上である地域の分布は将来、6割(気候統一シナリオ-A2シナリオ)から9割(CCSR/NIESシナリオ)減少する。特に、西日本や本州太平洋側で減少が大きい。気候変化に対して脆弱なブナ林は、西日本太平洋側や本州中部から内陸部に多い。
 植生データベース(PRDB)を構築し、冷温帯林の主要構成種20種について、ツリーモデルを用いて分布予測モデルを構築した。そしてCCSR/NIESシナリオをモデルに当てはめて将来の分布可能域の変化を予測した結果、種によって温暖化に対する反応が異なることが判明した。

 アジアの熱帯林生態系の影響、脆弱性の評価に関する研究
 ボルネオ島の熱帯林生態系では降雨量が多いにも関わらず、植物季節や生態系動態が大気の乾燥度によって支配されている。得られた土壌と樹木生理のパラメータを使い、CENTURYモデルで温暖化予測を行ったところ、2000年から2050年まで月最大・最低気温の年上昇率0.043℃の気候変化のシナリオでは熱帯林の生産性と森林バイオマスが漸次上昇、土壌炭素が漸次減少する。しかし、1998年規模のエル・ニーニョが10年毎に発生し樹木の死亡率が2.6%上昇すると、回復が追いつかず森林バイオマスは漸次減少を始める。さらに、現在行われている規模の商業伐採影響がこれに加わると、森林回復は困難になると予測される。現在の森林及び土地利用を把握するため高頻度観測衛星データから広域土地利用図を作成した。これにNOAAのホットスポットデータによるこれまでの火災発生およびインドネシア政府による森林事業権の設定状況を重ね合わせ、これらを考慮した森林の脆弱性について検討を行った。

ぁ/郵林生態系の脆弱性評価と適応策
 温暖化の影響評価で用いる気候シナリオは気温の上昇だけでなく降水量や降雨特性の変化も予想している。降雨特性の変化は土壌水分環境に変化をもたらし、樹木の生育に影響を与える。スギは全国で約450万ha植栽され、わが国の森林面積の18%、人工林の約45%を占める。スギは乾燥に対する耐性が低いために、人工林の中でも水分環境の変化による影響をもっとも強く受ける可能性が高い。温暖化は、蒸散による水分消費、降水による水分供給および土壌による保水力への影響を介して、スギの水分バランスを変化させ、水ストレスの危険度を高めることが予想される。スギ人工林を対象に、年間を通したスギ林の潜在的な水要求度を示す「スギ林蒸散降水比予測モデル」と土壌の利用可能な水容量を指標する「土壌水分変化予測モデル」を開発し、温暖化に伴うスギ人工林の脆弱性評価と適応策の検討を行った。
 「スギ林蒸散降水比予測モデル」の開発研究において、スギ林の年間の水収支を蒸散降水比(年蒸散量/年降水量)によって広域的に評価し、温暖化に対して脆弱な地域を抽出するモデルを開発した。全国の二次メッシュ気候値からモデルを用いて計算されるスギ人工林の年蒸散量は400mmから800mmの値を示し、温度環境は蒸散量と密接な関係があった。現在の気候データを用いた全国規模での計算で、蒸散降水比は0.14から0.67の範囲にあり、スギの広域的な衰退が報告されている地域で高い値を示した。
 「土壌水分変化予測モデル」の開発研究においては、土壌水分特性曲線が土壌型により類型化されることを明らかにし、得られたパラメータを用いてモデルを作成した。試算の結果、適潤性褐色森林土や黒色土では水分ストレスの発生が少なく、乾性ないし弱乾性褐色森林土および湿性褐色森林土では水分ストレスが発生しやすいことを明らかにした。これを国土数値情報の土壌データに適用して、土壌水分特性からみた潜在的な保水力マップを作成した。
 蒸散降水比による水分ストレスの発生予測、および土壌の保水力評価の結果と重ね合わせて検討した結果、次のような地域が温暖化に脆弱であると評価した。降水量の低下、気温上昇などにより空気乾燥が進行し、スギの潜在的蒸散活動の抑制により衰退が懸念される地域は、長野盆地、甲府盆地、関東平野、福島盆地、および十和田湖東方の平野部(三本木原台地)であった。土壌の保水力が小さい地域、すなわち、一定の年降雨があっても降雨間隔が延びるなどでスギ林の衰退が予想
される地域は、三河地方、瀬戸内沿岸、および九州地方などであった。二つのモデルともスギ林の衰退が懸念されると評価された地域は、兵庫県、岡山県、および香川県など瀬戸内沿岸地域である。最後に、脆弱な人工林を守るための適応策について検討を行った。

3.4 影響の変動性・地域性を考慮した農業生態系のリスク評価に関する研究
_甲伐襲洞舛諒册粟・地域性を考慮した農業生態系のリスク評価手法の開発に関する研究
 過去の降水量変動傾向の解析とGCMによる将来気候予測の結果から、温暖化に伴って中国では黒竜江省など東北部を中心に年々変動が大きくなるとともに少雨傾向が強まることが示された。実際に土壌表層付近の水分環境を推定する簡易な水収支モデルを開発し解析した結果、根圏土壌の水分保持容量に対する年平均土壌水分の比は、1946〜75年の平均値に対して1976〜95年では、華北平原と東北平原で減少している(図1)。これに加え中国東北部の黒竜江省における積雪水資源の年々変動が、アムール川上流の大興安嶺東斜面で大きいことも示された。

 いっぽう水稲を対象に、アジアの代表的なイネ品種について日本・中国・タイで栽培実験を行って必要なデータを収集し、品種選択、作期変更及び施肥などの適応技術を考慮して高CO2濃度と温暖化の影響予測を可能にする生育収量予測モデルの開発を行った。図2にはIR72(インディカ種:長粒)と日本晴(ジャポニカ種:単粒)の、岩手・京都、南京・雲南、およびタイのUbon
における収量のシミュレーション結果を、それぞれの地点・品種のCO2濃度360ppmの収量に対する相対収量増加(%)で示した。

現在の気温条件下(+0℃)で、インディカ種は全ての地点で日本晴よりもCO2の上昇に対し高い収量反応を示した(図2上)。この結果は従来の、インディカ種はジャポニカ種に比べ、CO2に対し高い収量反応を示すという報告によく一致しており、本モデ
ルによるシミュレーションの結果、気温条件が現在と変わらない場合のCO2の倍増は、両品種の収量を20〜30%増大させることが示された。しかしながらこのCO2倍増による効果は、2℃の気温上昇によって岩手を除くアジア各地点で減少した(図2中)。2℃の気温上昇を伴うCO2の倍増により、夏の気温が高い京都の日本晴では高温不稔が生じ、現在と比べて著しく収量が低下した。4℃の気温上昇を伴うCO2の倍増は、岩手を除くアジア各地域における両品種の収量に負の影響を与え、さらにこの負の影響は温帯の京都及び南京で,熱帯に位置するUbonのよりも大きかったことが示された。
 上で示したように、降水量の年々変動が大きくなり、かつ少雨傾向が予測されること、土壌水分の減少すなわち乾燥傾向が強まること、および積雪水資源の変動が大きいことは、いずれも中国の北部・東北部における温暖化時の農作物生産環境に対するリスクと脆弱性を示している。また稲の生育・収量予測モデルにより大気CO2濃度倍増条件下での影響予測を行い、CO2倍増に対する収量反応は日本型水稲よりもインド型水稲が顕著に高いことが予測されたことで、高CO2濃度下では籾数の多い品種が有利になるほか、2℃の温暖化によって岩手を除くアジア全地点でCO2濃度倍増の効果は認められないこと、及び4℃以上の温暖化は岩手を除く全地点で水稲収量の大幅減少をもたらすことが予測された。つまり高温高CO2濃度の影響は熱帯の乾期稲作や京都・南京など夏期高温の温帯地域で大きく、予測される地球温暖化は品種・作期による適応策を考慮しても、アジア各地域の稲作に大きな影響を与えることが明らかである。

東アジアにおける農業生産量変動に対するリスクの評価
 本研究では、東アジアにおける食料生産に影響を与える温暖化の危険な水準を策定するための基礎研究を実施した。特に中国における作物生産に対する気候変動の影響の危険性を時間的空間的に評価するために、農耕地における水分ストレス指数(WSI)および純一次生産力(NPP)を指標として用い、その変動について考察した。その結果、華北平原ならびに東北平原が将来予想される気候変動に対して特に影響を受けやすいことが分かった。2001〜2080年までの年々変動に着目すると、IPCCの排出シナリオA2の気候シナリオ条件下で、これらの地域で2021〜2040年の期間には干ばつの危険性が大きくなると予測された。またNPPは一般に増加する傾向が見られるが、A2シナリオの2005〜2035年の間ではやや減少するトレンドが見られた。

4.考察

4.1 生態系の影響モデルの高度化と脆弱性マップ
 本研究プロジェクトの各サブ課題で共通する事項としては、高山、自然林・人工林、農地生態系 の温暖化影響を評価できるモデルを開発或いは改良して、統一した気候予測値(共通シナリオ)を 入力として将来の影響を予測し、結果を脆弱性マップとして地図表示し、温暖化に対して脆弱な地 域を特定するとともに、影響を軽減するための適応策を立案し、実施した場合の効果を評価するこ とである。
 本研究プロジェクトで開発或いは改良したモデル及び得られた影響マップ(例)は以下のとおり である。
(1)植生影響の予測モデル
・生物地理−生物化学的植生モデル(BGGCモデル)
 我が国の植生帯の変化を予測するモデルであり、従来開発した生物地理モデル(BIOME3)に、生物化学的な モジュールを追加することにより、炭素などの物質循 環を予測することが可能となった。このモデルに将来 気候シナリオとして、2つのGCM(CSIROおよびECHAM4) を用いて予測した結果、温暖化時には純一次生産量 (Net Primary Product)が増加すると予測された(図 3)。また図4はCSIRO 2080年の気候シナリオを入力 条件としたときの潜在的自然植生分布の変化を現状と2080 年の予測値とを比較表示したものである。
 図5は、同じくCSIROの2080年時点の気候シナリ オを用いてNPPの予測結果を示したものである。







・高山植生の影響モデル  
 とくに高山生態系のうち、温暖化の影響を受けや すい非生物的な要素である雪渓、生物的な要素であ るキタダケソウなどの植生の変化を予測する統計 的な回帰分析モデルを観測データ等から構築した。
 図6は、温暖化に伴う国立公園の高山帯植生の脆 弱性を集計したものである。横軸は、Green(自然 環境保全総合データベース)に収録されていた寒 帯・高山帯植生と分類されている3次メッシュが一つ でもある2次メッシュ数である。図中の白カラムは、 Greenに収録されていた3次メッシュデータから求めた、 国立公園毎の高山帯植生と分類された2次メッシュ数を 示し、黒カラムは、共通シナリオの現在気候値として示された月平均気温を標高補正し、その 後計算した温量指数から、高山帯植生と判別された2次メッシュ数を示し、CCSR及びJP2のカラ ムは、それぞれ共通シナリオ(CCSRと気候統一シナリオ(図中ではJP2と表示))の2050年での 気候値から求めた高山帯植生の2次メッシュ数を示す。
 2050年には高山帯植生とみなされるメッシュ数が減少し、国立公園の高山帯植生は極めて温暖化 の影響を受けやすく、脆弱であることがわかった。


・森林モデル
 森林モデルとして、積雪環境と亜高山帯植生、ブ ナ林、人工林モデルを開発した。
 図7は、気候変量 として暖かさの指数、最寒月最低気温、冬期降水量、 夏期降水量を入力としてブナ林の存在確率を予測 するモデルの結果を示したものである。 図7の(A)は現在のブナ林分布を表している。 (B)はモデルにより予測された1990年時点での 分布確率でほぼ現状を再現できている。 (C)はCCSR/NIESシナリオによる2090年代の分布 確率であり、2090年代に気温上昇は3.6℃で、こ のときブナ林は約90%減少すると予測された。ブ ナ林は日本の森林のなかで豊かな森林であるこ とから、温暖化は日本に特有の森林にも大きな影 響を与えることが予測された。図中の(D)は気候 統一シナリオを用いて予測した結果である。 CCSR/NIESに比べて気温上昇が比較して低いの で、この場合は約60%の減少と予測されている。


 図7 ブナ林の分布可能域変化予測。(A)は現在のブナ林分布(B)はモデルにより予測された1990年時点での分布確率. (C)はCCSR/NIESシナリオによる2090年代の分布確率. (D)はSRESシナリオによる2080-2100年代の分布確率

 人工林への影響モデルについては、「スギ林蒸発降水比予測モデル」と「土壌水分変動予測モデ ル」を開発した。「スギ林蒸発降水比予測モデル」に気候統一シナリオ(2081-2100)を適用した結 果が、図8である。
 気候統一シナリオによれば、スギ人工林が存在している地域では、2081年から2100年の時 期には年平均気温は2.2℃から3.2℃の範囲で上昇する。本シナリオに基づいた場合、モデルに よって計算される年蒸散量は現在の値に比べて50mmから100mm程度増加する。年降水量は平均 して約150mmの増加となるが、700mm以上の増加、200mm程度の減少を示す地域がみられる。蒸 散降水比は、降水量の増加が大きい中国地方の瀬戸内側、九州北部で低下するが、九州中南部 の太平洋岸、関東平野、青森県北部などでは上昇する。
 スギの生育に不適な気候条件の閾値を蒸散 降水比で0.5とした場合、温暖化によって、 東北地方の一部と関東平野の広範囲で閾値以 上のメッシュがあらたに出現すると予測され た(図8)。関東平野部では、温暖化の進行に よって生じる水分環境の悪化が、現在発生し ているスギの衰退をさらに加速させる可能性 が示唆される。閾値以上の二次メッシュに生 育するスギ人工林面積は、現在の気候条件で は23,953ha、温暖化シナリオでは42,805haと 計算され、後者は全国のスギ人工林面積の約 1%に相当する。



・農地モデル
 中国を対象として、イネの開花期の高温によ る不稔の発生が生産の不安定要素となり、かつ 温暖化時の懸案になることから、収量に及ぼす気温と CO2濃度の相互作用を合理的に扱えるモデルを開発し た。本モデルはCO2の増加による収量増加と気温上昇に よる高温障害の収量への影響を同時に評価できるモデルであり、ダイアグラムの形式で図化するこ とにより、温暖化の進行状況に応じて、各地点での収量の予測を即時に行えるという利点がある (4.4(4)を参照)。
 また、中国における穀物生産の脆弱性を畑作物にとって最も重要な土壌水分環境面から評価する ための、水分環境を予測できる水収支モデルを開発した。図9はその結果を示したものである。可 能蒸発散量と実蒸発散量の比は、最終収量に対するストレスを表す。この比の値の年々変動に対し て、過去(1961-1990)と将来(2041-2070)のそれぞれ30年間で比較し、0.5以下になる年の出現頻度 を図示したもので、高頻度(黒グリッド)の領域が華北平原や東北部を中心として拡大する傾向があ る。華北平原は、春小麦・トウモロコシ・冬小麦の栽培地帯であり、特に山東・河南・河北の各省 は全国の約60%を生産する小麦の主要生産地域で、小麦を主食とし地場の消費量も多い。また東北 平原ではこれまで春小麦が栽培されてきたが、南部の吉林省・遼寧省などでは耕地条件の整備に伴 い換金率の高いトウモロコシ栽培への転換が図られている。しかしながら気候変化による土壌水分 環境の悪化は、その収益率を下げる危険性があり,また最近では黒竜江省などで水稲栽培地域が拡 大しており、それに必要な水使用量の増加に伴う水資源量の不足も懸念される。今後、安定した穀 物生産を維持するためには、脆弱性が高いと評価された地域を中心に小流域スケールの水資源量の 変動を考慮して、栽培作物種の選定ならびに水涵養機能を生かした農業生産形態の確立が必要になる。  



4.2 地域気候モデルの将来気候予測値を用いた気候シナリオ
 日本においても、より地域的に詳細な影響予測が必要になってきた。とくに適応策を講じる場合 は、地域の実情も考慮した予測が不可欠である。このため、地域気候モデルの開発と予測結果の影 響分野での利用が期待されていた。平成14年4月より総合科学技術会議の地球温暖化イニシャティ ブが開始され、モニタリング、気候モデル、影響・リスク、抑制政策、エネルギー技術(2つ)の 計6つのプログラムが開始された。気候モデル研究グループと影響・リスク研究グループとの討議 の結果をうけ、気象庁・気象研究所で、影響研究のための地域気候シナリオの開発が行われること となった。2003年8月に、気候統一シナリオ(第一版)として提供が開始された(温暖化イニシャ ティブの影響研究プログラムに登録している研究課題研究者に限定)。2004年9月には、第一版で みられた幾つかの問題点を改善した新しい将来気候予測値(第二版)が提供された。本研究課題で 利用した気候シナリオと地域気候シナリオとの特徴をまとめたのが表1である。



 従来のGCM(空間精度250〜300km)に比較するとその空間精度はほぼ1/10であり、生態系への影 響評価のように、とくに地域や局所における気候変化と植生を対象とする場合にはこうした地域気 候シナリオの利用が大前提となる。表1の気候シナリオについては、共通シナリオとして10km(二 次メッシュ)に加工したものを共通シナリオとしたが、対象とする生態系によっては、より詳細な メッシュを必要とすることから、例えば、森林の影響評価では、l辧壁現爛瓮奪轡)を対象として いることから、地域気候シナリオをダウンスケールした値を用いている。
 なお、サブ課題4では、アジア地域を対象としていることから、IPCCが提供しているGCMの結果 を利用した。本課題では、温暖化影響評価のために気候シナリオを作成し、利用してきたことから、 今後の影響評価(全球、地域、日本域)の広さの異なる地域における影響評価研究に必要な気候シ ナリオの標準的な取扱ができるようになったことも成果として挙げられる。

4.3 温暖化の高山、森林、農地生態系への影響のまとめ
 本研究課題で得られた、温暖化の高山、森林、農地生態系への影響について、対象とする生態系、 影響評価の前提条件(予測対象年など)、温暖化の影響および備考についてまとめた。
 表2は、温暖化の高山生態系への影響について成果をまとめたものである。概して、2050年には 高山植生への影響が顕著に表れると予測された。



表4は、本研究で得られた農業生態系への影響をまとめたものである。



4.4 生態系への影響を低減する適応策
 (1)自然生態系への影響を低減する適応策

‥応の分類
 適応策については、いくつかの分類方法があるが、影響が現れてからの適応(事後的適応)と影響がでる前の適応(予見的適応)に大別することができる。影響を受ける対象が、生態系の場合は、事後的な適応が中心となるが、社会経済システムなど人間社会の場合には、両方の適応が可能となる。よって、生態系の適応策については、限られたものにならざるを得ないことが指摘しうる。ここでは、長期にわたって徐々に進む生物の進化や遺伝的適応については、扱っていない。なぜなら、現在温暖化の問題となっているのは、せいぜいここ50〜100年の間に生じる気候の変化を対象としていることが挙げられる。表5は、IPCCの第三次評価報告書に示された適応の事例であり、予見的、事後的な適応の観点から分類した事例となっている。



∪限峽呂鯊仂櫃箸靴薪応策
 生態系を対象とした適応策を文献や本プロジェクトのサブ課題の検討結果から表3のように整理した。適応のタイプと具体的な事例を取り上げた。



 温暖化の影響を軽減する適応策の立案、実施にあたっては、その生態系に対して悪影響をもたらす場合があることも考慮しておくことが必要である。例えば、生物多様性に対して直接的(例:生息地の破壊)と間接的(例:新たな種の移入や管理様式の変更)な影響が挙げられる。

(2)高山生態系への影響を低減する適応策
 本研究でとりあげた高山生態系について将来の温暖化影響を軽減するための適応策は以下のとおりである。
々駑公園における高山帯植生への温暖化の影響低減の適応策
 国立公園設置の主目的である景観保護について、温暖化に対する適応策を考えると、その対象範囲が極めて広大となるため、温暖化影響を考慮した新たな対応策を考える必要があろう。また、景観変化をいち早く把握するシステムを整備することも適応策の一つと考えられる。
▲タダケソウへの影響を低減の適応策
 現在のキタダケソウの生育地保護区が、温暖化の進行により、温度的には現在の範囲から外れ、キタダケソウの絶滅リスクが高まる可能性が高いが、冬季の風や雪の影響により残るであろう現在の生育場所での保護をまず検討すべきである。その際、キタダケソウの生育を脅かすハイマツや高茎草原構成種、あるいは亜高山帯植生の構成種の分布拡大を、人為的に排除するか、あるいは放置するかの適応策が考えられるが、こめ選択には、キタダケソウの絶滅リスクの進行程度や、地域・地元の理解、あるいは温暖化影響に対する考え方など、様々な観点からの検討が必要であろう。また、次善の策として、生育地外での生育保護も考えられ、すでに、植物園などでキタダケソウの栽培が行われているようである。
D稈論植生(白山のオオバコ)への影響低減の適応策
 高山帯での温暖化に対する適応策を考えると、オオバコの分布拡大には人間が大きく関わっていることが知られている。このことから、高山帯へのオオバコの分布拡大を防ぐ第一の方法は、人間の立ち入り及び荷物の持ち込みを禁止することであろう。しかし、高山帯には自然とのふれあいの場として設定されているため、そのような場所では、今後ともオオバコ分布の拡大リスクは増大していくと思われる。その場合、次善の適応策としては、高山帯へ侵入した低地性の植物を除去する方法と放置する方法が考えられる。このどちらかを選ぶに際しては、地域・地元の理解、あるいは温暖化影響に対する考え方など、様々な観点からの検討が必要であろう。
す盪垣小動物(オコジョ)への影響低減の適応策
 近年、高標高地に比べて2,000m以下の低標高地で生息確認されない場所が多かったオコジョの現状に、温暖化がどの程度寄与しているか見積もることが今後に残された課題の一つであろう。その上で、オコジョ生息地への人間の立ち入りやキツネなどの競争種の分布に係わる登山者あるいは山小屋などからの残飯処理の問題も考慮しながら、温暖化に対する適応策を考えていく必要があろう。

(3)森林生態系への影響を低減する適応策
.屮蔑咾留洞舛鯆禪困垢訶応策
 将来温暖化すると、日本の代表的森林の一つであるブナ林の分布確率が50%以上である適地の分布は将来、6割(気候統一シナリオ)から9割(CCSR/NIESシナリオ)減少することが明らかとなった。また温暖化に対して脆弱なブナ林は、西日本太平洋側や本州中部内陸部に多いことが示唆された。このことから、ブナ林を保全する場合の適応策としては、西日本では常緑樹林と下限を接しているブナ林の場合の常緑種の侵入のコントロールの必要性、本州中部から北部の山脈が連なっている地域では生態的回廊がブナ林の保全に対して機能するかどうかを見極める必要性、また、北海道のブナ林北限以北ではブナがミズナラ林や針広混交林に侵入した場合のコントロールの必要性など、地域の実情に合わせた保全管理計画が必要と考えられる。

▲好人工林の影響を低減する適応策
 スギ林は函館周辺の一部を除き、北海道には無いが、全国で合計約450万ha植栽され、森林面積の18%、人工林の約45%を占めており、わが国の林業において最重要樹種といえる。また、林業は農業と異なり、施肥や潅水などに頼らずに自然力を有効に利用しながら行う粗放な産業である。また、収穫に数十年を要する。したがって、気候変動に対して短期間に対応することが出来ないばかりか、脆弱なスギ人工林のみを対象とする潅水にも自ずと限界がある。
 本研究の成果から、現時点でスギ人工林の温暖化の影響回避や低減のための適応策として考えられることを以下に列挙する。
・植栽樹種の変更による対策
 ―利用伐期に達しているスギ林を早めに収穫し、変動気候に適した樹種を植える。
   問題点として、ヒノキやマツで良いかどうか? 新たな適地適木基準の整備が必要で、日本の
   木材資源供給計画の新たな立案も必要と思われる。
 ―利用伐期に達していないスギ林は、捨伐り改植、あるいは保育方法を改良する。
   問題点として、経費的な補助が無ければ零細林家では実行できないことが考えられる。保育方
   法の改良には、強度間伐林に変動気候に適した樹種を樹下植栽することが一例としてあげられ
   る。具体的な作業指針の整備が必要である。
・生育環境改善による対策
 ―人工降雨、潅水、土壌改善(保水力)、施肥(若干の吸水力の改善)などを行う。
   問題点として、大気大循環や温暖化を以前の状態に戻すことは現実的で無いとすれば、林業収
   益を度外視して、限られたスギ林だけは残すという思想で実施する。この際にも、現在の樹木
   医の経験・知識・技術だけでは不十分で、新たにより高度な技術的指針の策定が必要と考えら
   れる。

(4)農地生態系への影響を低減する適応策
 本研究において中国における農地生態系のシミュレーション解析により、温室効果ガスの増大に伴う気候変化は、アジアのイネ生産に大きな、そして地域・品種で異なる影響を与えることが示唆された。モデルにより、2℃以上の気温上昇を伴うCO2の倍増は、冷温帯のイネ収量を大きく増大させる一方で、温帯または熱帯の乾季作のイネ収量を著しく減少させる。予測される気候変化がアジア各地域のイネ生産に与える負の影響を軽減するのに必要な栽培管理法を同定することが必要であり、その一つの試みとして米収量モデルを用いた栽培管理を的確に行うためのダイアグラムを適応策として提案した。
 気象データを収集した中国の10地点について、1980年〜1988年の9年間の日別気温データをもとに日最高気温平年値を算出した結果、華中・華南地域では、夏期の日最高気温が平年値で35℃に近いかまたはその値を超える地域が存在することが明らかになった。水稲は開花時の気温が約35℃以上になると不稔穎花が発生し始めるので、それらの地域では水稲の開花期が最高温期に遭遇すれば高温不稔発生の危険性があると考えられる。
 一例として杭州市の気象データを用いて水稲品種IR36を種々の時期に移植した場合の収量をSIMRIWで予測した。9年間の平均値では、栽培可能期間での移植期の違いによる収量の変化は小さいが、約140(ユリウス日)の移植日(以下、同様に移植日をユリウス日で示す)において収量年次変動が大きくなることが予測された。この原因は、高温年に高温不稔の発生による収量の低下を反映している。例えば、高温年の1983年では、移植日約140で収量の低下が予測され、1988年にも
同様な移植日における収量の低下がシミュレートされた。
 同様の解析を、温度を3℃上昇させた場合、および温度の上昇に加え大気中CO2濃度を2倍にした場合について行った。大気中CO22濃度を2倍にした場合、高CO2濃度による開花期高温感受性の増大を加味してシミュレーションを行った。子測収量は9年間の平均値とした。気温が現在より3℃上昇すると、9年間の平均収量においても移植日120〜140で収量の低下が予測された。高温・高CO2濃度環境では、高温不稔が発生しない移植日(早期および晩期)では収量の増加が見込めるのに対し、中間の移植日ではより厳しい収量の低下が予測された(図10)。

図10 種々の移植日を用いて、杭州市における水稲品種IR36の可能最大収量を水稲生育・収量予測モデルSIMRIWで予測した結果。黒丸は、1980〜1988年の各年の予測結果の平均値、白丸は、気温が3℃上昇した場合の予測結果、白三角は、気温の上昇に加えてCO2濃度が2倍になった時の予測結果である。

 シミュレーション結果から、開花期の高温による不稔穎花の発生が、将来的に中国水稲生産の大きな問題となる可能性が考えられた。実際、中国では2003年に異常高温地域が出現し、主として華中地域で水稲の高温不稔が観測された。中国で高温不稔がすでに現実の問題となっている理由として、以下の3点が考えられる。すなわち、第1に、華中・華南地域では、夏期に日本より高温となること、第2に、作期の変化によって開花期が最高温期に重なってきたこと、第3に、Flハイブリッドのイネ品種は、もともと遺伝的に稔実の低下をきたしやすいものが多い可能性があることである。
 図10に示した移植日と潜在的な収量の関係を各地点で求めておけば、気温が上昇するにしたがって、何時移植するかなどの情報を的確に伝えることが可能となる。また、移植日や栽培時期を変更することについては、経済的な負担が少ないなどのメリットもありえる。今後は、こうした地点毎の気象、移植や栽培時期、将来気候予測データなどを整備するとともに、本法をより精緻化していくことで、実用化も可能となろう。

4.5 今後の課題
 この100年間に地球の平均気温がO.6℃上昇し、すでに雪氷や植物に影響が顕在化していることが明らかになってきたが、とくに植物は温暖化に対して敏感であり、温暖化の影響をまっさきに受けることから、温暖化の進行状況の把握や影響を検出していくための指標としても重要性を増してきた。

 本研究では、最近開発された地域気候モデルの将来気候予測値等を用いて、植物を中心とした種々の生態系に与える影響を予測、評価したが、今後温暖化が進行するとこうした生態系に深刻な影響が現れると予測され、影響を軽減するための適応策についてまとめた。本研究の成果を踏まえて、今後さらに進めるべき研究課題としては以下の点が挙げられる。
  1) 温暖化に脆弱な生態系や生物種のより体系的な研究(動物や陸水・海洋生態系も含む)
  2) 指標生物による温暖化の進行状況の把握や影響のモニタリング
  3) 生態系モデルのさらなる高度化と必要な諸条件データの整備
  4) 温暖化の生態系への影響を低減する適応策の具体化
  5) 日本の生態系影響の全体量の把握(被害額算定など経済評価を含む)
  6) 開発した生態系モデルのアジア地域への応用や途上国研究者への技術移転

5.研究者略歴

課題代表者:原沢英夫
        1954年生まれ、東京大学工学部都市工学科卒、工学博士、現在 独立行政法人国立環
        境研究所社会環境システム研究領域 領域長
主要参画研究者
(1) :原沢 英夫(同上)
(2) :名取 俊樹
    1952年生まれ、茨城大学理学部卒、博士(農学)、現在 独立行政法人国立環境研究所 生物
    圏環境研究領域 生態系機構研究室 主任研究員
(3) :田中 信行
    1955年生まれ、東京農工大学農学部卒業、東京大学大学院農学研究科修士課程修了、現在 独
    立行政法人森林総合研究所 植物生態研究領域チーム長
(4) 林 陽生
    1948年生まれ、横浜国立大学教育部卒業、理学博士、独立行政法人農業環境技術研究所
    地球環境部長を経て、現在 筑波大学生命環境科学研究科教授
◆陶 福禄(Tao, Fulu)
    1970年生まれ、河南農業大学卒業、現在 中華人民共和国農業科学院農業気象研究所(平
    成16年度EFF、独立行政法人農業環境技術研究所)

6.成果発表状況(査読付き論文のみ)
(1) Aiba S., Kitayama K. & Takyu M.:Plant Ecology, 174, 147-161 (2004) "Habitat associations with topography and canopy structure of tree species in a tropical montane forest on Mount Kinabalu, Borneo"
(2) Asaoka, Y., KAZAMA, S. and Sawamoto, M.: Water Resources Systems -Water Availability and Global Change, IAHS   Publication no.280, 292-300 (2003) "The influence of snow depth on the variation of vegetation activity and evapotranspiration"
(3) Daimaru, H. and Taoda, H.: Journal of Agricultural Meteorology, 60(4), 253-261 (2004) "Effect of snow pressure on the distribution of subalpine Abies mariesii forests in northern Honshu Island, Japan"
(4) Daimaru, H., Ohtani, Y. , Ikeda, S., Okamoto, T. and Kajimoto, T. : CATENA, 48, 53-65 (2002) "Paleoclimatic implication of buried peat layers in a subalpine snowpatch glassland on Mt. Zarumori, northern Japan"
(5) Darmawan M. , Tsuyuki S., Saito H., Sawada H. & Kitayama K. : Journal of Forest Planning, 9, 35-46 (2003) "Recognition of spectral pattern characteristic of land cover for assisting visual interpretation of landsat ETM - A forest degradation mapping in tropical rain forest of Sabah, Malaysia - "
(6) Hall J. S., Asner G. P. & Kitayama K.: Biogeochemistry, 70, 27-58 (2004) "Substrate, climate, and land use controls over soil N dynamics and N-oxide emissions in Borneo "
(7) Homma, K., T. Horie, T. Shiraiwa, S. Sripodok and N. Supapoj: Field Crops Research 88, 11-19 (2004) "Delay of heading date as an index of water stress in rainfed rice in mini-watersheds in Northeast Thailand"
(8) Homma, K., T. Horie, T. Shiraiwa, N. Supapoj, N. Matsumoto, and N. Kabaki: Plant Production Science, 6, 147-153 (2003) "Toposequential variation in soil fertility and rice productivity of rainfed lowland paddy fields in mini-watershed (Nong) in Northeast Thailand"
(9) Horie, H., H. Yoshida, S. Kawatsu, and K. Katsura: Proceedings of World Rice Research Conference, Tsukuba, November 2004, IRRI, in press (2005) "Effects of elevated atmospheric C02 concentration and increased temperature on rice; Implications for Asian rice production "
(10) Kajimoto, T., Daimaru, H., Okamoto, T., Otani, T. and Onodera, H.: Arctic, Antarctic, and Alpine Research, 36, 422-431 (2004) "Effects of snow avalanche disturbance on regeneration of subalpine Abies mariesii forest, northern Japan "
(11) Kajimoto, T., Seki, T., Ikeda, S., Daimaru, H., Okamoto, T. and Onodera, H.: Arctic, Antarctic, and Alpine Research, 34, 191-200 (2002) "Effects of snowfall fluctuation on tree growth and establishment of subalpine Abies mariesii near upper forest-limit of Mt. Yumori, northern Japan"
(12) Kamara,S., T. Kuruppuarachchi, E. R. Ranatunge, Y. Hayashi, M. Yokozawa, M. Nishimori, and T. Mikami (2002): Journal of Agricultural Meteorology, 58, 4, 171-184 (2002) "Multivariate statistical analysis of the seasonal rainfall regimes of the Guinea-Fouta Djallon Mountains of West Africa"
(13) Kikvidze, Z. & Ohsawa, M.: Ecological Research, 17, 4, 519-525 (2002) "Measuring the number of co-dominants in ecological communities"
(14) Kitayama K., Aiba S., Takyu M., Majalap N. & Wagai R.:Ecosystems, 7, 259-274 (2004) "Soil phosphorus fractionation and phosphorus-use efficiency of a Bornean tropical montane rain forest during soil ageing with podozolization"
(15) Kitayama K., Suzuki S., Hori M. , Takyu M., Aiba S., Majalap-Lee N. & Kikuzawa K. (2004) "On the relationships between leaf-litter lignin and net primary productivity in tropical rain forests"
(16) Kitazawa, T. & Ohsawa, M.: Biological Conservation, 104, 239-249 (2002) "Patterns of species diversity in rural herbaceous communities under different management regimes, Chiba, central Japan"
(17) Kominami, Y. , Tanaka, N., Endo, Y. and Niwano, S. : Journal of Agricultural Meteorology, 60, 445-450 (2005) "Estimation of Snow Distribution under Global Warming Using Data from Remote Weather Stations (AMeDAS) "
(18) Matsui, T. K. Kobayasi, H. Kagata, and T. Horie: Plant Production Science, in press (2005) "Correlation between viability of pollination and length of basal dehiscence of the theca in rice under a hot and humid condition "
(19) Matsui, T. and H. Kagata: Annals of Botany, 91, 473-477 (2003) "Characteristics of floral organs related to reliable self-pollination in rice (Oryza sativa L.) "
(20) Matsui, T. and K. Omasa: Annals of Botany, 89, 683-687 (2002) "Rice (Oryza sativa L.) cultivars tolerant to high temperature at flowering: Anther characteristics "
(21) Matsui, T. , Nakaya T. , Yagihashi T. , Taoda H. , & Tanaka N. : Japanese Journal of Forest Environment, 46, 2, 93-102(2004) "Comparing the accuracy of predictive distribution models for Fagus crenata forests in Japan
(22) Matsui, T. , Shimada, K., Yagihashi, T. , Nakaya, T. , Taoda, H., & Tanaka, N. : Journal of Agricultural Meteorology, 60, 439-444(2005) "Assessing potential distribution of beech (Fagus crenata) in central Japan "
(23) Matsui, T. , Yagihashi T. , Nakaya T. , Taoda H., Yoshinaga S., Daimaru H., Tanaka N.: Journal of Vegetation Science, 15, 5, 605-614(2004) "Probability distributions, vulnerability and sensitivity in Fagus crenata forests following predicted climate changes in Japan "
(24) Matsui, T. , Yagihashi,T., Nakaya, T. , Taoda,H., & Tanaka, N. : Journal of Vegetation Science, 15, 57-6(2004a) "Climatic controls on distribution of Fagus crenata forests in Japan"
(25) Miura, S., Hirai, K., Yamada, T. : Journal of Forest Research, 7:201-211(2002) "Transport rates of surface materials on steep forested slopes induced by raindrop splash erosion"
(26) Miura, S., Yoshinaga, S., Yamada, T. : Journal of Forest Research, 8:27-35(2003) "Protective effect of floor cover against soil erosion on steep slopes forested with Chamaecyparis obtusa (hinoki) and other species"
(27) Nogami, H., S. Machida, R. Kumano, and H. Harasawa: Jour. Global Environment Engineering, 10, 53-63 (2004) "Study on the impacts of global warming on river flows throughout Japan"
(28) Ohsawa, M. & Nitta, I.: Global Environmental Research, 6, 1, 41-52 (2002) "Forest Zonation and Morphological Tree-traits along Latitudinal and Altitudinal Environmental Gradients in Humid Monsoon Asia"
(29) Ohsawa, M., Shumiya, T., Nitta, I., Wildpret, W. & del Arco, M. : Mountain in the Mist: Proceedings of 2nd International Symposium on Cloud Forests, Hawaii (2005) "Topographical diversification and tree traits of Tertiary relic, laurel-forests in Anaga cloud forests, Tenerife, the Canary Islands. (in press)"
(30) Ozaki, N., T. Fukushima, H. Harasawa, T. Kojiri, K. Kawashima and M. Ono: Hydrological Processes, 17, 2837-2853 (2003) "Statistical analyses on the effect of air temperature fluctuations on river water quality"
(31) Ranatunge, E, B. A. Malmgren, Y. Hayashi, T. Mikami, W. Morishima, M. Yokozawa, and M. Nishimori: Paleogeography Paleoclimatology, Paleoecology, 197, 1-14 (2003) "Changes in the southwest monsoon mean daily rainfall intensity in Sri Lanka: relationship to the El Nino-Southern Oscillation"
(32) Shigenaga,H., Matsumoto, Y., Taoda, H., and Takahashi, M.: Journal of Agricultural Meteorology, 60, 5, 451-456(2005) "The Potential Effect of Climate Change on the Transpiration of Sugi (Cryptomeria japonica D. Don) Plantations in Japan"
(33) Takyu M., Aiba S. & Kitayama K.: OECOLOGIA 134,397-404 (2003) "Changes in biomass, productivity and decomposition along topographical gradients under different geological conditions in tropical lower montane forests on Mount Kinabalu, Borneo"
(34) Tanaka, N., Matsui, T. , Shimada, K., Yagihashi, T. , & Taoda, H.: Journal of Agricultural Meteorology, 60,433-438(2005) "Constructing Vegetation Databases Useful for Assessing Impact of Climate Changes in Japan"
(35) Tang, C. Q. & Ohsawa, M.: Plant Ecology, 161, 215-230(2002) "Coexistence mechanisms of evergreen, deciduous and coniferous trees in a mid-montane mixed forest on Mt. Emei, Sichuan, China"
(36) Tang, C. Q. & Ohsawa, M.: Folia Geobotanica, 37, 93-106(2002) "A Tertiary relic deciduous forest on a humid subtropical mountain, Mt. Emei, Sichuan, China"
(37) Tao, F. and M. Yokozawa: Journal of Agricultural Meteorology, 60, 885-887 (2005) "Risk Analyses of Rice Yield to Seasonal Climate Variability in China"
(38) Tao, F. and M. Yokozawa, Z. Zhang, Y. Xu, and Y. Hayashi: Ecological Modeling, 183, 385-396 (2005) "Remote sensing of crop production in China by production efficiency models: models comparisons, estimates and uncertainties"
(39) Tao, F., M. Yokozawa, Y. Hayashi and E. Lin: Agricultural Forest Meteorology, 118, 251-261 (2003) "Changes in agricultural water demands and soil moisture in China over the last half-century and their effects on agricultural production"
(40) Tao, F., M. Yokozawa, Y. Hayashi, and E. Lin: Agriculture, Ecosystems and Environment, 95, 203-215 (2003) "Future climate change, the agricultural water cycle, and agricultural production in China"
(41) Tao, F., M. Yokozawa, Y. Hayashi, and E. Lin: Ambio, 32, 295-301 (2003) "Terrestrial water cycle and the impact of climate change"
(42) Tao, F., M. Yokozawa, Y. Hayashi, and E. Lin: Climatic Change, 68, 169-197 (2005) "A perspective of water resources in China: Ineractions between climate and soil degradation "
(43) Tao, F., M. Yokozawa, Z. Zhang, Y. Hayashi, H. Grassl, and H. Fu: Climate Research, 28, 23-30 (2004) " Climatological and agricultural production variability in China in association with East Asia summer monsoon and El Nino southern oscillation"
(44) Uemura Akira, Ishida Atsushi, D. J. Tobias, Koike Nobuya, and Matsumoto Yoosuke : Trees, Springer-Verlag, 18, 452-459(2004) "Linkage between seasonal gas exchange and hydraulic acclimation in the top canopy leaves of Fagus trees in a mesic forest in Japan"
(45) Yagihashi, T. , Matsui, T. , Nakaya, T., Taoda, H. & Tanaka, N. : Proceedings of Oak 2003, Japan: a joint meeting of IUFRO working groups, genetics of Quercus & improvement and silviculture of oaks. (2005) "Climatic controls differentiating the distributions of Fagus crenata forests and Quercus mongolica var. grosseserrata forests in Japan. (in press)"
(46) Yokozawa, F. Tao, T. Sakamoto: Crop, Environment and Bioinformatics, 1, 264-271 (2004) "Risk analysis of cropland suitability in China under climatic variability and change"
(47) Yokozawa,M., S. Goto, Y. Hayashi, and H. Seino: Journal of Agricultural Meteorology, 59, 117-130 (2003) "Mesh climate data for evaluating climate change impacts in Japan under gradually increasing atmospheric C02 concentration"
(48)朝岡良浩、風間聡、沢本正樹:水工学論文集,49(2005) 「積雪域における融雪期の植生活動と気候因子の解析」印刷中
(49)朝岡良浩、風間聡、沢本正樹:水工学論文集、47,163-168(2003) 「積雪環境が流域植生の季節変化に与える影響―阿賀野川水系滝ダム流域の事例―」
(50)朝岡良浩、風間聡、沢本正樹:水文・水資源学会誌,15,279-289(2002) 「広域積雪水資源量の変動特性とその地理・気候依存性」
(51)伊藤江利子・吉永秀一郎・大貫靖浩・志知幸治・松本陽介・垰田 宏:森林立地、44、2、 37-44(2002) 「関東平野におけるスギ林衰退と土壌要因」
(52)泉宏和、風間聡、戸塚岳大、沢本正樹:水工学論文集,49(2005) 「全日本の積雪水量,積雪深,全層積雪密度分布推定」印刷中
(53)大野宏之、石郷岡康史、後藤慎吉、鳥谷均、桑形恒男:日本土壌肥料学雑誌、74,1,85-92(2003) 「地球温暖化が農林生態系に及ぼす影響 2.水資源への影響」
(54)小川みふゆ、八木橋勉、田中信行、柴田銃江、田中浩、中静透、斉藤昌宏、櫻井尚武、谷本丈 夫、宮川清、前田禎三:森林総合研究所報告,4,65-85,(2005) 「苗場山ブナ天然更新試験地とそのデータベースの解説」
(55)小澤徹三・松本陽介・丹下 健・八木久義・長谷川秀三:森林立地、44、2、45-52(2002) 「高速道路緑化における樹木活力調査手法の現状と望まれる要件」
(56)光田隼・増沢武弘:日本生態学会誌,55,91-97(2005) 「北海道アポイ岳における植物の分布と土壌環境」
(57)小山泰弘、八木橋勉、右田千春、田中信行:森林立地,44,31-33(2002) 「甲信越地域におけるブナ葉面積の地理的変異」
(58)松本陽介・小池信哉・河原崎里子・上村 章・原山尚徳・伊藤江利子・吉永秀一郎・大貫靖 浩・志知幸治・奥田史郎・石田 厚・垰田 宏:森林立地、44、2、53-62(20O2) 「関東平野における樹木衰退の1999年〜2001年の状況」
(59)島田和則、田中信行、津山幾太郎、垰田宏:第55回日本林学会関東支部大会講演要旨集,p.34. (2003) 「植生調査資料を用いたブナ・ミズナラの分布と気候の関係解析における得失」
(60)清水庸・池亀康央・名取俊樹・大政謙次:日本生態学会誌,52,25-34(2002) 「高山帯・亜高山帯植生と気候条件の統計的関連性」
(61)白岩立彦、中川博視、堀江武、松井勤、本間香貴:地球環境、(6),207-215(2002) 「タイ稲作の生産変動実態ならびに降雨量が生産変動に及ぼす影響」
(62)杉浦俊彦、横沢正幸:園芸学会雑誌73、72-78(2004) 「年平均気温の変動から推定したリンゴおよびウンシュウミカンの栽培環境に対する地球温暖 化の影響」
(63)杉田久志、金子岳夫:東北森林科学会誌、9,38-41(2004) 「岩手県浄法寺町稲庭岳において1個体のみ生育しているオオシラビソについて」
(64)西森基貴:日本土壌肥料学会誌、73,6,789-796(2002) 「地球温暖化が農林生態系に及ぼす影響.1.気候変化(地球温暖化)の実態とその予測」
(65)増沢武弘:日本生態学会誌,55,1-61(2005) 「北海道アポイ岳の高山植物の現状と将来」
(66)増沢武弘・光田隼・田中正人・名取俊樹・渡辺定元:日本生態学会誌,55,85-89(2005) 「北海道アポイ岳の高山植物群落―カンラン岩土壌における植物群落の遷移―」
(67)大丸裕武、大原偉樹:地形,25,341-358(2004) 「八幡平におけるパッチ状雪食地の形成過程」
(68)田中 格・松本陽介:日本生態学会誌、52、3、323-329(2002) 「光環境の変化に伴う落葉広葉樹10樹種の個葉の解剖学的構造の変化」
(69)田中信行・八木橋勉・杉田久志・藤田和幸・林哲・垰田宏:遺伝別冊17:1O9-118(2003) 「森林生態系への影響と森林管理」
(70)戸塚岳大、風間聡、沢本正樹:水工学論文集,49(2005) 「森林が積雪量に及ぼす影響に関する検討」印刷中
(71)戸塚岳大、風間聡、朝岡良浩、沢本正樹:水工学論文集、48,(2004) 「積雪モデルと衛星積雪面情報を用いた積雪分布と融雪係数の解析」
(72)戸塚岳大、風間聡、朝岡良浩、沢本正樹:水文・水資源学会誌,17,493-502(2004) 「積雪モデルと衛星積雪面情報を用いた東北地方の積雪分布と融雪係数の解析」
(73)八木橋勉、松井哲哉、中谷友樹、垰田宏、田中信行:日本生態学会誌53:85-94(2003) 「ブナ林とミズナラ林の分布域の気候条件による分類」
(74)横沢正幸:日本土壌肥料科学雑誌、74,229-236(2003) 「地球温暖化が農林生態系に及ぼす影響―3.大気CO2濃度、温度および水分環境の変化と作 物の応答」