検索画面に戻る Go Research



(1.74MB)

[B-11地球温暖化による高山・森林・農地生態系の影響、適応、脆弱性の評価に関する研究]

(2)高山生態系の脆弱性評価と適応策に関する研究

独立行政法人国立環境研究所

 

 

生物圏環境研究領域 

生態系機構研究室

名取 俊樹

静岡大学理学部

 

増沢 武弘

石川県白山自然保護センター

 

東野 外志男

     

〈研究協力者〉

   

 福井大学教育地域科学部

教育地域科学部

伊藤文雄

 糸魚川市青梅少年の家

 

野柴 木洋

 石川県白山自然保護センター

 

林 哲

   

野崎英吉(現石川県自然保護課)

   

小川弘司

 

 

野上達也

[平成14〜16年度合計予算額]

 平成l4〜16年度合計予算額 26,971千円
 (うち、平成16年度予算額 8,025千円)

[要旨]

  本プロジェクトの目的は、共通シナリオを用いて我が国高山帯生態系に及ぼす地
球温暖化の影響を具体的に図化し、その結果に基づいて適応策を検討することである。共通
シナリオによる解析の結果、国立公園の高山帯植生や希少種・固有種であるキタダケソウ、
多年性雪渓である白山の千蛇ケ池雪渓が温暖化に対して脆弱性が高いことを示した。また、
すでに現実問題となっている低地性植物の高地への侵入についてオオバコを例にした解析か
ら、今後より高地への侵入リスクが高まることを示した。そして、それらの結果を基に、温
暖化に対する適応策を検討した。その際、我が国の高山帯生態系が、気温などの気象要因ば
かりでなく、人間の直接的な影響も受けている事例を示し、我が国の高山帯の利用目的によ
り、温暖化に対する適応策を考える必要性を提案した。
 また、共通シナリオを用いた解析までには到らなかったものの、長年にわたる現地観察か
ら亜高山帯への進入が観察されている硫黄岳(長野県八ケ岳)付近のバクサンシャクナゲの
分布上限での現象解析や温暖化影響が危惧されているオコジョについて現状の把握を行った。
 さらに、現時点では温暖化影響との関連が明確でない低地性植物の高地での生育確認にっ
いて、オオバコの生育が確認された最高標高での7月の月平均気温が、事例数は少ないものの、
ほぼ同じであることから、地球温暖化による気候変化との関係が示唆された。

[キーワード]

 温暖化影響、高山生態系、高山帯、適応策、国立公園