地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ調査
エネルギー供給WG(第2回) 議事概要
- 1.日時:
- 平成22年2月2日(火) 9:30~12:15
- 2.場所:
- 大手町・JAビル3F 301(A+B) 会議室
- 3.出席委員:
- 大塚座長、芦田委員、芦名委員、松原代理(飯田委員代理)、荻本委員、倉阪委員、斉藤委員、谷口委員
- 4.議題
- (1)前回議事録の確認
(2)我が国における各種再生可能エネルギーの導入ポテンシャル
(3)導入見込み量の試算方法及び試算結果
(4)再生可能エネルギーの大量導入に向けた系統対策の在り方
(5)火力発電の低炭素化の取り組みの在り方
- 5.議事概要
(1)前回議事録の確認
修正すべき点を事務局に連絡するよう依頼があった。
(2)我が国における各種再生可能エネルギーの導入ポテンシャル
資料2について説明
(質疑)
- 前回にも指摘があったが、物理的ポテンシャルのみでなく、どのような需要があるかも合わせて整理してほしい。
- 包蔵水力調査によるポテンシャル、今の技術で可能なものに限られているのではないか。もっと詳細な試算では数字が大きくなる。
- ポテンシャルの定義も明記。土地、社会、等を踏まえて定義されたものが相応しい。現状として、2005年のみでなく最新データも記載してほしい。
- 地熱発電についても自然公園を含むか、温水発電を含むか、などの定義。METIは100万kWの原子力発電69基分というが、これは大きいが、我々の研究会では30基分程度と表現されている。
→地熱ポテンシャルについては、温度帯が150度以上、自然公園を含め、温水発電を含めていない数値。
- 風力について記載された値は、賦存量に対し、開発立地制約考慮して一定比率を乗じたもの。定義について注記・統一してもらいたい。
- バイオマスの値は、少し古いデータではないか。日本の森林資源については議論が進んでいるので、賦存量、ポテンシャルの値を調査してほしい。
- 2020年を目指した検討であれば、目標量がポテンシャルの内数であることは当然必要だが、ポテンシャルの数字自体よりも、経済的・社会的課題をどう解決して2020年の導入につなげていくかを議論していくべき。
- ポテンシャルはコストとの関係もある。現在の技術ではどの程度のコストがかかり、どの程度利用可能なのかという点が重要である。
- 環境省の中長期ロードマップとして、ポテンシャルをどう捉えているのか。
→2020年の導入に関するポテンシャルとコストについては資料4に個別に議論いただきたい。本資料は2050年を見越して長期的にどれを伸ばしていくのが有望かを示すために作成した。指摘を踏まえてブラッシュアップしていきたい。
- 地熱、風力、バイオマスについては地域別のポテンシャルが重要である。
- 小水力ポテンシャルについて、上下水道、工業用水を含めればもう少し量があるはずである。
→地域別ポテンシャルについて地熱と風力については資料4で示す。小水力も別途調査中であり次回くらいには提示したい。
資料3について説明
(質疑)
- 論点として施工・メンテナンスという視点は重要である。ただし、施工・メンテナンス実施者の知識不足によるものは社会的課題であるが、技術的な問題である場合もある。
- 「電力主任技術者」は「電気主任技術者」の誤植。
- 地熱については自然公園法が課題。ただし技術的にも解決できる。
- 再生可能エネルギーの統計情報が整備されていないことは情報的観点の課題。また、風力は制度的観点では優先接続が認められていないこと、国内産業の育成の遅れが課題。地熱はボイラ・タービン技術者の設置要件や、リードタイムの長さ等の制度的課題もある。
- 風力は低周波や航空レーダへの影響、バイオマスは技術開発、地熱は環境アセスに時間がかかることが課題。
- 課題の再整理が必要。技術的観点、社会的観点には様々な要素が混じっている。例えば技術的観点に挙げられている、太陽光の出力変動は、費用をかければ安定化できるから、経済的観点とも言える。壁窓設置、規格化なども、商業化のための課題であり本質的な技術的観点ではない。これらの観点が並列に書かれていると、この中でどれを優先して解決すればいいのかという誤解を与える。
- バイオマス利用促進により生物多様性に良い影響を与える可能性もあるのではないか。
→生物多様性は主に海外開発を想定した場合の課題であり、区別して記載したい。整理も工夫したい。
- 太陽光、風力、太陽熱については出力予測が重要な技術である。また、大量導入時には太陽光、太陽熱の遠隔メンテナンス技術等も必要となる可能性がある。
- 課題は解決方法から整理するというのはどうか。例えば「騒音」という問題でも、騒音を抑える方法、騒音があっても苦情が出ないようにする方法、がある。
- 優先接続の話があったが、欧州では既に優先接続ではなく、事業者が自ら送電線架線を行うようになっている。国内でもそうすべきではないか。
→2020年までは、電力会社が系統を強化するのが妥当な線ではないかと思う。
- 正しい情報の伝達により社会的受容性を形成していくべき問題もある。例えば風力のバードストライクや低周波についての問題。
- 再生可能エネルギー種別に整理されているが、系統、経済性など共通の課題もあるので、そういう整理も必要。
(3)導入見込み量の試算方法及び試算結果
資料4-1及び4-2について説明
(質疑)
- 風速が強く単価が安い地域が北海道・東北に偏在しており、系統容量等の地域性を考慮する必要があるので、これだけで安価に導入可能とするのはミスリードになる。また、リードタイムについて、現在はアセス等により今では倍くらいの期間になるのではないか。
- 洋上風力の漁業権について、全ての海域に発生すると書いているが、必ずしもそうとは限らない。また、漁業権が課題で必ず補償すべきもののように書かれているが、共存するための取組(漁業権の設定し直し)も行われており、参考にすべき。沖合であれば、小型浮体型の洋上風力発電設置による魚集効果があり、そこに新たに漁業権を設定することも可能である。
- また、東京都では生グリーン電力という方法を考えていて、単一のエネルギー源ではなく再生可能エネルギーを混合して評価する。現在、金融機関はリスクに慎重となっており、IRRが良くても再生可能エネルギー単体では投資の対象となりにくい。ベースとして地熱発電を組み合わせ、それに変動するものを組み合わせることによって安定化し、コストも低下する。このようなリスクを回避するための施策がロードマップに必要である。ひとつは債務保証であり、大規模プロジェクトでも一部だけ保障すればいいから、施策としての費用対効果が高い。もうひとつは再生可能エネルギーに対するファンドマネージャー専門家の育成が必要と考えている。
- 連系の費用等コスト試算で考慮されていないものを後で教えてほしい。洋上風力のうち浮体式についてはまだ技術的に不確実性が大きいのではないか。
→着底式と浮体式を分けて示すこととする。具体的なコストの前提は、資料の表に記載。
→陸上風力が2030年に10万円というのは安い。洋上風力着底式は、欧州は確かに40~60万円くらいだが、国内では建設・メンテナンスするための船が無いので、日本がこのコストに達するのは10年くらい遅れると思われる。浮体式は着底の5割増しというのが相場である。
- 導入目標は動かせないという前提か。昨年太陽光発電について検討したときはまずコスト目標があって、そのための導入量を議論した。本来は電力会社別に発電単価を出して、どれだけ導入するのが妥当化を検討すべきではないか。
→指摘の通り、本検討では2020年の導入量の目標があり、そこから逆算している。AIMモデルで全体整合的な姿を書いているので、まずその達成可能性を検討するのが今回の検討の趣旨である。ただし、その後調整する可能性はある。
→なお、地域ごとの検討については、系統の問題について委員に相談して検討したい。
→本検討会では、基本的にAIMの結果を叩き台として、検討していくことを考えている。
- 風力はこの方針で精緻な検討が可能と思われるが、同様の方法ではバイオマスについては検討が難しそうだという印象。
- 経済性へ与える影響項目として開発リスク、立地決定時の環境アセス等についても検討してほしい。また送電線架線費用等も考慮してほしい。また、優先接続等の施策についても検討をしてほしい。)
- 再生可能エネルギーを組み合わせるとコスト・リスクが低下するという指摘は重要である。
- IRRについて、本来発電設備は20~30年かけてコスト回収していくものであり、5年や10年で利益ができる支援には歪みがある。
- 「限界発電コスト」という表記は訂正してもらいたい。
資料4-3について説明
(質疑)
- 長期的には自然公園の解禁を考えるべき。その条件(外見、蒸気排出、排水処理基準等)を明確に示すことが環境省として必要。安定出力の数少ない再生可能エネルギーであるから、開発していく必要がある。
- 固有の問題として、初期の調査費用が高額のことがある。これを国が補助していかなければ取り組もうとする事業者が少ない。固定価格買取より、この補助が適切ではないか。
→地熱発電の初期投資は100億円程度必要である。その後は安定しているので回収は比較的容易。そういう点で、初期コスト補助が重要。
- バイナリ発電も可能性がある分野である。熱が余剰になるので、積極的に熱を利用することも検討していただきたい。また、インドネシアでは日本の地熱技術が利用されている一方、バイナリ発電の技術は国内技術が遅れているという点から、技術開発支援も重要。
- 高温蒸気利用は今後難しくなるため、今後はバイナリ発電が中心となると考えられる。また、地熱研究会のコストは資材価格高騰も見込んでいるので、あまり現在との乖離はないと思われる。
- 温泉枯渇ではなく温泉との共存共栄というスタンスにすべき。温泉は高温熱をわざわざ冷やして使用しているが、その間に発電機を回せば双方の利益となる。嬬恋村の例が挙げられているが、反対の意向により計画が停滞しているわけではないので記載修正をお願いしたい。
- 自然公園法は重要な問題であり、傾斜堀は可能とする等、柔軟な対応をしていただきたい。また、経済面の課題として調査、送電線のコストがある。実証段階の技術を実用段階に持っていくための補助制度を。
- 後ほど分析に必要なデータを提供する。
- コストの定義、単年コストなのか平均なのか、発電コストなのか、というところを明記。
- 「賦存量」などの用語を統一してほしい。
資料4-4について説明
- 太陽熱利用は、買い手の情報不足が問題であると考える。熱供給としてコジェネやヒートポンプ給湯器もあるが、どれを組み合わせれば良いのかを示す必要がある。買い手の意向を反映することにより売り手の製品開発も進む。
- 太陽光発電と太陽熱利用について、最近はハイブリッド型の技術も開発されており、棲み分けが必要か、ヒアリングなどを通して方針を示してほしい。
- 太陽熱利用機器ストックのデータを示せないか。また、他の機器とのインテグレーションの提案が重要である。施策としては、業務用での建物設計時の検討義務化、ソーラーオブリゲーションなども検討してほしい。
- 東京都の補助金制度に対し、太陽熱利用は太陽光発電に比べて応募が圧倒的に少ない。経済面の課題以外の解決が重要である。コストについては1/2から1/4にすることを表明しているメーカもある。
- 東京都は公共施設で再生可能エネルギー導入のガイドラインを策定し、建物条件とシステムの特徴(費用対効果)を鑑みて優先順位を付けることを検討している。例えば、屋根面積と日陰面積が一定の条件を満たした場合、最優先に導入すべきは太陽熱利用である。公共施設、公営住宅等での率先導入を進めるべきである。なお、住宅用では空気集熱式システムが最もコストパフォーマンスがいいというデータもある。
(4)再生可能エネルギーの大量導入に向けた系統対策の在り方
(5)火力発電の低炭素化の取り組みの在り方
時間が不足したため資料の説明・討議は次回に持ち越された。
- 6.その他
- 第3回WGは2月10日(水)15時から、
第4回WGは2月23日(火)9時から開催する。
以上