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最終回

写真拡大仲間との一コマ

 昨年11月28日に成田空港を出発してから121日目に当たる3月27日(木)、第49次夏隊の観測隊員及び同行者は、第48次越冬隊員とともに、全員無事に成田空港に帰国することができました。成田空港の到着ロビーは、隊員及び同行者の帰国を待ちわびる家族や友人などで溢れかえり、第49次隊夏隊員にとっては4ヶ月ぶり、第48次越冬隊員にとっては1年4ヶ月ぶりとなる再会で沸き上がっていました。また、隊員は南極地域観測統合推進本部長(文部科学大臣)から委嘱を受けた国家公務員として使用した公用パスポートの返納を行い、隊員としての任務を果たした達成感でいっぱいの様子でした。

写真拡大南極の湖沼を探る

 今後、隊員及び同行者は、4月12日(土)に帰国予定の「しらせ」の到着を待ち、14日(月)から3日間かけて、「しらせ」に搭載している全ての観測資材や生活用品等の荷下ろしを行うこととなります。また、14日(月)には、我が国観測隊を派遣している南極地域観測統合推進本部への帰国報告会が予定されており、ここで第48次越冬隊長及び第49次夏隊長からの公式報告が行われ、任務が正式に終了となります。

写真拡大テント前を横切るアデリーペンギン

 帰国は、大切な家族や友人との再会と同時に、長らく苦楽を共にしてきた仲間との別れも意味します。しかし、第49次越冬隊を昭和基地に残して南極を後にした2月とは異なり、どの隊員にも涙はなく、晴々とした別れとなりました。きっと、南極という極限の世界で精一杯生活や仕事をしてきた隊員及び同行者にとって、帰国は終わりではなく、南極OB・OGという仲間を得て始まる新たな人生のスタートと感じているのでしょう。今後は、またそれぞれの職場や家庭での暮らしが始まりますが、南極を通じて出来た仲間の輪は、いつまでも残ることと思います。また、昭和基地で今も観測を続けている第49次越冬隊の仲間には、今回帰国した誰もが、惜しみないエールを送り続けることでしょう。

写真拡大昭和基地宿舎にて食事中(堤隊員提供)

 私は、第49次観測隊に同行できたことを誇りに感じると共に、気持ち良く送り出していただいた職場の皆様や、いつも支えてくれた家族や友人等に心から感謝したいと思います。また、行動を共にした隊員及び同行者各位はもちろんのこと、今回で有終の美を迎える「しらせ」を安全に運行していただいた海上自衛官各位にも厚く御礼申し上げます。私が無事に任務を終了できたのも、本同行を支えてくれた全ての方々のおかげです。南極地域の環境の一層の保護に貢献することが出来るよう、今回同行で得た経験や知見を今後の職務に最大限活かしていきたいと思います。

写真拡大背負子を担いで湖沼を巡る(小川隊員提供)

 本同行日記は今回で最終回となります。普段あまり馴染みのない南極について、少しでも興味を持っていただきたく、末筆ながら掲載を続けてまいりました。業務の合間を縫っての執筆となったため、読みづらい点等も多々あったものと存じます。この場を借りてお詫び申し上げます。今まで本同行日記をご覧頂いた皆さまに、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 最後に、今も昭和基地で観測活動を続ける第49次越冬隊員各位が、来年のこの時期に笑顔で帰国を果たせるよう、祈念いたします。

写真拡大仲間全員で迎えた2008年(報道・鹿糠氏提供)