環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護同行日記:トップ

海洋観測を行っています

2008年3月9日(日)

 現在「しらせ」は南緯63度付近をほぼ真東に進んでおり、毎日4時間ほど停船して海洋観測が実施されています。これは、往路5箇所、復路15箇所のモニタリングポイント(定点観測地点)において、海水温、塩分濃度、プランクトンの量など様々な項目を調査しているもので、毎年行われています。

(※1)水深3,000mからの採水

 海洋観測では、生物グループと海洋グループが中心となって、写真(※1)のような採取装置を設置したワイヤーを大型のウインチで水深3,000m(プランクトン採取は水深200m)まで下ろし、一定の間隔ごとに海水やプランクトンを採取します。そして、それらの海水を「しらせ」艦内にある観測室で精密な分析にかけています。

(※2)ネットによるプランクトン採取
豊富なプランクトン

 海洋観測を通じて私が最も驚いた事は、南極付近の海域におけるプランクトンの豊富さです。南極近海の生命の豊かさについては、昨年12月14日の日記でも簡単にご説明したところですが、それを改めて実感することができました。写真(※2)のようなプランクトン採取用の網を引き揚げると、網の色が黄ばんで見えるほどのプランクトンを確認することができます。このようなプランクトンがオキアミの、それらオキアミがペンギンやクジラなど様々な生物の、生きる糧となっているのです。実際、海洋観測を行っていると、どこからともなくクジラ(この付近では沖縄などでもお馴染みの「ザトウクジラ」が見られます。)が近づいてきて、そのダイナミックな姿を見せてくることもあります。

ザトウクジラ

 海洋観測中は長時間停船するため、「うねり」によって船酔い気味になってしまうこともありますが、これも南極近海についての大切なデータを得るためだと思い、残る7箇所での海洋観測も引き続き見守っていきたいと思います。

ザトウクジラ2

ザトウクジラ3