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海底4,537mからの帰還!

2008年2月21日(木)

 昨日「しらせ」は流氷域を抜け、約2ヶ月ぶりに氷の無い大海原へと戻ってきました。それと同時に、うねりが「しらせ」に押し寄せ、船酔い気味となる隊員も出てきているようです。しかし、観測隊の仕事は、昭和基地を去って終わったわけではなく、復路の「しらせ」艦上でも、様々な観測が行われます。今日は、1月5日にもご紹介した地圏グループ(地球の表面や内部などに関する研究をするグループ)により、「海底圧力計」の引き揚げが行われましたので、その様子をご紹介したいと思います。

海底圧力計

 「海底圧力計」とは、その名の通り、水圧を測る計測器のことで、第48次観測隊が一昨年の往路航海中に、「しらせ」から海底4,537mまで沈めたものです。地圏グループはこの「海底圧力計」にかかる水圧の変化を連続して計測することにより、「海底圧力計」が置かれた海底の動きを調べようとしています。これにより、一昨年「海底圧力計」が沈められた日から今日までの期間、海底にどのような動きがあったのかを知ることが目的です。また、「海底圧力計」にかかる水量の増減を知ることによって、海氷の融解の程度等、地球温暖化による南極地域への影響についても科学的データが得られるのではないかと、期待が寄せられています。

遠隔操作の様子

 今日は気温がマイナス5度を下回り、小雪も混じる生憎の空模様で、海面も波が高いことから、無事に「海底圧力計」が海面に浮上しても発見困難となるおそれもありました。しかし、地圏グループの隊員が「しらせ」艦上から遠隔操作によって「海底圧力計」を浮上させ、それを「しらせ」が回収するという、3時間にも及ぶ隊員と自衛官の絶妙な連携プレーにより、「海底圧力計」は無事引き揚げられました。一年がかりの壮大なプロジェクトが、今日フィナーレを迎えたのです。

 今日引き揚げられた「海底圧力計」に蓄積されたデータが、南極地域の海底の動きや、地球温暖化が南極地域に与える影響の解明に資することを期待したいと思います。