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初チャージング!!

2007年12月16日(日)

 ついに今日から定着氷(ていちゃくひょう)と呼ばれる、海面が厚い氷に閉ざされた世界に入りました!昨日までの流氷域とは異なり、このようなような場所では、3万馬力を誇る「しらせ」の砕氷能力をもってしても、容易に前進できない場合が多くあります。そのような場合に「しらせ」は、12月4日(火)の日記でもご説明した「チャージング」と呼ばれる方法で進みます。これは、一旦200m~300mほど後退した後、フルスロットルで前進し、氷に乗り上げて自重で氷を砕くというものです。 今日、ついにその「チャージング」が行われました。2mにもなる氷に乗り上げるのですから、その衝撃はかなりのものです。「ドーン、ゴリゴリッ」という音が船底から響き、暴風圏とは異なる独特の揺れがあります。それでも、一度の「チャージング」で前進できる距離は、せいぜい100~200m程度です。少し進むと再度厚い氷に行く手を阻まれ、「しらせ」は何度もチャージングを繰り返します。また、「チャージング」をするにあたっては、速度や氷に乗り上げる方向等も熟慮しなければならないようで、「しらせ」が作戦タイムのために一時停泊することも多々あります。

定着氷とアデリーペンギン

 そんな様子が面白いのか、我々が一時停泊していると、どこからともなくアデリーペンギンが近寄ってきました。自分達に危害を与えないことが分かるのでしょうか、彼らはのんびりと「しらせ」やカメラを構えている人間達を見物していきます。今日は、多い時には40~50羽ものアデリーペンギンが四方から集まってきました。寝そべったり羽をバタバタさせたりするお馴染みのポーズで、2週間にも及ぶ航海で疲れた観測隊員や自衛官に一時の癒しを与えてくれました。

 長い航海も、ついに昭和基地から80kmのところまで来ました。これから「しらせ」は、「チャージング」を繰り返しながらゆっくりと進み、順次ヘリコプターで人員や物資の輸送も開始します。明後日には私も昭和基地入りする予定です!