環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護同行日記:トップ

流氷域に入りました!

2007年12月14日(金)

辺り一面流氷です!

 フリーマントル港出発から12日目にして、ついに「流氷域」に入りました。「流氷域」とは、無数の流氷や氷山が海面を漂っている場所で、昭和基地周辺の海のように一面が氷に閉ざされる一歩手前といったところです。流氷域は、海面に浮かぶ流氷によって波の発生が抑制されているからか、暴風圏とは一変して穏やかな水面が広がっていて、たまにアザラシが流氷の上でゴロゴロしている姿も見られます。「しらせ」は、流氷をグイグイと押し分けながら、さらに南を目指して航海していきます。 さて、南極に近い海なのだから、「さぞ水は澄んでいることであろう」と思われがちですが、実は南極の海水はそれほど透明度が高いわけではありません。ダイビングなどで人気の沖縄やハワイなどの方が、よほど透明の高い海に囲まれています。人間活動から遠く隔離されているのに、南極の海水の透明度が低いのはなぜでしょうか?それは、海中のプランクトンが非常に豊富であるため、見た目にはそれほど澄んだ水には見えないのです。

 このような冷たい海に、ペンギンやアザラシ、クジラといった多くの生き物が生息できるのは、このプランクトン豊富な海のおかげであると考えられています。プランクトンは、体長数センチメートルほどの「オキアミ」というエビに似た形をした生き物のエサとなり、この「オキアミ」を狙って、ペンギンなどが集まるのです。特に、昭和基地周辺にも多く生息している「アデリーペンギン」などは、エサの大部分を「オキアミ」に依存しており、体の大きなクジラの仲間にも「オキアミ」を主食とするものが多くいます。このような凍てつく海でも、プランクトンを底辺とする「食物連鎖」が形成され、多くの生き物がたくましく生きているんですね。