環境省保健・化学物質対策国際的動向と我が国の取組POPs

POPs対策検討会(第1回)議事要旨


1 日時
平成14年2月8日(金)10:00~11:40
2 開催場所
ホテルフロラシオン青山 3F 孔雀
3 出席委員
森田委員(座長) 酒井委員 柴田委員 鈴木委員 田辺委員
中杉委員 細見委員
事務局
岩尾環境保健部長 安達環境安全課長
鈴木環境リスク評価室長 関ダイオキシン対策室長
早水化学物質審査室長 森下環境安全課課長補佐 他
4 開会挨拶及び委員紹介
 岩尾環境保健部長より挨拶が行われた。引き続き、事務局より委員紹介が行われた。
5 議事
(1) POPs検討会の設置趣旨について
 事務局より資料2に基づいて説明。次いで、座長には森田委員、座長代行に池田委員を指名することで出席委員の了解を得た。
以下、森田座長の進行にしたがって、議事が進められた。
(2) POPs条約について
 事務局より資料3-1、資料3-2について説明。質疑応答は次の通り。
  • ストックホルム条約を日本として締結するための国内条件は何か。何が前提になるのかを教えていただきたい。
    →条約なので国会承認が必要である。法律面では特に法改正は必要なく、化審法の政令改正でマイレックス、トキサフェンを指定すること、鉄道用車両におけるPCB使用の例外規定を改正することが必要と考えている。
(3) 現在のPOPs条約に係る検討状況について
 事務局より資料4-1を説明の後、更に各担当部局より資料4-2について説明。主な議論は次の通り。
  • 新たにPOPsスクリーニング基準を制定することになると、現行法との整合性を確保する必要が出てくる。例えば、化審法で今後新たに審査される物質は良いが、審査済みの物質についてどのように扱うのか。また、第一種特定化学物質(原則製造禁止)とPOPs条約で暫定的に使用を認める物質の整合をどのように考えるのか。
    →化審法の第一種特定化学物質は、長距離移動性の基準はないものの、実質上POPs条約対象物質と重なっている。むしろ化審法の第一種特定化学物質の方がカバーする範囲が広くなっている。一方、化審法の第二種特定化学物質は濃縮性が低いのでそもそもPOPsにはならない。ただし、スクリーニング基準については化審法の濃縮性、分解性の基準とは若干の違いがあるので、今後、付属書Dの議論を見ながら、検討することが必要である。濃縮度5000倍以上、Pow5以上という条件は化審法の第一種特定物質の基準を満たしているので、既に指定されている物質がはずれることはない。
  • 廃棄物とストックパイルの区別をどうするか。ダイオキシンを含む農薬が埋設処分されているが、これをどのように解釈するか。また、処分場跡地をどのように考えるか。処分場で管理されている時は貯蔵されていると考えて良いのか。
    →廃棄物とストックパイルに関する6条の規定は、各国が実行可能な範囲で対策を講じるという性質の規定。したがって、過去に廃棄処分されたものすべてについて対策を求めてはいない。ストックパイルについては、諸外国で個別の適用除外があって、外国へ輸出して使える状況が残っているものはストックパイルに該当する。
    →不純物をどこまで対象とするのかは不明確で、これから精査しなければいけない。ダイオキシンを比較的高濃度に含む農薬が保管されている場合、条約とは別に、何らかの対応が必要になるかもしれない。現在使用中の農薬は、すべてダイオキシン含有量が一定の基準を超えないようにしているので、問題はないと考えている。
    →なお、POPs条約付属書Aの注釈においても、製品及び物品中の意図的でない微量の汚染物質として生じている量の化学物質については、特別の規定のある場合を除き、対象外とされている。
  • 微量物質の定義については、PCBのみ合意された数値があるが、その他の物質については決まっていない。農水省や環境省でPOPs農薬の分解を考える時にも目標値が定まっていないのが現状である。バーゼル条約に関しては含有量の裾切り基準があるが、今回この点についてどのように取り組んでいくのか。
    →廃棄物の処理については、今後条約関連の会議の中でガイドラインを制定に向けた議論が行われる。国内バーゼル対応法の基準を適用すべきかどうかはこうした会議を踏まえて検討していくことになる。
  • それはストックホルム条約の事務局が検討するのか。それともバーゼル条約の事務局が検討するのか。
    →バーゼル条約の会議でもPOPs条約との連携を考えている。技術的なガイドラインについては、バーゼル条約の事務局と今後設立されるPOPsの事務局とが協調して基準を作っていくことになるだろう。一方、今後具体的にどのような形で廃棄物が出てくるかについては、水環境部のアンケート調査の結果等をもとに把握していく必要があると考えている。
  • 国外対応についてはどうするのか。将来途上国から、モニタリングや対策について様々な要求が来ると思われるが、それに対して準備や検討は必要ないのか。
    →IFCS(化学物質の安全性に関する政府間フォーラム)の副議長国たる日本がアジア太平洋地域において中心的な役割を果たすことが求められている。例えば、化学物質に関する日韓共同研究実施取極めの中で対応していくというアイデアもあるし、来年度アジア太平洋地域で分析技術等についての交流を進めていくことも考えている。各国の施策評価に資するような取り組みを進めていきたい。
  • PCB廃棄物の分解、モニタリング技術のフォローアップを加味すべきである。付属書AでPCBが特出しされているが、今日の全体状況の説明ではPCB対策特別措置法の紹介が抜けていたので、とりまとめに入れておく必要がある。
    →PCBについては、特別措置法においてPOPs条約よりも早期に今後15年間で処理していくことを定めている。今後の検討会ではこれに関する資料を追加するつもりである。
  • 処理基準の策定、適正管理、スクリーニング基準など日本で必ずしも明確な基準がない事項について、各局で対応する内容の間に不整合がないように留意する必要がある。
(まとめ)
  • 森田座長から、これらのコメントについては事務局の方で参考にして次回以降の検討材料にしてもらいたいとのとりまとめがあった。
(4) 今後の進め方について
 事務局より資料5について説明。質疑応答は次の通り。
  • 第6回政府間交渉会議がこれから開かれるが、その場では、新たなPOPs指定等について、諸外国や日本から提案が行われることはあるのか。
    →予想されるので、我が国としてもその時にインプットできるような材料について、この検討会でご議論いただきたい。
(まとめ)
 森田座長から、環境保健部による全体的なとりまとめを中心に、今後各部局で検討が進むので、各委員には引き続きよろしくご協力をお願いしたいとのとりまとめがあった。
以上