第3章目次に戻る | 平成16年度(2004年度)版 「化学物質と環境」 |
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[11] テトラブロモビスフェノールA 【平成15年度調査媒体:底質、生物】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・ | 調査の経緯及び実施状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
テトラブロモビスフェノールAは、代表的な臭素系難燃剤であり、プラスチックス等に添加され9)、生産量は年間 1,000~ 10,000 t (OECD報告値4)。ビスフェノールAからの難燃剤生産への供給量として1997年度: 4,500 t、1998年度: 4,900 t(同 12,000 t)、1999年度: 5,200 t、2000年度: 5,700 t、2001年度: 4,700 tとの推計値もある6)(TBA換算 11,000~14,000 t)。)である。平成15年度物質選定検討会において、臭素化難燃剤がモニタリング調査への第一の追加候補となり、その代表的物質としてテトラブロモビスフェノールAのモニタリング調査が指示された。 |
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過去の本件調査においては、「化学物質環境調査(昭和49年度~平成13年度)」で昭和52、62、63年度及び平成12年度に水質、底質及び魚類を調査しているが、継続的な調査は実施されていない。 |
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過去の本件調査におけるテトラブロモビスフェノール調査結果(化学物質環境調査) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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環境省内の他調査としては、「水環境保全に向けた取組のための要調査項目リスト」(平成10年環境庁水質保全局水質管理課)に挙げられており、水質については平成15年度に河川25地点、湖沼5地点、海域10地点及び地下水10地点の調査を実施しているほか、平成13年度の「化学物質の環境リスク評価 第1巻(環境リスク初期評価)」(環境保健部環境リスク評価室)に掲載されており、平成15年度には「内分泌攪乱化学物質に関する室内空気調査」(環境保健部環境安全課)が実施されている。 |
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環境省内の他調査の結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・ | 調査結果 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成15年度のモニタリング調査において、テトラブロモビスフェノールAは貝類及び鳥類から検出された。 |
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テトラブロモビスフェノールAの測定結果は、底質で不検出、貝類で nd~0.16 ng/g-wet (幾何平均値 nd)、魚類で nd~0.15 ng/g-wet(同 nd)、鳥類で不検出であった。 |
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・ | 評価 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
テトラブロモビスフェノールAは平成15年度からモニタリング調査を開始したが、昭和52、62、63、平成12年度に環境調査で水質、底質及び水生生物(魚類)を調査している(水生生物は昭和52年度は未実施)。 |
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底質は、昭和62年度の調査では22地点中6地点、66検体中14検体、検出範囲 2~150 ng/g-dry、昭和63年度は34地点中9地点、130検体中20検体、検出範囲 2~108 ng/g-dryの検出状況であった。平成12年度の環境調査結果と平成15年度のモニタリング調査では全地点不検出であったが、検出下限値が昭和62、63年度は 2 ng/g-dry、平成12、15年度は 5.5 ng/g-dry(平成15年度の定量下限値は 18 ng/g-dry)であり、3地点を除いては平成12、15年度の検出下限値を下回る検出値であることから、全国的な残留状況の変化は判断できない。
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貝類は初めての調査であるが、6地点中3地点で検出されており、95%値では tr(0.074) ng/g-wetであった。 |
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魚類からは過去にテトラブロモビスフェノールAが検出されたことはなかったが、過去の検出下限値は 1~20 ng/g-wetであり、今回の最大値(0.15 ng/g-wet)よりも高く、残留状況の変化は判断できない。95%値では tr(0.056) ng/g-wetであった。 |
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鳥類は初めての調査であり、2地点10検体を測定したが、検出下限値未満であった。 |
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現在の我が国の臭素化難燃剤の生産・使用状況を考慮し、今後も引き続き環境汚染対策を継続するとともに、環境汚染状況を監視していく必要がある。 |
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○ 平成15年度 テトラブロモビスフェノールの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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