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[5]クロルデン類
 (trans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン)
【平成15年度調査媒体:水質、底質、生物、大気】
  
調査の経緯及び実施状況
 

 クロルデン類は、昭和57年度に実施された精密環境調査の結果、広範囲にわたる地点の底質及び魚類から検出されたため、昭和58年度から生物モニタリング調査対象物質として加えられた。我が国においては、木材(一次加工)用及び合板用に用いられ、シロアリ防除のために家屋等に使用されたが、難分解性等の性状を有するため、昭和61年9月、化学物質審査規制法に基づく第1種特定化学物質に指定された。工業的に生産されたクロルデン類の組成は多岐にわたるが、本件調査では、クロルデン類8物質(ヘプタクロル、γ-クロルディーン、ヘプタクロルエポキシド、trans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン)を調査対象物質とした昭和57年度精密環境調査において特に検出頻度が高かった5物質(transcis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン)を調査対象物質として選定した。

 

 過去の本件調査においては、平成14年度に本調査で水質、底質、生物(貝類、魚類、鳥類)、大気媒体の調査を実施しているほか、「生物モニタリング」で昭和58年度から平成13年度の全期間に亘って生物媒体(貝類、魚類、鳥類)について調査を実施している。また、「水質・底質モニタリング」でtrans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロルについて、水質は昭和61年度から平成10年度まで、底質は昭和61年度から平成13年度の全期間に亘って調査を実施している。

 
 

 環境省内の他調査としては、「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」(1998年5月。2000年11月改訂)に基づいた「内分泌撹乱化学物質に係る環境実態調査」2) において平成10年度以降調査を実施しているほか、「海洋環境モニタリング調査」(地球環境局環境保全対策課) 3) において沿岸200海里以内の水質、底質、水生生物(貝類、魚類)の調査を平成7年度から平成9年度まで実施している。

 
  環境省内の他調査の結果
調査結果

 平成15年度のモニタリング調査において、クロルデン類は、cis-ノナクロル及びオキシクロルデンの底質の一部を除く全ての媒体・地点・検体から検出された。

 trans-クロルデンの測定結果は、水質で 6~410 pg/L(幾何平均値 34 pg/L)、底質で tr(2.4)~13,000 pg/g-dry(同 120 pg/g-dry)、貝類で 69~2,800 pg/g-wet(同 550 pg/g-wet)、魚類で 9.6~1,800 pg/g-wet(同 150 pg/g-wet)、鳥類で tr(5.9)~27 pg/g-wet(同 11 pg/g-wet)、大気で温暖期 6.5~2,000 pg/m3(同 130 pg/m3)、寒冷期 2.5~290 pg/m3 (同 37 pg/m3)であった。

 cis-クロルデンの測定結果は、水質で 12~920 pg/L(幾何平均値 69 pg/L)、底質で tr(3.6)~19,000 pg/g-dry(同 170 pg/g-dry)、貝類で 110~14,000 pg/g-wet(同 1,100 pg/g-wet)、魚類で 43~4,400 pg/g-wet(同 490 pg/g-wet)、鳥類で 6.8~370 pg/g-wet(同47 pg/g-wet)、大気で温暖期 6.4~1,600 pg/m3(同 110 pg/m3)、寒冷期 2.5~220 pg/m3 (同 30 pg/m3)であった。

 trans-ノナクロルの測定結果は、水質で 4~450 pg/L(幾何平均値 26 pg/L)、底質で 2~11,000 pg/g-dry(同 100 pg/g-dry)、貝類で 140~3,800 pg/g-wet(同 780 pg/g-wet)、魚類で 85~5,800 pg/g-wet(同 880 pg/g-wet)、鳥類で 350~3,700 pg/g-wet(同 1,100 pg/g-wet)、大気で温暖期 5.1~1,200 pg/m3(同 87 pg/m3)、寒冷期 2.1~180 pg/m3 (同 24 pg/m3)であった。

 cis-ノナクロルの測定結果は、水質で 1.3~130 pg/L(幾何平均値 8.0 pg/L)、底質で nd~6,500 pg/g-dry(同 59 pg/g-dry)、貝類で 48~1,800 pg/g-wet(同290 pg/g-wet)、魚類で 19~2,600 pg/g-wet(同 350 pg/g-wet)、鳥類で 68~660 pg/g-wet(同 200 pg/g-wet)、大気で温暖期 0.81~220 pg/m3 (同 12 pg/m3)、寒冷期0.18~23 pg/m3 (同 2.7 pg/m3)であった。

 オキシクロルデンの測定結果は、水質で tr(0.6)~39 pg/L(幾何平均値 3 pg/L)、底質で nd~85 pg/g-dry(同 2 pg/g-dry)、貝類で 11~1,900 pg/g-wet(同 90 pg/g-wet)、魚類で 30~820 pg/g-wet(同 140 pg/g-wet)、鳥類で 610~1,300 pg/g-wet(同 750 pg/g-wet)、大気で温暖期 0.41~12 pg/m3 (同 2.5 pg/m3)、寒冷期 0.41~3.2 pg/m3 (同 0.87 pg/m3)であった。

 
評価

 trans-クロルデン

 水質は、昭和62年度、平成5年度にそれぞれ1検体ずつから検出されたほかは検出下限値(10,000 pg/L)未満であった。平成14年度は定量下限値 1.5 pg/L、検出下限値 0.5 pg/Lにおいて全地点・全検体から検出された。平成15年度においても定量下限値 5 pg/L、検出下限値 2 pg/Lにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は 32 pg/L、平成15年度は 34 pg/Lの濃度で検出され、過去の検出下限値が高いため残留状況の傾向の判断は困難であるが、依然として広範な地点で残留が認められる。

trans
-クロルデン
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 32 24 780 3.1 1.5 [0.5]   114/114 38/38
15 34 30 410 6 5 [2] 36/36 36/36
 

 底質は、調査開始当初からの残留状況は減少傾向にあり、近年は検出下限値(1,000 pg/g-dry)付近の値が多かった。平成14年度は定量下限値 1.8 pg/g-dry、検出下限値 0.6 pg/g-dryにおいて全地点・全検体から検出され、平成15年度においても定量下限値 4 pg/g-dry、検出下限値 2 pg/g-dryにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は 130 pg/g-dry、平成15年度は 120 pg/g-dryの濃度で検出され、依然として広範な地点で残留が認められる。

trans-クロルデン 実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 130 110 16,000 2.1 1.8 [0.6]   189/189 63/63
15 120 100 13,000 tr(2.4) 4 [2] 186/186 62/62
 
 

 貝類及び魚類は、調査開始当初からの残留状況は緩い減少傾向にあり、近年は検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値が多かった。平成14年度は定量下限値 2.4 pg/g-wet、検出下限値 0.8 pg/g-wetにおいて全地点・全検体から検出され、平成15年度においても定量下限値 7.2 pg/g-wet、検出下限値 2.4 pg/g-wetにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、貝類及び魚類がそれぞれ平成14年度は420、180 pg/g-wet、平成15年度は 550、150 pg/g-wetの濃度で検出され、依然として広範な地点で残留が認められる。

 

 鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあり、調査開始当初からの残留状況の傾向の判断は困難である。近年は昭和62年度から平成13年度まで検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満であった。平成14年度は定量下限値 2.4 pg/g-wet、検出下限値 0.8 pg/g-wetにおいて全地点・全検体から検出された。平成15年度においても定量下限値 7.2 pg/g-wet、検出下限値 2.4 pg/g-wetにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は 14 pg/g-wet、平成15年度は 11 pg/g-wetと、依然として残留が認められる。

 
trans-
クロルデン
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 420 840 2,300 33 2.4 [0.8]   38/38 8/8
15 550 840 2,800 69 7.2 [2.4] 30/30 6/6
魚類
(pg/g-wet)
14 180 160 2,700 20 2.4 [0.8] 70/70 14/14
15 150 120 1,800 0.6 7.2 [2.4] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 14 14 26 8.9 2.4 [0.8] 10/10 2/2
15 11 12 27 tr(5.9) 7.2 [2.4] 10/10 2/2
 
 

 大気は、平成14年度からモニタリングを開始したため、残留状況の傾向は判断できないが、平成14年度、平成15年度ともに全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は36 pg/m3 、平成15年度は 37 pg/m3 の濃度で検出され、広範な地点で残留が認められる。

trans-
クロルデン
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 36 48 820 0.62 0.60 [0.20]   102/102 34/34
15寒冷期 37 44 290 2.5 0.86 [0.29] 34/34 34/34
 
cis-クロルデン

 水質は、平成13年度までほとんどが検出下限値(10,000 pg/L)未満であった。平成14年度は定量下限値 0.09又は 0.9 pg/L、検出下限値 0.03又は 0.3 pg/Lにおいて全地点・全検体から検出された。平成15年度においても定量下限値 3 pg/L、検出下限値 0.9 pg/Lにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は 41 pg/L、平成15年度は 69 pg/Lの濃度で検出され、過去の検出下限値が高いため残留状況の傾向の判断は困難であるが、広範な地点で残留が認められる。

cis-
クロルデン
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 41 32 880 2.5 0.9 [0.3]   114/114 38/38
15 69 51 920 12 3 [0.9] 36/36 36/36
 
 

 底質は、調査開始当初からの残留状況は減少傾向にあり、近年は検出下限値(1,000 pg/g-dry)付近のデータが多かった。平成14年度は定量下限値 0.9 pg/g-dry、検出下限値 0.3 pg/g-dryにおいて全地点・全検体から検出され、平成15年度においても定量下限値 4 pg/g-dry、検出下限値 2 pg/g-dryにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は 120 pg/g-dry、平成15年度は 170 pg/g-dryの濃度で検出され、平成13年度以前の検出下限値と比較すると低い値で推移しているが、依然として広範な地点で残留が認められる。

cis-クロルデン 実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 120 98 18,000 1.8 0.9 [0.3]   189/189 63/63
15 170 140 19,000 tr(3.6) 4 [2] 186/186 62/62
 
 

 貝類及び魚類は、調査開始当初からの残留状況は緩い減少傾向にあり、近年は検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値が多かった。平成14年度は定量下限値 2.4 pg/g-wet、検出下限値 0.8 pg/g-wetにおいて全地点・全検体から検出され、平成15年度においても定量下限値 3.9 pg/g-wet、検出下限値 1.3 pg/g-wetにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、貝類及び魚類がそれぞれ平成14年度は 810、580 pg/g-wet、平成15年度は 1,100、490 pg/g-wetの濃度で検出され、依然として広範な地点で残留が認められる。

 
 

 鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあり、調査開始当初からの残留状況の傾向の判断は困難である。近年は平成6年度から平成13年度まで検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満であった。平成14年度は定量下限値 2.4 pg/g-wet、検出下限値 0.8 pg/g-wetにおいて調査し全地点・全検体から検出された。平成15年度においても定量下限値 3.9 pg/g-wet、検出下限値 1.3 pg/g-wetにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は 67 pg/g-wetであったのに対し平成15年度は 47 pg/g-wetと減少傾向ではあるが、依然として残留が認められる。

cis-
クロルデン
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 810 1,200 26,000 24 2.4 [0.8]   38/38 8/8
15 1,100 1,400 14,000 110 3.9 [1.3] 30/30 6/6
魚類
(pg/g-wet)
14 580 550 6,900 57 2.4 [0.8] 70/70 14/14
15 490 400 4,400 43 3.9 [1.3] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 67 180 450 10 2.4 [0.8] 10/10 2/2
15 47 120 370 6.8 3.9 [1.3] 10/10 2/2
 
 

 大気は、平成14年度からモニタリングを開始したため残留状況の傾向は判断できないが、平成14年度、平成15年度ともに全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は31 pg/m3 、平成15年度は 30 pg/m3 の濃度で検出され、広範な地点で残留が認められる。

cis-
クロルデン
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 31 40 670 0.86 0.60 [0.20]   102/102 34/34
15寒冷期 30 38 220 2.5 0.51 [0.17] 34/34 34/34
 
 trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン
 

 水質は、trans-ノナクロルとcis-ノナクロルは平成13年度までほとんど検出下限値 (10,000 pg/L)未満であり、オキシクロルデンは昭和62年度まで検出下限値(10,000 pg/L)未満で昭和63年度以降未調査であった。平成14年度は定量下限値 trans-ノナクロル:1.2 pg/L cis-ノナクロル: 1.8 pg/L オキシクロルデン: 1.2 pg/L、検出下限値 trans-ノナクロル: 0.4 pg/L cis-ノナクロル: 0.6 pg/L オキシクロルデン: 0.4 pg/Lにおいて調査し、trans-ノナクロル、cis-ノナクロルは全地点・全検体から、オキシクロルデンは多くの地点・検体から検出された。平成15年度においては定量下限値 trans-ノナクロル: 2 pg/L cis-ノナクロル: 0.3 pg/L オキシクロルデン: 2 pg/L、検出下限値 trans-ノナクロル: 0.5 pg/L cis-ノナクロル:0.1 pg/L オキシクロルデン: 0.5 pg/Lにおいて全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は trans-ノナクロル: 29 pg/L、cis-ノナクロル: 7.6 pg/L、オキシクロルデン: 2.4 pg/L、平成15年度はtrans-ノナクロル: 26 pg/L、cis-ノナクロル: 8.0 pg/L、オキシクロルデン: 3 pg/Lの濃度で検出され、依然として広範な地点で残留が認められる。

trans-
ノナクロル
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 29 24 780 1.8 1.2 [0.4]   114/114 38/38
15 26 20 450 4 2 [0.5] 36/36 36/36

cis-
ノナクロル
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 7.6 6.7 250 0.23 1.8 [0.6]   114/114 38/38
15 8.0 7.0 130 1.3 0.3 [0.1] 36/36 36/36

オキシ
クロルデン
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 2.4 3.5 41 nd 1.2 [0.4]   96/114 35/38
15 3 2 39 tr(0.6) 2 [0.5] 36/36 36/36
 
 

 底質は、trans-ノナクロル及びcis-ノナクロルは調査開始当初の残留状況は減少傾向にあり、近年は検出下限値(1,000 pg/g-dry)付近のデータが多く、オキシクロルデンは昭和62年度まで検出下限値(1,000 pg/g-dry)未満で昭和63年度以降未調査であった。平成14年度は定量下限値 trans-ノナクロル: 1.5 pg/g-dry cis-ノナクロル: 2.1 pg/g-dry オキシクロルデン: 1.5 pg/g-dry、検出下限値 trans-ノナクロル: 0.5 pg/g-dry、cis-ノナクロル: 0.7 pg/g-dry オキシクロルデン: 0.5 pg/g-dryにおいて調査し、trans-ノナクロル、cis-ノナクロルは全地点・全検体から、オキシクロルデンは多くの地点・検体から検出された。平成15年度においては定量下限値trans-ノナクロル: 2 pg/g-dry cis-ノナクロル: 3 pg/g-dry オキシクロルデン: 1 pg/g-dry、検出下限値 trans-ノナクロル: 0.6 pg/g-dry cis-ノナクロル: 0.9 pg/g-dry オキシクロルデン: 0.4 pg/g-dryにおいて調査し、多くの地点から検出された。幾何平均値では、平成14年度は trans-ノナクロル: 120 pg/g-dry、cis-ノナクロル: 66 pg/g-dry、オキシクロルデン: 2.2 pg/g-dry、平成15年度は trans-ノナクロル: 100 pg/g-dry、cis-ノナクロル: 59 pg/g-dry、オキシクロルデン: 2 pg/g-dryの濃度で検出され、依然として広範な地点で残留が認められる。

trans-
ノナクロル
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 120 83 13,000 3.1 1.5 [0.5]   189/189 63/63
15 100 78 11,000 2 2 [0.6] 186/186 62/62

cis-
ノナクロル
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 66 65 7,800 nd 2.1 [0.7]   188/189 63/63
15 59 50 6,500 nd 3 [0.9] 184/186 62/62

オキシ
クロルデン
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 2.2 1.7 120 nd 1.5 [0.5]   153/189 59/63
15 2 2 85 nd 1 [0.4] 158/186 57/62
 
 

 貝類及び魚類は、3物質とも調査開始当初からの残留状況は緩い減少傾向にあり、オキシクロルデンについては近年は検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値がほとんどであった。平成14年度は定量下限値 trans-ノナクロル: 2.4 pg/g-wet cis-ノナクロル:1.2 pg/g-wet オキシクロルデン: 3.6 pg/g-wet、検出下限値 trans-ノナクロル: 0.8 pg/g-wet cis-ノナクロル: 0.4 pg/g-wet オキシクロルデン:1.2 pg/g-wetにおいて調査し、trans-ノナクロル、cis-ノナクロルは全地点・全検体から、オキシクロルデンは多くの地点・検体から検出され、平成15年度においては定量下限値trans-ノナクロル: 3.6 pg/g-wet cis-ノナクロル: 4.8 pg/g-wet オキシクロルデン: 8.4 pg/g-wet、検出下限値trans-ノナクロル: 1.2 pg/g-wet cis-ノナクロル: 1.6 pg/g-wet オキシクロルデン: 2.8 pg/g-wetにおいて調査し、全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、貝類及び魚類がそれぞれ平成14年度は trans-ノナクロル: 510、970 pg/g-wet、cis-ノナクロル:190、420 pg/g-wet、オキシクロルデン: 76、160 pg/g-wet、平成15年度は trans-ノナクロル: 780、880 pg/g-wet、cis-ノナクロル:290、350 pg/g-wet、オキシクロルデン: 90、140 pg/g-wetの濃度で検出され、依然として広範な地点で残留が認められる。

 

 鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあり、調査開始当初からの残留状況の判断は困難である。近年は3物質とも検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値が多い。平成14年度は定量下限値 trans-ノナクロル: 2.4 pg/g-wet cis-ノナクロル:1.2 pg/g-wet オキシクロルデン: 3.6 pg/g-wet、検出下限値 trans-ノナクロル:0.8 pg/g-wet cis-ノナクロル: 0.4 pg/g-wet オキシクロルデン:1.2 pg/g-wetにおいて調査し、trans-ノナクロル、cis-ノナクロルは全地点・全検体から、オキシクロルデンは全地点のほとんどの検体から検出された。平成15年度においては定量下限値trans-ノナクロル: 3.6 pg/g-wet cis-ノナクロル: 4.8 pg/g-wet オキシクロルデン: 8.4 pg/g-wet、検出下限値trans-ノナクロル: 1.2 pg/g-wet cis-ノナクロル: 1.6 pg/g-wet オキシクロルデン: 2.8 pg/g-wetにおいて調査し、全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度は trans-ノナクロル: 880 pg/g-wet、cis-ノナクロル:200 pg/g-wet、オキシクロルデン: 640 pg/g-wet、平成15年度は trans-ノナクロル:1,100 pg/g-wet、cis-ノナクロル: 200 pg/g-wet、オキシクロルデン: 750 pg/g-wetの濃度で検出され、依然として広範な地点で残留が認められる。

trans- ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 510 1,100 1,800 21 2.4 [0.8]   38/38 8/8
15 780 700 3,800 140 3.6 [1.2] 30/30 6/6
魚類
(pg/g-wet)
14 970 900 8,300 98 2.4 [0.8] 70/70 14/14
15 880 840 5,800 85 3.6 [1.2] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 880 980 1,900 350 2.4 [0.8] 10/10 2/2
15 1,100 1,400 3,700 350 3.6 [1.2] 10/10 2/2

cis-
ノナクロル
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 190 300 870 8.6 1.2 [0.4]   38/38 8/8
15 290 260 1,800 48 4.8 [1.6] 30/30 6/6
魚類
(pg/g-wet)
14 420 420 5,100 46 1.2 [0.4] 70/70 14/14
15 350 360 2,600 19 4.8 [1.6] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 200 240 450 68 1.2 [0.4] 10/10 2/2
15 200 260 660 68 4.8 [1.6] 10/10 2/2

オキシ
クロルデン
実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 76 83 5,600 nd 3.6 [1.2]   37/38 8/8
15 90 62 1,900 11 8.4 [2.8] 30/30 6/6
魚類
(pg/g-wet)
14 160 140 3,900 16 3.6 [1.2] 70/70 14/14
15 140 160 820 30 8.4 [2.8] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 640 630 890 470 3.6 [1.2] 10/10 2/2
15 750 700 1,300 610 8.4 [2.8] 10/10 2/2
 
 

 大気は、平成14年度からモニタリングを開始したため残留状況の傾向は判断できないが、3物質とも平成14年度、平成15年度ともに全地点・全検体から検出された。幾何平均値では、平成14年度はtrans-ノナクロル: 24 pg /m3cis-ノナクロル: 3.1 pg /m3 、オキシクロルデン: 0.96 pg/m3 、平成15年度は trans-ノナクロル: 24 pg/m3cis-ノナクロル: 2.7 pg/m3 、オキシクロルデン: 0.87 pg/m3の濃度で検出され、広範な地点で残留が認められる。

trans-
ノナクロル
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 24 30 550 0.64 0.30 [0.10]   102/102 34/34
15寒冷期 24 28 180 2.1 0.35 [0.12] 34/34 34/34

cis-
ノナクロル
実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 3.1 4.0 62 0.071 0.030 [0.010]   102/102 34/34
15寒冷期 2.7 3.5 23 0.18 0.026 [0.0088] 34/34 34/34

オキシクロルデン 実施年度 幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 0.96 0.98 8.3 nd 0.024 [0.008]   101/102 34/34
15寒冷期 0.87 0.88 3.2 0.41 0.045 [0.015] 34/34 34/34
  
 

 クロルデンは、POPs条約の対象物質であり、全地球的な汚染監視の観点からも、今後さらにモニタリングを継続し、その消長を追跡する必要がある。

  
  ○ 平成15年度 trans-クロルデンの検出状況  経年変化図
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
34 30 56 110 180 350 410 5 [2]   36/36 36/36
底質
(pg/g-dry)
120 100 230 460 1,800 3,200 13,000 4 [2] 186/186 62/62
生物:貝類
(pg/g-wet)
550 840 1,100 1,200 2,400 2,800 2,800 7.2 [2.4] 30/30 6/6
生物:魚類
(pg/g-wet)
150 120 500 900 1,200 1,500 1,800 7.2 [2.4] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
11 12 18 19 21 27 27 7.2 [2.4] 10/10 2/2
大気
(pg/m3
温暖期 130 150 340 400 560 1,000 2,000 0.86 [0.29] 35/35 35/35
寒冷期 37 44 72 86 140 210 290 34/34 34/34
  
  ○ 平成15年度 cis-クロルデンの検出状況  経年変化図
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
69 51 140 230 370 770 920 3 [0.9]   36/36 36/36
底質
(pg/g-dry)
170 140 360 720 2,800 5,700 19,000 4 [2] 186/186 62/62
生物:貝類
(pg/g-wet)
1,100 1,400 2,900 3,500 9,700 13,000 14,000 3.9 [1.3] 30/30 6/6
生物:魚類
(pg/g-wet)
490 400 1,300 2,300 3,000 3,700 4,400 3.9 [1.3] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
47 120 270 300 350 370 370 3.9 [1.3] 10/10 2/2
大気
(pg/m3
温暖期 110 120 290 340 450 840 1,600 0.51 [0.17] 35/35 35/35
寒冷期 30 38 58 69 110 180 220 34/34 34/34
 
  ○ 平成15年度 trans-ノナクロルの検出状況  経年変化図
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
26 20 40 92 150 270 450 2 [0.5]   36/36 36/36
底質
(pg/g-dry)
100 78 210 430 1,700 3,400 11,000 2 [0.6] 186/186 62/62
生物:貝類
(pg/g-wet)
780 700 1,400 2,200 3,500 3,800 3,800 3.6 [1.2] 30/30 6/6
生物:魚類
(pg/g-wet)
880 840 2,600 3,100 3,900 4,400 5,800 3.6 [1.2] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
1,100 1,400 2,500 2,600 2,700 3,700 3,700 3.6 [1.2] 10/10 2/2
大気
(pg/m3
温暖期 87 100 220 280 370 680 1,200 0.35 [0.12] 35/35 35/35
寒冷期 24 28 45 53 87 140 180 34/34 34/34
 
  ○ 平成15年度 cis-ノナクロルの検出状況  経年変化図
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
8.0 7.0 17 30 37 78 130 0.3 [0.1]   36/36 36/36
底質
(pg/g-dry)
59 50 150 330 990 1,900 6,500 3  [0.9] 184/186 62/62
生物:貝類
(pg/g-wet)
290 260 600 750 1,600 1,800 1,800 4.8 [1.6] 30/30 6/6
生物:魚類
(pg/g-wet)
350 360 1,000 1,500 2,000 2,300 2,600 4.8 [1.6] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
200 260 450 460 460 660 660 4.8 [1.6] 10/10 2/2
大気
(pg/m3
温暖期 12 15 31 38 49 86 220 0.026[0.0088] 35/35 35/35
寒冷期 2.7 3.5 5.3 6.1 10 20 23 34/34 34/34
 
  ○ 平成15年度 オキシクロルデンの検出状況  経年変化図
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
3 2 5 8 16 23 39 2 [0.5]   36/36 36/36
底質
(pg/g-dry)
2 2 4.5 7.1 22 39 85 1 [0.4] 158/186 57/62
生物:貝類
(pg/g-wet)
90 62 210 260 1,300 1,900 1,900 8.4 [2.8] 30/30 6/6
生物:魚類
(pg/g-wet)
140 160 240 270 360 440 820 8.4 [2.8] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
750 700 790 870 890 1,300 1,300   8.4 [2.8] 10/10 2/2
大気
(pg/m3
温暖期 2.5 2.7 3.8 4.1 5.6 11 12 0.045[0.015] 35/35 35/35
寒冷期 0.87 0.88 1.1 1.2 1.4 2.3 3.2 34/34 34/34
 
  [6]ヘプタクロル類へ

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