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平成17年度(2005年度)「化学物質と環境」(詳細版)
第3章 平成16年度モニタリング調査結果(詳細版)

<< [4] DDT類 [6] ヘプタクロル類 >>
 
  [5] クロルデン類 (trans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン)
  【平成16年度調査媒体:水質、底質、生物、大気】
 
 ・ 調査の経緯及び実施状況
 クロルデン類は、昭和57年度に実施された精密環境調査の結果、広範囲にわたる地点の底質及び魚類から検出されたため、昭和58年度から生物モニタリング調査対象物質として加えられた。我が国においては、木材(一次加工)用及び合板用に用いられ、シロアリ防除のために家屋等に使用されたが、難分解性等の性状を有するため、昭和61年9月、化学物質審査規制法に基づく第1種特定化学物質に指定された。工業的に生産されたクロルデン類の組成は多岐にわたるが、本件調査では、当初、クロルデン類8物質(ヘプタクロル、γ-クロルディーン、ヘプタクロルエポキシド、trans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン)を調査対象物質とした。昭和58年度以降は、昭和57年度精密環境調査において特に検出頻度が高かった5物質(trans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン)を調査対象物質に選定し、調査を実施している。
 平成13年度までの本件調査においては、trans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデンの5物質について、平成14、15年度に水質、底質、生物(貝類、魚類、鳥類)、大気媒体の調査を実施しているほか、「生物モニタリング」で昭和58年度から平成13年度の全期間に亘って生物媒体(貝類、魚類、鳥類)について調査を実施している。また、「水質・底質モニタリング」でtrans-クロルデン、cis-クロルデン、trans-ノナクロル、cis-ノナクロルについて、水質は昭和61年度から平成10年度まで、底質は昭和61年度から平成13年度の全期間に亘って調査を実施している。
 
 環境省内の他調査としては、「内分泌撹乱化学物質に係る環境実態調査」6) において平成10年度以降調査を実施しているほか、「海洋環境モニタリング調査」(地球環境局環境保全対策課)7) において沿岸200海里以内の水質、底質、水生生物(貝類、魚類)の調査を平成7年度から平成9年度まで実施している。
 
環境省内の他調査の結果
 
 ・ 調査結果
 平成16年度のモニタリング調査において、クロルデン類は、trans-クロルデンの鳥類の一部、オキシクロルデンの底質の一部を除く全ての媒体・地点・検体から検出された。
 trans-クロルデンの測定結果は、水質で定量下限値 5 pg/L、検出下限値 2 pg/Lにおいて 5~1,200 pg/L(幾何平均値 32 pg/L)、底質で定量下限値 3 pg/g-dry、検出下限値 0.9 pg/g-dryにおいて 3~26,000 pg/g-dry(同 95 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 48 pg/g-wet、検出下限値 16 pg/g-wetにおいて、貝類で53~2,800 pg/g-wet(同 510 pg/g-wet)、魚類でtr(17)~5,200 pg/g-wet(同 190 pg/g-wet)、鳥類でnd~tr(26) pg/g-wet(同 tr(14) pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.69 pg/m3、検出下限値 0.23 pg/m3において温暖期 2.2~1.300 pg/m3 (同 110 pg/m3)、寒冷期 1.5~360 pg/m3 (同 35 pg/m3)であった。
 cis-クロルデンの測定結果は、水質で定量下限値 6 pg/L、検出下限値 2 pg/Lにおいて 10~1,900 pg/L(幾何平均値 92 pg/L)、底質で定量下限値 4 pg/g-dry、検出下限値 2 pg/g-dryにおいて 4~36,000 pg/g-dry(同 140 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 18 pg/g-wet、検出下限値 5.8 pg/g-wetにおいて、貝類で91~14,000 pg/g-wet(同 1,200 pg/g-wet)、魚類で68~9,800 pg/g-wet(同 580 pg/g-wet)、鳥類でtr(5.8)~240 pg/g-wet(同 39 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.57 pg/m3、検出下限値 0.19 pg/m3において温暖期 2.3~1,000 pg/m3 (同 92 pg/m3)、寒冷期 1.2~290 pg/m3 (同 29 pg/m3)であった。
 trans-ノナクロルの測定結果は、水質で定量下限値 4 pg/L、検出下限値 2 pg/Lにおいて tr(3)~1,100 pg/L(幾何平均値 25 pg/L)、底質で定量下限値 2 pg/g-dry、検出下限値 0.6 pg/g-dryにおいて 3~23,000 pg/g-dry(同 83 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 13 pg/g-wet、検出下限値 4.2 pg/g-wetにおいて、貝類で110~3,400 pg/g-wet(同 710 pg/g-wet)、魚類で140~21,000 pg/g-wet(同 1,000 pg/g-wet)、鳥類で390~1,200 pg/g-wet(同 680 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.48 pg/m3、検出下限値 0.16 pg/m3において温暖期 1.9~870 pg/m3 (同 72 pg/m3)、寒冷期 0.95~240 pg/m3 (同 23 pg/m3)であった。
 cis-ノナクロルの測定結果は、水質で定量下限値 0.6 pg/L、検出下限値 0.2 pg/Lにおいて 0.8~340 pg/L(幾何平均値 7.5 pg/L)、底質で定量下限値 2 pg/g-dry、検出下限値 0.6 pg/g-dryにおいて tr(0.8)~9,400 pg/g-dry(同 46 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 3.4 pg/g-wet、検出下限値 1.1 pg/g-wetにおいて、貝類で43~1,800 pg/g-wet(同 280 pg/g-wet)、魚類で48~10,000 pg/g-wet(同 410 pg/g-wet)、鳥類で73~240 pg/g-wet(同 130 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.072 pg/m3、検出下限値 0.024 pg/m3において温暖期 0.36~130 pg/m3 (同 10 pg/m3)、寒冷期 0.087~28 pg/m3 (同 2.7 pg/m3) であった。
 オキシクロルデンの測定結果は、水質で定量下限値 2 pg/L、検出下限値 0.5 pg/Lにおいて tr(0.7)~47 pg/L(幾何平均値 3.2 pg/L)、底質で定量下限値 3 pg/g-dry、検出下限値 0.8 pg/g-dryにおいて nd~140 pg/g-dry(同 tr(2.0) pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 9.2 pg/g-wet、検出下限値 3.1 pg/g-wetにおいて、貝類で14~1,700 pg/g-wet(同 110 pg/g-wet)、魚類で25~1,500 pg/g-wet(同 150 pg/g-wet)、鳥類で320~730 pg/g-wet(同 460 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.13 pg/m3、検出下限値 0.042 pg/m3において温暖期 0.41~7.8 pg/m3 (同 1.9 pg/m3)、寒冷期 0.27~3.9 pg/m3 (同 0.80 pg/m3)であった。
 
 ・ 評価(trans-クロルデン)
 水質は、調査開始当初の昭和61年度から平成13年度までは、昭和62年度、平成5年度にそれぞれ1検体ずつから検出されたのみであり、全調査期間を通じての残留状況の傾向の判断は困難である。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
trans-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 32 24 780 3.1 1.5 [0.5] 114/114 38/38
15 34 30 410 6 5 [2] 36/36 36/36
16 32 26 1,200 5 5 [2] 38/38 38/38
 
 底質は、調査開始当初の昭和61年度から平成13年度までの残留状況は減少傾向にあり、平成13年度は検出下限値(1,000 pg/g-dry)近傍の値が多かった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
trans-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 130 110 16,000 2.1 1.8 [0.6] 189/189 63/63
15 120 100 13,000 tr(2.4) 4 [2] 186/186 62/62
16 95 80 26,000 3 3 [0.9] 189/189 63/63
 
 貝類及び魚類は、調査開始当初の昭和58年度から平成13年度までの残留状況は緩い減少傾向にあり、平成13年度は検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値が多かったため、全調査期間を通じての残留状況の傾向の判断は困難である。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
 鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあるものの、依然として残留が認められる。
trans-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 420 840 2,300 33 2.4 [0.8] 38/38 8/8
15 550 840 2,800 69 7.2 [2.4] 30/30 6/6
16 510 770 2,800 53 48 [16] 31/31 7/7
魚類
(pg/g-wet)
14 180 160 2,700 20 2.4 [0.8] 70/70 14/14
15 150 120 1,800 9.6 7.2 [2.4] 70/70 14/14
16 190 130 5,200 tr(17) 48 [16] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 14 14 26 8.9 2.4 [0.8] 10/10 2/2
15 11 12 27 tr(5.9) 7.2 [2.4] 10/10 2/2
16 tr(14) tr(11) tr(26) nd 48 [16] 5/10 1/2
 
 大気は、平成14年度からモニタリングを開始している。平成16年度の温暖期は平成15年度の温暖期と同レベルの濃度、寒冷期は平成14年度、及び平成15年度の寒冷期と同レベルの濃度であった。また、平成15年度と同様に、温暖期の方が寒冷期より濃度が高く、調査時期、気象条件等による差が見られた。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
trans-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 36 48 820 0.62 0.60 [0.20] 102/102 34/34
15 温暖期 130 150 2,000 6.5 0.86 [0.29] 35/35 35/35
15 寒冷期 37 44 290 2.5 34/34 34/34
16 温暖期 110 190 1,300 2.2 0.69 [0.23] 37/37 37/37
16 寒冷期 35 60 360 1.5 37/37 37/37
 平成14年度 H14.10.15~H14.11.22
 平成15年度 温暖期:H15.8.25~10.11、寒冷期:H15.11.4~12.18
 平成16年度 温暖期:H16.8.30~10.19、寒冷期:H16.11.1~12.13
 
 ・ 評価(cis-クロルデン)
 水質は、調査開始当初の昭和61年度から平成13年度まで、ほとんどが検出下限値(10,000 pg/L)未満であったため、全調査期間を通じての残留状況の傾向の判断は困難である。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
cis-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 41 32 880 2.5 0.9 [0.3] 114/114 38/38
15 69 51 920 12 3 [0.9] 36/36 36/36
16 92 87 1,900 10 6 [2] 38/38 38/38
 
 底質は、調査開始当初の昭和61年度から平成13年度までの残留状況は減少傾向にあり、平成13年度は検出下限値(1,000 pg/g-dry)近傍のデータが多かった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
cis-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 120 98 18,000 1.8 0.9 [0.3] 189/189 63/63
15 170 140 19,000 tr(3.6) 4 [2] 186/186 62/62
16 140 97 36,000 4 4 [2] 189/189 63/63
 
 貝類及び魚類は、調査開始当初の昭和58年度から平成13年度までの残留状況は減少傾向にあり、平成13年度は検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値が多くなっていた。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
 鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあるものの、依然として残留が認められる。
cis-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 810 1,200 26,000 24 2.4 [0.8] 38/38 8/8
15 1,100 1,400 14,000 110 3.9 [1.3] 30/30 6/6
16 1,200 1,600 14,000 91 18 [5.8] 31/31 7/7
魚類
(pg/g-wet)
14 580 550 6,900 57 2.4 [0.8] 70/70 14/14
15 490 400 4,400 43 3.9 [1.3] 70/70 14/14
16 580 490 9,800 68 18 [5.8] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 67 180 450 10 2.4 [0.8] 10/10 2/2
15 47 120 370 6.8 3.9 [1.3] 10/10 2/2
16 39 110 240 tr(5.8) 18 [5.8] 10/10 2/2
 
 大気は、平成14年度からモニタリングを開始している。平成16年度の温暖期は平成15年度の温暖期と同レベルの濃度、寒冷期は平成14年度、及び平成15年度の寒冷期と同レベルの濃度であった。また、平成15年度と同様に、温暖期の方が寒冷期より濃度が高く、調査時期、気象条件等による差が見られた。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されているおり、依然として広範な地点で残留が認められる。
cis-クロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 31 40 670 0.86 0.60 [0.20] 102/102 34/34
15 温暖期 110 120 1,600 6.4 0.51 [0.17] 35/35 35/35
15 寒冷期 30 38 220 2.5 34/34 34/34
16 温暖期 92 160 1,000 2.3 0.57 [0.19] 37/37 37/37
16 寒冷期 29 49 290 1.2 37/37 37/37
 平成14年度 H14.10.15~H14.11.22
 平成15年度 温暖期:H15.8.25~10.11、寒冷期:H15.11.4~12.18
 平成16年度 温暖期:H16.8.30~10.19、寒冷期:H16.11.1~12.13
 
 ・ 評価(trans-ノナクロル、cis-ノナクロル、オキシクロルデン)
 水質は、trans-ノナクロルとcis-ノナクロルは調査開始当初の昭和61年度から平成13年度までほとんど検出下限値 (10,000 pg/L)未満であり、オキシクロルデンは昭和62年度まで検出下限値(10,000 pg/L)未満で、昭和63年度~平成13年度の期間は調査を実施しなかった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成13年度以前の検出下限値が高く、またオキシクロルデンは昭和63年度~13年度の調査がなされていないため、近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、3物質とも平成14年度以降、ほぼ全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
trans-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 29 24 780 1.8 1.2 [0.4] 114/114 38/38
15 26 20 450 4.0 2 [0.5] 36/36 36/36
16 25 19 1,100 tr(3) 4 [2] 38/38 38/38
cis-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 7.6 6.7 250 0.23 1.8 [0.6] 114/114 38/38
15 8.0 7.0 130 1.3 0.3 [0.1] 36/36 36/36
16 7.5 6.3 340 0.8 0.6 [0.2] 38/38 38/38
オキシクロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
14 2.4 3.5 41 nd 1.2 [0.4] 96/114 35/38
15 3.0 2.0 39 tr(0.6) 2 [0.5] 36/36 36/36
16 3.2 2.9 47 tr(0.7) 2 [0.5] 38/38 38/38
 
 底質は、trans-ノナクロル及びcis-ノナクロルは調査開始当初の昭和61年度から平成13年度までの残留状況は減少傾向にあり、平成13年度は検出下限値(1,000 pg/g-dry)付近のデータが多かった。オキシクロルデンは昭和62年度まで検出下限値(1,000 pg/g-dry)未満で、昭和63年度~平成13年度の期間は調査を実施しなかった。平成16年度はtrans-ノナクロル、cis-ノナクロルは全地点・全検体から検出され、オキシクロルデンは63地点中54地点、189検体中129検体から検出された。平成13年度以前の検出下限値が高く、またオキシクロルデンは昭和63年度~13年度の調査がなされていないため、近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、3物質 とも平成14年度以降、ほぼ全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
trans-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 120 83 13,000 3.1 1.5 [0.5] 189/189 63/63
15 100 78 11,000 2.0 2 [0.6] 186/186 62/62
16 83 63 23,000 3 2 [0.6] 189/189 63/63
cis-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 66 65 7,800 nd 2.1 [0.7] 188/189 63/63
15 59 50 6,500 nd 3 [0.9] 184/186 62/62
16 46 34 9,400 tr(0.8) 2 [0.6] 189/189 63/63
オキシクロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
底質
(pg/g-dry)
14 2.2 1.7 120 nd 1.5 [0.5] 153/189 59/63
15 2 2 85 nd 1 [0.4] 158/186 57/62
16 tr(2.0) tr(1.3) 140 nd 3 [0.8] 129/189 54/63
 
 貝類及び魚類は、3物質とも調査開始当初の昭和58年度から平成13年度までの残留状況は緩い減少傾向にあり、オキシクロルデンについては平成13年度は検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値がほとんどであった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、3物質とも平成14年度以降、ほぼ全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。
 鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあるものの、依然として残留が認められる。
trans-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 510 1,100 1,800 21 2.4 [0.8] 38/38 8/8
15 780 700 3,800 140 3.6 [1.2] 30/30 6/6
16 710 870 3,400 110 13 [4.2] 31/31 7/7
魚類
(pg/g-wet)
14 970 900 8,300 98 2.4 [0.8] 70/70 14/14
15 880 840 5,800 85 3.6 [1.2] 70/70 14/14
16 1,000 760 21,000 140 13 [4.2] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 880 980 1,900 350 2.4 [0.8] 10/10 2/2
15 1,100 1,400 3,700 350 3.6 [1.2] 10/10 2/2
16 680 780 1,200 390 13 [4.2] 10/10 2/2
cis-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 190 300 870 8.6 1.2 [0.4] 38/38 8/8
15 290 260 1,800 48 4.8 [1.6] 30/30 6/6
16 280 380 1,800 43 3.4 [1.1] 31/31 7/7
魚類
(pg/g-wet)
14 420 420 5,100 46 1.2 [0.4] 70/70 14/14
15 350 360 2,600 19 4.8 [1.6] 70/70 14/14
16 410 310 10,000 48 3.4 [1.1] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 200 240 450 68 1.2 [0.4] 10/10 2/2
15 200 260 660 68 4.8 [1.6] 10/10 2/2
16 130 150 240 73 3.4 [1.1] 10/10 2/2
オキシクロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
貝類
(pg/g-wet)
14 76 83 5,600 nd 3.6 [1.2] 37/38 8/8
15 90 62 1,900 11 8.4 [2.8] 30/30 6/6
16 110 100 1,700 14 9.2 [3.1] 31/31 7/7
魚類
(pg/g-wet)
14 160 140 3,900 16 3.6 [1.2] 70/70 14/14
15 140 160 820 30 8.4 [2.8] 70/70 14/14
16 150 140 1,500 25 9.2 [3.1] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
14 640 630 890 470 3.6 [1.2] 10/10 2/2
15 750 700 1,300 610 8.4 [2.8] 10/10 2/2
16 460 450 730 320 9.2 [3.1] 10/10 2/2
 
 大気は、3物質とも平成14年度からモニタリングを開始している。3物質とも平成16年度の温暖期は平成15年度の温暖期と同レベルの濃度、寒冷期は平成14年度、及び平成15年度の寒冷期と同レベルの濃度であった。また、平成15年度と同様に、温暖期の方が寒冷期より濃度が高く、調査時期、気象条件等による差が見られた。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、3物質とも依然として広範な地点で残留が認められる。
trans-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 24 30 550 0.64 0.30 [0.10] 102/102 34/34
15 温暖期 87 100 1,200 5.1 0.35 [0.12] 35/35 35/35
15 寒冷期 24 28 180 2.1 34/34 34/34
16 温暖期 72 120 870 1.9 0.48 [0.16] 37/37 37/37
16 寒冷期 23 39 240 0.95 37/37 37/37
cis-ノナクロル 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 3.1 4.0 62 0.071 0.030 [0.010] 102/102 34/34
15 温暖期 12 15.0 220 0.81 0.026 [0.0088] 35/35 35/35
15 寒冷期 2.7 3.5 23 0.18 34/34 34/34
16 温暖期 10 15 130 0.36 0.072 [0.024] 37/37 37/37
16 寒冷期 2.7 4.4 28 0.087 37/37 37/37
オキシクロルデン 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
検出頻度
検体 地点
大気
(pg/m3)
14 0.96 0.98 8.3 nd 0.024 [0.008] 101/102 34/34
15 温暖期 2.5 2.7 12 0.41 0.045 [0.015] 35/35 35/35
15 寒冷期 0.87 0.88 3.2 0.41 34/34 34/34
16 温暖期 1.9 2.0 7.8 0.41 0.13 [0.042] 37/37 37/37
16 寒冷期 0.80 0.76 3.9 0.27 37/37 37/37
 平成14年度 H14.10.15~H14.11.22
 平成15年度 温暖期:H15.8.25~10.11、寒冷期:H15.11.4~12.18
 平成16年度 温暖期:H16.8.30~10.19、寒冷期:H16.11.1~12.13
 
 クロルデン類は、POPs条約の対象物質であり、全地球的な汚染監視の観点から、今後さらにモニタリングを継続し、その消長を追跡する必要がある。
 
○ 平成16年度クロルデン類の検出状況 (経年変化図)
trans-クロルデン
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
32 26 43 120 190 230 1,200 5 [2] 38/38 38/38
底質
(pg/g-dry)
95 80 200 350 2,100 3,400 26,000 3 [0.9] 189/189 63/63
生物:貝類
(pg/g-wet)
510 770 1,300 1,400 2,100 2,500 2,800 48 [16] 31/31 7/7
生物:魚類
(pg/g-wet)
190 130 530 940 1,400 1,900 5,200 48 [16] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
tr(14) tr(11) tr(23) tr(24) tr(26) tr(26) tr(26) 48 [16] 5/10 1/2
大気
(pg/m3)
温暖期 110 190 250 360 450 980 1,300 0.69 [0.23] 37/37 37/37
寒冷期 35 60 91 110 240 290 360 37/37 37/37
cis-クロルデン
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
92 87 160 300 600 840 1,900 6 [2] 38/38 38/38
底質
(pg/g-dry)
140 97 300 570 3,500 5,800 36,000 4 [2] 189/189 63/63
生物:貝類
(pg/g-wet)
1,200 1,600 2,300 5,600 12,000 13,000 14,000 18 [5.8] 31/31 7/7
生物:魚類
(pg/g-wet)
580 490 1,500 2,600 3,700 4,600 9,800 18 [5.8] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
39 110 230 240 240 240 240 18 [5.8] 10/10 2/2
大気
(pg/m3)
温暖期 92 160 210 300 410 780 1,000 0.57 [0.19] 37/37 37/37
寒冷期 29 49 78 93 150 230 290 37/37 37/37
trans-ノナクロル
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
25 19 36 83 140 190 1,100 4 [2] 38/38 38/38
底質
(pg/g-dry)
83 63 160 300 2,300 3,100 23,000 2 [0.6] 189/189 63/63
生物:貝類
(pg/g-wet)
710 870 2,100 2,300 3,100 3,400 3,400 13 [4.2] 31/31 7/7
生物:魚類
(pg/g-wet)
1,000 760 2,300 3,700 4,300 5,500 21,000 13 [4.2] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
680 780 1,200 1,200 1,200 1,200 1,200 13 [4.2] 10/10 2/2
大気
(pg/m3)
温暖期 72 120 160 230 300 600 870 0.48 [0.16] 37/37 37/37
寒冷期 23 39 59 71 150 180 240 37/37 37/37
cis-ノナクロル
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
7.5 6.3 19 25 45 57 340 0.6 [0.2] 38/38 38/38
底質
(pg/g-dry)
46 34 130 240 1,100 1,400 9,400 2 [0.6] 189/189 63/63
生物:貝類
(pg/g-wet)
280 380 820 870 1,600 1,800 1,800 3.4 [1.1] 31/31 7/7
生物:魚類
(pg/g-wet)
410 310 1,100 1,700 2,500 2,600 10,000 3.4 [1.1] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
130 150 230 230 240 240 240 3.4 [1.1] 10/10 2/2
大気
(pg/m3)
温暖期 10 15 21 33 40 94 130 0.072 [0.024] 37/37 37/37
寒冷期 2.7 4.4 5.8 8.0 19 23 28 37/37 37/37
オキシクロルデン
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
3.2 2.9 4.7 6.5 12 16 47 2 [0.5] 38/38 38/38
底質
(pg/g-dry)
tr(2.0) tr(1.3) 3 6 35 65 140 3 [0.8] 129/189 54/63
生物:貝類
(pg/g-wet)
110 100 200 980 1,500 1,600 1,700 9.2 [3.1] 31/31 7/7
生物:魚類
(pg/g-wet)
150 140 240 300 450 650 1,500 9.2 [3.1] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
460 450 590 620 730 730 730 9.2 [3.1] 10/10 2/2
大気
(pg/m3)
温暖期 1.9 2.0 2.7 3.5 3.8 4.6 7.8 0.13 [0.042] 37/37 37/37
寒冷期 0.80 0.76 1.1 1.2 1.4 2.6 3.9 37/37 37/37
 
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