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平成17年度(2005年度)「化学物質と環境」(詳細版) 第3章 平成16年度モニタリング調査結果(詳細版) |
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[4] DDT類 【平成16年度調査媒体:水質、底質、生物、大気】 |
・ | 調査の経緯及び実施状況 |
DDT類は、ヘキサクロロシクロヘキサンやドリン類と共に多用された殺虫剤である。農薬としての使用は、昭和46年以降中止されている。また、昭和56年10月には、ドリン類と併せて化学物質審査規制法に基づく第1種特定化学物質に指定された。DDTには芳香環に置換している塩素の位置によっていくつかの異性体があるが、本件調査においては、DDTの有効成分であるp,p′-DDTのほかo,p′-DDTを、また、DDTの環境中での分解産物であるp,p′-DDE、o,p′-DDE、p,p′-DDD、o,p′-DDDの4種の誘導体も含めて昭和53年度から調査対象物質として選定し、モニタリングを実施している。 |
平成13年度以前の本件調査において、p,p′-DDT、p,p′-DDE、p,p′-DDDは「生物モニタリング」で昭和53年度から平成13年度の全期間に亘って生物媒体(貝類、魚類、鳥類)について調査を実施し、「水質・底質モニタリング」で水質は昭和61年度から平成10年度まで、底質は昭和61年度から平成13年度の全期間に亘って調査を実施している。また、o,p′-DDT、o,p′-DDE、o,p′-DDDは「生物モニタリング」で昭和53年度から平成8年度の毎年と平成10、12、13年度に生物媒体(貝類、魚類、鳥類)について調査を実施している。 |
平成14年度以降は、p,p′-DDT、p,p′-DDE、p,p′-DDD、o,p′-DDT、o,p′-DDE、o,p′-DDDは、本調査で水質、底質、生物(貝類、魚類、鳥類)、大気媒体の調査を実施している。 |
環境省内の他調査としては、「内分泌撹乱化学物質に係る環境実態調査」6) において平成10年度以降調査を実施しているほか、p,p′-DDT、p,p′-DDE、p,p′-DDDは「海洋環境モニタリング調査」(地球環境局環境保全対策課)7) において沿岸200海里以内の水質、底質、水生生物(貝類、魚類)の調査を平成7年度以降実施している。 |
環境省内の他調査の結果 |
・ | 調査結果 |
平成16年度のモニタリング調査において、DDT類はほとんどの媒体、地点、検体から検出された。 |
p,p’-DDTの測定結果は、水質で定量下限値 6 pg/L、検出下限値 2 pg/Lにおいて nd~310 pg/L(幾何平均値 15 pg/L)、底質で定量下限値 2 pg/g-dry、検出下限値 0.5 pg/g-dryにおいて 7~98,000 pg/g-dry(同 330 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 3.2 pg/g-wet、検出下限値 1.1 pg/g-wetにおいて、貝類で48~2,600 pg/g-wet(同 280 pg/g-wet)、魚類で5.5~53,000 pg/g-wet(同 310 pg/g-wet)、鳥類で160~700 pg/g-wet(同 330 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.22 pg/m3、検出下限値 0.074 pg/m3において温暖期 0.41~37 pg/m3 (同 4.7 pg/m3)、寒冷期 0.29~13 pg/m3 (同 1.8 pg/m3)であった。 |
p,p’-DDEの測定結果は、水質で定量下限値 8 pg/L、検出下限値 3 pg/Lにおいて tr(6)~680 pg/L(幾何平均値 36 pg/L)、底質で定量下限値 3 pg/g-dry、検出下限値 0.8 pg/g-dryにおいて 8~39,000 pg/g-dry(同 630 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 8.2 pg/g-wet、検出下限値 2.7 pg/g-wetにおいて、貝類で220~8,400 pg/g-wet(同 1,000 pg/g-wet)、魚類で390~52,000 pg/g-wet(同 2,500 pg/g-wet)、鳥類で6,800~200,000 pg/g-wet(同 34,000 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.12 pg/m3、検出下限値 0.039 pg/m3において温暖期 0.62~95 pg/m3 (同 6.1 pg/m3)、寒冷期 0.85~43 pg/m3 (同 2.9 pg/m3)であった。 |
p,p’-DDDの測定結果は、水質で定量下限値 3 pg/L、検出下限値 0.8 pg/Lにおいて tr(2.4)~740 pg/L(幾何平均値 19 pg/L)、底質で定量下限値 2 pg/g-dry、検出下限値 0.7 pg/g-dryにおいて 4~75,000 pg/g-dry(同 550 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 2.2 pg/g-wet、検出下限値 0.7 pg/g-wetにおいて、貝類で7.8~8.900 pg/g-wet(同 300 pg/g-wet)、魚類で56~9,700 pg/g-wet(同 640 pg/g-wet)、鳥類で52~1,400 pg/g-wet(同 310 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.053 pg/m3、検出下限値 0.018 pg/m3において温暖期 tr(0.036)~1.4 pg/m3 (同 0.24 pg/m3)、寒冷期 tr(0.025)~0.91 pg/m3 (同 0.12 pg/m3)であった。 |
o,p’-DDTの測定結果は、水質で定量下限値 5 pg/L、検出下限値 2 pg/Lにおいて nd~85 pg/L(幾何平均値 tr(4.5) pg/L)、底質で定量下限値 2 pg/g-dry、検出下限値 0.6 pg/g-dryにおいて tr(1.1)~17,000 pg/g-dry(同 52 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 1.8 pg/g-wet、検出下限値 0.61 pg/g-wetにおいて、貝類で20~910 pg/g-wet(同 130 pg/g-wet)、魚類で3.7~1,800 pg/g-wet(同 130 pg/g-wet)、鳥類でtr(0.9)~43 pg/g-wet(同 7.7 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.093 pg/m3、検出下限値 0.031 pg/m3において温暖期 0.54~22 pg/m3 (同 5.1 pg/m3)、寒冷期 0.35~9.4 pg/m3 (同 1.5 pg/m3)であった。 |
o,p’-DDEの測定結果は、水質で定量下限値 2 pg/L、検出下限値 0.5 pg/Lにおいて tr(0.6)~170 pg/L(幾何平均値 3 pg/L)、底質で定量下限値 3 pg/g-dry、検出下限値 0.8 pg/g-dryにおいて nd~28,000 pg/g-dry (同 35 pg/g-dry)、生物媒体では定量下限値 2.1 pg/g-wet、検出下限値 0.69 pg/g-wetにおいて、貝類で19~360 pg/g-wet(同 70 pg/g-wet)、魚類でtr(0.9)~5,800 pg/g-wet(同 68 pg/g-wet)、鳥類でnd~3.7 pg/g-wet(同 tr(1.0) pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.037 pg/m3、検出下限値 0.012 pg/m3において温暖期 0.14~8.9 pg/m3 (同 1.1 pg/m3)、寒冷期 0.14~3.9 pg/m3 (同 0.53 pg/m3)であった。 |
o,p’-DDDの測定結果は、水質で定量下限値 2 pg/L、検出下限値 0.5 pg/Lにおいて tr(0.7)~81 pg/L(幾何平均値 6 pg/L)、底質で定量下限値 2 pg/g-dry、検出下限値 0.5 pg/g-dryにおいて tr(0.7)~16,000 pg/g-dry(同 120 pg/g-dr、)、生物媒体では定量下限値 5.7 pg/g-wet、検出下限値 1.9 pg/g-wetにおいて、貝類で6.0~2,800 pg/g-wet(同 160 pg/g-wet)、魚類でnd~1,700 pg/g-wet(同 100 pg/g-wet)、鳥類でnd~25 pg/g-wet(同 tr(5.6) pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.14 pg/m3、検出下限値 0.048 pg/m3において温暖期 tr(0.052)~2.6 pg/m3 (同 0.31 pg/m3)、寒冷期 nd~0.86 pg/m3 (同 0.14 pg/m3)であった。 |
・ | 評価(p,p'-DDT) |
水質は、調査開始当初の昭和61年度から平成13年度まで検出下限値(10,000 pg/L)未満であったため、全調査期間を通じての残留状況の傾向の判断は困難である。平成16年度はほとんどの地点・検体から検出された。平成14年度以降、ほぼ全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。 |
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底質は、平成2~13年度までの期間、残留状況は減少傾向にあった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。 |
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貝類は、調査開始当初の昭和53~56年度にかけて残留状況は減少傾向にあったが、平成13年度は検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値が多かった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。 |
魚類は、調査開始当初の昭和53年度から平成13年度までの残留状況は減少傾向にあった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。 |
鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあるものの、依然として残留が認められる。 |
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大気は、平成14年度からモニタリングを開始している。平成16年度の温暖期は平成15年度の温暖期と同レベルの濃度、寒冷期は平成14年度、及び平成15年度の寒冷期と同レベルの濃度であった。また、平成15年度と同様に、温暖期の方が寒冷期より濃度が高く、調査時期、気象条件等による差が見られた。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。 |
平成15年度 温暖期:H15.8.25~10.11、寒冷期:H15.11.4~12.18 平成16年度 温暖期:H16.8.30~10.19、寒冷期:H16.11.1~12.13 |
・ | 評価(p,p'-DDE、p,p'-DDD) |
水質は、調査開始当初の昭和61年度から平成13年度までは、昭和62年度にp,p'-DDEが1地点から検出されたのみであり、全調査期間を通じての残留状況の傾向の判断は困難である。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。 |
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底質は、両物質とも調査開始当初の昭和61年度から平成13年度まで緩い減少傾向にあった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、依然として広範な地点で残留が認められる。 |
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貝類のp,p'-DDEは調査開始当初の昭和53年度から近年に至るまで残留状況に変化は見られず、p,p'-DDDは調査開始当初には緩い減少傾向にあったが、平成13年度では残留状況は横ばいであった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成 14年度以降、全地点・全検体から検出されており、両物質とも依然として広範な地点で残留が認められる。 |
魚類のp,p'-DDEは調査開始当初の昭和53年度から平成13年度に至るまで残留状況に変化は見られず、p,p'-DDDは調査開始当初の昭和53年度から平成13年度に至るまで残留状況は緩い減少傾向にあった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成 14年度以降、全地点・全検体から検出されており、両物質とも依然として広範な地点で残留が認められる。 |
鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあるものの、依然として残留が認められる。 |
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大気は、両物質とも平成14年度からモニタリングを開始している。両物質とも平成16年度の温暖期は平成15年度の温暖期と同レベルの濃度、寒冷期は平成14年度、及び平成15年度の寒冷期と同レベルの濃度であった。また、平成15年度と同様に、温暖期の方が寒冷期より濃度が高く、調査時期、気象条件等による差が見られた。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、両物質とも依然として広範な地点で残留が認められている。 |
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・ | 評価(o,p'-DDT、o,p'-DDE、o,p'-DDD) |
水質及び底質は、平成14年度からモニタリングを開始している。平成14年度以降、ほぼ全地点・全検体から検出されており、3物質とも依然として広範な地点で残留が認められる。 |
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貝類は、いずれの物質とも調査開始当初の昭和53年度から平成13年度まで残留状況に変化は見られなかった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、3物質とも依然として広範な地点で残留が認められている。 |
魚類は、o,p’-DDTが調査開始当初の昭和53年度から平成13年度まで僅かな減少傾向にあり、他の物質は調査開始当初の昭和53年度から平成13年度まで残留状況に変化は見られず、検出下限値(1,000 pg/g-wet)未満の値が多かった。平成16年度は全地点・全検体から検出された。平成14年度以降、調査地点及び生物種が変更されており、また検出下限値が平成13年度以前に比べて1/1,000程度に下がっていることから検出数が大幅に増えており、検出頻度や検出数による近年の残留状況の傾向の判断は困難であるが、平成14年度以降、ほぼ全地点・全検体から検出されており、3物質とも依然として広範な地点で残留が認められる。 |
鳥類は、地点数が2地点と少ないことに加え調査地点の変更もあるものの、依然として残留が認められる。 |
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大気は、平成14年度からモニタリングを開始している。3物質とも平成16年度の温暖期は平成15年度の温暖期と同レベルの濃度、寒冷期は平成14年度、及び平成15年度の寒冷期と同レベルの濃度であった。また、平成15年度と同様に、温暖期の方が寒冷期より濃度が高く、調査時期、気象条件等による差が見られた。平成14年度以降、全地点・全検体から検出されており、3物質とも依然として広範な地点で残留が認められる。 |
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DDT類は、POPs条約の対象物質であり、全地球的な汚染監視の観点からも、今後さらにモニタリングを継続し、その消長を追跡する必要がある。 |
○ 平成16年度DDT類の検出状況 (経年変化図) |
p,p’-DDT
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