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■日時:平成14年4月19日(金)14:00~17:00 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■場所:琵琶湖研究所2階ホール | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■出席者:(敬称略) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■資料: | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■発言要旨 (1)開会
(2)化学物質と環境円卓会議の紹介
(円卓会議メンバー紹介) (3)滋賀県における市民・産業・行政の化学物質と環境に関する取り組みの発表
(休憩)
(以上) |
■議事録 1.開会 (司会) 時間がまいりましたので、ただいまから「化学物質と環境円卓会議 関西地域フォーラム」を開催させていただきます。 私は本日の司会・進行を務めます淑徳大学の北野でございます。今日は休憩をはさんで3時間、5時までを予定しており、長丁場ですがどうぞご協力をお願いいたします。なお、この場のルールとしてすべての方を「さん」で呼ぶことになっておりますので、○○さんと呼ばせていただきます。 まず、資料の確認をしたいと思います。「化学物質と環境円卓会議」の事務局の環境省から、確認をお願いいたします。 (事務局) それでは、資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第ですがA4の1枚紙でお配りしております。それに続いてこの関西地域フォーラムのメンバー紹介、今回出席されますゲストの方、円卓会議のメンバーの方をご紹介した資料です。加えて、スピーカー資料という、とじてあるものです。これは、本日6名のスピーカーに来ていただき、ご講演をしていただきますが、発表の際にお使いになるOHP等をとじたものです。 それから、参考資料として「化学物質と環境円卓会議」のパンフレット、これは、目的や構成メンバーの方のご経歴等を書いたものです。そして、座席表、どの方がご発表されているのかをご確認いただけるようにお配りしております。それから、第3回会議のお知らせがあります。もし不足等ありましたら、ご連絡いただければと思います。 なお、最後に1枚紙で「ご意見・ご質問をお聞かせください」というのをお配りしております。後程趣旨等の説明をさせていただきますが、この円卓会議で今後議論してほしいご要望事項、あるいは今回の講演等に対するご質問などを記入していただくためにお配りしております。休憩時間に回収し、その後、議論あるいは質疑の時間にご紹介させていただきたいと思っておりますので、ぜひ、ご意見、ご要望、ご質問がありましたらご記入いただければと思います。1枚で足りない場合は事務局にお申し出いただければ追加の紙をご用意させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 (司会) ありがとうございました。資料はよろしいでしょうか。 では、続きまして「化学物質と環境円卓会議」と本日のフォーラムについて、事務局の環境省からご説明いただくことにします。お願いします。 (事務局) 本日はお忙しい中をお集まりいただきましてまことにありがとうございます。事務局を務めさせていただいております環境省環境安全課長の安達でございます。最初にこの円卓会議の趣旨につきまして、ごく簡単にご説明させていただきます。 |
2.化学物質と環境円卓会議の紹介 (事務局) 今日、私たちの身の回りには、プラスチック、合成洗剤、殺虫剤、電気製品といった多くの製品が存在しておりますが、これらにはさまざまな化学物質が使用されており、その点から申し上げますと、化学物質は私たちの生活を豊かにし、生活の質の維持・向上に欠かせないものとなっております。 しかし、一方では、こういった化学物質はものの製造・使用・廃棄の各段階、あるいは日常生活のさまざまな場面を通じ、環境を汚染し人の健康や生態系に有害な影響をもたらすこともあります。ことに近年では、内分泌かく乱化学物質、いわゆる環境ホルモンと呼ばれているものですが、そういった新しいタイプの問題も提起されており、化学物質の環境リスクに対する国民の方々の不安は大きなものになっております。 こうした化学物質と環境の問題に対処するためには、社会の構成員であります市民と産業界と行政が情報を共有し、可能なかぎり共通の認識に立って環境リスクの低減のためにともに行動していくことが重要であると考えます。このため、市民・産業・行政という立場の異なる方々が円卓を囲んで対話し、化学物質の環境リスクに関する情報の共有および相互理解を促進する場といたしまして、昨年12月にこの「化学物質と環境円卓会議」が設置されました。 「化学物質と環境円卓会議」では、インターネットの活用や、今回行っておりますような地域フォーラムの開催により、国民各界の意見や要望を集め、これらを踏まえた対話を通じて、環境リスク低減に関する情報の共有と相互理解を深め、会議での議論やそこで得られた共通認識を市民・産業・行政に発信していくことにしております。 これまで、すでに2回の円卓会議が開催され、参加メンバーの意見表明、あるいはリスク・コミュニケーション手法の説明などが行われました。また、先月は、横浜で関東地域フォーラムも開催されております。 この円卓会議では、運用面におきましても従来の役所が開く会議とは全く違った手法を取っております。化学物質と環境問題のうち、この円卓会議において何を取り上げどう議論していくかということも会議メンバーで決定することから始まるという新しいかたちの会議であると考えております。 このような円卓会議で議論するテーマの選定にあたりましては、まず、地域での取り組みや意見・要望を集約することも必要です。そのため、先程申し上げましたように関東地域フォーラムを開催し、神奈川県において地元で活動している市民・産業・行政の方々を交えた意見交換も行ったところです。 今回の関西地域フォーラムにおきましても、「化学物質と環境円卓会議」で何を議論すべきか、地域の実状はどうなっているかといったことについてご意見をいただきたいと考えております。このフォーラムを通じましてさまざまな意見が出されるかと思いますが、それらをもとに、今後、円卓会議において活発な議論がなされ、ゆくゆくは化学物質にかかわる環境リスク・コミュニケーションの促進、ひいては安全と安心な暮らしの実現に貢献されることを期待しております。 最後になりましたが、今回の関西地域フォーラムの開催にあたりましては、滋賀県および琵琶湖研究所の皆様方に大変お世話になったことを、この場を借りまして御礼申し上げます。 引き続きまして、この円卓会議のメンバーの方々のご紹介をさせていただきたいと思います。参考資料ということで、「化学物質と環境円卓会議」という絵を書いた資料が封筒の中に入っているかと思いますが、そこにメンバーの方々の簡単なプロフィールを紹介してありますので、それに基づきましてご紹介させていただきます。 まず、全国消費者団体連絡会事務局の有田芳子さんです。環境監査研究会代表幹事の後藤さんは、おみえになる予定ですが、少し遅れておられるようです。ジャーナリストの崎田裕子さんです。バルディーズ研究会の角田さんです。ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議の中下さんは本日ご欠席です。 続きまして、(財)世界自然保護基金ジャパンの村田さんです。日本生活協同組合連合会の山元さんはご欠席です。続きまして、日本石鹸洗剤工業会の出光さんです。河内さんの代理で、同じく日本レスポンシブルケア協議会の岩本さんです。(社)日本化学工業協会の瀬田さんです。日本レスポンシブルケア協議会の田中さんです。仲村さんについてはご欠席でございます。橋本さんの代理で、日本電機工業会の倉水さんです。小林さんにつきましてはご欠席でございます。 続いて、環境省の岩尾さんです。大森さんの代理で、近畿農政局の黒木さんです。神奈川県環境科学センターの片桐さんです。鶴田さんの代理で、厚生労働省の吉田さんです。経済産業省の増田さんです。北野さんはご案内のとおりで、原科さんと安井さんについてはご欠席でございます。 本日は、ゲストスピーカーとして、地域のNGOあるいは企業、行政の方々にご出席いただいております。お名前だけご紹介させていただきます。まず、中地さんです。中村さんです。梶間さんです。堀野さんです。深田さんです。木村さんです。加賀爪さんです。どうぞよろしくお願いいたします。 |
3.滋賀県における市民・産業・行政の化学物質と環境に関する取り組みの発表 (司会) それでは、議題3に早速入りたいと思います。滋賀県の市民・産業・行政の方々から、化学物質と環境に関する取り組みについてそれぞれお話しいただくことになっております。本日は6名の方からお話しいただきますが、スケジュールとしては10分間ご講演いただき、そのあと、お話についてより内容を明確にするといった5分間の質問を予定しております。 1時間半ほどかかるかと思いますが、ここは学会ではありませんので、鈴を鳴らすなど失礼なことはしませんので、それぞれスピーカーの方が自主管理ということで10分間を守っていただければと思っております。 では、最初に、びわ湖リスクコミュニケーションネットワークの中地さんにお願いいたします。 |
4.円卓会議メンバーおよびスピーカーからの要望・意見 (司会) 先程6人のスピーカーの方からお話がありました。5分ずつ質問時間を取ったのですが、まだ質問が残っているようでしたら10分弱でお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。岩尾さん、どうぞ。 (岩尾) メーカーの方にお伺いしたいのですが、より環境に負荷のないもの、より無害なものを新製品として開発していくとき、それに代わる化学物質を用いていくだろうと思うのですが、企業秘密でなかったら教えていただきたいのですが、どのくらいの確率で製品化されるものなのですか。 (司会) 3名みえていますので、どうでしょうか、岩本さん、よろしいですか、どうぞ。 (岩本) どの程度というとちょっと答えにくいのですが、端的にいいますと、例えば農薬あたりですと100に1つぐらいです。もう1つは、今、問題になっている化学物質レベルでいろいろな疑わしいことをずっと調べていきますと、代替品を開発したつもりがまた別のところで引っかかるというケースが多々出てきます。 そういう意味では、問題になっている物質というのは、ある意味ではよってたかってみんなが調べていろいろな問題が出てきた。むしろ、逆にこれから新しく何か作ろうという問題を同じレベルまで調べ上げると、やはり何かほこりが出てくるという感じもあります。そういう意味で、農薬でいうとせいぜい100に1つとか、そんなレベルです。 (瀬田) 一般的な農薬以外の化学製品で考えますと、たぶん開発には2種類あると思います。1つは、全く新しいものを作るということ、もう1つは、新しい製品ではあるけれども既存の製品の周辺でモディファイしたものを作るということです。後者の方ですと、2~3割の確率ぐらいは十分あると思うのですが、前者の方ですと、せいぜい1%か2%、普通はそれを相当下回ることも多い、ということではないでしょうか。 そのとき、先程ありましたように、やはり安全問題や環境負荷の問題で引っかかるということは結構多いのです。したがって、私の担当は研究開発であったわけですが、それにかかわる人間としては、そういうことで開発が失敗するという確率を開発の早い段階からいかに排除するか、それが研究開発マネジメントの1つのポイントです。 (増田) 環境省の方からお答えいただいてもいいのかもしれませんが、環境省と我々の方で一緒に所管しています化学物質審査規制法という法律がありまして、新しい化学物質をマーケットに出すときは事前に安全性の確認をすることになっています。手元にデータがないのでうろ覚えですが、担当していたときの記憶で、マーケットに出すために審査を受けた化学物質のうち、10年後に生産量が多いものはそうはなかったと思います。 先程、岩本さんから農薬で100分の1かなというお話がありましたが、たしか、一般化学品でも、10年後にマーケットで生き残っているものはそういうイメージだろうと思います。さらにいうと、100トンというオーダーのボリュームで生産されるかたちで生き残っているものはさらにその何十分の1ということになります。 化学物質審査規制法を30年ほど施行していますが、多くの生産量があるような新規化学物質は非常に数が少ないとご理解いただいていいのではないかと思います。 (司会) ありがとうございました。 (岩本) すみません。農薬は1万に1つですね。 (司会) 農薬が1万に1つぐらいだということです。ほかに質問はよろしいですか。では、議題4ということで、今日は特に6人の方をお招きしてお話しいただいたのですが、円卓会議についての要望、どういうテーマをこれから議論してほしいとか、どうあってほしいとか、その辺を6人の方からいただきたい。もちろんメンバーの方からも適宜ご発言いただきたいのですが、どうでしょうか。木村さん、どうぞ。 (木村) 私から4点ほど、こういった会議についての要望といいますか、意見を述べさせていただきたいと思います。 まず、化学物質と環境ということで今回開かれているわけですが、化学物質の場合、やはり健康被害というのが非常に大きな要素としてあるわけです。これまで、水俣病、カネミ油症などの大きな健康被害を日本では経験しているわけですが、やはりその再検討を必要としているのではないかと思っています。 次の3つの観点から必要だと思っているのですが、1つは被害の未然防止、もう1つは被害の拡大防止、そして、起こってしまった場合の被害の救済、これがはたして正しかったのかどうか。それから、社会全体としてまだやり残していることがあるのではないか。こういった教訓から学ぶべきことは大きいと思うのです。そういう経験を貴重な負の遺産として検討していく必要があると思います。 2点目は、現在の健康被害の対応についてですが、化学物質過敏症で現在苦しんでらっしゃる方はかなりの数に上っていると思います。私の方にもいくつか問い合わせが来ていまして、考えるのですが、こういった問題は、社会全体が連帯してどうやって救済していくかということをやっていく必要があると思います。 そのためには、ある程度の法的な措置も必要になってくると思いますので、そういった具体的な対策について検討していただきたい。例えば、化学物質フリーの生活空間をどうしたら作っていけるのか。予算措置や協力体制といったものを早急に整備していく必要があるのではないかと思っています。そうすることが、将来予想されるような被害の未然防止にもつながっていくと思います。 3点目は、規制のあり方の検討についてですが、やはり次世代の視点に立った規制のあり方を検討すべきだと思います。現在いる子ども、赤ちゃん、これから生まれる胎児の健康を守る、そのために私たちは何をすべきなのか、そして何をやめるべきなのか、これを真剣に考えていかないといけないと思います。便利さを追求して子どもの健康をないがしろにするのはばかげていると思いますので、次世代にとって私たち全員加害者であるという認識に立ち、環境基準や安全基準の改正、学校や家庭内の室内汚染の問題にも踏み込んだ規制強化が必要ではないかと思います。 4点目、リスクコミュニケーションのあり方について、私たち一人一人が環境問題の当事者意識を持つことが大切だと思います。組織や立場を超えた一人の人間としてどう行動していくべきなのか、現在のあり方でいいのかという視点で見直す、そのための議論を深めていってほしいと思います。 また、私たち自身もそれぞれの地域でそういった議論や活動を積極的に進めていきたいと思っています。環境問題の責任について、人のせいにするのはやめにした方がいいというのが私の意見です。ありがとうございました。 (司会) ありがとうございました。円卓会議への要望として4点、木村さんからご提案いただきました。1つは負の遺産から学ぶべきことということで、被害の未然防止、拡大防止、救済。2つ目は、現在実際に起きている健康被害について何らかの法的な手段を取るべきではないか、具体的な対策を取るべきではないかというご提案でした。そして、3つ目が規制のあり方について議論すべきだ。4つ目はライフスタイルとも関係してくるのですが、一人の人間としてどうかかわっていくか。そのような観点から議論してほしいというご提案でした。ありがとうございました。 ほかの方、どうぞ、中地さん。 (中地) 3点お願いしたいと思います。1点は、円卓会議の委員の構成が首都圏に偏っているような感じがして、市民というセクターでいうと地方の選出の方がおられてもいいはずなので、もっと地方の意見を出してもらって検討に反映させていただきたい。2点目は、私の報告でも言いましたが、未規制の化学物質を削減していくとか、あるいは管理していくというようなことについて、もう少しルールづくりを提案していただきたい。 3点目は、少し環境省の所管から外れるかもしれませんが、今、市民運動の中では放射性廃棄物の「スソ切り問題」という言い方をしていますが、福島の1号炉など、老朽化した原発が廃炉になって解体ということがあります。それで、放射線のレベルの低いものは一般の廃棄物と一緒にしようということで、原発周辺のコンクリートの廃棄物や鉄骨など、場合によってはリサイクルに回すというようなことも考えておられるようで、そういったものは今まで化学物質という範ちゅうでは取り扱われてこなかったわけです。原発の中で使われているものは全部原発の放射性廃棄物というかたちで管理してきた、文部科学省の所管だったわけですが、それが、一定のレベル以下は全部一般の廃棄物と同じ扱いになりますので、環境省や経済産業省の所管というかたちになってくるわけですから、その辺も一度議論していただきたいと思います。 (司会) ありがとうございました。この場は議論する場ではないのでご要望ということで伺っておきたいと思います。3点、中地さんからご提案がありまして、1つは円卓会議の委員がどちらかというと中央に偏っているのではないか、地方の意見を出せる人を考えていただけないかということ。2点目は、未規制の化学物質に対してどうするか、何らかのルールを検討していただけないか。3点目として放射性廃棄物についてのご意見がありました。ありがとうございました。 ほかに、どうぞ、ご自由に。 (堀野) 安全性の調査研究というパンフレットをいただいているのですが、ハザード評価、リスク評価、こういうものをできるだけ早くしていただきたい。といいますのは、先程私から発表しましたが、例えば、電気集じん機などを付けて外へ出ないようにしているわけですが、少なくしようと思うと、限りなく投資がいるわけです。やはりお金の面でも資源に限度がありますので、何が今一番危険なのかがわかれば、優先順位を決めて投資できるということです。その物差しを早く知りたいということです。 (司会) ありがとうございました。堀野さんから、安全性の調査研究を早くやって、優先的に改善すべきものを指摘してほしい、そういうご意見だったと思います。 それでは、梶間さん、どうぞ。 (梶間) まず、化学物質の中で、現在無害ということで発売され、PRTR法に含まれる物質の中で13項目について使用しているわけですが、そのうちいくつかは、当初無害、そのあといろいろ問題が発生して有害物として取り扱われたものはたくさんあるわけです。そういう意味から、こういうものが市販される前に、もう少し事前調査の充実を図っていただき、使用したあとで問題が発生しないように何らかの方法を考えていただきたいということです。 もう1点、私は、小学校高学年を対象に環境問題について教えによく行くわけですが、その中で感じることは、教科書には公害の結果だけが載っていて、公害や化学物質についての教育は何もされていないということです。小学生と話していますと「私たちは結果しか知らないので、悪いことしかわかりません」ということで、最初にかえって、法の解釈など、どういう法がどういうかたちであるのかということを簡単なものでも教えてもらいたい、そういうのが小学生の意見でもありますので、その辺も含めて検討願えればと思っております。 (司会) ありがとうございました。梶間さんからは、当初問題がないということで使っていてあとから問題が出てきた、非常に混乱が生じるということで、事前にいろいろ審査をしてくれないかというご意見。もう1つは、広い意味の環境教育だと思うのですが、環境や安全の教育を小中学校でぜひやってほしい、そういう意見と承りました。 ほかにいらっしゃいますか、中村さん、どうぞ。 (中村) 化学物質とは直接関係ないかもしれませんが、私たちNPO湖南環境というのは、こういう場所で紹介されたのは初めてで、行政なり、あるいは市民団体がいろいろありますが、そういうところとパートナーシップを組みながら今後とも展開していきたいと思いますので、声をかけていただくことと、いろいろ教えていただくことがあればどんどん声をかけていただければと思っております。 それと、NPOというと、産業界、企業のこの活動に対する理解がちょっと不足しているのではないかという気がしているのですが、もっと産業界のトップやミドルのNPO活動への理解と支援をいただき、賛助をしていただければさらに活発に活動できるのではないかという気がしております。 (司会) ありがとうございます。そうすると、円卓会議への要望としては、市民活動をいかに活性化していくか、社会的位置づけをどう考えていくか、その辺の議論をしてほしいという理解でよろしいですか。 それでは岩本さん。 (岩本) 先程瀬田さんの話にもあったのですが、今こういった微量化学物質の問題というのは、学者の中でもいろいろ意見が分かれていると思うのです。データの見方にしてもいろいろな見方がある。そうすると、やはり市民の方が一番困るのはそこではないかと思うのです。 いろいろな意見を聞く場をうまくセットし、その中で皆さん一人一人が、予防原則といいますか、それぞれの立場で判断していくことが必要ではないかと思います。どうもその辺の末端までの情報の伝わり方が不十分ではないか。あるいは、共通の勉強する場といいますか、そういった場をこれから作っていくことが必要ではないか。社会の人々の役割が大きくなってくると思うので、その人たちに正しい理解をしていただくことが一番大切ではないかと思います。 (司会) ありがとうございました。自己責任、そういう時代で、判断できるようなデータ、いかに情報を流していくか、そういう場を持つべきだというご意見を伺いました。どうぞ。 (深田) ありがとうございます。今のご意見に対して、もう少しお願いしたいと思っております。今日、私は行政という立場で出させていただいておりますが、当然地元に帰れば一市民でございます。 そのようにいろいろな立場がそれぞれあるわけですし、化学物質の問題に対する理解あるいは認識もそれぞれ違うわけですので、そういった立場や認識の違いを超えてみんなで議論していかないことには方向付けというのは出てこないと思っております。 そのためには、今お話がありましたように、広くそういった情報をきちんとお伝えするものが必要だと思っておりますし、特に化学物質というのは、一般という言い方は語弊があるかもしれませんが、普通の人間には非常にわかりづらい部分がたくさんあると思いますので、そういった情報をわかりやすく共有できる具体的なシステムを作ることが非常に大切だと私も思いますし、そのためには、情報発信者としてのマスメディアの役割というのがあるのではないかと思うのです。そういった面でのご議論をお願いできれば私としては大変うれしいと思います。ありがとうございます。 (司会) ありがとうございました。深田さんからは、いかに情報を共有していくか、その中でマスメディアの力が非常に大きいので、マスメディアをどのように利用するか、マスメディアのかかわりというものを議論してほしい、そういうご意見だったと思います。 出光さん、どうぞ。 (出光) 私の業界は、深田さんの発表の資料の中にもありましたが、同じように考えると、深田さんと意見は同じなのですが、例えば、水資源という議論をした場合、私たちが作る製品から環境に負荷を流している、これはそのとおりだと思うのです。もちろん、私たちはできるだけ削減する努力もしています。 同時に、例えば下水処理、下水の負荷は、私どもの商品より、当然のことながらし尿や残飯の方が多いといわれているわけです。そうすると、個人の生活の中で、台所からどのように処理するのか、これはやはり一人一人の問題です。それから、下水の普及率を考えても、滋賀県は当然ご存じだと思いますが、日本でもせいぜい60%です。イギリス、フランス、ドイツと比べてどうなのか、これは行政の責任も考えなければいけない。木村さんの34ページは私も同感なのですが、やはり批判ではなく提案、対立ではなく対話、要求ではなく協働という言葉が、この円卓会議のキーになる考え方だろうと思うのです。 ですから、部分の最適を要求するのではなく、全体の中でどうやるかというのが本来この円卓会議の趣旨ではないかということで、お互いに何ができるのだろうかというのを、どれだけお互い提案し、理解しあえるか。おそらく、納得できないところはお互いにあると思うのです。立場も認識も違うところがあるということで、ただ、理解しあうことはできるのではないかと思います。 (司会) わかりました。まだご意見はあると思いますが、そろそろ時間ですので、せっかくですから、フォーラムにおいでの皆さん方からこの円卓会議についてのご意見なりご要望なり、また、先程6人の方に発表いただき、その方への質問も書いていただいておりますので、残り30分ほどをそちらに使いたいと思います。 |
5.フォーラム参加者からの要望・意見 (司会) では、順番に質問にお答えいただけますか。 (木村) お名前はお読みした方がよろしいのでしょうか。(名前の公表の可否は書いていないので、)では、お名前は呼ばずに。 先程説明しました「自分のまちの化学物質研究会」について、「参加者の方がほとんど住民ということで、正確な知識をちゃんと理解していないとマスコミ等で報道されて危険視されているもののみに注目してしまうおそれがある。専門家を招いての勉強会や環境学習・教育をどのようにされようとしているのか。また、企業や自治体にどのように働きかけようとされているのか」というご質問をいただきました。ありがとうございます。 これもまた宣伝になるのですが、受け付けに黄色のビラがあります。実は、明日、この時間、同じこの場所で、中南先生という方の研究会があります。そこで、「命、暮らしと化学物質」というタイトルで特別講演を予定しております。無料ですので皆さんぜひご参加ください。 こういったかたちで講演会などもしようと思っているのですが、1つ重要だと思うのが、専門家の方から学ぶことだけが環境教育や環境学習ではないということで、健康被害を受ける人というのは社会的な弱い立場の人であったり身体的に弱い人であったり、実際に被害のある方から学ぶというのは、これまでの公害問題も含めて非常に重要なことだと思っていますので、実際の事例に学んでいく、材料は日本各地にありますので、そういったものを生かして学習会の場で一緒にやっていきたいと思っています。 また、特定の化学物質に偏ってしまうのではないかというのは、私もそのように思っており、例えば、化学物質過敏症の方であれば、隣の方の化粧や整髪料で近づけない、この会場に来ること自体が難しいわけです。そういった方から、自分が実際使っているものについても問題があるのだという認識を持っていくこともできると思いますし、そういうかたちで進めていきたいと思っています。 企業や自治体にどのように働きかけていくかということですが、これはこれからの宿題で、みんなと一緒に考えていくのですが、悪いところや問題点を見つけていくのではなく、できればよいところを、今日ご発表いただいたいろいろな方がさまざまな取り組みをしていらっしゃいます、そういういいところを見つけていくのも環境運動の1つの重要なことだと思いますので、優良企業のランキング調査や、行政でいえば優良な行政マン、個人個人、非常にすばらしい活動をしている、そういう人をピックアップして広めていくというのも環境運動を進める1つの材料かと思いますので、そんなことができればと思っています。 (司会) ありがとうございました。それでは、深田さん、お願いします。 (深田) 会場の方だと思いますが、「滋賀県行政の方で管理責任を知っている人」ということになっているのですが、「1、滋賀県下におけるPCBの保管・管理状況は十分把握できているか。2、その処理の進展状況はどうなっているか。3、未処理の量は何トン残っているか。4、その最終処分は何年までに完了する計画になっているか」という質問です。 申し訳ございませんが、所管しておりませんので詳しくは存じ上げません。保管責任があることは知っておりますが、私の知る範囲で答えさせていただきます。処分方法が決定されるまでは保管責任があることは私も承知しておりますし、県議会でも数年前に取り上げられたことがありますので、そのときの答弁としましては、県内の保管量は把握できているということです。 ただ、問題が発生した昭和40年代ごろの保管量に比べると、不明量が出てきているのも事実です。今、国の方で処分方法や具体的な処分場所などが検討されておりますので、それが決定されたあと具体的な処分に移っていくと思っております。したがいまして、まだ当分は現在保管されている状況が続くのではないかと私は思います。 (司会) ありがとうございました。 それでは堀野さん。 (堀野) 1点だけ質問が来ております。かなり専門的なことで恐縮ですが、私の説明の中で、「研磨スラッジを除鉄後原料化」と書いておりますが、「その除鉄したものはその後どのようにされるのでしょうか」という質問です。 研磨剤は酸化アルミニウムで、それに鉄が半々ぐらい含まれると考えてください。それを脱水・乾燥したあと、有害物質の入っていないものに関してはセメント会社が引き取って、セメントの原料にしていただいております。セメント会社が使えないものは埋立処分です。 (司会) では、梶間さん、どうぞ。 (梶間) 私の方は2点いただいておりまして、まず、ゼロエミッションの定義ということですが、私どもでは、総排出物の0.03%以下がゼロエミッションの達成というかたちで定義しています。 もう1点は塩ビ系の産廃プラスチックの処理についてです。まず、塩ビは皆さんご存じだと思うのですが、60%が食塩だと考えてもらって結構かと思います。ですから、塩素系プラスチックということになるのですが、低温で燃やすと確かにダイオキシンは発生します。大体、今、800度以上で燃焼させますと90%以上のダイオキシンがなくなるとされております。 塩ビはプラスチックの中でも非常に特性のいいプラスチックで、耐光性がよく加工性がよく、耐薬品性に富んでおり、これに代わるものはあまりありません。そういうことから、処理時の問題点が非常に発生してくるわけです。 処理はどうされているかというところに「分別していますか」ということなのですが、まず分別してリサイクルをします。塩ビは非常にリサイクルしやすいプラスチックで、構内でも95%はリサイクルしております。分別がまず必要なものですから、徹底してやっております。その後どうしても処理できないものが発生するわけですが、それは高温処理しています。2000度以上の電気炉ですべて処理します。そうなるとダイオキシンは全く発生しません。 (司会) ありがとうございました。中村さん、どうぞ。 (中村) 2点ありますが、そのうちの1点についてお答えしたいと思います。 質問の内容は、「環境コミュニケーションの手法として持続可能ということがコンセプトになっているということで、グローバルスタンダードになりつつあります。このコンセプトについて、環境保全だけでなく、社会的公正や経済発展という側面についてもバランスよく考慮していくことが必要となります。環境NPOという立場から、持続可能についてどのような展望を持たれるか、見解を持たれるか。さらに、持続可能性について、業者や行政に対する期待があればお聞かせください」。 的確な答えでないかもしれませんが、お答えしたいと思います。ISO14001の中には、キーワードとしては、継続的改善をしていく、スパイラルアップしていくということが基本なので、それをやっていくにはPDCAも回しながら改善していく、これが基本です。我々のメンバーにはそういう経験者が非常に多くいるということと、例えば「マザーレイク21計画」におきましても、2020年に琵琶湖の水が昭和40年代前半の水質にと、あるいは、あるべき姿は2050年には30年代の水質にと、こういうことがありますが、これぞまさに継続的改善をやらないと、いくら行動計画を立てて実践に移しても3~4年でへたってしまうようではいけない。やはり、継続的改善を基調に生かしていかなければ達成できないものだと思っております。 事業者や行政も、滋賀県は特に行政もISO14001を取得し、さらに家庭版ISO14001を推進していこうとしておりますが、こういうことを常に行動しているということが持続可能ということにつながってくるのではないかと思っております。 (司会) ありがとうございました。中地さん、お願いします。 (中地) 「NGOびわ湖リスクコミュニケーションネットワークでは、市民対行政、市民対企業、行政対企業の間のリスク問題のトラブルの仲裁にはどのような組織がよいと考えられますか」という質問ですが、まだまだ私どもの会で共通の見解というのはありません。 公害等調停委員会というのがあり、公害被害の問題については裁判より迅速に解決する方法というかたちで、法律も作られてやっているのですが、実際私どもがかかわった経験からしますと、例えば香川県の豊島のように、公害調停を申請してから7年かけてようやく調停成立というようなところもありますし、大きな事件ですと非常に時間がかかるというのは同じだと思います。 こういったリスクコミュニケーションを図るような問題というのは、もっと小さなことでなるべく早く短期間に解決しなければいけないことがあると思いますので、できれば常設の何らかの中立の機関、例えば、地方労働委員会のようなものを私は考えているのですが、そういうかたちの行政と企業と市民の代表が入った公的な機関を作っていただき、そこで非常に小さな問題も含めて調整を図るようなことをしないといけない。 例えば、学識経験者の方にファシリテーターを依頼するにしても、数が多くなると、例えば、北野先生が毎日ほかのところに出かけるような話になりますと研究もできませんから、そういう意味で、専門的な方を養成することも必要ではないかと思っております。 (司会) ありがとうございました。この円卓会議で議論していただきたいテーマ、要望、それについてはまた後程事務局から発表していただきますので、まだいくつか質問が残っていますから、加賀爪さん、どうぞ。 ![]() ![]() 難しい質問ですが、おそらく、シンボルがあった方が取り組みやすいし、取り組みの成果が検証できるということになると思います。そういう意味で、関西地域でと考えますと、山陰地方を除けば、瀬戸内海がやはり共有の場として考えられるのではないかと思います。 ただ、そういうシンボルが重要なのか、もしくは、何か問題を共有化して市民なり行政なり企業なりがそれぞれの役割を持ちながら、小さなことでも解決していったという一つ一つの積み重ね、経験、記憶、そういうものの方が大きな力になっていくのではないか。そういうものの積み重ねでしかないのではないか。地域で現場を預からせていただいている立場からはそういう気がしております。 (司会) ありがとうございました。では、もう4~5分時間を取りまして、片桐さん、どうぞ。 (片桐) 私は、ほか2名の方に質問が来ていまして、かなり手厳しい質問ですが、「質問と答えを聞いてもかみ合わない、方向性が見えない。責任者が不在、だれが責任を持って解決するのですか。企業と行政ですよ、住民には技術的にも困難です。データも公開されていない。行政の代表の話を聞きたい。このような問題がこれからも発生する。リーダーシップを取る責任者、腰が引けている印象を受けます」ということです。 7ページの「問題解決のために必要なこと」という中でお話ししたことだと思うのですが、まず、こういうかたちでリスクコミュニケーションをやっていく段階で、いろいろな課題があろうかと思います。私も行政にいたときにいろいろやっていましたが、汚染事件に向けての解決の方法や廃棄物処分場の問題といったものについては、当然行政はリーダーシップを取ってやっていかなければいけない、それはあたりまえのことです。それをやっていく段階で、どこで情報を公開するのか、どの時点で公開するのかというのが一番難しいと思います。 この前、第2回(化学物質と環境円卓会議)ですか、浦野さんが来ていろいろ話したときに、できるだけ早い時期に情報を公開すればスムーズに話し合いが進むでしょうという意見もありましたし、この会議では、今後その中でリスクコミュニケーションをどういうかたちでもっていくか、これから詰めていきたいと思いますが、要するに、どういう問題についてはどういうかたちで進めていくかということ。住民と紛争が生じてしまうような問題については、解決のしかたがまたちょっと違ったかたちになるかもしれません。汚染事件のようなかたちになりますと、化学物質全般についてのリスクコミュニケーションとは違ったかたちで考えなければいけないかもしれませんので、今後この円卓会議の中でその辺の切り分けができるかどうかですね。 行政には行政の責任がありますし、企業には企業の責任があります。また、市民の方々、個々の市民の方々、NGOの方々、少し役割が違うかもしれませんが、その辺の役割分担ということについてもいろいろ議論していかなければいけないのではないかと思います。私自身いろいろやってきていますし、行政の方としては、市民の団体の方々、個々の市民の方々、どうやってバックアップしていくか、それも非常に大きな問題になろうかと思います。 私どものセンターでも養成講座等をやりまして、市民の方々をいろいろバックアップするような体制を取りつつありますが、まだまだ十分でないとは思います。そういう中では、地方の研究機関ですとどうしてもすべての研究をできるわけではありませんので、大学や国の研究機関からいろいろな情報を収集し、それをいかに早い段階で市民の方々にどういうかたちで知らせるか。それが地方の研究機関の役割ではないかと考えております。 (司会) ありがとうございました。有田さん、どうぞ。 (有田) 片桐さんと同じ質問が私のところにも来ていまして、これについてはたぶん今日のスピーカーに、意見ではなく、私は質問というかたちで聞きましたので、会場にみえている方で、なぜあんなことを聞くのだろうと思われた方がいらっしゃるのだろうなとは思います。 ただ、「問題解決のために必要なこと」ということで出されていたペーパーでしたので、今、私は、ちょっとこことは関係ないのですが、行政訴訟と司法制度改革の方も研究しており、その中で、要するに情報が少ないから行政訴訟が少ないというようないろいろなデータもあるのです。 そういう中で、情報公開がないではないか、データが公開されていないではないかというご意見とはよくわかるのですが、リスクコミュニケーションの中で、ファシリテーターという役割を今後どういうかたちで養成するか、1つは、そういう部分もあったのでお聞きしたということです。 もう1つ、これは片桐さんのセンターが関係しているのですが、私は1990年ごろから大気汚染測定も水質調査もずっとやってきていますが、そのときに、行政のデータも含めて出していただいています。それで比較しながらやっていますので、そういう意味では一緒にやっていけることもあるし、というような意味もあって、中地さんにはそのように質問しました。 それから、これは質問ではなくご意見で、「木村さんのご健闘を祈ります」とお書きになっていて、NGO代表の市民が何とふがいないのだろう、何を聞いているのかわからないというご意見かもしれませんが、やはり話し合いの中で、私たちNGOはもちろん科学的な知識の少ないところもあるのですが、その中で、経験や勘で変だなというのは確実にあります。 そういう中で改善していくものと、私が先程、予防原則のことを質問しましたのは、そのシステムをどのようにしていくかがはっきりしないと、感覚だけで言っていても先に進まないというのがあってお聞きしました。 (司会) ありがとうございました。田中さん、どうぞ。 (田中) 今日、いろいろ聞いていますと、リスクコミュニケーションということで若干感じたことがあるのですが、特にこの地に来まして、滋賀県では、その当時そういう言葉があったかどうかわかりませんが、石鹸を使うようになったとか、農薬を減らすとか、市民運動の中から成功した例だと思うのです。 この当時、滋賀県がどのような苦労をされたのか、そういった成功例もぜひ聞いて、やはりリスクコミュニケーションに、我々は今どうやるべきかということを考えているのですが、その1つの参考になっていくのではないかと思います。 (司会) ありがとうございました。村田さん、どうぞ。 (村田) 1つ前のセッションで、三菱樹脂の梶間さんでしたか、初めは無害だというので問題なく使えていたものがあとになって有害だとわかるのは困る、これは、市民側にとっても全くそのとおりです。これはこの円卓会議の大きな議題の1つになるかもしれません。今まで、行政がこれは害だというのを証明してきたわけです。その立証責任がどちらにあるのか。供給する側が安全を確かめてから供給するのが市民にとって一番ありがたいわけです。 これは予防原則の話と関連しますが、だから明日からそうしろという簡単な問題でないことは理解していますが、この問題はやはり円卓会議で話すべき1つのテーマだと思います。 (司会) はい、わかりました。黒木さん、どうぞ。 (黒木) 農林水産省あてに2つ要望が出されています。1つが有機農産物の認証について、それと、農薬の空中散布を廃止するようにと。これにつきましては、ご要望ということで農水本省に伝えたいと思います。 ただ、ちょっとお断りしておきますと、有機農産物の認証につきましては、消費者に本物の有機農産物を食べていただこうということから導入しており、この方は、一生懸命作っているが周りの土地で普通の農業が行われていてなかなか認証されないということでお悩みのようです。そういう話を多々聞いておりますので、本省の方に検討するように伝えておきたいと思います。 また、農薬につきましても今研究しており、無毒化されるようなものを開発したり、病害虫に強い農作物を作るというようなことでやっておりますので、日々の農作業が大変でしょうが、研究開発が進むまでもうしばらく待っていただきたいと考えております。 (司会) ありがとうございました。ほかに質問は来ていますか。瀬田さん、どうぞ。 (瀬田) 実は、私は旭化成ですが、滋賀県に支社があります。ここに来る前、昨日の夜入って工場に行き、この地区でどういうことが問題になっているか、地域の皆さんがどういう活動をしておられるのか、旭化成としてどうしているのか、つぶさに聞いてきました。あわせて、伏流水の出てくるところや、そこから住宅地を通り、農地を通って琵琶湖に至る水の流れ、一部ではあるが湖岸の状況も一通り見てきましたので、先程からのお話をお聞きして、多分よりよく理解できたと思っています。 したがって、こういうフォーラムはもう終わりかもしれませんが、折角地域に来たのですから、現場の対環境文化や努力の様子を自分の眼で見てから、議論するとよいのではないかと思います。 (司会) ありがとうございました。まだいくつか質問が来ているのですが、時間になってしまってすべてお答えできなくて申し訳ありません。次は、この円卓会議について、どういうものを議論してほしい、どうあってほしいという要望をいただいていますので、事務局からご説明をお願いいたします。 (事務局) その前に1つご質問が来ておりまして、PRTRの届出につきまして、いわゆる1トンでのスソ切りについて、この1トンが妥当なのかどうかというご質問です。もともと法律そのものの目的が、化学物質の排出量等を把握することにより、ひいては化学物質の管理の適正化、改善を図っていこうということです。その中で、当然これはメンバーからもお話がありましたように、化学物質の排出量を把握することは大変な負担を伴うことですので、目的とそれに伴う負担のバランスを考えながらこの限度が定められている。この限度につきましては、パイロット事業あるいは自治体独自の調査等を踏まえ、その結果について国の審議会等での議論、さらにはパブリックコメント等を通じて定められたもので、現時点における知見上はおおむね妥当なものであろうと考えております。 そのほかたくさんのご要望・ご意見、あるいはこの円卓会議で議論していただきたいことというのが来ておりますので、時間の関係で、項目のみご紹介させていただきます。 リスク・コミュニケーションの進め方についてのルールづくりについて議題として扱ってほしい。 企業が製品中に使っている物質の公開と標準品の提供について議論してほしい。 母乳による乳児への影響、あるいは乳児や幼児用のおもちゃや食器に対する化学物質規制、さらには生態系への影響について議論してもらいたい。 人体や生態系への影響に何がわかっているのか、わかりやすく国民に伝えることについて。また、円卓会議の運用について、今の人体や生態系への影響について専門に研究している研究者をメンバーに数名は入れるべきではないかというご意見もあります。 化学物質の削減について、また、廃棄物の埋立処理を中止することについてというご意見もあります。これは中地さんのご意見等にもありましたが、未規制あるいはグレーゾーンの化学物質、影響の不確実な化学物質の削減への取り組み方法について議論してほしい。あるいは、個々の事業所の化学物質使用削減が地域的なリスクの総体への削減にどのように効果があるのかということについて議論してほしい。 飲み水の安全性と化学物質にフォーカスしたテーマについて議論してほしい。 技術が後退しても有害物質は厳しく制限するのかどうか。化学物質管理の今後のあり方について議論してほしい。あるいは、5年、10年と長期ビジョンにおける企業の化学物質管理のあり方について議論してもらいたい。 市民に対する化学物質リスク・コミュニケーションのあり方について議題として扱ってほしい。 化学物質を削減した生活、あるいは経済等を明らかにして、そのうえで化学物質とのつきあい方を議論してほしい。 システムや教育といったコミュニケーションのための基盤づくりについて議論してほしい。 農業や森林保全といった環境問題の原点とは何かという議論もしてほしい。 最後に、紹介する必要はないということですが、この円卓会議はゲストとメンバーのかけあいがうまくとても感心しました(笑)。時間配分も絶妙と感じました(笑)というご意見もいただいております。 (司会) どうもありがとうございました。 |
6.閉会 (司会) 残念ながら時間になってしまいました。メモには私が最後に一言総括しろと書いてあるのですが、やはり化学物質を安全に賢く使っていくには、企業と行政と住民のパートナーシップの確立が必要だと思っております。そのためにはもちろん教育も大事ですし、それぞれの役割分担をどうするかということも議論が必要だと思っています。 その1つの手段として、今日盛んに出てきたリスクコミュニケーションというものがあるのではないか。ただ、リスクコミュニケーションとあまり大上段に構えないで、例えば住民との対話集会など小さなものから始めていき、最終的には本来のリスクコミュニケーション、例えばファシリテーターを置くなど、そのようなかたちが必要だろうと思っております。 今日は長時間にわたり本当にありがとうございました。それでは、これにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました(拍手)。 |