- 日時:平成17年1月20日(木) 16:00~17:45
- 場所:経済産業省別館8階 846号会議室
- 議題
(1)環境技術実証モデル事業について
(2)ほう素等排水処理技術について
(3)実証試験要領(案)について
(4)今後の検討スケジュール(予定)について
(5)その他 - 出席検討員 小坂幸夫、滝沢英夫、名取眞、藤田正憲(座長に選出)、宮崎章
- 配布資料
- 資料1
- 環境技術実証モデル事業の概要
- 資料2
- 環境技術実証モデル事業実施要領
- 資料3
- 平成16年度の対象技術分野の追加について
- 資料4
- ほう素等排水処理技術について
- 資料5
- ほう素等排水処理技術実証試験要領(第一次案)
- 資料6
- 今後の検討スケジュールについて(予定)
- 参考資料
-
- 1
- モデル事業実施体制
- 2
- 環境技術実証モデル事業の流れ
- 3
- 環境技術実証モデル事業検討会設置要綱
- 4
- 同 非金属元素排水処理技術ワーキンググループ会合設置要綱
- 5
- 実証試験要領のイメージ
- 6
- 環境技術実証モデル事業パンフレット
- 議事
会議は公開で行われた。
(1) 開催の挨拶等
【事務局(太田課長)】
- ほう素、ふっ素については平成13 年6 月に水質汚濁防止法による規制が開始した。一律基準の達成が困難な40 業種に対しては、当初暫定基準が設けられた。現在では、そのうち14 業種について一律基準が適用されている。残りの26 業種について、平成19 年までの間に暫定基準を見直す必要があり、このためにも、排水技術を見直して2いくことが重要になっている。
- 特にほう素処理は困難で、技術開発とその普及が重要課題となっている。モデル事業に本技術分野を追加することによって、ほう素処理技術についての評価と普及を推進してゆきたい。検討員の皆様におかれましては、ご専門の立場から忌憚のないご意見を頂戴したい。
- 事務局より、検討員と事務局の紹介が行われた。
- 事務局により、資料の確認が行われた。
- 事務局より、藤田検討員に座長就任が依頼され、全検討員の承認を得た。
【藤田座長】
- 本事業の趣旨は、既存技術の評価が主たる目的であるが、本事業でこの技術分野を取り上げることにより、排水処理機器メーカーに更なる技術開発を促すという目的もあると理解している。
- 本ワーキンググループでは、実証試験要領の策定、実証機関の選定、実証試験結果の承認に際して助言を行うという役割がある。検討員は、忌憚のない意見を述べていただきたい。
(2) 環境技術実証モデル事業について
- 事務局より、資料1、資料2、資料3 に基づき説明が行われた。
【藤田座長】
- ほう素処理技術の実態として困難な目標ではあるが、本モデル事業の対象は、シンプルで薬剤を使用せず、低コストの技術を歓迎したいということである。
【小坂検討員】
- 本技術分野で想定している排出者は、主として旅館業という認識でよいのか(資料3に関して)。
【事務局(村山)】
- この技術分野では、旅館業、めっき業の2業種を主な排出者として想定している。
(3) ほう素等排水処理技術について
- 事務局より資料4に基づき説明が行われた。
【宮崎検討員】
- 旅館業(温泉旅館)、電気めっき業を対象技術に対する排出者として想定しているようだが、図表2 では金属鉱業・粘土瓦製造業の方がこれらよりも基準は緩いようである。これら2業種が選ばれた理由を確認したい。
- 本事業の業務は技術実証にあるが、技術の普及・アピールや、補助金による優遇策も並行して実施しなければ、環境技術の普及に効果がないのではないか。環境省ではどのような政策支援を検討しているのか。
【事務局(村山)】
- 昨年度に暫定基準の見直しを検討した際、各業種から意見を聴取した。それらの意見を勘案し、第3次産業では旅館業、第2次産業では取り組みが最も困難な業種として電気めっき業を取り上げた。
- 実証が行われた技術は、本事業において環境省ホームページへの掲載等が計画されている。特に優遇策の実施は決定されていない。
【事務局(上田)】
- 本事業では、実証が行われた技術をホームページ上におけるデータベースに掲載する他、技術へのロゴマーク添付についても検討している。
【藤田座長】
- 図表7に主な処理方式が整理されている。実証試験要領の策定にあたっては、これら以外の技術が登場する可能性もあることを、検討員は留意していただきたい。
(4) 実証試験要領(案)について
- 事務局より、資料5に基づき説明が行われた。
【名取検討員】
- 13 ページに示されている監視項目は、流入水を対象としているが、処理水を対象としないのか。
【事務局(清水)】
- 対象技術装置への負荷をみるため、監視項目では流入水を主に対象としている。処理水では、ほう素を中心に検討している(実証項目)。
【名取検討員】
- 排水処理装置に関する通常の試験では、非金属元素を対象とする処理装置であっても、BOD等について処理結果を掲載することが多い。この度の試験要領においても、同4様な考え方をすべきではないのか。
【事務局(清水)】
- 本技術分野では、ほう素処理能力の実証が中心になることを明確にしたい。監視項目で挙げているBOD等は、流入水及び処理水両方の分析を行うことで、実証機関の負担が大きくなると判断したことから、処理水を対象としていない。
【名取検討員】
- 図表7で挙げている処理技術は特に目新しいものではないが、温泉排水を対象にしたもので小規模な装置を考えた場合、これらの処理技術が適切かどうか疑問の残るところである。
- 小規模有機性排水処理技術では、ベンチャービジネスが十分発達しているが、ほう素等排水処理技術分野ではあまり発達していない。技術開発者は応募に際して苦労するのではないだろうか。
【事務局(清水)】
- 温泉排水を対象にした処理技術が少ない事実は理解している。しかし、本事業の実施をきっかけとして、開発を促進したいと考えている。
【藤田座長】
- 同感である。実証試験を行うことが、排水処理メーカーへの刺激になることを期待している。人体に対するほう素の影響を考えると、処理技術が少ないからといって、ほう素を問題としないわけにはいかない。ほう素処理技術について取り組んでいく必要があるだろう。
- 流入水だけを測定することには、排水処理技術業界の常識から考えると、やはり疑問を感じる。測定コストの点も理解できるが、流入水の測定だけで装置を評価することは難しいだろう。ほう素のみならず、他の汚濁物質も同時に除去できる技術があれば、そうした効果も副次的な効果として評価すべきではないのか。
- 公共用水域への放流を前提とするならば、処理水において確認しなければならない項目もあるだろう。
【事務局(清水)】
- 処理装置を経ることで変化が期待できる項目を水質実証項目とし、変化はしないが装置の処理能力に影響を与える可能性がある項目について監視項目としている。
- 参考実証項目を示した表では、あくまで主な例を示している。ほう素処理能力以外にも処理能力が見込める場合、実証機関と環境技術開発者の協議に基づき、参考実証項5目を追加してよいこととしている。
【藤田座長】
- 監視項目を具体的に挙げてしまうと、実証機関は義務のように受け取って実証試験計画を作成するのではないだろうか。そう考えると、参考実証項目に処理される可能性がある項目を示していないのは不自然である。
- 表現方法の問題だと考えているので、処理技術と排水特性に応じて実証機関が適切に検討できるよう表現を改めてはどうか。
【宮崎検討員】
- 表3にほう素回収率という参考実証項目が挙げられている。この項目の算定には、流入水
- 処理水ともに流量と濃度の計算が必要である。流入水の監視項目にほう素濃度が挙げられているので、重複することになるのではないか。
- 実証項目について分析方法を示しているが、監視項目については記載していない。また、ノルマルヘキサン抽出物質含有量などの測定では、日本工業規格に定められた方法と環境省令で定める方法に違いがあったように記憶している。監視項目の測定方法についても、なんらかの例示を入れてはどうか。
- 付録0において、ISO17025などを示しているが、実際に取得している自治体どのぐらいあるのか。
【事務局(宗像)】
- ISOについては、ほとんどの地方自治体が取得に至っていない状況である。事務局では、そうしたシステムの重要性を認識しているので、内部監査体制の構築等を呼びかけていきたい。
【事務局(清水)】
- 実証試験実施場所の排水特性が確定する前でもあり、監視項目の測定方法を示すことには限界がある。そのため、大きな枠組みや考え方についてのみ示すようにしている。
【名取検討員】
- ほう素はPRTR制度の対象物質となっているが、電気めっき業の小規模事業場に対して、環境省から何らかの指導が行われているのか。
【事務局(清水)】
- めっき溶剤の緩衝剤としてほう酸が使用されているが、それ以外の物質で代用しようとする研究が進んでいるようである。しかし、そうした代用物質では、キレートが形6成されてしまい、排水処理がより困難になる課題もあると聞いている。
【小坂検討員】
- 当研究所において、クエン酸を用いたほう酸代替めっきについて研究
- 開発を行っているが、まだ開発途上である。
【滝沢検討員】
- 旅館業における最大の課題は、ほう素を含む温泉排水に対する意識の低さである。ほう素がなぜ問題になるのか、といったことをもっとアピールしなければ、処理技術の普及には至らないだろう。
- 温泉水の分析方法は劇薬を用いるなど特殊であり、日本工業規格で定める分析方法との整合性が気になる。
- 水質汚濁防止法の特定事業場に指定されていない日帰り入浴施設の温泉排水は、現状規制対象外となっている。こちらも想定排出者に含めないと、旅館業から不公平感が出る。
【藤田座長】
- 浴槽から溢れた温泉水は、生活排水と合流した後に処理されているのか。
【滝沢検討員】
- 直接放流している事業場もあれば、温泉専用の下水道を設置している事業場まで様々である。
【藤田座長】
- 温泉排水と生活排水と合流させている事業場では、排水処理が困難になるのではと懸念している。
- また本事業を通じて、少しでも旅館業の方々における意識を変えることができればと期待している。
(5) 今後のスケジュール(予定)について
- 事務局より、資料6 に基づいて説明が行われた。
- 本ワーキングでの意見を考慮し、事務局が実証試験要領第2次案を作成し、座長の確認を得て、パブリックコメントにかけられることとなった。
- 次回検討会は3月中の開催を予定し、後日調整が図られることとなった。
(以上)