環境省水・土壌・地盤環境の保全土壌関係中央環境審議会等における検討中環審答申及び検討会土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会

土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会(第2回)会議録


1.日時

平成13年1月23日(火)10:00~14:00

2.場所

全共連ビル No.18会議室

3.議題

(1)地方公共団体における土壌汚染対策について(ヒアリング)
(2)主な検討課題の整理について
(3)その他(次回の日程等)

4.出席者

(委員)
大塚 直 委員 河内 哲 委員 嶌田 道夫 委員
高橋 滋 委員 谷川 義夫 委員 中杉 修身 委員
野口 基一 委員 林 裕造 委員 原田 尚彦 委員
細見 正明 委員 松村 弓彦 委員
(吉田 文和 委員は欠席)
(地方公共団体)
小松 秀明 東京都環境局環境改善部土壌地下水担当課長
(事務局)
石原 一郎 水環境部長
福井 雅輝 水環境部企画課長
伊藤 洋 水環境部土壌環境課長
内藤 克彦 水環境部土壌環境課農薬環境管理室長 他

5.配付資料

資料2-1 土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会委員名簿
資料2-2 地方公共団体における土壌汚染対策について
資料2-3 主な検討課題について
参考資料2-1 主な地方公共団体の土壌環境保全対策に関する条例・要綱の概要
参考資料2-2 「土壌の汚染に係る環境基準の項目追加等について」
(平成12年12月26日中央環境審議会答申)

6.議事

【事務局】 ただ今より土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会(第2回)を開催する。まず、水環境部長より御挨拶申し上げる。

【水環境部長】 (挨拶)

【事務局】 続いて、資料の確認を行う。(資料の確認)
 それから、本日は、吉田委員より欠席との御連絡をいただいている。
 また、前回の検討会を欠席された細見委員と、地方公共団体における土壌汚染対策についてのヒアリングのために御参加いただいている東京都環境局環境改善部土壌地下水担当の小松課長を御紹介する。
 前回の会議録については、既に案を各委員に送付しており、概ね御確認いただいているが、さらに問題等があれば本日中にも御連絡いただきたい。
 では、議事進行を座長にお願いする。
(1)地方公共団体における土壌汚染対策について(ヒアリング)

【座長】 本日は、東京都の小松課長、神奈川県の野口委員、新潟県の谷川委員から、それぞれの県における土壌汚染への取り組み状況、あるいは条例その他の対策の概要及び国に対する要望・意見等々についてお話をお伺いする。
 第1の議題については、大体1時間半を予定しており、各県からそれぞれ15分程度お話いただき、その後10分程度の質疑を行いたい。その後、全体を通しての質疑、意見交換を20分程度行う。
 その前に、事務局から説明があるとのことなので、お願いする。

【事務局】 それでは、ヒアリングの前に、事務局から地方公共団体における土壌環境汚染対策関係の条例・要綱の概要について、簡単に御紹介する。(参考資料2-1の説明)

【座長】 では、早速東京都の小松課長に御説明をお願いする。

【小松課長】 (資料2-2の1~2ページの説明)

【座長】 では、御質問があればお願いする。

【A委員】 最近の事例を4つ挙げているが、土壌環境基準値を超過している場合に、最終的にどこまで浄化するかについて、都としてどういった判断で、具体的にどのような関与をされているのか。

【小松課長】 農薬工場跡地については、地元の市が、完全に含有量参考値以下にすべきだということで指導した。
 研究所跡地については、汚染土壌を場外に全部運び出してしまったのだが、これも含有量参考値以下までの浄化とした。
 メッキ工場跡地の六価クロム汚染は、都は相談には乗っており、現在、地元の区が指導しているが、進んでいない。六価クロムは水に溶けやすく、付近にも井戸があるため、環境基準以下に浄化するということで、住民からもそのような要望が出ている。そのため、環境基準以下に浄化するという協定を締結しようというところだが、いずれにしろ、環境基準以下に浄化せざるを得ないだろう。
 それから、自動車工場跡地は、地下水が相当汚染されており、現在、判明した分の除去処理中だが、敷地の境界にもよく分からない汚染があり、これも今後の見通しが立っていない。ただ、都の条例を先取りして地下水まで浄化の対象として含めることはしないと感じている。とにかく膨大な量であり、近々開発が始まるが、それまでに処理を終わらせなければいけない。まず土壌汚染は完全にきれいにする。地下水汚染については、モニタリング用の井戸を幾つか残して、モニタリングを続けるという方向で考えており、地元の区とも相談している。
 また、区道の舗装下のPCBについては、付近住民が非常に心配しており、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく対策地域に指定するかは未定だが、環境基準を超える土壌の完全除去を考えている。
 それから、紡績工場跡地のVOC汚染については、先ほどの自動車工場と同じで、再開発用地として売却する予定とのことであり、間に合うように汚染土壌をすべて除去するとのことである。しかし、地下水汚染については完全な浄化はやはり無理なので、モニタリングを行う方向で相談している。しかし、都に相談に来る前、約1年間処理したので、地下水は当初環境基準の3,700倍もの汚染があったものが今は30倍程度となり、かなり汚染は浄化されているが、環境基準以下までの浄化は難しいと思う。

【B委員】 もう一回確認させていただきたい。調査実施の主体について、「有害物質取扱事業者・その土地の譲渡を受けた者」ということで、両者が実施主体になると考えてよろしいか。また、処理対策の方も調査の実施主体に同じであるので、有害物質の取扱事業者とその土地の譲渡を受けた者の両者が処理主体になると考えてよろしいか。

【小松課長】 この辺は、結局、工場を廃業する人が処理をやるのかとの意見があり、非常に苦労した。いろいろ考えた結果、有害物質取扱事業者が調査あるいは処理の一義的な主体であると決めたのだが、それをせずに売却しても構わないことにした。有害物質取扱事業者が、調査や処理をせずに、土地の情報を開示して売却する。その情報を知った上で購入した場合は、購入者に処理の責任義務が移るという形である。共同して調査や処理を行うわけではなく、有害物質取扱事業者が行わなかった場合には、それを知って購入した人が行うことになる。だから、様々なケースがあり、調査までは有害物質取扱事業者が行い、その調査結果のデータとともにその土地を売却したら、それを買った人がその土地の改変の際に処理を行うケース、また、有害物質取扱事業者が何も行わず、この土地ではトリクロロエチレンを使用した等の情報をつけて売却した場合には、今度は購入者が調査から改変時の拡散防止措置まで全部やるという考えである。

【座長】 東京都に対する質問は、また後ほど質問項目を整理して改めて質問させていただきたいので、よろしくお願いする。
 では、野口委員に神奈川県の取組について御説明をお願いする。

【野口委員】 (資料2-2の説明)

【C委員】 2点お伺いしたい。
 まず、資料の3ページの事例1について、敷地外の周辺土壌を調べられて、5点中1点から鉛が検出され、それが基準値の14倍だったとのことだが、周辺土壌とは敷地の外ということか。敷地の外の場合は、あまり高濃度ではないのだろうが、その場合何か措置をされたのか。事案の概要には、低濃度のものは飛散流出防止措置の対応をしていると書いてあるが、周辺土壌が低濃度での汚染であれば、この処置がされているのだろうか。こういった事例はあまりなくて、土壌汚染は敷地内だけである場合が多いため、もし敷地外に汚染があれば、どのような対応をとるかという点が厄介だと思う。
 また、参考資料2-1では、「特定有害物質使用事業所を廃止しようとするとき」は、処理対策のところが網かけになっている。これは廃止の際には調査をせねばならないが、対策までは必要ないということだろうと解釈できる。しかし、その隣は、区画形質の変更を行おうとするときは対策をしなければならないということだと思うが、そのときに、廃止・売却されて、その土地の購入者が土地の区画を変更しようとした場合、ここは特定有害物質使用事業所の敷地になるのかどうかについては、多少あいまいなところが残るのかと思う。当然「跡地」になるのだろうが、使用事業所の「敷地」とすると、別の業種の業者が購入すれば、「敷地」に認定できない場合が出てくるのではないか。その点については、どのように条例の中で整理をされているのか。

【野口委員】 まず最初の質問についてお答えする。周辺土壌5地点中1地点で鉛が検出され、その値は基準値の14倍だったとのことであるが、これはまさに工場の敷地外であった。工場の運営の仕方によっては、汚染物質が敷地外に飛散する可能性がある。そのため、当方では、そのような可能性がある場合には、周辺の地下水・河川、場合によっては底質や土壌についても測定をすることがある。敷地外ということで、工場周辺である。このケースは大企業であるが、当方では、一般的に基準値を超えた場合は、PPPの原則というか、大企業の使命としても、基本的には自主的にこれを改善するということをお願いしており、多くの場合そのように対応している。
 それから、例えば、周辺の地下水が汚染された場合は、地下水を基準値以下になるまでくみ上げを行った大企業が2,3あり、そういうケースも結構ある。あるクリーニング業者であるが、周辺住民から大変厳しい指摘を受けた。その業者に対しては、県も技術的な援助を行って、地下水をくみ上げて浄化するという対応をとった。
 次に、例えば工場として廃止をする、あるいは区画形質の変更がある場合についてである。廃止とは、部分的に工場の一部が停止するということではなく、工場全体を閉鎖するといったことである。こういう場合は、廃止前に事前調査を義務づけ、調査結果を知事に報告させ、相手側に記録の写しを交付させる制度としているが、仮に情報のない人が土地を購入した場合、汚染の事実を知らないために不注意で土地を改変し、そのために汚染が飛散する等というケースもあるため、区画形質の変更と同様の指導を行っている。

【D委員】 資料2-2の5ページの[3]の現行制度の問題点・課題について、現条例では県外から持ち込まれる汚染土壌には対応できないとのことだが、具体的にこのことによる問題はあるか。

【野口委員】 もちろんこの後の処理を間違うと、そのようなことがあるかもしれない。一般的に県内の事業所の敷地等で汚染がある場合、区画形質の変更等がなく、外部への飛散・流出などの影響がなければ、その汚染土壌そのものを除去するというルールにはなっていない。あくまでも汚染土壌によって外部への公害が生じる、あるいは生じる可能性がある区画形質の変更がある場合には対象になる。この場合も、汚染土壌が入ったということをもって、直ちに対応するという形はとっていない。この条例では、必ずしも既存の土壌汚染の解消を目的とはしておらず、搬入される土壌等による新たな汚染を目的とはしていない。例えば、対象になる・ならないでよく議論になるのは、製品や原料として、ガソリンの中のベンゼン、小売で使われる薬品の中の有害物質等は特定有害物質の取扱いの対象にしないというような部分である。

【E委員】 先ほど秦野市の事例について、近々、対策終了宣言が出るということであったが、地下水の場合、浄化目標は恐らく環境基準値を想定されていると思うが、実際のところ、対策終了の場合は、環境基準値をクリアするということだろうか。

【野口委員】 近々といっても、もう数カ月経過しているが、市では近々終了宣言をしたいという意向を持っているということである。また、当課の職員が市の地下水の審議会の委員を務めており、その中で確認をしている内容であり、確定したものではない。やはり名水百選に選ばれており、しかも専ら水道水として利用されているため、水道の基準を上回っては使用できないということである。したがって、原因企業には大変な努力であったが、吸引をし、汚染土壌を除去し、さらには環境省の助言も受けて、全くの新技術だが、人工透析的な処理、汚染された地下水をくみ上げ、有機塩素化合物を除去した後、地下に戻すといった処理も交えて対応した。しかも、狙いは名水百選であり、汚名を返上するためにも、よりきれいな、また一点の曇りもない水にしたいという気持ちは、当然、持っているようである。

【F委員】 土壌に起因する公害が発生しないような汚染土壌はそのままで構わないとの御発言があった。これは専ら地下水を念頭に置いているのか。あるいは、汚染された土壌そのものは、そのままでよいという発想なのか。

【野口委員】 今までは地下水への影響というケースも多いようだった。しかし、この汚染土壌の飛散等によって直接人間に暴露する場合もあるため、汚染土壌自体についても、飛散しないように被覆する、あるいは固定をする、不動態にする、あるいは封じ込めや外部への搬出が当然求められてくる。
 したがって、地下水については当然だが、あわせて汚染土壌そのものについても、汚染土壌によって外部に公害となるような影響を与えない、環境に影響を与えないような管理をするような形で安全が確保されていれば、現条例の中では特に制限しないということである。

【座長】 では、谷川委員に新潟県の対策について御説明いただく。

【谷川委員】 (資料2-2の6~9ページの説明)

【G委員】 参考資料2-1では、処理対策について、土壌汚染が判明して処理を開始した際、浄化目標はないという話だったが、現実にはどのようにしているのか。

【谷川委員】 現実問題としては、汚染が判明した際には、搬出して埋立処理をしている。

【座長】 それでは、今までの説明等の中で質問があれば、自由にお願いする。

【H委員】 東京都の条例の中で、有害物質を取り扱っている土地の譲渡を受けた者が、それを知って買った場合は、浄化するように勧告されるとのことだが、これはその土地所有者として区分されているのか、または情報を知った上で購入したために別の区分となるのかをお伺いしたい。

【小松課長】 これは土地所有者全般ということではなくて、情報を知った上で購入したということで入れてあるのだが、実は非常に現実的な話で、ほかの条文は都で直接行うが、この廃止の部分については、区や市が直接工場・指定作業場の指導をしているということで、区や市に委譲となる。汚染の原因となった小規模な工場が廃業するのは、事業がうまくいかないから廃業するので、その事業体が資金を出すことは不可能だ。すると、それでは区や市への事実上の押しつけになるとの意見があったため、土地を引き継いだ者にも調査や対策をさせることができるようにしたのだが、それが結局そのまま残ったということである。だから、所有者という考えではない。汚染を知った上で購入した者に対策させられるようにするということで区や市に納得してもらった。議会にかける直前に入れたので、理念的なものではなくて、現実の対応から生まれたものである。法律の専門家から見ると、違和感があるかもしれない。

【H委員】 工場・指定作業場以外から、汚染地であることを知りながら購入した場合は、この勧告は適用されないのか。

【小松課長】 されない。有害物質を取り扱っている工場・指定作業場を列挙するつもりなので、それ以外であれば該当せず、自力で解決しなければならない。

【C委員】 資料2-2の2ページの国に対する要望について、環境基準について「地下水を飲用しなければならない必然性はないため」とあるが、飲用する必然性はないかもしれないが、飲用したいという要求は当然出てくるのではないだろうか。それをどのように考えるかが問題で、例えば、そのような規定ができたときに、東京都として地下水の利用の制限が考えられるのかどうか。また、例えば、地下水中の揮発性有害物質による暴露経路は、必ずしも飲用だけでない。ふろの水に使えば当然揮発して暴露することもある。そういったことを細かく考えれば、飲料水としての暴露とは別に、水質や地下水質の基準を考えざるを得ないようなことになりかねない。前半の飲用の必然性については、都としてどういった議論をしているのか。

【小松課長】 都は、もちろん地下水は貴重な資源として位置づけているが、どうしても飲用する必要のあるものではない。飲む権利もあるだろうが、結論が出ていない。
 ただ、VOCについては、確かに地下水から揮発するので、現行の基準は仕方ないものだと考えている。環境基準についていろいろ苦情があるのは主に重金属である。重金属汚染があっても、地下水は使用されていない。例えば臨海部では、地下水自体が汚れていて、雑用水にも使えないところがある。そういった場所で多少の重金属汚染があったとして、何か問題があるのかと言われてしまう。土壌はアスファルト等できちんと覆われているのにも関わらず浄化しなければならないのかと、都庁内でも抗議されてしまう。そういった場合、当方も説明しきれないので、重金属の溶出基準については非常に困っている。臨海部に限らず、普通の工場跡地の場合も、地下水位が深く地下水には影響がない、その地下水も使用しない、表面はきれいだ、そういった場合に説明に困ることがよくある。
 また、臨海部での汚染は、例えば砒素汚染の場合、0.012mg/Lあるいは0.015mg/Lといった、環境基準の2倍以下の場合が非常に多い。こういった場合でも環境基準を超過していると言うと、非常に対応が難しくなってしまうため、こういった要望を書いている。
 VOCの環境基準は、当然溶出基準で構わないと思う。ただ、飲用する権利については、まだ都としても結論が出ていないので、今後も検討したい。

【土壌環境課長】 今回の条例の改正の前に含有量で基準を設定したとのことだが、それと今回の条例との関係はどのように整理されているのか。

【小松課長】 含有量で基準を設定した頃は、昭和50年代の調査をもとにしており、そもそも溶出という考えがなかったのではないか。含有量基準は昭和60年代に廃止している。その後、平成3年に環境基準ができた際、都もあわせて溶出基準に変更しているので、特に関係はない。

【座長】 では、時間になったので、議題の(1)はこれで終わらせていただく。
(小松課長退席)
(2)主な検討課題の整理について

【座長】 まず、事務局より資料の説明をお願いする。

【事務局】 (資料2-3の説明)

【座長】 これは最終答申といったものの骨組みになる項目だと思う。この項目については、今後各所からのヒアリングを行ったり、諸外国の制度等も検討しつつ、順次修正・追加等してまとめていく必要のあるものである。よって、今日この場で確定させる必要は全くないが、追加・修正あるいは削除すべき項目があるかと思う。
 これから、若干の時間、この項目について意見交換等行いたい。例えば1の土壌汚染の環境リスクのとらえ方という項目についてはどうか。

【C委員】 以前にも申し上げたかもしれないが、1番で「有害物質」という言葉でまとめているが、有害物質をどの程度の範疇で考えるかというのは難しい話だろう。ここで有害物質というのは、水質環境基準の健康項目的な意味で、人の健康、今度は生態影響まで含まれてくるのではないかと思うが、そういった観点での物質という感じではないだろうか。
 もう一つ、全く手がつけられていない非常に大きな問題は、油による汚染である。油による汚染は、有害物質で健康項目的な意味も持つが、それ以上に、悪臭といった生活環境項目的な影響が出てくる。そういったものを今回の土壌汚染対策の中にどう考えて取り込んでいくのか。そういったものも含めると、有害物質の定義が広くなってしまう。油を単に健康被害あるいは生物の生息への被害という観点で制限するのかという点が論点になってくると考えている。

【座長】 生活環境項目も含めるかという点も重要な論点だと思う。

【事務局】 それも検討課題の一つととらえている。事務局でも方向はまだ定めていないので、まずはどのように考えるか、そこが非常に大きな課題だと思っているので、幅広に御意見いただければ有り難い。

【D委員】 この1、2、3の中の小項目は、それぞれの間で互いに関連がきっちりととれており、後に最終報告書が出た場合に読んで非常に理解しやすく、非常にうまくできていると思う。1の「新たな観点からの環境基準の在り方」について、行政としてはどういうものを具体的にイメージされているか、お伺いする。

【事務局】 現在のところ念頭にあるのは、現行の土壌環境基準は溶出基準という形だが、ダイオキシン類に係る土壌環境基準の設定の際に検討した直接摂食・接触、いわゆる直接暴露の経路について想定をしている。

【B委員】 土壌汚染の環境リスクのとらえ方について、土壌汚染と地下水汚染は密接不可分だと思うが、土壌汚染を経由した地下水汚染もあり、地下水汚染と土壌汚染の境界といったものを確認したい。地下水汚染があり、その原因は土壌汚染である場合、その対策として土壌浄化を求めていくという整理でよいのだろうか。そういった地下水汚染と土壌汚染の接点をどのように考えればよいのか、御説明願いたい。

【事務局】 その点はまさに、対象とする有害物質とその暴露経路、そして新たな視点からの環境基準の在り方に係る部分である。現在の環境基準は、地下水汚染等を経由した水の飲用・水との接触による暴露という間接的な形で土壌汚染をとらえている。しかし、ダイオキシン類の環境基準の考え方のように、直接土壌に接触することによる暴露リスクという観点を考慮した際、別の観点からの土壌汚染のとらえ方となるので、現在のところ、暴露経路としても直接的な経路もあれば、地下水汚染を経由したものもあるだろう。それぞれについて検討していく必要があるだろうと考えているので、1にこのように書いている。それぞれについてどう考えていくかという点が、まさにこれから議論すべきところである。例えば、溶出基準の考え方については、今御指摘された点をどのように考えるのか、むしろ委員に御議論いただきたい部分である。
 ただ、直接摂取については、別の観点として並行して議論していく必要があると考えている。

【座長】 その点は非常に重要だと思う。
 今は土壌の環境基準ができている。できているが、それは溶出基準であり、その他に直接基準といったものをつくる必要があるかいうことか。
 すると、溶出基準は土壌環境基準なのか、あるいは水質環境基準なのか。それとも、基準として両方あるととらえる可能性があるかということか。

【事務局】 まず、現在の土壌環境基準は、ただ今の御指摘のとおり、土壌の性質として汚染が地下水に溶出する可能性があるため、「溶出基準」としている。土壌に10倍量の水を加えて振とうして、物質がどの程度水に溶け出すかということで判断する。その土壌自体が地下水を汚染するおそれがあるという形でとらえているのが溶出基準であり、これが現在の基準である。
 それ以外に「農用地基準」というものがあり、農作物に直接影響を与える銅や砒素、農作物に蓄積をして人に影響するカドミウムについての基準である。
 諸外国での土壌環境基準は含有量の基準が多いと言われている。無意識のうちに直接土壌が口に入ってしまう。あるいは、汚染土壌に触れることで皮膚から影響を受ける。いろいろと難しい課題はあるが、直接土壌が人体に入って影響する直接暴露という意味で、仮に含有量基準と呼ぶと、そういう観点の基準が必要になるのではないか。
 ダイオキシン類については、土壌環境基準は溶出基準はなくて含有量基準である。それぞれはある意味で独立した別の基準という形で考える必要があると整理している。それぞれについて環境基準を考え、それぞれについて対策を考えていく必要があると整理している。

【F委員】 そうでなければ、先ほどの東京都の発言のように、地下水を全く使わないところでは、土壌汚染があってもよいのではないかという理論が出てくる。
 そういう意味で、土壌汚染の問題が検討されなければならない理由は、今の事務局の説明のようなことでないと、検討する意味がなくなってしまう。
 前の水質汚濁防止法改正の際は、その法律の中でないと対応し切れなかった面があった。関係省庁の調整や検討の詰め具合もあって、地下水に関連させた形の土壌汚染対策としたのだが、それから大分時間が経過しているので、今検討するなら違う観点からの対策になるだろう。

【C委員】 先ほど事務局からの説明では、含有量基準について、直接口からの摂取という話があった。そのような整理の仕方ではなく、土壌は汚染物質が蓄積しやすいという性質があり、他の環境媒体の汚染源になり得るため、土壌環境基準は、排水や排ガス等での基準のような意味合いの性格を持つと整理できる。現在の土壌における溶出基準の性格は、まさに地下水の汚染防止のための基準だと思う。一方、直接口に入れるというのは、水道水の基準あるいは食品の基準といった性格を持っている。土壌の場合は、特にその両面が強くて、ほかの環境基準は大体は直接摂取が中心である。
 そういう観点では、含有量でもほかの環境媒体の汚染源になり得ることがあるわけで、ダイオキシン類の基準でも検討はまだ十分ではない。ダイオキシン粒子がくっついたまま、水の中に流れ込むという経路もある。このような汚染源という観点からも含有量基準がつくられるべきだという話がある。だから、そういう意味では、直接人の体や生物に入るときの基準と、ほかの環境媒体の汚染源としてとらえて汚染を防ぐための基準という二重の整理をして考えていく方がいいだろう。それぞれについて、含有量基準がよいか、溶出基準がよいか、あるいは別の基準がよいかという整理をした方が分かりやすいのではないか。

【座長】 ただ今のC委員の御意見について、私自身も同じことを考えていた。アプローチ方法は異なるが、両方とも土壌の環境基準でよいと思う。しかし、それが結論でなくてもよい。そういった疑問点/論点があるから、そのような点も説明してほしいということだと思う。

【H委員】 C委員にお伺いする。まず、皮膚接触による暴露は、もちろん直接人体に対する影響という基準になる。現在の環境基準は、地下水との関連で溶出基準ということだと思うが、直接の人体への影響も地下水への影響も、土壌の環境基準の2本の柱として立ててもよいのだろうか。

【C委員】 おそらくその2つの観点があり、それぞれについては、溶出基準がいいのか含有量基準がいいのか、あるいは別のものがいいのか。2つの観点とも含有量基準がよいならば、比較して数値の低い方が基準になってくるという整理だと思う。だから、マトリックスといった形で基準が決まっていく。
 逆に言うと、土壌の環境基準は、厳密に幾つかの観点から考えていくと、複数の基準ができてしまう可能性がある。それをどう整理するか重要な議論のポイントになるだろう。

【座長】 1にある環境基準という概念と対策の発動要件となる基準を同じものと考えているような気がするが、土壌汚染の場合は一致するものなのだろうか。環境基準という概念が、大気や水質の場合と大分違った形なのか、それは発動基準のようなもので、環境基準はまた別の概念なのかと思うのだが、そういった点も整理して教えていただけると有り難い。
 もし環境基準の概念で進めるのなら、大気や水質の環境基準と同じ点/異なる点を明確にしなければ、茫洋としてしまい、いろいろ論議が起こるのではないだろうか。

【C委員】 1つの見方として、先ほど申し上げた他の環境媒体への汚染源としての基準であれば、排水とか排ガスの基準に並べて考えると、経済的、技術的な実行可能性が反映されて、基準が決まってくるだろう。実行可能性が必要である。
 実態的な話は別として、環境基準は望ましい基準であり、実行可能性との関連は比較的薄い、または全くないという観点ならば、2つの考え方は違ってきて、現在の環境基準や、排ガス・排水の基準がそういう形になっていくのかについては別の議論になるが、2つの性格を持ってくると、それぞれに微妙な違いが出てくるのではないか。

【H委員】 ただ今の点に少し追加する。行政法が御専門の委員は、特にこの点についていろいろとお考えだと思うが、技術的な実行可能性と環境基準の関係については既に議論がそれなりにされている。大気と水とは多少考え方が違っているようだが、土壌についてはどう考えるか、検討しなければならない問題だと思う。その問題とはまた別に、前の懇談会でもいろいろ御議論があったが、土壌における環境基準と発動基準の考え方について、大気や水質とは全く異なる媒体として考えるかどうかという問題がある。土壌は動かないので、環境基準以外の基準が考えられるのかという原理的な問題がある。一方で、大気や水のように環境基準と排出基準を分けるのであれば、土壌でも環境基準とは別の基準があり得るのではないかという考え方も当然ある。それでどちらがよいかという問題がもう一つの問題だと思う。
 また、その他に、以前ある委員が、土壌環境基準は水道水の基準をもとにしているために極めて厳しいとおっしゃったと思う。果たしてそのように厳しい基準を求めることが必要なのかという現実的な問題がある。この問題は特に経済的可能性には直結しないだろうが、必要性についての問題はある。現在は行政指導だから環境基準としているが、もし対策を強制するならば、環境基準とは別の対策基準あるいは発動基準と言った基準を作ってよいのではないかと思う。基準を作ってもよいが、作らなければならないのかという別の問題があるかもしれないが、作ってもよいとは恐らく言えるだろう。そこで一つの考え方としては、土壌汚染は過去の汚染の結果だが、現在はどういう汚染が起こり得るか、例えば雨が降ったときに汚染が地下水に及んでゆくといったことを考えた場合、排出基準に対応するような、環境基準の例えば10倍といった対策基準を立てることができるかという点が一つの問題だと思う。

【座長】 1あるいは2についての御意見は他にあるか。
 大気環境基準は典型的な環境基準で、規制基準は別にある。水質も似ているが、多少違う。それに対して、騒音では対策基準が第一にある。土壌についても、そういった点をしっかり検討しておく必要があると思う。
 ただ、最初にこういった概念論争を一応はしなければならないと思うが、概念論争が概念論争を呼ぶ事態は避けたいので、対策の在り方を論じて、追って環境基準論にまた戻るような議論もしなくてはならないかとも思う。

【C委員】 2にある土壌汚染調査の信頼性の確保について、前回も申し上げたが、現在の土壌調査の密度では、必ずしも精度が十分ではない。では、調査の密度が高ければよいのかというと、汚染のないことを証明するために膨大な費用が必要になる。そのため、土壌調査の信頼性の確保のため、別の環境媒体の調査も必要になってくると思う。もう少し細かく調査しなければ汚染の有無は分からないとの指摘を受けたとき、土壌が別の環境媒体の汚染源という観点から、その媒体を調査する。人間が暴露されるような近いところで見て、問題の有無の確認も必要になってくるだろう。
 そのような意味では、土壌汚染の調査であっても、土壌だけではなく地下水を調べる。地下水の調査はそういう観点の調査でもあるし、あるいは大気の調査も必要になってくるかもしれない。これは土壌環境基準項目に大気の基準が出てくるのかといった話も当然出てくるが、信頼性の確保は、決して土壌だけで済む話ではないだろう。

【D委員】 現実に存在する土壌汚染への対策が問題になるわけだが、その場合に、土壌汚染の原因や背景は、この2の調査の中にどのように含まれているのか。今後、これは5の未然防止対策のあり方や、他の制度との関係のあり方にも結びついていく。C委員は先ほど、土壌汚染の調査の信頼性の確保について、汚染の起こった後について発言されたが、土壌汚染の成立についての調査の信頼性の確保のため、そういったことも必要になってくるのではないかと思う。汚染の原因や成り立ちについての調査もある程度含めた方がいいのではないか。

【事務局】 御指摘のとおりである。例えば自治体の条例・要綱中にもあるように、いかに過去の資料調査に耐え得る情報を収集しておくかという点も念頭にある。ここは、ある意味では土壌汚染そのものの調査の一つの契機として、こういったとらえ方があるが、未然防止も含めて、過去の情報をきちんと収集しておくことが必要だろう。しかし、過去に取られていない情報をどうするかという非常に大きな問題はある。

【座長】 では、3及び4も含めて御意見あるか。

【F委員】 土壌は水質や大気と異なり、汚染地は事業所の敷地跡が多い。だから、汚染地の把握といっても、範囲が非常に限定されたところを対象としている。メッシュで切ったにしても、大気や水質とは違う。一般的に市街地全般とできるならばよいのだろうが、それは土地と限定されているのでなかなか難しいだろうとなると、かなり限定された形での把握又はその方法になるのではないか。大気や水質とは少し違うのではないかと思う。

【G委員】 4について、この情報は、把握された情報をどう管理あるいは公開していくかという問題と、現在では分かったら出てくるという仕組みだが、最終的にどうするかは別として、これを積極的に体系的にどう集めていくかという点も念頭に置いておいた方がいいだろう。
 これは環境省に聞きたいのだが、5について、他の制度との関係を自由に考えてよいのか。特にリスクを健康面で考えるか生活環境で考えるか、あるいはもう少し広く考えるかによって、他の制度との整合性が取れない部分が出てくる可能性がある。そこを今残された狭い範囲で考えるのも一つの方法だろうが、むしろ既存の制度等も含めて整合させて考えるということもできる。そこをどのようにお考えになっているか。

【事務局】 現段階では、まだ事務局としてどこまで絞り込むかといった考えはまだできていない。このように自由に委員に御発言いただく機会に、そのような御指摘を広くいただいて、それを踏まえつつ他の制度との整合も考えていきたいと考えている。当分の間はもう少し広く御議論いただき、ある程度方向が見えてきた段階で、事務局から幾つかの案を提示して絞り込むという形にしたい。

【C委員】 土壌汚染は敷地内に起こることが多いが、神奈川県の例で排水などが漏れ出したために敷地外が汚染されたという事例があったように思う。まれに敷地外の汚染もある。ダイオキシン類であれば、排ガス由来によって敷地外に汚染が起こることも当然ある。その他の物質についても、敷地外に汚染が起こることがあり得るだろう。先ほどの東京都のPCB汚染はどういった事例かよく分からないが、処理対策のあり方について多少考慮に入れておく必要があるのかもしれない。全く施設外での汚染事例がないということではなく、そういったこともあり得るので、その場合どうするのかということを考慮に入れて議論をしていく必要があると思う。

【H委員】 3の処理対策の実施主体と費用負担について、法的に興味ある点だが、問題点を1,2点指摘したい。
 一つは、その汚染原因者が対策の実施主体になるときはほとんど問題ないだろうが、それ以外の者が実施主体の場合はどうするかということである。先ほど東京都の小松課長に伺った時にも出てきた話だが、汚染地の所有者が何らかの形で実施主体になるかという問題は必ず出てくる。それは実施主体であれば、土地所有者全般あるいはもっと広く占有者ととらえても多分よいのだが、費用負担をどうするかについてはかなり重要な問題になるだろうと思う。
 先ほどの東京都の話であれば、土地所有者の一部だけに対策を実施させる、あるいは費用負担をさせることであれば、それなりの理由づけをはっきりさせておく必要があると思う。
 関連した問題としては、その土地の改変者が自治体の条例・要綱での実施主体、あるいは費用負担者となっていることが多いが、それはこれらの応能負担の考え方から説明がつくと思う。しかし、このことについて規制改革委員会で話をしたとき、不景気だからということもあるのだろうが、開発行為を妨げることに直接つながるのではないかという意見があった。こういった議論は環境関係ではしたくないし、すべきではないと私も思う。しかし、開発を妨げると考える人もいることを一応考えておく必要はあるかもしれない。土地の開発者や改変者だけに特に責任を負わせるならば、応能負担はあるかと思うが、それ以外に何か必要なのかという問題が出てくるかもしれない。
 土壌汚染関係の浄化の責任制度がなければ、先ほど東京都等からも話があったように、住民運動があって、基準が決まっていなければ何が出てくるかわからないと非常に疑惑を生むことがある。また、産業界にとっても、このような制度を作ることは非常に大事だと思うが、誰に対策を実施させるか、費用負担をさせるかという際に、土地の改変者をどう扱うかという点はかなり重要な問題になると思う。
 他の委員方もよく御存知のように、土地の改変者に特に責任を負わせるという考え方は、欧米にはないと言ってもよい。これはむしろ我が国の自治体で特に行っていることなので、それをどのように考えていくかという問題があると思う。

【C委員】 今のH委員の御発言の考え方は、多分、土地を改変しなければ汚染が地下水に及ぶことがなく、土壌中に留まっている。また、土地を改変しなければ、汚染に人が触れることはない。そのような場合、例えば土地を駐車場等に使う場合は、汚染物質が動くことはないが、土壌を掘り出すような開発を行うことで汚染物質が周囲に動く可能性がある場合、その行為自体が、新たに別な媒体の汚染を起こす可能性がある。よって、その汚染に対しては対策するということで整理されているのではないかと思う。そういうことで説明ができるのかどうか分からないが。

【H委員】 拡散防止義務に限るのであれば、説明できると思う。

【座長】 ただ今の点も非常に重要だが、公害問題にもなると、帰責事由が多少でも見つかれば、責任をすべてそこへ負わせる傾向もないわけではない。そうなると、本来の費用負担者が見つけにくくなる可能性も大いにあるので、そういう点も冷静に考えなければならない。スーパーファンド法ではないが、基金の問題も考慮しないと、難しい問題が出てくるのではないかと思う。そのような問題は、この3の中で、どうなるかはさておき考える。その点はよく検討しよう。
 鉱山保安法の場合では、宮崎県の砒素焼けの被害がある鉱山を購入した事業者が、全く操業していないにもかかわらず、費用負担をすべて負わされてしまい、最高裁まで争った事例があるが、条文上はそうなってもよいようになっている。しかし、条文を厳格に検討すると、最終の費用負担者として真の原因者に求償ができるという規定になっているが、この場合は求償はできない。そういった場合にすべて現在の所有者に負担させた例があるのだが、そういった体制でもよいのか。もう少し国が責任の一端を負うべきか、いろいろ問題がある。
 鉱山の汚水処理については、閉山したときに汚水が出るが、それを浄化しなくてはいけない。閉山した鉱山が永久に浄化施設を設けて浄化していくといった例もないわけではない。鉱山の方では浄化を止めて、幾らか資金を出して公共団体に移管する制度を通産省でつくったことはあったと思う。そういった問題もあるが、公害問題が激しいころは、PPPということで、本来PPPではないような問題でも事業者に負わせるような事案だったようにも思うが、その辺をもう少し冷静に分析して、納得のいくものを考えなくてはいけないと思う。もちろん事業者側に立って考えるという意味ではない。しかし、新しい制度を検討する以上、とことん詰めて考えたいと思っている。そういった意味では、基金の問題等も含めて御検討いただけると有り難い。

【D委員】 先ほどの東京都の説明の中で、汚染原因者である有害物質取扱事業者は、全く対策を取らずに、汚染があるという情報つきで土地を売却してよいとある。そのような場合、土地の購入者が汚染の拡散防止のため対策をとるならば、その費用を購入者が払うことになるのか。

【I委員】 実際には、土地取引条件の中に盛り込むことで対応することになると思う。

【事務局】 東京都の条例の条文上は、基本的には土地を譲り受けた新しい土地所有者に対して義務を課して、費用負担をさせることになるのだが、費用の負担について汚染原因者に対して請求することを妨げないという規定がある。だからといって、汚染原因者に請求できると書いてあるわけではないが、ただ今のI委員の御発言のとおり、当事者間で取り決めがされることになると思う。

【D委員】 汚染に関する情報つきで土地を売却する際に、その情報で汚染の程度が推定できればよいのだが、「このように土地を利用したので汚染がある」という情報だけで、どの程度の費用で拡散防止の対策ができるかについては不明である場合が大部分なのではないかと思い、そのような場合はどうするのか、伺った。

【座長】 それは非常に難しい問題である。だから、そういった情報を明示して、I委員がおっしゃったように、売買契約のときに今後こういうときはこうしようという約束ができていれば、それで解決する。しかし、私の考えでは、情報公開が汚染者の免責事由になるという法理は成り立たないと思う。汚染を明らかにすれば、そこで責任を免れるという議論を押し通すのは難しいだろう。それは全国模範にはならない。先例として検討するが、この検討会では、我々としての良識に従って制度づくりを検討した方がよい。あらゆる論点についての率直な議論は避けて通りたくないと考えている。
 しかし、本日の段階では、まだ結論めいたことを出す必要は全くないと思う。

【事務局】 前回いただいた意見、今回いただいた意見も含め、事務局で整理した上で、改めて第5回以降の検討会で議論を展開していただきたいと考えている。

【座長】 徐々に論点を固めていくといくということである。

(3)その他

【事務局】 では、次回の日程の確認をさせていただく。
 第3回の検討会は、2月20日火曜日の午後2時から5時である。詳細については追って御連絡差し上げる。
 また、第4回及び第5回の検討会については、別途御連絡する。
 ちなみに、次回は、諸外国の制度の状況について御議論をいただきたいと考えている。事務局で情報を整理して提出したいと考えているが、委員で諸外国の制度にお詳しい方に追加的な御説明をいただくことも考えている。

【座長】 では、本日の検討は以上とさせていただく。

-以上-