環境省水・土壌・地盤環境の保全土壌関係中央環境審議会等における検討中環審答申及び検討会土壌の含有量リスク評価検討会

土壌の含有量リスク評価検討会(第5回)会議録


1.日時

平成13年7月5日(木) 10:00~12:30

2.場所

経済産業省別館T14会議室

3.出席者

(1)委員
大野 泰雄 委員、櫻井 治彦 委員、佐藤  洋 委員、
中杉 修身 委員、永沼   章 委員、林  裕造 委員、
米谷 民雄 委員、吉永   淳 委員
(鈴木 庄亮委員、平田 亜古委員は欠席)
(2)事務局
石原 一郎 水環境部長、
伊藤   洋 水環境部土壌環境課長 他

4.議題

(1)土壌中の有害物質の含有量によるリスク評価等について
(2)その他

5.配付資料

資料5-1 土壌の含有量リスク評価検討会委員名簿
資料5-2 表層土壌の汚染の実態

6.議事

【事務局】 ただいまから第5回土壌の含有量リスク評価検討会を開催する。
 まず、開催に先立ち、事務局の異動を報告する。(紹介)
 続いて資料の確認を行う。(配布資料の確認)
 本日は鈴木委員、平田委員から欠席との御連絡をいただいている。
 それから、前回の会議録について、先般各委員に送付しているが、16日までに御確認いただき、問題等あれば事務局に御連絡いただきたい。
 では、議事進行を座長にお願いする。

【座長】 本日は、これまでに検討いただいた内容を踏まえ、土壌の直接摂取によるリスク評価等について、本検討会として取りまとめる報告書の内容を議論していただく。まず、事務局に説明をお願いする。

【事務局】(説明)

【座長】今の説明について、順次御意見をいただきたい。
 まず最初に、全体の考え方、次に論理構成、それから表現、用語で何か誤解を招いたりすることはないかを議論したい。まず、目的はどうか。

【D委員】 目標濃度と土壌環境基準の関係を少し説明をしておく必要がある。
 また、ダイオキシン類は今回は検討の対象にはしていないのでその旨をどこかに記載すべき。ダイオキシン類については、直接摂取に係る土壌環境基準をつくったが他の経路については今後の検討課題となっているので、ここでは対象にしていないということを、あらかじめ断っておいた方が良い。

【座長】 目標濃度と環境基準については一応説明はしてあるという感じは受けるが。

【事務局】 ここでは、とりあえず何らかのリスク低減が必要と考えられる濃度レベルということで表現することとしているが、それがわかりにくいのであれば、どんな表現が適当か具体的なコメントをいただけるとありがたい。

【D委員】 望ましい状態をあらわすという意味での環境基準として示すものではないことを入れた方がより正確でわかりやすいのではないか。このまま淡々と見ると、これは環境基準だなと、一般の人は思うのではないか。

【座長】 内容はよくわかるのだが、誤解を招くかもしれないので、リバイスする必要があるのではないか。
他に何かあるか。

【A委員】 普通の生活をしている上で暴露されるような、そういう土壌を対象にしているのではないか。そこのところの視点が目的に抜けている。例えば国立公園等で、すごく金属が高いところがあるが、そういうところまでも対象となると誤解されてしまうと困るので、「この暴露経路を通じた人の健康に対する有害物質のリスク」というところを、例えば「この暴露経路を通じた長期的な暴露による人への健康に対する有害物質のリスク」のようにすれば、国立公園等の短期滞在を中心とする場所は事実上対象から除外されるのではないか。

【事務局】 何を対象とするかというところは、あまり限定的ではなくて、仮に土壌と接するような場所がどこであっても、そこで用いるものということで考えている。また、長期間というのは当然の視点として後ろの方で出てくるし、それをここで書くことは、濃度の問題もある。

【A委員】 ここであまり細かいことを入れることはできないと思うので、長期間の暴露であるということだけ一言入れていただければ、後でどうにでも議論ができると思う。

【D委員】 「この経路を通じた長期的な暴露が人の健康に対する有害物質のリスクについて」というふうに表現しても、何ら問題はないように思う。そうすれば、A委員の意見を反映したことになると思う。

【B委員】 物質によって必ずしも長期とは限らない。発がん物質も長期の平均でよいのでは。70年というような言葉が出たが、ここではそんなものを全然使っていない。

【座長】 今のいろいろな議論を踏まえて、後で少し検討いただくこととし、次の土壌汚染の暴露経路のとらえ方についてはどうか。

【D委員】 「生活環境」で「不快感等」というのがあるが、これは、悪臭みたいな話を指しているのか。

【事務局】 ここは悪臭以外のものという意味。

【B委員】 「大気中(への揮散)」とあるが、そのように考えると、どうしても揮散だけではなく、粉塵の吸入又は経口摂取ということも考える。ダイオキシンのときにも一応それは考慮したが、その大部分は吸入されたものが消化管の方へ移って、データとしては摂食と同じ形になっているのではないか。100mgとか200mgという数字は、本当に摂食だけではなくて、巻き上げられたものを吸入したものが、腸管へ回っているというのもあるのではないか。それを除外していないという点からいくと、実際には摂食でいいのかもしれないが、粉塵のようなものについて何も書いていないと、それだけ落とすことに疑問が出てくる。

【座長】 六価クロムの場合はどうか。

【B委員】 割合大きい粒子だから、粉塵を吸入して、それが鼻、のど、あるいは上部の呼吸器、気道でも割合上の方にくっついたものは、大体飲み込まれると思う。

【座長】 そうすると、これは揮散のほかに粉塵のようなものを入れた方がよいか。

【D委員】 その点は、汚染土壌の直接影響のところに組み込まれてしまっているのではないか。また「大気への揮散及び飛散」としてしまうとダブルカウントみたいになってしまうので、直接影響のところで説明を加えた方が誤解がなくてよい。

【事務局】 事務局も直接影響で考えている。御指摘のとおり摂食の中にそれが入っているということを、どこかで明確にしておきたい。

【座長】 他にあるか。

【D委員】 先ほどの大気中への揮散の話だが、実態的にはこのとおり。これは正式に出せるようなものではないが、汚染土壌の上で大気の濃度を測ってみたら、そんなに高濃度ではなかったという経験がある。だから、あまり問題ないだろうというふうに考えられる。一方、必ずしも表層ではないが、土壌ガス中では、1万ppmぐらいのトリクロロエチレンなどが平気で出て来るので、そういう意味では、説明にあったように、どのぐらい影響するのだろうかということをしっかり見極める必要がある。現時点では、すぐに何かしなければいけないという話ではないが、全く問題がないことは確かめて欲しい。この表現で結構だろう。

【座長】 何か根拠を少しはっきりさせておいた方が良い。かなりしっかりしたモデルなのか。

【D委員】 一応、欧米で使われているモデルではあるが、そのモデルが適切かどうかというのは、かなり難しいところがある。このモデルを使って土壌汚染のリスクを評価してみると、そんなに高濃度ではない。
 それから、表層について、高濃度というのは考えにくい。汚染が起こった当初にはかなり高濃度になっていたのかもしれないが、もうその後きれいになっているか、或いはきれいになってきている。むしろ問題なのは、下から上がってくるもので、それは見極めた方がよい。そういう意味では、ここで言っている表層土壌というよりは、もう少し下を汚染している土壌のガス中に高濃度のトリクロロエチレンとかテトラクロロエチレンがあったときに、それが上に出てきて汚染が問題にならないか、実際に測ってみると、経験的にはそれほどでもないことがわかっているが、確かめておく必要があるだろう。

【事務局】 私どもでモデル計算をしたものがあり、それをたものがここの表現であり、きちっとしたデータを積み重ねた上で安全であるということを確認をしたいので、これ以上盛り込むのは難しい。

【座長】 根拠として、例えば、参考資料の中にきちっと書いてあればよいのではないか。それから、水銀のことだが、「この暴露経路については、直ちに目標濃度を検討する必要はないと考えられる」という表現でよいか。これも事例の報告等がなく、検討中とのことだが、いかがか。

【D委員】 これは、後の方で、もう1回議論をさせていただきたい。表層土壌について今含有量の基準を作っているという様な考え方でいくと、恐らくこういう様なことであろうと思うのだが、下にある深層の土壌がいつまでも深層土壌かということについては、全く別な問題がある。説明の中での、表層土壌についての水銀の含有量のデータはこのような程度だが、深いところについては、その何倍か桁が違う高い濃度のものがあり、それが上に持ち出される状況においては、検討しておく必要はある。

【C委員】 「汚染土壌の直接影響」の「生活環境」の「不快感等」とは具体的に何だということになったのか。

【事務局】 とても悩ましいところで、例えば見た目が嫌だ、汚らしいと思うようなことも含めて、直接的にそこで油で汚染されたような状況を考えている。ただ、例えば、評価そのものをどうするかということ自体がまだ詰まっていない。一応こういう暴露経路もあるだろうという前提で入れている段階。もし、そのようなものがないというのであれば、当然こういうルートはなくなるのかもしれないが、有るか無いかすらもなかなか見えにくい。例えば油を考えた場合には、本当にどういうことが問題なのかということ自体が、難しいところがあって、あいまいな表現にはなっている。

【C委員】 よくわからないということは、わかった。土壌直接ではなくて他の媒体を通じての影響だから、水に臭いが移るとか、あるいは油が浮いているように見えるとかということは、水へ移行した後の問題だろうと思うので、土壌そのものに臭いがする、あるいは表面に色が浮いてくるとか、そんなことを直接と言うようなもので、臭いなんかも入れておいてもよいのではないか。

【事務局】 臭いそのものは、大気を経由してということで整理をしようと思う。御指摘のような、色がついている等は、直接目で見て感じる不快なものであるという趣旨で、考えている。今考えられるところは、やはり油で水が汚れて油膜が浮いているとか、悪臭や異臭がする等である。それ以外はこれから少し考えたい。

【座長】 これは、外見的な不快感ということか、あるいは嗅覚とか感覚的な不快感か。書き方が少しあいまいだが、これはまたお考えいただくことにして、他にあるか。
ところで、先ほど水銀の含有量で、浅いところは非常に少ないが、深いところだとかなり多いと言われたが、深いというのはどのくらいなのか。

【事務局】 深いといっても、数メートルとか、深くても10メートルよりも浅いところが多い。3メートル、5メートルというところで、例えば何百とか、場合によっては何千とかいうのも見られる。

【座長】 それはなぜか。

【事務局】 場所的には、例えば昔の工場の跡地であるとかで、20~30年前に何かを埋めたかもしれないし、その後、いろいろな形で上に覆土をしてしまうと中に入るということもあるので、その辺の状況というのは非常に難しい。ただ、一般に、上から何か液体状なりでこぼれていくなら、それほど深くまではいかないが、埋めるという行為があると、3メートルぐらいの深さには簡単になってしまう。20~30年より以前であれば、法制度的にも埋めたからといって特に罰則があるわけではないので、敷地内に何かを埋めたとか、汚泥を捨てたとかいうことは聞くのだが、それ以上はなかなか難しい。

【座長】 汚染土壌の直接影響の暴露経路に係るリスク評価及び目標濃度について何かあるか。

【D委員】 「農業用以外の用途がある」というのは、チオベンカルブではなくてチウラムの方だったように思う。再度確かめていただきたい。
 それから「理論最大摂取量」というところで、「基準等」としてあるから、そこで読めるといえば読めるのだが、基準がないものがある。そういうものについて、現実にどのぐらい暴露されているかというのは、例えば、揮発性のものなんていうのから考えたときに、大気の基準ラインがないものがたくさんある。そういうものの大気からの暴露がどのぐらいかというのは、実態的な数字が当然入って、それを加味しないといけない、基準がこうだからと。そういう意味では、「理論最大摂取量」という言葉がいいのかなという感じがするが、他の経路からも考慮すると、ここで言っているのは、基準が設定されていないのはどうしたのという話になりかねない。

【事務局】 ここでの「基準等」というのは、「基準」ではない暫定的な指針とかということで、あくまでも数字があることを表していて、御指摘の方は、「場合等」の「等」ぐらいで書いている。ただ、食品等の基準がないものについて、個人的な差みたいなものまで拾うのはなかなか難しい。ただ、一般に1日、トータルダイエットスタディーみたいなものがやられているものがあれば、それを加味することは、当然全体としてやらなくてはいけないと思っているが、特殊なものを除いてはほとんど食品が九十何%とかいう実態もあり、そこは相当ぶれる部分がある。だから、何か数字があるものについては、少なくともそれでもってぎりぎりまでいっているなら考慮する。あとは、もう「等」の世界の中で少し読ませていただきたい。

【C委員】 先ほど議論が出た、吸入された後の粒子の飲み込みとかはどうするのだという話と関連するのだが、「直接摂食及び皮膚接触」とあるが、この直接摂食の方の「直接」は削除した方が良い。直接摂食というと泥をそのまま食べるみたいなイメージがあるので、最初の摂食で「吸入された大きな粒子の飲み込みを含む」と定義しておけば、後の「摂食」というのはそういう意味を指すこととなる。

【座長】 「直接摂取(摂食及び皮膚接触)」とするとの御意見についてどうか。

【事務局】 直接ではない摂食というのは、具体的にどんなものを想定したらいいのか、直ちにイメージがわかない。「直接」を取ることでプラスされるようなものが、明確に御指摘いただけるとありがたい。

【C委員】 「直接摂食」というと、泥をそのまま食べるみたいなイメージが出てくる。この場合、意図的に食べることは想定していないのではないか。だから、単なる「摂食」でいいと思う。その「摂食」の中に、例えば鼻腔とか咽頭とか口頭とかについたものが、飲み込まれる場合も入れることができる。最初でちゃんとそういうリマークをつけておけばよい。「直接摂食」というのは異食症や、泥を食べるようなイメージがあるから、やめておいた方がよい。

【座長】 あるいは「直接摂取」として(経口摂取及び皮膚接触)という表現もある。経口摂取というと、「直接摂食」みたいなイメージになる。

【E委員】 皮膚から入るのも摂取か。

【座長】 皮膚から入るのは皮膚吸収。

【E委員】 「汚染土壌からの直接摂取及び皮膚接触」とすれば、「摂食」という言葉を使わないで済む。

【事務局】 直接摂取という言葉は、まず汚染土壌からの直接摂取という言い方で使いたい。その中身は何だと言われるときに、摂食というものと、例えば皮膚接触で、通常(吸収)というのをつけているが、そういう使い方で整理したい。
 それから、「直接摂食」というところは、全部「摂食」という形で統一をさせていただきたい。

【座長】 直接摂取というのは、摂取の一つのカテゴリーに入っている。それに使われているから、直接摂取は使った方が良い。
「その際、あわせてWHO等におけるTDI等も勘案する」というところがある。日本におけるTDIは、暫定というのはほとんどないと思うが、例えばWHO,JECFAなどでTDIを使う場合に暫定というのが結構ある。暫定の場合には、そこのところの値も暫定とするのか。

【事務局】 暫定であってもそのまま使う。日本の数字が動くようであれば、当然動かしていくが、あくまでも勘案ということで、どのぐらいのレベルであるかというのを押さえておきたい。例えば、カドミウムのように、近い将来、改めて再評価がなされるということが明確であれば、そこまでは暫定にするということもあるが、基本的には作りたいと思っている。

【座長】 例えばWHOでも、ダイオキシンは5年ぐらいに見直すというようなことが書いてある。少なくとも5年以内には変わるかもしれないということがあるとすると、そういう場合はどうするのか。

【事務局】 今の環境基準も当然、暫定ではないから、もし、TDIが変わるようであれば、多分、今の基準については再検討することになるだろう。そこでまた見直すかどうかの結論を出すことになるので、同じような考え方でいく。暫定というのは、あくまでも例外的に、現に今、動いているときには、少し様子を見ようということである。
 それから、確認をしたいのだが、先ほどB委員からいただいた「飛散」というところの勘案の仕方について、今の「直接摂食」を「摂食」とすることで読み得るという理解でよろしいか。それとも何か表現として、先ほどC委員からそこで読み得るのではないかという話もあったが、最終的に「飛散」とか「粉塵」をどう書き込むかということにも関わってくるので、整理をしていただきたい。

【座長】 「摂食」ということの中に「飛散」で胃に入ってくるものを読めるかどうかについてはどうか。

【C委員】 先ほど申し上げたのは、食べる方の「摂食」の方で、何か注意書きをつけておいたらいかがかということ。吸入されたものが、細かいものは肺の方へ行き、大きなものが、上部気道についたものはタン等と一緒に飲み込まれるわけで、そうなってしまえば経口と一緒である。それも含めるということを、注意書きとしてつけた方が良い。吸入されたものすべてではないので、ちょっと文言は考えた方が良いと思うが、消化管から吸収されるという意味では「摂食」と言っていいのだろうと思うのでそれをつけた方が良いと思う。

【B委員】 そういう注釈なしで、一言「摂食」ということで全てそれを含ませるというのは無理で、やはり注釈が必要だと思う。厳密に言うと、細かい粒子で肺に沈着したものの表面についている有害なものとか、その中に含まれているものが溶け込んで吸収される量というのはあるが、この表層土壌から巻き上げを吸入した場合、その占める部分は多分小さいだろうと思うのだが、それも、何か根拠があってきちっと示せれば一番よい。

【座長】 「直接摂取」の括弧の中を詳しくするか、あるいは別に何か文章を追加するかということか。

【B委員】 そのとおり。

【座長】 この括弧の中にうまくまとめられると、一番簡単でよい。

【事務局】 吸入が全部というふうに書くわけにもいかないと思うので、注意書きという形でつくらさせていただき、また、先生の方にも御相談をさせていただく。

【D委員】 今のB委員の話は、大気中からの吸入という話で、水も地下水も同じなのだが、厳密に言うと溶出だけではなくて一部流出が入る。フィルターをかけて、フィルターを通過するものは、溶出とみなす。そういう意味で言えば大気も同じ話で、ある濃度より細かいものは揮散。飛散でも揮散だとみなすという考え方で整理をしないと、厳密に議論するときっちりした分け方ができないので、そういう整理でよいのではないか。

【B委員】 この飛散は小さいということを言っているわけで、揮散の中に含めてもよいかもしれない。

【A委員】 そうすると、揮散することによって、どんどんなくなっていくからという説明が成り立たなくなるのではないか。粒子の中に含まれているものは、揮散してなくならない。粉塵として吸入して暴露されるものについては、やはり直接影響に入れておいた方が、一つの議論を複雑にしなくて済む。

【D委員】 全体量として見たときに、個々で分けると確かにA委員が言われるように、細かい粒子については、そんな減る訳ではなく、上がって下がれば同じだろうという話だが、実際には、それも飛んでいってしまって減ることもあるし、トータルで見たときに、ここは減っているということを言っているので、個々について細かい議論がなかなかしにくい。実際問題として非常に難しいのは、どうやって測るか。測ることは、厳密に言うとできない。
 別の話で問題になっているのは、ダイオキシンが地下水の中を動くかどうかという話を議論しているときに、ダイオキシンが溶解体であるか、溶けているものなら動くだろうという話をするのだが、フィルターをかけても抜けてしまう場合がある。周りの土壌になくて完全に溶けているというのは、常識的に考えると、そんなことはあり得ない。恐らく、フィルターを通過している細かい粒子に含まれているのだろう。フィルタの目をどんどん細かくすると捕捉できるのだが、そこら辺を実態的に言えば、あるところを抜けてしまえば、そういうふうに解釈せざるを得ないのだろう。それはそれで割り切ってやらざるを得ないのではないか。そこの部分が特に大きな問題になれば別だが、そういう割り切りで整理をしてしまった方がよいのではないか。

【A委員】 そういう割り切りは、非常に重要だと思うのだが、簡単に、この汚染土壌の直接影響のところに、(粉塵の吸入と土壌の摂食及び皮膚接触)という形で入れれば済むことなのか。
 今のところの文章の言葉の使い方について、「汚染土壌の直接影響」という、この「影響」という使い方をすると、私の感覚だと、薬理学的な影響とか毒性学的な影響ととらえてしまう。このところの文章は、暴露経路について言っている。経路について言っているところで「影響」という言葉を使うのは、ちょっと我々の感覚とは違うので、「汚染土壌による直接暴露」のようにするとわかりやすい。
 その括弧の中のところで、吸収という言葉が括弧に入れてある。吸収がどこまでかかるのかわからないが、皮膚からの吸収も、もちろん摂食からの吸収もあるだろうし、吸収とわざわざ入れなくてもよいのではないか。

【事務局】 後半の方からいくと、ここの吸収は「皮膚接触」としたときに、吸収と書いていた方がわかりやすいという程度の吸収で、あくまでも皮膚接触で、その後のルートとして吸収だということの説明なので、これは説明が要るかどうか決めていただければ、当方としては、特にこだわりはない。
最初のところは、全体として「影響」というのを、例えば「暴露」とした方がわかりやすいという御指摘か。例えば「汚染土壌の直接暴露」とすると、もう一つの方のかぎ括弧は「他の媒体を通じての暴露」とした方がよいという趣旨か。

【A委員】 そのようにした方がわかりやすい。

【E委員】 私も全く同じように思う。

【事務局】 そういう御意見であれば、そのように全部修正させていただく。

【座長】 文章としてはどうなるか。

【事務局】 「汚染土壌の直接影響」を「直接暴露」。「他の媒体を通じての影響」を、「他の媒体を通じての暴露」。それは、後のところも全部同じように修正する。

【座長】 他に何かあるか。

【F委員】 「我が国で設定したTDI等がない場合」について、そういうTDIがない場合には、飲料水からの摂取量と同程度とするということだが、飲料水からの摂取量というのは、例えば金属だと可溶性のもので、また吸収も非常にされやすいもので基準が決まっている。一方、今回問題になっている土壌汚染の場合だと、なかなか水にも溶けないし、摂食しても吸収されないという、そういう違いがあるが、この場合に、飲料水からの摂食量と同程度にするというのは、もう決まったことなのか。それとも、今回新たに提案されていることなのか。

【事務局】 この部分は、今回新たに出させていただいているところ。

【F委員】 化学形により金属の性質が非常に違うので、安全側に立ってという立場ならいいのだが、非常に厳しくなるという感じもしたので、お聞きしたかった。

【座長】 もう一つ、飲料水からの摂取量と同程度とするというのは、これは飲料水で決まっているもので全てをカバーできるかどうか疑問。

【事務局】 この飲料水と同程度というのは、おおむね10%程度と同じ趣旨であるという意味で、トータルとして飲料水と同程度の大体10%を想定するという趣旨。
林委員の御意見は、あまり想定をしていなかった。三つ目のところとして、全くない場合についてどうするかを書くということであれば書かなくてはいけない。そのときには、WHO等からTDIなりADIを決めなくてはいけなくなるということをここで述べるべきか、三つ目の選択肢というものを、これから先、土壌に特有な何か問題があってやる場合にどうするかということまで示すべきというのであれば、御意見いただければ、示すことは全然問題ない。ただ、具体的な想定が今のところない。

【座長】 現状では、そういうものはないということだがどうか。

【D委員】 将来もそうなるのかどうかわからないが、土壌環境基準項目になっているのは、水の水質環境基準ができて、その汚染を防ぐためにという観点から土壌環境基準ができてくるという流れなので、将来土壌だけでそういうものが出てくるかというのも、なかなか考えにくいので今の段階ではこれでよろしいと思う。

【座長】 F委員、どうか。

【F委員】 TDIがある場合、食品側の方からは10%ぐらいだとまあいいかなという感じで受け取っていた。また、食品から殆どとってしまっている場合には1%位、それが下限だというと、これは妥当というか、しようがないのではないかと思っている。

【座長】 ただ、1%程度までを下限とするというのは、それなりの意味はあると思うのだが、理由なく1%に下げてしまうというと、行政上の都合で設定したのではないかというような判断をされる場合もある。例えば1%の場合には、吸収率その他を考えて論理的な根拠をつけることも、場合によっては必要なのではないか。

【事務局】 最後のおおむね1%というのは入れない方がよいというのであれば、「可能な限り小さくする」で切らせていただいて、もし、それでよろしければ、そういう形で御議論いただき、決めていただければ大変ありがたい。ただ、ここは何か考慮が必要だというところを書いて、あえて後ろを書いてみたが、数字があると比較をしてしまうのであれば、「小さくする」のところで切ってしまうということも一つのやり方かと思う。

【座長】 土壌というのは、人がやたらに変えることができない。1%という数字を入れるか入れないか。

【D委員】 環境省の方の考え方としては、数字を入れておかないと歯どめがつかないというような意味合いなのかと思う。しかし、実際問題としては可能な限り小さくする。ここも1%にするだけの根拠があるのかどうか難しいし、今まで他の基準が必ずしもそういう状況できっちり整理がされている訳ではない。こういうものを考慮しなくてはいけないということは当然必要。ただ、考慮の仕方というのは実態的に、何かしなければいけない目標であるという言い方をしているわけで、そこは必ずしも環境基準と一体のものではない、望ましいものと一体のものではないという言い方をもしている。どこまで書いたらいいのか難しいが、こういうふうに書けば、普通は下げていく方向でとなる。

【B委員】 私もこの1%という数字を入れるのは、やや躊躇する感じがする。実際には10%位にしておいて、他のものを全部足し合わせると100%を超えてしまうときに、どこで縮小していくかというのが、実際一番やりやすい。確かWHOでも、10%より小さい数字を出すのは無意味であるとはっきり書いてあったが、私もそれに賛成である。

【座長】 アズ・ロー・アズ・ポッシブルというような表現が、よく使われている。

【B委員】 10以下の数字を当てはめることには、はっきり否定的な記載もある。それを特に引用することもないと思うが、一応ここのところに「土壌からの当該物質の摂取量を可能な限り小さくする」というのはよいと思う。

【座長】 可能な限り小さくするというのは、土壌からだけで決めることもできない。トータルの摂取量を考えて、「限りなく小さくする」だけでもいいのではないかなという気がするが、G委員どうか。

【G委員】 10%未満は特に明記しない方がよい。

【事務局】 そうすると、「小さくする」とするか、「おそれのある場合については考慮する」ぐらいでとめてしまうかどちらがよいか。「考慮する」というような表現もある。

【座長】 では、そういうことを少し考えていただいて、他についていかがか。

【B委員】 実際に目標濃度を設定するときの計算の仕方がわからない。実際には、例えば、水の場合1日に何リットル飲むこととしているのか、そういうことをはっきりしておかないとわかりにくい。
 それから、子供の200をとっているのか、大人の100をとっているのか。例えば、50~60年かかって蓄積していくカドミウムのような場合に、全部子供の200をとるのが妥当かどうか。子供の時代というのは7~8年で、その後は、今度は大人になる。そうすると、年数割をする必要もある。一方、割合短期的に効くようなものは全部200でいくとか配慮が必要なのではないかと思う。

【事務局】 子供は例えば6年とか、大人は64年とかというところを少しはっきり書くとともに、先ほどの水の摂取も2リットル、50キログラムの計算をしているので、何らかの形で記載するということでよろしいか。

【座長】 よろしいか。揮発性有機化合物で、「表層土壌中の有害物質の含有量として目標濃度を設定する必要はないと考えられる」と前に理由が述べてあるが、よろしいか。
 それから、農薬は外して、農業用以外の用途があるものについては、もう少し調べていただくということで、ほかになければ、表層土壌の汚染の実態についてはいかがか。

【D委員】 六価クロムは測定法自体が水による実態的には抽出法であると書かれているが、それは仕方がないと思う。言い訳を少し入れておいた方がいいのかなと。
 吸収されるときは水に抽出されるものが吸収されるであろうというようなことを入れてよいか難しいが、ほかと測定法が明らかに違ってくるので、底質法そのものをやってよいのか。
 もう一つ気になるのは、単なる水でいいのかという話があって、当然胃の中ではpHがだいぶ下がって、そのときに六価クロムはどうなるのか、pHが下がると溶けやすくなるのかどうか、わからないが、そういう意味では、底質の試験法そのままでよいのか気になるところではある。もし、そこで問題があるのであれば評価の方、測定方法について少し検討が必要だというようなことを追加していただいた方がよい。このままだと、底質調査法の分析方法をそのまま採用するというようなことに読めてしまうので、場合によってはそういう検討も必要になってくると思う。陰イオンになった場合に、それがどのぐらい溶解度にかかわってくるかというのは、カチオンは多分溶解度がふえるなどと言えるのかもしれないが、少し検討する必要があるかと思う。
 それから、先ほど全シアン、シアン化合物について、これはどちらから見てもという話だが、目標としては淡々と、どちらでもいいのだが、対策を考えたときにどちらを根拠にしているかというのは、かなり影響してくる。もし急性毒性を根拠にしているということであれば、直ちに対策をしなくてはいけない。慢性だとするとある期間の間に対策をすればいいという話になるが、急性で仮に基準をつくっているということであれば、基準を超えるところは直ちに立入禁止しなくてはいけないというようなことになりかねない。どういうふうなことから出した値かというのを、少しはっきりしておいた方がよいと思う。実態的に急性毒性が出るようなものが汚染土壌として放置されていてよいのかというのも考えにくいようには思うが。あるいは、例えば急性毒性としてシアンの汚染があって、そのとき対策はどのように考えたらよいかを各委員に教えていただけないか。

【座長】 普通は慢性毒性の面からカバーしてあれば、大体急性毒性は同時にカバーできてしまうのだが、シアンの場合は逆なのか。

【事務局】 六価クロムの分析の話は、少しその辺のニュアンスを整理をさせていただく。シアンの方は、むしろ先生方にお教えいただきたいところで、仮に、シアンというのはやっぱり急性という方を念頭に置くのであれば、例えば最後になお書きぐらいで、シアンについては急性毒性が懸念されることから、速やかな改善措置が必要だということを書くのか、もしくはシアンは慢性という見方でいいのか、先生方に将来的に、具体的な検討をするときには、措置については、シアンは別に扱う必要があるのかどうか御意見等をいただきたい。

【座長】 水ではどうなっているのか。

【A委員】 数値がよくわからないが、急性毒性の値から計算したというときに、通常の安全率を見込んで、さらに水道水としての安全率を見込んでいるというので、私の考えだと、通常の安全率ということで100倍のセーフティーファクターで割って、それから水道水なので特別のファクター、またさらに10で割るとか、それで急性毒性の値を1,000分の1ぐらいにして、その値が慢性毒性でのTDIを設定したときのその値、それはおそらく100分の10ぐらいかなんかだと思うのだが、それよりも小さかったという、そういうことなのではないかと思う。

【座長】 そうすると少し変えなくてはいけない。

【A委員】 特に急性毒性のことを言わなくても当然慢性毒性のTDI設定のときは、急性毒性の値も低いところにあるわけなので。

【座長】 普通はそうだが、水道も実際には慢性毒性を主にしているが、水だけは、シアンについて急性を根拠にしているのだから、多分事務局の方は水道の考え方を取り入れているのだと思う。普通は慢性をきちっと押さえておけば、急性の問題はカバーできると思うのだが、シアンだけは違うということで、こういう複雑な表現になっている。原則としては普通、慢性影響をきちっと押さえてあれば問題ない。ただ、シアンについて、慢性毒性よりも急性毒性が大きな問題になるので、水道はそうしていると思う。これを少し直せば、内容としては悪くはないのでこれをもとにして毒性の専門の先生に御意見をいただくということで、よろしいのではないか。

【A委員】 やはり行政サイドとしては、水道水の基準があるのに、それをオーバーするというのは非常にやりにくいのではないか。それで、こういうふうにされたと思うので、その行政サイドで文は考えていただければよいのではないか。

【座長】 行政的な問題で、サイエンティフィックにあまり大きな問題ではないということなので、これでもよろしいし、修正してもよろしいが、内容としては特に問題はない。

【事務局】 この文章のままでもよろしいか。あるいは何か措置のときに考慮することを書くかどうかになる。つまり、シアン汚染地が見つかった場合の対策として、ほかも、もちろん一般には直ちに何か対策をとるのだが、少し注意書きが要るかどうかということだろうと思う。その辺はいかがか。健康影響の観点から、そういうただし書きが要るかどうか御判断いただきたい。

【D委員】 基本的には、基準は決まるが、それを超えた汚染土壌があって、それにさわったらというふうに一般の人は考える。急性毒性から基準が決まっていて、それを超えていると言ったら、慢性の影響とは違うとらえ方をする。そうすると、直ちに何か、さわらないようにするとか、対策をしろという話が出てくると思う。直ちにというのはなかなか難しいが、そういう注意書きが必要かどうかということを、少し私も判断しかねているので、先ほどそういう質問をさせていただいた。

【座長】 150㎎/kgということで、それを超えた場合に、急性影響への対応ということで何か追加文章が要るかどうか。

【A委員】 WHOにおける長期毒性の観点から設定されるTDIよりも低いということなので、急性にすぐに対応しなくてはいけないということはないと思う。

【座長】 ということは、何かただし書きとか注意書きをしなくてもよいということか。

【A委員】 よいのではないか。

【座長】 もう一度読ませていただいて、何か少しコメントしたいと思う。

【事務局】 この短い時間で御覧いただくのは大変だと思うので、少し時間をとらせていただいて、御検討いただければと思っている。

【座長】 わかった。次にリスク管理の方法についてということだが、幾つかの管理の  方法を挙げているが、これでよろしいか。

【D委員】 先ほど申し上げたように、今回は表層土壌を対象に目標を考えるということだが、表層でない深層の土壌が、表層になり得るというところをどう担保していくかということが、必要だと思う。今のところは、完全に表層の土壌についてやりますという話で、表層で汚染があったら登録するというような観点で考えている。深層にあったときにどう考えるかという話は今回はしないということかもしれないが、実際に土壌を測ったときに、これは表層だよと言いながら、深層の土壌の含有量も測った結果での議論が出てくると思う。そのときに、どう考えるのかということを少し入れておく必要がある。例えば深層の土壌を表層に持ってくるときに、同じことが起こってしまう。淡々と、今回は外してしまうか。汚染土壌の搬出利用を防止するということなどが考えられるが、あくまでも、これは表層の土壌の調査をやるという話で、だから深層のところは出てこないとするのか。それはそのとおりなのだが、実際には掘削といっても50センチのところまで掘削するという話ではなくて、もう少し深いところまで掘削する。そのときに、同じような汚染土壌の搬出の話が出てくる、例えば住民の方がこれに照らしてどうなのだという話が必ず出てくると思う。少し何か書いておく必要があるかどうか議論いただきたい。

【事務局】 よろしければ、今のコメントを明確に会議録に残し、別にある土壌環境保全対策の制度の在り方の検討会の中で議論させていただきたい。なお書きすることも可能だが、一般の方に土壌のリスクを理解していただいたときに、表層と中と混ぜて同じようなリスクがあるように思われるというのも我々の意図から離れてしまうので、我々としては問題として認識を明確にしているので別途検討会で議論さ  せていただければと思う。

【座長】 確かに、リスクの問題になるのは表層だけということなので、私はこれでよいと思うが、「汚染土壌の搬出・利用を防止する等の措置及び」ということになると、深層のものと表層のものとが混同されて誤解を招くということにもなる。

【B委員】 この登録管理する必要な部分があると思うが、リスク削減をほぼ完全にやったというふうに判断できる場合までも登録しておく必要があるかということもあり、そうなると、リスク管理というよりは、むしろ全体がリスク削減の方法であって、暴露管理とか暴露経路遮断とかいろいろやって、残存リスクがある場合にはまだ管理すると整理した方がわかりやすい。

【座長】 事務局としては制度の在り方の問題になるということか。

【事務局】 御指摘のところは今まさに、制度の在り方の検討で、非常に大きな課題の一つとして思っており、仮に浄化をしたという土地に対して、どのような管理が必要か必要ではないかというのも、検討する必要があると考えており、そちらで検討させていただきたい。

【座長】 この委員会からの提案として、制度の方に持ち上げるということになる。リスク管理の方法についてということで、ほかに御意見ないか。

【C委員】 確認させていただきたいのだが、土壌汚染のリスク管理と言えるかわからないが一つの方法でターンオーバーというのか、ひっくり返してしまうやり方があると思うが、今のD先生や事務局の話によると、それはだめだよということになるのか。一般的に、多分ターンオーバーというのはあると思うので、それははっきり示しておくべきではないか。仮にこういうことが何か制度としてあった場合には、作業が終わった後に確認という調査が当然必要になってくるので、仮に知らずにひっくり返して中からもっと高濃度ものもが出てくれば、確認して、そこでチェックができるという構造に多分なるのだろう。どこかから持ってきたからよいというのではなく、持ってきたものもチェックが当然必要であるし、ひっくり返した場合にも当然その後また同じように確認をして、改善されたという確認ができなければならないので、そこでの担保はできる。当然、今の制度のあり方の検討の中の議論になるのだが、非汚染の土壌を持ってきて覆土してもらわないと、また問題を繰り返すことになりかねない、そこの確認はしなくてはならないと思っている。ただ、そのときの措置として、こうしたらまた出ましたという情報は、貴重かもしれないが、最後こうなりましたというところでのチェックは含めた上での確認は当然必要だ。

【D委員】 多分今言われたのは、農用地土壌汚染の対策としてひっくり返すという話があって、天地返しがあるが、そのときに、当然下が汚染していなくて上が汚染していると、ひっくり返せば、表層の土壌をはかればきれいになっているが、下には汚染が残っていると。今、溶出試験に関しては、全体がかかるので、天地返しは、今の市街地土壌汚染の対策の方法としては記載されていない。ただ、確かに表層土壌という「表層」だけに着目すれば、農用地と同じような方策はあり得るのですけれども、それが許容できるかというと、もう1回ひっくり返すような話も考えると、あまり望ましい方法ではないので、ここに記載しておく必要はないと思う。

【座長】 管理の方法としてほかにないか。ほかになければ、次の今後の対応等というところで、特にこれだけでいいのか、あるいは何かおかしいことがあるかどうか。

【G委員】 特にない。

【座長】 今後の対応等の記載についてはこれでよろしいとして、全体を通じて何か御意見ないか。

【C委員】 各項目の目標値を定めたところの書き方だが、例えば個別重金属等の目標濃度の設定とあって、ふっ素やほう素、セレンが入っているのもいいかなと思うが、さらにシアン化合物も重金属等としてしまっていいのか。

【座長】 重金属等の中にシアンも入っていることについて、よいか。

【事務局】 これは、専ら溶出基準の分類をするときに、これまでこういう使い方をしているため、例えば、アンケート調査でもそうだが、揮発性の物質と分けられないので全部「等」で拾っていることもあって、多少イメージがつくれないかなというのもあるが、一応除いているのは揮発性というのと対比した形でそれ以外ということで使っており、現時点では、「等」で読ませていただきたい。将来的にいいグループ分けができればしたい。

【座長】 慣習的に使われていたということか。

【C委員】 先ほどTDIとか急性毒性の話も出たが、シアンはやはり違う側面もあるので、セレンなんかもそうなのかもしれないが、毒性から考えると、今後は重金属等の中に少なくともシアンは入らないような分類を考えていただきたい。

【座長】 その点は、事務局によろしくお願いする。ほかに、何かないか。

【A委員】 シアンで気がついたのだが、シアンの汚染がある場合に、例えば酸を大量にこぼしたら、青酸ガスが発生するが、毒性というのは、そういう状況はほかの金属でも考えられるが、それについては考えてこなかったが、念頭においておいていただいて将来の課題としていただきたい。

【座長】 将来考えておいてほしいということか。

【A委員】 そうだ。

【事務局】 これが何らかの法制度の枠組みに入ってくるときには、当然技術的な基準なりで、シアンに汚染された土地で別の注意事項があるのであれば、そういうところでぜひとも反映をさせていただければと思う。

【座長】 それでよろしいか。

【A委員】 そういう場所の管理のときに一言入れればよいと思う。

【座長】 細かいこと、特に技術的なことは、別で記載するということでお願いする。

【G委員】 カドミウムの目標値だが、飲料水基準をもとにすると150になって、これがPTWIの30%になるわけだが他を見ると大体10%に収まる形にされているが、カドミウムは2003年には再評価がされる予定なので、とりあえずはこれでよいという考え方か。

【事務局】 御指摘のとおりでカドミウムについてはまさに今、我が国が主導的に動いて検討されているように聞いているので、そこまでは、今のような御指摘もあるということで暫定的にという趣旨である。これは、土壌だけではなくて、現につくられている他の基準にも影響してくることなので、他もあわせて議論をすることになるだろう。

【G委員】 明文化するかどうかは別として、将来的にこういう問題が起こり得ると思う。例えば日本のTDIに合わせたときには、例えばTDIの10%に収まるのだけどWHO基準と比較すると基準の20%になるということが起こったときに、考え方としてはどちらをとるべきかということで。

【事務局】 あくまでも我が国の基準で整合をとる形にしている。ただ、将来的には諸外国の情報が集まってくれば、当然ある時期に再評価ということになると思うのでそのときに土壌の方も併せて再評価させていただきたい。

【座長】 この問題は、食品に関係するので、これは日本の基準と、多分国際的な基準が一致せざるを得ない。日本の基準と外国の基準とを別々に考えることは、将来できる問題か。

【B委員】 トータルの摂取量としては変わらないと思うが、もちろん食品に割り振った場合には、食生活が違うので変わると思う。

【座長】 現時点では、カドミウムについてはこのまま暫定ということでやむを得ないということか。将来は、確かにG先生が言われるように、いろいろ問題が起こるかもしれないが、当面はこうやっておくということとする。

【事務局】 最後、全体の修正等の内容を確認させていただきたい。目的のところで、特に望ましいレベルであるなしというところの表現ぶりは、例えば「人の健康に対する有害物質のリスクについて、単に望ましいレベルということではなく、何らかの」という趣旨でよろしいか。よろしければこのような趣旨で、修正する。直接影響の「影響」という部分を「暴露」という形に修正する。次にできるだけ参考資料をつけるようにということなので、調査しているものについて、近いうちに御覧いただけるようにしたい。
 次に、なお書きのところは、先ほど申し上げたような形で「考慮する」というような表現で、後ろは削除する形で整理したい。
 チオベンカルブについては、確認して、チウラムであった場合には修正する
 それから計算方法について、もう少し明確に数字がわかるように、例えば、子供の時代を何年としているのかとか、あるいは水道基準からの計算の仕方を、もう少しわかるようにする。

【座長】 次にこの検討会の報告書のとりまとめの方法、それから検討会の今後の予定について説明をお願いする。

【事務局】 来週の水曜ぐらいまでに、御意見をいただけると大変ありがたい。あわせて、関係部局に対しても、今修正をさせていただいた案を配布し、意見を集約したいと思っており、来週中には全部集約した上で改めて御確認いただくために案をお送りしたいと考えている。

【座長】 修正したものは、いつごろまでに見ればよいか。

【事務局】 来週中に意見を集約できれば再来週の早い時期には最終確認のための案をお送りできると思う。

【座長】 それを、またチェックするということか。

【事務局】 最終の確認をお願いしたい。大体再来週までに、そのようなことができればと思っている。

【座長】 了解した。

【事務局】 また、検討会については、この報告書をとりまとめいただいた段階で一応の閉めとさせていただきたいと考えており、本日議論された別の暴露経路のことなどを含め、今後また別の形で、御指導御協力いただければと考えている。報告書について、さらに御意見をいただき、もう1回、この議論を最後詰めるか、あるいは座長に御一任いただいてまとめていただくか、そのあたり、御意見を伺いたい。

【座長】  とにかくまとめていただいて、それによって決まるわけだが、それほど大きな問題がないとすればよろしいが。

【事務局】 ほかのところからの意見も踏まえて、特段大きなものがなければ、再来週の次の週ぐらいには最終的なものができるのでそこでもう一度開催はさせていただく方がよいか、その辺の御意見をいただきたい。

【D委員】 その判断も含めて、座長と事務局にお任せしてはどうか。

【事務局】 それでは、座長とも御相談の上、また改めて御連絡させていただく。

【座長】 最後に、本日の資料の公開について、これは委員限りとなっているものを除けば公表するということで、よろしくお願いする。

【事務局】 報告書案についてはこれから関係のところと調整をさせていただいて、また最終確認をお願いしたいのでよろしくお願いする。これをもって第5回の検討会を終了させていただく。

-以上