利根川水系における取水障害に関する今後の措置に係る検討会(第3回)議事録
平成24年8月9日(木)13:04~13:50
イイノカンファレンスセンタ- RoomA
議事次第
- 1 開会
- 2 議事
- (1)中間取りまとめについて
(2)その他
- 3 閉会
配付資料
- 資料1
- 利根川水系における取水障害に関する今後の措置に係る検討会委員名簿
- 資料2
- 利根川水系における取水障害に関する今後の措置に係る検討会(第2回)議事録(案)(委員限り)
- 資料3
- 中間取りまとめ(案)
- 参考資料1
- 水質に係る基準項目等の水質調査について
午後1時04分 開会
- 北村課長 それでは、皆様おそろいになられましたので、ただいまから第3回の利根川水系における取水障害に関する今後の措置に係る検討会を開会いたします。
初めに、本日の委員の出席状況についてご報告いたします。本日の検討会には9名の委員の方にご出席いただいております。群馬県の山口委員及び埼玉県の畠山委員につきましては代理の方のご出席をいただいております。なお、細見委員、森田委員はご欠席とのご連絡をいただいております。
また、前回7月19日に第2回の検討会の後、人事異動によりまして事務局に異動がございまして、水環境課長が私、北村に変わっておりますので、よろしくお願いいたします。
カメラの撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
続きまして、お手元の配布資料について確認させていただきます。
議事次第に記載しておりますが、資料といたしまして、資料1、利根川水系における取水障害に関する今後の措置に係る検討会の委員名簿。資料2につきましては、委員限りでございますが、利根川水系における取水障害に関する今後の措置に係る検討会第2回検討会の議事録(案)。資料3、中間取りまとめ(案)
参考資料といたしまして、参考資料1、水質に係る基準項目等の水質調査についてをお配りしております。
また、委員の皆様には、参考資料として法制度の現状とWDSガイドラインを机上に配付しております。
不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
また、検討会終了後に発言者名を示した議事録を作成し、委員の皆様方にご確認いただき、ご了解いただいた上で公開させていただきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
それでは、以後の進行につきましては新見座長にお願いしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
- 新美座長 皆さん、こんにちは。新美でございます。
今日は暑さも和らぎ、少し過ごしやすいようですが、熱いご議論をよろしくお願いしたいと思います。
第2回の検討会におきましては、今後の基本的な対応につきましてご議論をいただいたところでございます。その回の議事録につきましては、事務局から委員の皆様に事前にご確認をお願いしてございまして、それをまとめたものが資料2として配付されているところでございます。議事録は後日公開される予定でございますが、目を通していただいてお気づきの点がございましたら、後ほど事務局まで早い機会にご連絡いただきますよう、お願いする次第でございます。
本日は前回までご議論いただいた今後の基本的対応を踏まえまして、事務局で中間取りまとめの案を作成してございます。それをご審議していただくことになります。
それでは事務局から資料3についてご説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。
- 山本課長補佐 それでは資料3をご覧ください。
1ページめくっていただきますと、目次をつけてございますが、はじめに、今般の事案の概要、今後の基本的対応についてという大きく3点を整理しています。
1ページ目のはじめにでございますが、平成24年5月に利根川水系の浄水場で水道水質基準を上回るホルムアルデヒドが検出され、1都4県の浄水場において取水停止が生じるとともに、同月19日から20日にかけて千葉県内5市の36万戸において断水または減水が発生するといった取水障害が発生した。
今回の事案は、取水停止が広範囲に及ぶものであり、今後の再発防止や問題が生じた場合の迅速な対応を図る観点から、学識経験者、関係県から構成される検討会において、主に水質汚濁防止法、廃棄物処理法等における制度的な対応について検討を行ってきた。
本取りまとめは、今般の事案を踏まえ、すぐに実施すべき事項について提案するとともに、必要な調査を行った上で今後検討すべき事項を整理したものである。環境省におかれては、本中間取りまとめを踏まえ、緊急的な対応を含め、計画的に必要な対策を進めていかれることを期待する。といった形で、検討会からの提言という形で、はじめにを書かせていただいております。
今般の事案の概要につきましては参考資料として添付しておりますが、この中で、今回、今後の基本的な対応を整理する上で必要な事項に限って簡潔に整理しております。
群馬県、高崎市、埼玉県において原因究明調査等が実施され、それを踏まえると、今般の事案の概要は次のとおりである。埼玉県に所在するDOWAハイテックが高濃度のヘキサメチレンテトラミンを含む廃液の処理を高崎市内の事業者に委託。
委託を受けた事業者は、ヘキサメチレンテトラミンを含む廃液を計65.91トン(廃液には約10.8トンのヘキサメチレンテトラミンが含まれると推定)を受け入れ、5月10日から19日の間、中和処理を行い、処理水を排水路に放流した。
当該事業者は、廃液に高濃度のヘキサメチレンテトラミンが含有していることを認識せずに中和処理だけを行ったものであり、結果として、ヘキサメチレンテトラミンが十分に処理されないまま河川中に放流と強く推定された。
河川に排出されたヘキサメチレンテトラミンが下流に流下し、利根川水系の広範囲の浄水場において、浄水過程で注入される塩素と反応し、消毒副生成物としてホルムアルデヒドが生成した。
ここでは、ホルムアルデヒドが消毒副生成物であるということやヘキサメチレンテトラミンが含まれていることを認識せずに、処理を行い、結果としてそのまま出たものであるといったことを入れております。
2ページ目でございますが、今後の基本的対応についてでございます。
前回、中杉委員から、取りまとめを行うに当たって、今回問題になったヘキサメチレンテトラミンについてまず対応すべき事項、それから、それ以外の物質について今後検討していくべき事項といった形で、取組のステップに応じた整理をすべきではないかというご意見があったことも踏まえまして、今回、取水障害の原因物質であるヘキサメチレンテトラミンについて緊急的に対応することが必要であるということから、当面対応すべき事項というものを整理しております。
また、ヘキサメチレンテトラミン以外の物質については、今後、知見の集積を進め、それを踏まえ対応を進めていく必要があることから、今後検討すべき事項として取りまとめたと記載しています。
当面対応すべき事項として、4点ほど整理しております。
1つ目は指定物質への追加ということです。ヘキサメチレンテトラミンを水質汚濁防止法に規定する指定物質に追加することが適当である。これにより、ヘキサメチレンテトラミンを含む排出水が事故により公共用水域に排出された場合、応急の措置が講じられるとともに、都道府県に報告が行われることになり、今後同様な事案が発生した場合にも迅速な対応が可能となる。
また、指定物質に指定することにより、ヘキサメチレンテトラミンが利水障害を生じさせるおそれがある物質であると認識されることとなり、当該物質を含む廃液の取扱いについて事業者に注意を促す効果もあることから、今後の再発防止に対して一定の効果が期待されるということでございます。
2点目は、排水処理における留意事項の周知ということで、ヘキサメチレンテトラミンを含む工場・事業場からの排水について適切な管理が行われるよう、利水障害が生ずるおそれがない排出水の濃度について周知することが適当である。
その具体的な排出水の濃度につきましては、当面、排出水のホルムアルデヒド生成能の目安を、これまで排水基準が原則として環境基準の10倍に設定されること等を勘案し、ホルムアルデヒドの水道水質基準(0.08mg/L)の10倍(0.8mg/L)として、事業者に周知することが適当であるとしております。
今回、原因物質になりましたヘキサメチレンテトラミンにつきましては、その濃度と水道水中のホルムアルデヒド濃度との相関について十分な知見がないといったようなことや、また、ヘキサメチレンテトラミン自体の測定方法についてもきちっと今固まったものがないという状況にございますので、当面ということで、排出水のホルムアルデヒド生成能を目安として周知していきたいということで書かせていただいております。
3点目は、要調査項目への追加ということで、前回、大塚委員から、ヘキサメチレンテトラミンについて要調査項目の対象物質としてモニタリングを行う必要があるというご意見をいただいたことを踏まえ、ヘキサメチレンテトラミンを要調査項目の対象物質として環境中の濃度について把握を行うことが適当であるとしております。
この要調査項目については、これまでこの検討会でご説明しておりませんので、参考資料1として、水質に関して、どういった基準があるのかといった資料をつけさせていただいております。水質に関する基準項目につきましては、環境基準健康項目として、有害な物質について環境中で維持することが望ましい基準を設定し、水質汚濁防止法に基づき都道府県が常時監視をして、国で取りまとめて公表するといった物質があります。
それ以外に、人の健康の保護に関連する物質ではあるが、現時点では検出状況等を踏まえると、常時監視をしたり、排水規制等を行う必要まではないといったものを要監視項目として26項目ほど設定しています。要監視項目については都道府県がモニタリングをし、国で取りまとめて毎年度公表しております。
一番下に要調査項目ということで、個別物質ごとの環境リスクははっきりとはわからないが、有害性の情報や使用量等から見て、きちっとウオッチをしていく必要があるだろうといった物質を300物質ほど国で選定して、分析法を検討し、それを踏まえて存在状況の調査を行っております。
こういった要調査項目としてヘキサメチレンテトラミンを位置づけ、今後、全国での存在状況について把握をしていくことが適当ではないかということで、3点目を入れております。
- 塩見係長 続きまして4番目の廃液の処理委託における情報提供の徹底でございます。
今回の事案につきましては、廃棄物として発生したものが、廃棄物処理業者への委託に当たって、処理業者側で十分に認識されないまま公共用水域に流出したといった案件でございまして、まずはヘキサメチレンテトラミンという物質を含む廃液の処理委託についてどう考えるかでございます。
廃棄物の処理の委託に当たっては、排出事業者がその廃棄物の特性に合わせた処理方法等を選択して、処理業者において適切に処理されるように徹底するというところが基本でございます。しっかりとした処理ができるかどうかということを、まず最初に確認した上で委託をする。その際の情報提供のあり方についてどうするかということでございまして、WDSガイドラインがございますので、それを活用して適切に情報を伝達するということで、ヘキサメチレンテトラミンという物質が含まれた廃棄物について具体的に契約書等に記載して明確に伝えるといったことが適当であるというところでまとめております。
ヘキサメチレンテトラミンについては、外部へ流出することによって水道取水に影響を与えるといった影響が現に存在しておりますので、今後、情報提供等がもし行われなければ、廃棄物処理法の基準違反になり得るという取扱いを明確化するというところで考えているところでございます。
- 山本課長補佐 以上が当面対応すべき事項として、ヘキサメチレンテトラミンについて対応を進める事項でございます。続きまして、(2)の今後の検討すべき事項でございます。
ヘキサメチレンテトラミン以外の物質に関する検討でございますが、浄水処理に伴ってホルムアルデヒド等の有害な物質が生成する物質については、ヘキサメチレンテトラミン以外にもあると推定されるが、現時点では水道へ影響が懸念される具体的な物質について十分な知見がないところでございます。
したがって、浄水処理に伴ってホルムアルデヒドを生成する可能性がある物質等の抽出や、これらの物質に係る環境中の濃度、公共用水域への排出状況などについては、厚生労働省とも連携を図りつつ知見の集積を進め、それを踏まえ、ヘキサメチレンテトラミン以外の物質の取扱いを検討すべきであるとしております。
前回の第2回検討会で厚生労働省からご説明をいただいたところでございますが、厚生労働省でも消毒副生成物前駆物質汚染対策方策検討会を設置し、ホルムアルデヒドだけに限らず、消毒副生成物が生成するおそれのある前駆物質について、どういった物質が可能性があるのかといった抽出の作業を進めるというふうに聞いておるところでございます。ヘキサメチレンテトラミン以外の物質については、今後、厚生労働省で進められる検討とも連携を図りながら、知見の集積を進め、それを踏まえ、取扱いを検討していきたいという形で整理させていただいております。
- 塩見係長 続いて、2番目のWDSガイドラインの見直し等でございます。前回の委員会でご指摘のあったところでございますけれども、WDSガイドラインについて、法的な解釈を示すものとしての位置づけが必ずしも明確でないというところもございますので、WDSガイドラインが法解釈を示すものであるという前提のもとに、まずは整理が必要であろうというところでございます。
さらに、廃棄物の処理委託をする際の基準を廃棄物処理法の施行令、施行規則で決めているところでございますけれども、その改正の必要性についてもあわせて検討していくということを書いています。
それと、WDSガイドラインを見直すとして、実際にどういった化学物質を情報提供に含めていくのかについて、水質汚濁防止法ですとか、水道法ですとか、あるいは化管法ですとかとの整合も図りつつ、WDSガイドラインでどういった化学物質を情報提供に含めていくのかというところについて、より深めた議論が必要だろうというふうに考えているところでございます。
- 山本課長補佐 3点目の自主的な排水管理の促進でございます。環境基準として設定されている項目については、水質汚濁防止法で排水規制等が課されているが、それ以外の項目―先ほど紹介した要監視項目はモニタリングを行うに当たっての指針値は設定されていますが、排水のときにどういった濃度で注意をしたほうがいいのかといったようなものは設定されていないところでございます。
前回の検討会で、中杉委員から、環境基準で設定される項目以外についても、取扱いに当たってきちっと管理をしていくといったことを今後進めていくことも考えていくべきではないかといったご意見をいただいたことを踏まえるとともに、今般、ヘキサメチレンテトラミンについて言えば、どういった濃度であれば取水障害を起こすのかといった知見が一般的にはなかったことも踏まえ、今後、事業者による自主的な排水管理が可能となるよう、排出水として人の健康または生活環境に係る被害が生ずるおそれがない濃度の目安などについても検討すべきであるとしております。
4ページ以降につきましては委員名簿、今回の検討の経緯、それから参考資料といたしまして水質事故の原因究明調査結果の概要とヘキサメチレンテトラミンの概要について入れさせていただいております。参考資料につきましては、これまでの検討会の中でご説明させていただいておりますので、説明は省略させていただきます。
以上で資料3の説明を終わらせていただきます。
- 新美座長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明について、ご意見等をいただきたいと思います。内容は大きく分けて2つに分かれておりますけれども、それぞれ関連するところもあろうかと思いますので、特に(1)(2)区別することなく、ご意見あるいはご質問をいただきたいと思います。どうぞ、ご遠慮なくご発言いただきたいと思います。
- 飯塚課長(群馬県) 群馬県の廃棄物リサイクル課の飯塚と申します。
この3ページのところの(4)ですかね、廃液の処理委託における情報提供の徹底というところでちょっと確認させていただきたいんですけれども、「また」以下の話になりますけれども、これですと、WDSガイドラインを活用して委託契約書に記載をさせるというお話なんですけれども、現状でもWDSガイドラインの中では、このヘキサメチレンテトラミンにつきましてPRTR法の第1種指定物質ということで、一応現状でもWDSガイドラインの対象物質にはなっておるわけなので、ここでそのWDSを活用するということは、現状の指導というか、それを徹底するという趣旨でよろしいんでしょうか。
そうではなくて、今回こういったことがあったので、このHMTについて、新たに盛り込むような指導をしていくというような趣旨なんでしょうか。その辺の確認をさせていただきたいと思うんですが。
- 塩見係長 現行のWDSガイドラインについて、そのすべてについて少しでも満たされなければ基準違反になってしまうといった性質のものではないと、考えざるを得ないと思います。
確かに、ヘキサメチレンテトラミン自体はその中に含まれていますけれども、現行の取扱いの中で、これを必ず情報提供の中に含めるという考え方は恐らくないということです。そういう意味では、ヘキサメチレンテトラミンについて情報伝達することが必要であるということを明確化することでございまして、改めてというよりは、これまでよりも踏み込んで取扱いを明確化する、そういう趣旨でございます。
- 飯塚課長(群馬県) そうすると、端的に言えば、どちらかというとHMT、ヘキサメチレンテトラミンを特に取り上げて、今回こういった事案にかんがみて指導を徹底していくという趣旨で理解してよろしいでしょうか。
- 塩見係長 当面の対応としてはそうです。
- 新美座長 よろしいでしょうか。
- 飯塚課長(群馬県) はい、わかりました。
- 新美座長 それではほかにご質問、ご意見ございましたら。中杉委員。
- 中杉委員 大体、全体としては1回目、2回目の議論を踏まえて整理をしていただいていると思いますので、この中身で概ね結構だろうと思いますけれども、もう少し、この先の話に少し絡んで申し上げておきたいことがあります。
と言いますのは、1番の2)と2番の1)に絡んだところでの議論です。これは2番のところ、ホルムアルデヒドの生成能に着目したというのは、とりあえずはそういうことだということなんですが、ヘキサメチレンテトラミンの濃度でもいいはずなんですけれども、現実問題として分析方法、測定方法等がヘキサメチレンテトラミンについては確定されていないが、ホルムアルデヒドの生成能というのにつきましては埼玉県のほうで一応つくっていただいているんで、それをとりあえず使いましょうということなので、将来的にどうするかということはまた別問題であるということであるというふうに考えております。
それから、もう一つは、2番の1の絡みで言うと、ホルムアルデヒドができる物質というものは全部とらえようとすると、排水のホルムアルデヒド生成能をはかればいい。これが全部の物質がつかまえられるということになるんで、そういう考え方も一つあります。
ただ、そのときに問題になるのは、じゃ、どこの事業所に管理をやらせるのかという。すべての事業所にホルムアルデヒド生成能をはかれということにはなるのか、そういうふうにしてしまうなら今言われた形でできるんですけれども、はかる事業所を決めようとすると、それはどういうものを扱っているところと、また戻ってきてしまう話で、そこら辺をどういうふうに全体として整理をしたほうがいいのかということを今後議論していくことになるんだろうなというふうに思います。
だから、ここのところは必ずしも今回は、ヘキサメチレンテトラミンについてはこうするよと言っているけれども、それはその方法を今後も踏襲して順次物質を広げていくのでいいのかどうかという議論があるんだろうと思います。
そういう意味でいくと、(1)の1番目の1)の指定物質への追加というのも、ヘキサメチレンテトラミンについては、今ある制度の中で指定物質という制度があるのでこれを活用しましょうというのが、とりあえずの暫定的な当面の措置ということだろうというふうに思います。実際にほかのものがいろいろ出てきたときに、やはり指定物質に入れてやっていくのかどうなのかというのは、また議論があり得るんだろうということで、多分(1)と(2)というのは、かなり密接な関連を持っていますけれども、(1)が(2)のモデルケースであるというふうには考えないほうがいいのではないかというふうに私は解釈しています。
- 新美座長 ありがとうございます。非常に重要なご指摘で、当面の措置が将来の施策のあり方を当然には規定しないということでした。もっと適切な方法があり得ることを視野に入れておくことの重要性が指摘されたと存じます。今回は、ヘキサメチレンテトラミンという物質に着目しており、それを前提にするならば当面はこうだろうと、そういう理解をしておくべきだというご意見でした。
この点について、環境省からコメントは何かありますか。
- 山本課長補佐 (1)の当面対応すべき事項というのは、ヘキサメチレンテトラミンについてということでございますので、2)の排水処理につきましても、ヘキサメチレンテトラミンを含む工場・事業場からの排水について、当面ホルムアルデヒド生成能ということで管理をしていただくということで書かせていただいております。
今後、ヘキサメチレンテトラミン以外にもそういった可能性がある物質が抽出された場合には、それぞれの物質についてどういった事業場で取り扱われているのかといったことを勘案しながら、排出水について管理をしていく場合、ホルムアルデヒド生成能ではなく個別の物質で管理するということも含めて、今後、検討していきたいと考えております。
今回はヘキサメチレンテトラミンが大量に公共用水域へ流れ出たということで、今回は明確に水道への影響が生じたということでございますが、これ以外の物質については、そういった物質がどういったところで主に使われているのかといったようなことも含めて、またどういった処理をされているのかということも踏まえ、物質の取扱いについては検討していくものだろうと考えておるところでございます。
- 新美座長 ありがとうございます。ほかにご意見、どうぞ。
- 葛西課長(埼玉県) 先ほどの確認になるんですけれども、3ページの(1)の4)のところで、ご説明の中では最後は、この適切な情報伝達ができていない場合には委託基準違反という言葉まで出てきたということは、少なくともヘキサメチレンテトラミンについては、方向性としては、情報の伝達がなされていなければ委託基準違反として問えるような形で体系を整備していくと。
- 塩見係長 はい。そういったところで考えておりまして、取扱いの明確化というところで、これまでにも解釈等について通知で示していますので、そういった通知を発出して明確化するということを考えております。
- 葛西課長(埼玉県) そうしますと、それを受けまして、この(2)の2)でWDSガイドラインの見直しということになっていくときには、当然、今のこの考え方を踏まえつつ、いろいろな物質に幅が広がっていくというようなことでよろしいんですか。
- 塩見係長 はい、そのとおりです。それをやろうとしますと、廃棄物処理法の委託基準そのものについて、より明確化したほうがよいのではないかという考えもありますので、やはり検討する必要があると考えています。
- 葛西課長(埼玉県) そこまで先をお考えであれば、ここはやはり通知とか、そういったレベルではなくて、やはり規則改正が、自治体とすれば必要ではないかと思いますので、その辺もちょっとご留意いただきたいと思います。
- 新美座長 将来必要な法改正、政令等の改正が必要になればやるという含みはあるということでございますので。どうぞ。
- 半田課長(埼玉県) 中杉先生に関連してなんですが、今回、ヘキサメチレンテトラミンのホルムアルデヒド生成能ということで、私どもの指導要綱も同じ数値でとりあえず指導するということになったんですけれども、今回の事件を踏まえた中で、生成能でやる場合、どうしても相当時間がかかるということがありまして、ぜひヘキサメチレンテトラミンそのものの分析というのは、どうも私どもの環境科学国際センターの意見なんかも聞きますと、それほど難しいものではどうもなさそうだと。かえってこちらのほうのが分析も数値も早く出るんじゃないかというようなこともありますので、あわせて分析方法、直接ヘキサメチレンテトラミンができるような方法を確立していただくとともに、(2)の1)以外の物質につきましても、ぜひ集積に努めていただいて、これ以外の、ヘキサメチレンテトラミン以外の物質についても取り扱い等、検討をぜひお願いしたいということをお願い申し上げます。
- 新美座長 これも今後の知見ということになると思いますが、どうぞ。
- 山本課長補佐 (1)の当面対応すべき事項ということにつきましては、中間取りまとめをいただいた後、速やかに対応を図っていきたいと考えております。そういった中、ヘキサメチレンテトラミンの測定方法がまだ固まらないので周知できませんというのも、なかなか心苦しいところがあるので、まずは生成能ということで進めて、今ご指摘いただいたことも踏まえ、測定法についても今後検討していきたいと考えております。
- 新美座長 ありがとうございました。滝上さん、お願いします。
- 滝上委員 分析方法に関しては、埼玉県のおっしゃるとおりでして、ヘキサメチレンテトラミンについてはLC/MS法を使用することで水道原水とか水道水については、多分はかりやすいと思うんですが、問題は排出水みたいなマトリックスだと前処理等が追加され分析がやや難しいので、そこの課題はあるかと思います。
そういうことで、今のところはホルムアルデヒドの生成能、これは時間がかかりますけれども、これとヘキサミンの併用分析という形でしのいでいくのがいいと思います。
その際に生成能のはかり方で、今回も水道の事故のときに緊急でやられているのは、各施設で次亜塩素酸の添加率とか、それぞれまちまちなんですかね。これは統一された方法がないので、そういうところがどうすれば全体で整合してくるようになるかというところ、ちょっと私も知識がないのですが、そこは精度確保上、注意すべきところだと考えております。
以上です。
- 新美座長 ありがとうございます。ほかに。大塚さん、お願いします。
- 大塚委員 よく対応していただいて、ありがたかったと思っておりますが、今出てきている現実的に対応可能なことは、主要なものは挙げていただいていると思いますので、この線に沿ってやっていただければと思います。
特に今後の検討すべき課題としては2の(2)のところ、実は結構大変な話で、排出業者が排出するときに伝達をするということがかなり多くの物質について出てくる可能性もあると思いますので、この中で特にPRTR法との整合性を図りつつと書いてあるところは、結構大変なところですけれども、私もぜひお願いしたいと思っておりましたので、宜しくお願いします。排出業者が副生成物について十分認識しているとは限らないという問題があるので、その辺は現実的な観点を踏まえながら、徐々に拡張していくということかなと思っていますけれども、委託基準の改正も含めて、WDSガイドラインの見直しについても十分に盛り込んでいただいて、よかったと思っております。
以上です。
- 新美座長 ありがとうございます。ほかにご質問、ご意見。浅見さん、お願いします。
- 浅見委員 ありがとうございます。今、ご意見でいただきましたように、非常に網羅的に対応していただいているんではないかと思うんですけれども、今、WDSガイドラインで個別の物質名が挙がっているものというのを拝見いたしますと、昔々の水道水質基準に挙げられたものにとどまっている印象がございまして、ヘキサミンはとりあえずすぐ入れていただけるということなんですけれども、ほかにも指定物質になっているものは一日でも早く入れていただけるようにお願いしたいと思います。PRTRとの整合をとるのに調整するのに何年もかかるのでというようなことで先延ばしになってしまって、本当に今回の物質だけでなくて、塩素酸ですとかジオキサンですとか、浄水で非常に困ったものが何回か事故を起こしておりますので、一日も早くご対応いただけるようにお願いしたいと思います。
あと(2)の3番の自主的な排水管理の促進のところについても非常にありがたいご提案だと思っておりまして、特に指定物質ですとか、排出水の管理の目安というものをつくっていただきますと、それ以下だったら、事故でも通報しなくていいというものではもちろんないと思うんですけれども、急いで対応しなければいけないようなレベルがどのようなものなのかということも目安として示すというのが一つあり得るかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
- 新美座長 ありがとうございます。(2)の2)については見直しするということですので、浅見さんのおっしゃったような覚悟もあるのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。他の物質も指定物質にするという可能性もあるということで理解してよろしいでしょうかということですが。
- 山本課長補佐 それにつきましては、どういった物質がどのように使われているのかといったことも踏まえ、検討したいと考えております。
- 新美座長 そうですね。そういう意味では浅見さんのご指摘といいますか、要望も踏まえて検討するということで理解してよろしいですかね。中杉さん、どうぞ。
- 中杉委員 今の浅見先生のご意見を踏まえていくと、WDSガイドラインとPRTRとの突き合わせというのは、前にも申し上げたように、PRTRで廃棄物としての移動量というのは、PRTR対象物質について事業者が把握することになっていますから、それと結びつけるということは、ある意味ではそんなに難しい話ではないというふうに思います。
ただ、PRTR対象物質の選定にホルムアルデヒド生成能みたいな観点は入っていないので、そこまで含むとなると、化管法の対象物質の選定という方法の見直しをしなきゃいけない。それは少し時間がかかるという解釈だと思います。
だからそういうものを踏まえながら全体に議論して、どういうふうにしたらいいだろか。指定物質に入れるというのは、またそれはできる話だろうと思いますし、それは重なってもいいわけですから、PRTR対象物質に加えて指定物質もWDSの中に入れますよという話があってもおかしくないし、ある意味では化管法の対象物質というのは、あれは一応慢性影響を見ています。指定物質というのは必ずしも慢性影響じゃなくて、急性の影響のものが入ってくるわけですから、そこら辺のところはうまく全体を見て考えていく必要があるんだろうと、仕組みとしてはですね。そういう議論になっていくんだろうというふうに想像しますけれども。
- 新美座長 わかりました。そういった作業も、進められるなら進めていきたいということで理解しておきたいと思います。ほかにご質問、ご意見ございましたらよろしくお願いします。どうぞ。下井さん
- 下井委員 細かいことかもしれませんか、2ページの(1)の1)の指定物質への追加、3行目から、指定物質に追加することにより、ヘキサメチレンテトラミンを含む排出水が事故により公共用水域へ排出された場合、応急の措置が講じられる。これは業者が応急の措置を講じる義務が生じるということですよね。その排出した。
- 山本課長補佐 応急措置を講ずるのは、ここで言えばヘキサメチレンテトラミンを含む排出水を流してしまった、排出した事業者ということになりますので、……。
- 下井委員 私もその意味で言ったんですが。
- 新美座長 事業者という意味ですね。
- 下井委員 ええ、排出した事業者。それをもう少し明確にしたほうがいいのではないかという意味で、つまり、この中間取りまとめが誰に向けて発せられるかということにもよるかと思うんですけれども、そうしないと、何かただ講じられると言っても、読む人によっては、政府・自治体が講じるのかというふうにも思いかねないような、それだけのことです。
- 新美座長 主体を少し明記するということですね。
- 山本課長補佐 ではご意見を踏まえ修文させていただきたいと思います。
- 新美座長 ほかにご意見、ご質問がございますでしょうか。滝上さん。
- 滝上委員 2回目の議論を欠席させていただいたのですけれども、そのときの議事録で、群馬県のほうで、これは1回目の検討会でPRTRの指定物質の354のうちから85を選んで、今そういう意味で使用状況を、事業所は60箇所ぐらいで調査されているということですが、この85というのは、1回目のときの環境研がピックアップしたものについて調べられているということなんですか。
申し上げたいのは、このときのスクリーニングというのは、恐らくホルムアルデヒドを絶対に生成しないものというのを除外して85種類残ったものを対象にしているので、これでやっていただいても恐らくあまりフォーカスが、ピントが合ってこないかもしれないなというところがありましたので。
- 青木課長(群馬県) その85種類でやっております。したがって、空振りするものも当然あるという前提で、広く網を広げて県内の実態調査をしているという、そういう状況です。
- 滝上委員 その議事録を読みますと、厚生労働省とかで前駆物質の検討の委員会も立ち上がっていることですし、そういうものを反映させることは可能でしょうか?8月の終わりには結果を出すということで進められているんですが、途中で反映するということはできないのでしょうか。
- 青木課長(群馬県) 今、県内の調査が終わって取りまとめ中なんですけれども、また8月末に群馬県としての環境審議会を開催しますので、そこで厚生労働省の状況も踏まえて、追加の調査をするかどうか、もう一回検討してみたいと思っております。
- 新美座長 よろしいでしょうか。ほかにご質問、ご意見がございましたら、お願いします。
- 青木課長(群馬県) この席で言うのが適切かどうかわかりませんけれども、言わずもがなの話でありますけれども、群馬県、本当に今回の件では上流県としていろいろ責任も感じております。
今回、この中間取りまとめがこういう形でまとまるということでございますので、ぜひ、はじめにのところにも書いてありますけれども、一刻も早く、できることは国において措置をしていただいて、現場を担当する県として対策が早急に実現できるように、実現に向けてご努力をお願いしたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
- 新美座長 ほかにはいかがでしょうか。全般に皆さん、取りまとめ案でほぼよかろうというご意見だと思いますけれども。なお、ここをもう少しということがあれば、どうぞご指摘いただきたいと思います。酒井先生、何かございますか、よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。これは出来がいいからということで、自画自賛をして終わるということもなんですけれども、1カ所、下井さんから主体を明記しろというご指摘がありましたので、そこのところを含めて、最終的な修文、あるいはブラッシュアップするということでよろしいでしょうか。
3回にわたって熱心にご議論いただいて、今日は3回目ということで意見もほぼ尽くされたようでございます。時間をいたずらに稼ぐというようなこともしなくともよろしいかと思いますので、これで閉じたいと思います。非常に活発な、そして集中したご議論をいただきまして、ありがとうございました。
先ほど申し上げましたように、今日いただいたご意見は、中間取りまとめ案の中に適宜反映させていただいて、最終的な取りまとめをしたいと存じております。
取りまとめに際しましては、今日いただいたご意見をもとに、座長一任ということで処理させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、そのように扱わせていただきたいと思います。ありがとうございました。
事務局のほうから何かございますでしょうか。
- 北村課長 ありがとうございました。それでは本日いただきましたご意見を踏まえまして、中間取りまとめについて、今お話があったように、座長とご相談させていただきながら取りまとめを進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
- 新美座長 どうもありがとうございました。これで本日の議事を終了したいと思います。忙しい中、また熱い中を熱心にご議論いただきましてありがとうございました。本日はこれにて散会としたいと思います。
午後1時50分 閉会