環境省廃棄物・リサイクル対策廃棄物処理の現状検討会・懇談会産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会

産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会(第4回)

 
日時:
平成15年5月26日(月)10:00~12:00
於:
環境省第1会議室
中央合同庁舎5号館22階

産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会(第4回)
議事次第
(1) 産業廃棄物行政及び産業廃棄物税に関する論点の整理について
(2) その他


午前10時07分開会

○産業廃棄物課長 皆様おはようございます。
 定刻をちょっと過ぎてしまいましたが、ただいまから第4回の産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会を開催させていただきます。
 委員の皆様方には、ご多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、お手元の配付資料のご確認をいただきたいと思います。
 資料一覧にございますように、4点ございますが、資料1は「検討会におけるこれまでの指摘・意見等の要約」でございます。資料2は「ヒアリングを踏まえて、産業廃棄部行政において税という手法を用いることについて整理すべき論点」という資料でございます。資料3は、ヒアリングをさせていただきました5県市の税条例の概要という1枚の資料でございます。資料4は、欧州における産廃税--埋め立て中心ですが、廃棄物税の導入事例についてというものでございます。
 以上、今日は4点の資料をお配りしております。
 それでは、これ以降の議事の進行を小早川座長にお願いしたいと思います。

○小早川座長 それでは、早速議事に入りたいと存じます。
 前回まで、三重県、鳥取県、北九州市、岩手県、滋賀県の各県市の取り組みについてご紹介をいただきまして、そこで、この各県市の取り組みを踏まえて、本日は、産業廃棄物行政において税という手法を政策手段として用いることについて整理すべき点がいろいろあるだろう、それについて意見交換ができればというわけであります。
 それでは、まず事務局から資料の説明をお願いします。

○産業廃棄物課長 まず、資料1でございますが、これは表題にもありますように、ご発言いただいたことを中心に、そしてヒアリングさせていただいたときのご発言などをまとめておりまして、まず総論的な指摘等、続きまして三重県に関するもの、鳥取県に関するもの、北九州市に関するもの、岩手県に関するもの、そして最後に滋賀県に関するものということでございます。
 この資料自身は、ここに各先生方のお名前が記されておりますように、こちらで議事記録から編集させていただいたものであります。特にお名前のないものは、発表していただいた団体の方の発言でございます。
 これにつきましては詳細な説明は省略させていただきますが、論点の議論の参考にしていただきたいと思います。また、発言の趣旨がこのようなことではないということもあろうかと思いますが、その点はまた論点の議論の中でご指摘願いたいと存じます。
 それでは、資料2について説明させていただきます。
 資料2は、資料1などを使いまして事務局の方で整理させていただいたものでございますが、論点として大きく4点に分けております。1点目が「産業廃棄物行政の手段としての税の目的及びその使途について」という分野です。2つ目の分野は「制度導入の効果と影響について」というものでございます。3点目が「課税という手法の対象の設定について」、4点目が「その他の政策上の留意事項」ということでございます。
 この各項目ごとに、まず検討会における主要な意見--これは事務局で判断させていただきましたが、主要な意見をまず何点か列記いたしまして、その後に、論点そのものの確認と、論点の内容についてのご議論をしていただきたいという趣旨であります。
 まず、1点目の「産業廃棄物行政の手段としての税の目的及びその使途について」でございます。検討会における意見は、アンダーラインを引いてあるところをごらんいただきたいと思います。
 例えば1点目、財源目的で課税するという説明は、そうすることがいいかどうかは別にしてわかりやすいけれども、発生抑制の効果があるという説明は、果たして根拠があるんだろうか。
 2点目に、発生抑制を税目的とした場合には、県内の処分だけではなくて、県外で処分されたものも含め県内で発生する産廃の発生抑制も制度の視野に入れるべきではないかというご意見。
 3点目は、発生抑制という観点で課税するのであれば、県外に搬出されるものについてはどうするのかという点。
 4点目は、産廃の中で資源化されない廃棄物、そういったものの発生抑制を特に図るために、そのような納税義務を課すことにした場合、それは何か罰金的な税金になっているのではないか。これについては追加で「一方で、」ということがありますが、経済学から見ると別に不思議ではないけれども、税法学から見るとちょっと、税金が罰金というふうにとるのはいかがかというご意見だったと思います。
 その次は、トン当たり 1,000円という料率になっているんですが、発生抑制、再使用、再生利用の拡大を目的とするならば、税の導入前と後を比較して、果たしてそういったものが損益分岐点ととらえられるかどうかという点。
 その次は、税収の使途について、どうやって公平かつ効率的に一番いい使われ方をするのか、そこがポイントである。
 最後に、三重県の税収の使途については、これは公的な支援事業費ということでありますが、公共の施設だけではなくて、実は民間も含めて設置しなくてはいけない。そういうことから、公共関与の処分場と同様に、優良な民間処分場の設置促進のための周辺整備にも充てるべきではないかといったご意見をいただきました。
 そこで、論点の方ですが、このテーマの論点そのものは3つに分けてございます。1つは、産廃行政の手段としての税とその目的。2点目が、不法投棄対策と税の関係。そして、その他でございます。
 まず、(1)産廃行政の手段としての税とその目的です。
 産業廃棄物は排出事業者が処理責任を担いますので、どこで処理するかというような場所の選択等は排出事業者が行うことになる。そして、きちんと処理されている限りは、どこで処理されるか、いわば都道府県の区域を越えて処理されるかどうかは問題とならない。しかし、一方で、処理される場所の都道府県の立場に立って考えますと、監視その他の適正処理を確保するための行政事務を実施するコストが大きくなる。こういう排出事業者と受け入れ側の県の立場がございます。
 そのような都道府県の立場に立って考えると、このような行政事務や、処分量をより減量化させるリサイクルを促進する、業者の優良化を図る、その他の施策を行うのに必要な財源に充てるために税を徴収することは合理的ではないか。これが投げかけでございます。
 ただ、この括弧にありますが、産業廃棄物の処理という特定の分野に課税するということからの論点でありますので、何ゆえ産業廃棄物に課税するのかという点もクリアが必要かもしれません。
 そして、こういった行政経費でありますが、課税によって副次的に発生抑制効果も期待されるわけで、そうすればなおさらのこと、発生抑制等以外の好ましからざる課税回避行動--不法投棄などもあろうかと思いますが、それを考慮して対処していくことも必要になるのではないかということを掲げさせていただきました。
 2点目は、いわゆる目的税、普通税ということでとらえられる分野ですが、現在導入されております税、地方において導入されている税は目的税、特定の財源という理解でありますが、上記のような考え方で、目的税ということは合理的であると考えられますが、一方、普通税、一般財源とすることについては、財源論議としてどう考えたらいいのだろうか。「産廃の政策手段ということで考えるのであれば、目的税が適当ではないかと思われるものの」ということでございます。
 (2)不法投棄対策と税の関係でございます。
 三重県で実施されている使い方という中で、税収を不法投棄の監視・指導に要する費用に充当ということでありますが、不法投棄の原状回復に充当するということについてはどう考えるべきかという点があると思います。
 次は、最終処分場の処理施設への搬入に着目して課税する場合、これは、そういうことでありますので、不法に投棄された場合には課税することが困難ですので、税を納めた者と不法投棄など違法な形で処理を行った者について経済的な不公平が生じるわけでして、こういうことを解消するためにはどのような方策が考えられるかという点でございます。
 (3)その他でございます。
 これは先ほどもご意見の中にありましたが、公共関与による施設と民間の施設のいずれについても、環境整備その他のためにこの税を充ててもいいのかどうかという点でございます。
 次に、大きな2番目、制度導入の効果と影響についてでございます。
 説明の都合上、ご意見を紹介しながら論点を説明するということで、時間を節約したいと思います。
 まず、(1)効果と影響でございます。
 制度を導入した場合、税収が得られるわけですが、それによって施策が充実でき、その効果が得られたと考えられるとして、それが一体どの程度充実され、どのような成果が得られたかを引き続き評価する必要があるのではないかという点であります。
 それから、産廃税が導入されたことで副次的に発生抑制やリサイクル、その他減量が進むことが期待できるわけですが、1トン当たり 1,000円の課税の場合、実際どの程度なのであろうか。損益分岐点というような概念に照らして、それほど大きな課税ではないとしても、トン当たり 1,000円の課税で排出事業者が減量化する以前に、そのものが減量化する以前に、課税を行っていない他の都道府県の処分場に産廃が流れるということが実際なのかもしれない。そういうことなのではないだろうかという問題提起であります。
 特に3点目は、中間処理業者が税を負担しなければいけないといった場合に、そのことが量的に、それから物の流れに一体どのような影響を与えることになるのであろうかということであります。
 効果と影響については、既にご発表の中で三重県の例として、不法投棄を誘発することも、現在のところはないと考えられるというお話もあったかと思います。
 それから、影響と言った場合に、流れということで、単に国内だけではなくて海外に流出する可能性もありやなしやというご指摘もあったかと思います。
 それから負担ということで、例えば中間処理業者が排出事業者から処理料金の減額を迫られる、そういう構造も懸念されるのではないかというお話もあったかと思います。
 続きまして、(2)国として考えるべきレベルのものでございます。
 先ほど申し上げたこととも重なるわけですが、まず1点目は、全国的な課税といった場合に、課税によって産業廃棄物が海外に流出する可能性もあるのではないだろうか。その予測、対応策を考える必要があるのではないかという点でございます。
 また、県外に廃棄物が流出する、不法投棄へ流れるなどといった課税回避行動があったときに、こういった好ましくない流れについては、産廃の施策としてその対策を考える必要があるのではないかという点であります。この点は、先ほど他の場面でも同趣旨のことを申し上げましたけれども、減量化ということになればいいんですが、それ以前に非課税の都道府県に流れるのではないだろうか。
 3番目は、総じてですが、すなわちこういった課税回避行動について、対策を考えるべきではないかという点でございます。
 それから、大きな3番目、課税という手法の対象の設定についてでございます。
 論点といたしましては、発生から最終処分までの一連の廃棄物処理の中で、これは廃棄物を発生させる、中間処理をする、最終処分をする、そういった流れの中で、どの段階でだれに課税する、そういったことは産業廃棄物政策上、大変重要なことと思いますので、その仕方によってどのような効果と影響があらわれると考えるべきかという点でございます。
 この点は検討会における意見の中でも、排出抑制ということであれば排出者に課税すべきというお話もあったかと思いますが、またさらに進んで、自ら排出する人には広く課税すべきであるというお話もあったかと思います。それから、条例によっては、その地域における応益性という観点から、最終処分を行うところでとらえる方がより適切であるという考え方もあったかと思います。
 それから、「税の原則から言うと」ということで、検討会における意見、これが非常に一般的なご意見かとは思いますが、いわゆる製造段階の話。「廃棄物」と言いますと排出段階ということになると思いますが、それは国全体でとらえるべきで、それから物の消費段階、これは廃棄物で言うと、処理を請け負って処理を行うといったところは、より地方というとらまえ方ができるのではないかというお話もあったかと思います。三重県の場合には、中間処理業者が引き取った段階ということで、これはぎりぎり県が課税するという考え方に立ち得るというお話もあったかと思います。
 論点の2点目ですが、これは多量排出事業者に限って課税するとか、処理プロセス段階でリサイクル目的の中間処理、そうでないものなどで税率を変えるといったようなことも、政策上、どのような影響があるか考えて議論をする必要があるのではないかということで、2点目に挙げさせていただきました。
 大きな4点目でございますが、これはその他ということで2点挙げております。
 1点目は、現在、税率が1トン 1,000円となっておりますが、現在、安定型の産業廃棄物と管理型の産業廃棄物というものがあって、その最終処分料金も違う中で、果たしてこういうことはどのような効果と影響を生じることになるであろうかということを、一つの論点として挙げさせていただきました。
 2点目は、3の論点の2点目と関係ありますけれども、処理プロセス段階で税率を変えていくといったことはどうかということを挙げさせていただきました。
 以上、事務局として、できるだけわかりやすい形での整理に努めたわけですが、抜けている論点、それから理解の誤っている点などもあろうかと思いますので、ご指摘をいただきたいと思います。
 なお、資料3は、今回このような論点整理をする前提となりました5県市の税条例の概要でございまして、三重県、滋賀県のもの、鳥取県、岩手県のもの、北九州市のものということで、課税客体、課税標準、納税義務者、同様の事例を整理いたしております。
 それから、ちょっと先回は時間もなく、私どもの用意も整っていなくて紹介できなかったんですが、極めて簡単な形で欧州における産廃税の導入事例をご紹介させていただきました後、ご議論をお願いしたいと思います。

○産業廃棄物課(高澤補佐) 産業廃棄物課の高澤と申します。
 最後のページに、資料4として欧州における産廃税の導入事例をつけさせていただいておりますので、これについて簡単にご説明させていただきたいと思います。
 こちらは3月に、国名に入っているイギリスとスウェーデン、一番下のドイツ、あとフランスのOECDの事務局の方に行かせていただきまして、実際に担当者なりにインタビューさせていただいて、その状況をまとめさせていただきました。デンマークとオランダにつきましては、OECDの資料より作成させていただいたものです。
 まず、全般的な欧州の状況といたしましては、まず、国名の欄に(国税・埋立税)なりという形で書かせていただいておりますけれども、おおよそ国税で埋立税、一部デンマークの方は焼却に係る税も取っているという話です。その他にも焼却で取っている国はあるかと思うんですけれども、中心は国税で、埋め立てなりの税を取っているところが中心でございます。
 課税の目的は、どの国もおよそ似たようなところでございまして、主なところといたしましては廃棄物の発生・排出抑制、あと処分量ですね。やはり狭いところですと処分場等の用地が限られているというところもありますので、減量の推進、リサイクル率の向上ということで、欧州の中で、廃棄物に関してEUの目標が決められているということもありまして、それに向けて各国努力をしているところでございます。
 あと全般的な情報といたしましては、右から2番目の欄に税収の使途を書かせていただいていますけれども、調べた限り、どこの国も一般財源で取っておりまして、用途としては、それこそ社会保障等の費用に充てているという状況でございます。
 各国の状況について、上からポイントだけ簡単に述べさせていただきますと、イギリスでは、課税対象の欄に書かせていただきましたけれども、税率は、1996年の導入当初の1トン当たり7ポンドから毎年1ポンドずつ税率を上げて、現在は14ポンドになっております。今後もさらに3ポンド上げていきまして、最終的には1トン当たり35ポンドぐらいまで引き上げる予定ということです。
 ただし、留意点のところに書かせていただきましたけれども、建設系の廃棄物については特例を設けているということで、こちらは導入当初から、1トン当たり2ポンドという値段をずっと据え置いているということです。この理由につきましては、そもそも建設廃棄物は環境負荷が小さいものであることとか、かなりリサイクル自体が進んでいるので、もともと埋め立てに回りにくい構造であったということが理由のようでございます。
 参考までに、イギリスでは埋立処分の処理が中心でございまして、全体の約80%が直接埋め立ての処分をされているという状況であります。
 続きまして、スウェーデンでは、2001年1月から国税として埋立税が導入されているということでございまして、課税対象は、最終処分される廃棄物、納税義務者は最終処分場の設置者です。先ほどのイギリスも、納税義務者は同じく最終処分場の設置者です。
 こちらは現在の税率としては1トン当たり40ユーロでございますが、リサイクルなりのできないもの、あるいはリサイクル技術のないものについては税が除外されるという規定がございます。
 現在は埋立税だけですけれども、留意点のところに書かせていただきましたように、現在、焼却に係る税の導入についても検討中ということで、廃棄物行政の立場から言うと、もう用意はできているということで、あとは何か政治的な判断を待って、それでOKが出れば焼却税についても導入されるのではないかという話でございます。
 続きまして、デンマークでございます。1987年から、こちらは埋立税と焼却税というところで取っています。これはOECDの資料からとったんですけれども、納税義務者についてはちょっとはっきりしませんでしたので、空欄にさせていただいております。また確認させていただきまして、埋めたいと思います。課税対象といたしましては、中間処理あるいは最終処分される廃棄物ということで、額は、こちらに書いてあるとおりでございます。一般財源でございます。
 留意点のところに書かせていただきましたが、処理方法別に、例えば焼却より埋め立ての方を高く設定しておりまして、処理方法としては焼却の方が優先されているようでございます。
 オランダも、ほぼ同じような状況です。
 最後、参考にドイツについて申し上げます。
 こちらは環境省の担当者より直接聴取した情報なんですけれども、現在、ドイツにおいては税制度は存在しませんけれども、過去、1990年代初頭から、国内の四、五州において地方税の埋立税ということで導入されていた事例があったということです。
 これは、目的といたしましては有害廃棄物の排出抑制ということで、納税義務者は州によって、排出事業者に課税される場合と、最終処分場の設置者にかかる場合という違いが存在したということでございます。こちらは1998年に高等裁判所で違憲という判決が出されて、現在はもう存在していないということです。
 ちょっと詳細は、それぐらいの話しか聞けなかったんですけれども、留意点の欄に書かせていただきましたように、例えば廃棄物を他州に持ち込む排出事業者が、自分自身の州では排出事業者の立場から課税され、他の州に持ち込んだときに、また税を取られるという二重課税の問題もあったのではないかという話を担当者からは聞いております。
 簡単でございますが、以上でございます。

○小早川座長 ただいま幾つかの資料についてご説明がありましたが、今日は資料2を中心に議論していきたいと存じます。
 ほかに、先ほどお話もありましたが、資料1について、ご自分の発言の趣旨がこれとは違うとか、資料4に絡んで、諸外国について情報をお持ちの方は事務局に教えていただくとか、そういうことはぜひお願いしたいと思います。今のドイツの話も、一体どういうことなのか、これだけではよくわかりませんけれども、また何かわかりましたら、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、時間の関係もありますので、資料2に集中させていただきたいと思います。議論の順序としましては、資料2の中に大きく1、2、3、4とありますが、そのうち前半の1、2が原理的な話、3、4が具体的な制度設計の話というふうにも見えますので、前半と後半と分けてご意見をいただければと思います。
 そういうわけで、まず1、産業廃棄物行政の手段としての税の目的及びその使途について、2、制度導入の効果と影響について、この2つをあわせて、ご意見があればいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 前回まではヒアリングとか情報、データ収集の段階だったんですが、今日はいわば実質的な議論、この検討会としてどういうふうに方向性を出していくかという実質的、中身的な話になるのですが--これ、先走りますけれども、今日で方向を出してしまうとか、そんな話なんですか。
 すみません。資料2のつくり方も、お気づきだと思いますが、検討会における意見が簡略化して掲げられていて、その次に論点ということで枠囲いしてあって、この論点というところの趣旨がどういうことなのかということもありますが、委員からいろいろな意見が出されて、それを事務局として改めて組み立て直すとこういう方向が出てくるのかなというのが、何か多少強引に誘導されているような感じもしなくもないんですけれども。
 今後の議論の集約の仕方というのは、どのように考えておられるんですか。

○産業廃棄物課長 今日は、まず論点の整理そのものが適切かどうかご議論いただきたいと思います。その論点が取り上げるものとして適切であった場合、それについて、検討委員の皆様方それぞれ異なるお考えを持っておられると思いますので、いろいろご議論いただけたらと思います。
 中間取りまとめについては、事務局側としては、このつくりから窺い知れますように、検討会の中でどういうヒアリングを行って、その中でどういったご意見が出て、重要と考えられる論点にはこういったものがありました、それについては現段階では--両論併記もあろうかと思いますが--とりあえずこういうようなことが考えられます、そういった集約が、今日というわけではありませんで、私どもとしては、今日と次回の2回、そのために時間を設定できたらと思っております。
 その意味では、次回はもう少し、中間取りまとめの方向という点での資料をご用意させてもらった方がいいと思いますけれども、今日のこのペーパーと次回のペーパーを踏まえて、そして議論を踏まえて、私ども、中間取りまとめの案をつくっていきたいと思います。
 繰り返しになりますが、果たしてこの論点そのものが的を射ているのかというところが、まずはご議論いただくところかとは思いますけれども、とりあえず私ども、多少強引ではありますが、4つに集約させていただいたということでございます。

○小早川座長 そういうわけでありまして、スケジュールとの関係で言えば、本日は、少なくとも2回のうちの第1回ということで、かなり自由にフリートーキングをしていただいていいのではないかと思います。
 その際に、事務局の方で拾い出した論点の項目に落ちているようなものがあれば、それは今日出していただければ事務局として次回までに対応する、多分そういうことだろうと思いますので、そのような前提でご自由にご意見をいただきたいと思います。

○碓井委員 この検討会は表題が「産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会」ということで、既に「税」という言葉が使われてスタートしているわけですが、前に私、申し上げたことがあるかもしれませんが、産業廃棄物行政で金銭負担を課する方法を考えるというときに、その金銭負担をどういうものとして構成するかについては複数の選択肢があり得ると思うんですね。正確には存じませんが、例えば今、独禁法で課徴金というものがありますが、あれは事業者が損害を被った、あるいは相手方に不当利得がいったとかいう場合、事業者間同士の金銭の獲得それ自体は認めた上で、国が課徴金を併せ取っているという制度なわけですね。ですから、国が立法でやる場合には、そういう金銭負担も許されている。
 そういう中で、あえて産業廃棄物行政で金銭負担を課することを検討する場合、余り税という名称で間口を狭めているような印象を与えますと、思わぬ無用のブレーキがかかったりすることがあるような気がするんですね。
 これは資料2の1ページの真ん中辺で、飯野委員が前にご指摘された「罰金的税金という問題をクリアしているか」という、これは決して飯野委員のご意見がこうだというわけではなくて、税法学者の中にこういうことを強調する人がいるんだけれども、そういう人の議論からすると大丈夫なのか、こういうご指摘だったかと思うんですね。このようなことも、「税」という名前に固執してやろうとするからこういう指摘がされるのであって、もし国の法律で適切な金銭負担をさせるというときには、私自身はそんなに障害はないと。憲法に確かに税についての規定はあるし、それから刑罰についても規定がありますが、それ以外の金銭負担が禁止されるという解釈は、私は、当然には出てこないと思っているんですね。
 ところが、恐らく地方公共団体がやるといいますと、現行法を前提にすると、特別な法律があれば別ですが、そうでなければ地方税法という法律の枠内での金銭負担、あるいは地方自治法の収入のどれかに読み込むことができるわけですが、そういう議論が当然起こり得ると思うんですね。
 ですから、ここでは「税」という言葉を使っているけれども、それは緩やかな意味の税で、少し広い金銭負担ということで議論していってもいいんですねということを確認しておく必要があるのではないかというのが私の問題提起なんです。

○小早川座長 名前だけではなくて、仮に名前を「税」と言う場合でも、やはりその根拠論とか使途、全部含めて、いろいろな考え方を自由にまずは考えるべきではないかということにもなるんですよね。

○飯野委員 前に申し上げたことと重複するんですけれども、不法投棄対策と税の関係というところで、やはり不法投棄、原因者を追及するためにもコストがかかるし、そういうことが起こらないように監視するのにもコストがかかるし、あるいは海外へそれが流れていくというときにも、戻ってきたときにもうその会社がつぶれていた、だれがそのコストを負担するのかというときに、地方自治体なのか国なのかよくわからないということもありますので、そういうコストを賄うために、私は、これはやはり国のレベルでつくった方がいいと思うんですけれども、環境保険みたいなものをつくって、そういうリスクを負いそうな人たち、これは排出者か、あるいは処理者かまだ考えておりませんけれども、そういう人たちから強制保険料を取って、そしてそれを蓄えておいて、それは環境省がやるのか、また独立したところがやるのかは別にいたしまして、この税を補完するものとしての保険料というのがあってもいいのではないか。
 つまり、今、碓井委員が言われたように、すべて税で完結するというものではなくて、あるいは保険料的なものでも足りない部分をカバーすれば、まじめな業者とそうでない業者との不公平もある意味では解消できますし、私は、そういう意味で、税だけですべてを解決するよりは、むしろ周辺地域をうまく処理できるような保険があってもいいのではないかという気持ちを持っております。

○長谷川委員 私、三重県が一番最初に産廃税を創設したということで、三重県の説明もしておりますので、一部まとめの中の表現上の問題も含めまして、県の立場と委員の立場と、2つの立場で意見を述べさせていただきたいと思います。
 1つには、これで各県なり市の意見聞き取りがあったわけでありますが、私、そういう都道府県の立場からいきますと、この産廃税の創設をきっかけに産業界の方々と、いわゆる排出者の方々と廃棄物の現状がどうなっているかとか、いろいろなことを本当の意味で、自由に議論できたということがありますし、それから、法定外目的税そのものが、地方分権の時代の中で初めて各県が取り組んだという、いわゆる議会承認の税でございますので、非常にいろいろな分野のいろいろな方々と議論をし尽くしてやっておりますので、多分、各県それぞれの事情の中で、それぞれ税の創設の内容が違っておりますが、1つは、個々の事業者へ環境配慮のための経済的インセンティブを与えて、環境負荷の低減を図りたいという政策手段的なものもありますし、また、その環境保全対策費用は受益者に負担をしていただくという、いわゆる財源調達手段としての二面性はどうしてもあるということの中で、ぜひともこの新しいアプローチ、地方公共団体から出た一つの税のあり方を十分先生方に議論いただいて、今後、全国的にもこういう税が、形は変われども、今のような問題点は整理したとしても、私ども、結果として税収が減ったことに対して喜んでいるわけではございませんが、環境保全施策として今まで具体的に何を打ち出せたかといえば、無に等しいような施策だったものですから、この産業廃棄物税が一つの大きなきっかけになったということでございます。
 三重県は、第二弾としてCO 削減のための排出権取引を試行させていただいておりまして、これも相当な企業の参画をいただき、初めての取り組みをやっておるんですが、そのように、具体的な施策として地方公共団体が実施したいということで試行しておりますが、いわゆる霞が関で一律的な、大変立派な方向性を導き出していただきましても、地方には地方の事情がございますので、そういう点でやっておりますので、ご理解をいただきたいなというふうにも思います。
 それから三重県の、1ページ目の税収の使途。これは大塚委員からのお話だったと思うんですが、前回ちょっと私どもの説明にまずい点があったんだろうと思います。税収の使途には大きく2点ありまして、そのうち産業廃棄物による新たな環境負荷の対策の中で、廃棄物処理センター適正処理支援等事業費というのを挙げております。これは、いわゆる公共関与の廃棄物処理センターだけだととられておりますが、民間施設も当然カバーしております。現在の制度で一番大きく金を使っておりますのは、処理センターの周辺整備ですが、民間の処分業者のいわゆる環境整備も、2カ所やっております。
 ただ、今、1つ問題が出ておりますのは、これは最近の状況ですけれども、私ども、最終処分業者の周辺の環境整備ということで打ち出したんですが、では、なぜ中間処理施設、リサイクル施設の周辺の整備はだめなんだと。要するに、リサイクルを推進しようということの方が大事ではないかという意見も出ておりまして、それも含めて、今、県の中で検討しておる状況でございますので、報告させていただきます。
 それから2枚目の、不法投棄対策のところでございますが、先ほども飯野委員からお話ございました。環境保険ということであれば非常にありがたいと思うんですが、税収を不法投棄の監視、指導に要する経費に充当するというのが私ども、一番大きな税収使途だったんですが、ご存じのように、4億 1,000万円の税収が現在1億 3,000万円。この7月末でこれが確保できるのかどうかもまだ定かではないんですが、そういうことで、平成15年度の予算は全部一般財源に振りかえております。一般財源に振りかえても、これは県の内部では認めていただきました。当初4億 1,000万円もありましたので、より取り組みたいというものについて重点的に充てたわけでございますが、最終的には当然、こういうものは一般財源でもやっていくという方向でやっておりますので、その点もご理解願いたいと思います。

○小早川座長 今、幾つか重要な点があったと思うんですけれども、1つは、そうはっきりはおっしゃいませんでしたが、各自治体で一生懸命施策を展開して、その中でこの税についても考えていくという場合に、そもそもこの検討会が廃棄物税というか、こういうものについて考えるということが自治体に対してどういう意味を持っているのか、そういうことも1つあるかと思うんですね。そこは、ですからこの検討会として最終的にどういうスタンスで、どういう姿勢で、どういう腰の入れ方で物を言うのかということにもなるかと思いますので、1つ留意が必要な点かと思います。
 それから、政策手段。これは政策手段か財源調達かという言い方もできるかと思いますけれども、この検討会は、もともと名前からして政策手段と書いてあるんですが、これは財源調達を排除するといいますか、「それよりも」という意味なのか、特にそういう話でもないのか、その辺も1つ問題ですよね。
 ちなみに、たしか碓井委員も言われていますけれども、この検討会の看板は「産業廃棄物行政と……」これ、産業廃棄物行政「の」政策手段ではなくて、産業廃棄物行政「と」政策手段としての税の在り方に関する検討会。どこでどういうふうに切れているのかな。いや、どうでもいいんですけれども。(笑)

○産業廃棄物課長 この名前、確かに「の」とした方が、よりストレートになると思うんですが、我々の考え方としては、1回目にプレゼンテーションさせていただいたように、産業廃棄物の行政として抱える多数の問題がある中で、政策手段としてもさまざまあるだろう。その中で、今、地方で自ら独自に進められている取り組みのあり方というのが、果たして全国的な産業廃棄物行政にとってどのような、プラス、マイナスいろいろあると思いますがインパクトがあって、それを踏まえて、では国全体としての産業廃棄物行政の方向性としては、それをどう認識し、評価したらいいのかということであったと思います。私ども、そういうふうに勝手に思っているんですが、改めて申し上げます。

○小早川座長 ありがとうございました。
 ほかに、いかがでしょうか。

○三本委員 そういう意味では、今日この委員会において検討していく中で、税はありきということで考えていく必要があると私は認識しているんですけれども、現にもう地方では動いておりますので、税ありきということで考えていくのであれば、やはり税のあり方については目的を同じくして動いていかないと、問題が起きるのではないかと思います。
 実施されております地域の方々のお話を聞きますと、例えば課税対象者が違ってみたり、あるいは徴収の仕方が違ってみたり、まちまちになっている。廃棄物の処理に関して自区内処理が原則であるということであれば、それもいいんでしょうけれども、ある意味では、廃棄物の処理に関しては広域処理も必要だという観点からしますと、目的は1つにしておく必要があると私は思っています。

○碓井委員 今、長谷川委員と三本委員のご発言を伺いまして、ある問題点に気づいたんですが、長谷川委員のご発言の趣旨からしますと、確かに行政としてコストはかけたかもしれないけれども、事業者も含めた政策形成過程それ自体が産業廃棄物行政にとって大きな意味を持っていたというご指摘があったのではないかと思います。他方、これからそういう視点から乗り出そうとしている県の中には、国としてそれなりの便宜を用意して、それに乗るようにした方がコストが少なくて済む。そういうある意味で対立した観点がそこに潜在しているのではないかと私、受けとめているんです。
 ですからこの辺は、やはり後発組といいますか、これから考えているところの意向なども踏まえて、この検討会でも慎重に判断すべき一つの論点なのではないかという気がしましたけれども、お2人の言われたこと、私の把握したように受けとめていいかどうか、ご確認させていただきたいと思います。

○小早川座長 お二方、補足のご発言はありますか。

○長谷川委員 特に補足等はありませんけれども、ただ、私ども三重県をベンチマーキングしていただいて、他県でもどんどんつくっていただいているということはあるんですが、ただ、心配要らないのは、国税ではありませんので、要するに、地方議会の承認を得てこの税が成り立ちますから、それぞれ地方の状況に応じて当然議論があると思いますし、業界の方々も、全国ではなくて、まずそれぞれの県内の業界の方々と、本当にゼロエミッションに向けての取り組みがどうあるべきかというところから、多分この議論をすると思いますので、それはそれなりにある程度の政策形成過程というのは、私は、後発組でも当然あると思います。

○三本委員 私のは、まさにそのとおりでありまして、今後、発生するであろう、これから取り組んでこられる地区におきましては、やはり目的が一致していませんと、課税対象者すらも違ってしまうというのは私たち業界としては右往左往する一方でありまして、特に今、不法投棄も含めて社会問題になっておりますのは、廃棄物問題としまして、やはり俗に言う発生抑制という一つの観点から物事を考えていく必要は、ある意味では大だと思うんですね。そういう意味からしても、目的は1つであるべきだと思っております。

○高橋委員 遅れて来て発言しまして、申しわけありません。
 私、まだ考えがはっきりしていないんですが、「産廃税」と聞いてもよくわからないんですね。ここで議論しても、ずっと聞いていてもよくわからないのはなぜかといったら、その目的がいま一つ明確になっていないということなんですね。
 さっき飯野委員が環境の保険料だという言い方をしたんですが、保険料という考え方と、今の排出者責任を問うというやり方が両立するのかなというのが、ちょっとよくわかりません。というのは、今、不法投棄があると、それはマニュフェストをたぐって排出者の責任を問うことができているわけですね。そういう仕組みをつくっておきながら、強制保険--任意保険になるか強制保険になるかわかりませんが、強制保険にしてしまうと、保険さえ払えば排出者責任はないんでしょうということになって、排出者がわざわざ一生懸命やる必要がなくなって、保険料さえ払っていれば、結局、保険で全部免責される。要するに、あとは中間処理業者に「できるだけ排出者がわからないようにごまかしてください」とやればいい。
 ということになると、環境保険料というのは逆にモラルハザードになってしまうのではないかという気もしまして、むしろ不法投棄を徹底的に追及して罰すしていくという仕組みの中がいいのではないかという気がしまして、これ、よくわかりません。
 もう一つは、ではなぜ排出抑制するのかというと、廃棄物は外部不経済だと。外部不経済が内部化されていないんだということになると、環境はそうかなというふうに思っているんです。実際上、産廃は全部排出業者にお金やっているわけですから、市場の中では随分内部化されていると思いますし、事実お金も高くなっていると思うんですね。最終処分場がなくなったこともあって、廃棄物の処理コストはすごく上がっていますから、そうすると、もともと処分場がなくなっているしお金も高いから、排出抑制は図れるのではないかな、なぜそれに上乗せして環境税をかけるのかなというのが、私にはいま一よくわからない。
 ということで、環境税の目的は最終処分場の確保なのではないかなと思って、最終処分場の確保とか、排出事業者のリサイクルを応援して、要するに排出からリサイクルにするということが基本的な目的になるのではないか。そうすると、技術支援の方は多分、国の仕事だろうと思いますし、最終処分場の確保はそんなに一生懸命やっているのかなという気がして、結局、不法投棄の観点からも外部不経済の観点からも、最終処分場の確保の点からも、併せ技一本なのかもしれないけれども、どうも産廃税というのは、私には目的がよくわからない。目的がわからないものは余り入れない方がいいのではないかという気がしているんですけれども。

○森口委員 私、前3回の審議会を欠席したものですから、十分についていけていない部分があるかもしれませんけれども、今日のご議論を聞いておりまして、感想めいたところを含めてコメントさせていただきます。
 最初に、碓井委員から「税」という言葉に、そういう狭い意味に余り縛られ過ぎない方がいいのではないかというご指摘があったんですけれども、私も同じようなことを感じました。今日は資料4に欧州における産廃税の導入事例がありますが、OECDの方で、いわゆる環境税のデータベースをつくっていると思うんですけれども、その中にも、タックスとフィーとチャージと呼ばれるもので、いろいろ案が入っていると思うんですね。恐らくタックスと呼ばれるものだけでも、今日もらって必ずしも網羅的なものではないと思うんですが、かなり分類が曖昧になる部分があるということで、恐らくその種のデータベースもかなり広目にとってあるのではないかという気がいたしますので、そういう意味で、ある種、量に応じてお金を課すという仕組みの方が少し、やはり広目に考えた方がいいのではないかという感じがいたしました。
 一方で、その後、飯野委員から、不法投棄であればこういう仕組みがいいのではないかというお話があった、その保険みたいなものは、私、素人の感覚としては、そういうタックスとかチャージというものとはちょっと異質のものではないかという気がいたしました。
 そういう意味で、不法投棄防止のための経済的手段として何がいいかという議論をしようとしているのか、そうではなくて、税なり課徴金みたいな仕組みの中で、産廃問題のうちのどういう問題に対応できるのかという議論にするのか。私はこの場合、どちらかというと後者ではないかという受けとめ方をしております。
 もう一方で、いわゆる国の施策としてではなくて、廃棄物問題だけではなくて環境問題、あまねく地方公共団体の役割というのは非常に大きいんだろうと思うんですね。そういう意味で、地方公共団体独自の制度として何ができるのかというところに少し力点を置きながら、ここでは議論するというようなしつらえになっているのではないかなと感じました。
 私自身、どうすればいいというふうなはっきりした考えを持っているわけではないんですけれども、何となくそういうような感じがいたします。感想の域を出ておりませんけれども、発言させていただきました。

○大塚委員 何回も議論の中に入れていただいたんですが、まだまだ頭の中が整理し切れておりません。
 このテーマが、産業廃棄物行政における税という手法はいかがという基本的な問題に踏み込んでいるんですが、この「産業」をとりまして廃棄物行政全体で考えた場合に、ご承知のように、一般廃棄物と産業廃棄物がありまして、一般廃棄物が市町村負担、産廃が民間の市場に任せるという二本立てになっております。一廃の場合には市町村負担でございますから、生ごみ等はほとんど行政サービスで行われている。一部有料になっていますが、全額負担ではなくて、税金を上乗せした上での非常に安い有料化である。片一方の産廃の場合には、排出事業者責任ですから高負担を強いられている。こういう構造がそのまま残った段階において、さらに法定外目的税的に上乗せしていく、それによって、一廃の負担と産廃の負担の差がますます開いてくる。同じ廃棄物なのに、そのように統一的な視野を少し外れて、ありきという形で進んでいくことが果たしていいのかなという基本的な問題に、ちょっと悩んでおります。
 今でも排出業者の方々は、最終処分場の枯渇によって処分料金が全体的に上がっておりますから、相当高負担を強いられています。そういう段階において、一廃と産廃の差がこうやってどんどん開いてくる。では、製造業の人たちだとか--産廃の負担者だからそれはやむを得ないという合理的な理由が、ちょっと私には考えつきません。市民であろうが企業であろうが、その企業の中には零細の企業もいっぱいおりますから、そういう人たちとの間にこういう差が開いていくということに対しての議論が自治体の方でも余りなされていなかったということに対して、ちょっと疑問があります。
 それから、発生抑制を目的にされているところが多いんですけれども、これは各種の法律によって、特に平成12年の循環型社会形成推進基本法以降、いろいろな法律がすべて発生抑制ということをポイントにしております。その中で国民及び企業に「これからはもう発生抑制に最大限努力しましょうよ」と投げかけたのと同じ時点で、まだ効果がこれから期待される時点において、同じタイミングで地方自治体が税という形で一種の強制をしていくということは、政策的にはいかがかなという気がいたします。
 それこそドイツの違憲判決ではないですけれども、やはり二重課税の問題も出てきておりますので、そういう意味では、かなり慎重にやっていただかなければ、各県がどんどん揃い出しまして、さらに新潟県だとかいろいろなところが出てきております。このままで行ってしまったら、先ほど三本委員が言いましたように目的の違う方向で、隣へ行けば違う顔になってしまうというような方向を非常に私ども危惧しております。
 ちょっと論点がばらばらになりましたけれども、もう一遍整理しますと、一番最初に、一廃と産廃という総合的なところで政策を考えていただきたかった。ただ、産廃には金がかかるから財源を集めていかなければいけないというお話が多数を占めておりましたが、財源不足は一般的に及んでいるのになぜこの産廃だけがそういう形で一斉に出てきたのか、一廃に対しての整合性をどうするのか、発生抑制に対しては法律ができ上がって、これから国民及び企業が努力していかなければいけないという段階において、同じ時期に税という形で発生抑制を抑えようという政策は、果たして合理的かどうか。こういったことについて疑問を持っています。

○小早川座長 2点ありましたけれども、いずれも国、自治体を通じた政策体系全体の中でのアンバランスを問題にしておられるわけでございます。
 ほかに、いかがでしょうか。

○川島委員 排出事業者側として、ちょっとご説明させていただきます。
 今、いろいろな委員の方から処理料金のお話が出ていましたが、最近、処分場あるいは中間処理施設、かなり料金が高騰しております。排出事業者にも、以前のように安ければよかろうという考え方は今ではもうほとんどありませんで、ゼロエミの方の対応もかなり進んできております。
 ただ、三重県さんの場合、7月でしたか、もうすぐ申告の時期がありますけれども、なかなか個々に対応するのが大変だと先ほど三本委員からもありましたが、できれば同じような対応で済ませるような手続にならないものかなと。できれば事務処理を簡素化していただきたいというのが排出事業者側からのお願いでございます。

○小早川座長 非常に重要な点が次々出てきているところなんですが、まだ次回もあるわけで、今日もまだ時間はあると思いますので、漸次後半部分に移って、それからまた、まとめてご議論いただければと思います。
 ですからあとは、資料2の中で3、課税という手法の対象の設定について、4、その他の政策上の留意事項というところで先ほどご説明があったようなまとめがなされていますので、これについてご意見をいただきたいと思います。
 例えば、先ほど三本委員からご発言がありましたように、課税客体、納税義務者について幾つかのタイプがあるわけですけれども、このように自治体ごとに異なるタイプが併存する、それはもちろん必要な調整措置は、二重課税を防ぐとか、そういうことはもちろん考えられることになると思いますけれども、そのこと自体については、先ほどの考え方からすると、やはり必ずしも好ましくないということですか。

○三本委員 そうですね、処理業者の立場になりますと、例えば産業廃棄物の場合、特に広域的な移動が生じますので、A県では課税対象者が排出事業者、B県では処分業者となりますと、全くまたそこで違った徴収が生まれてしまいますので、非常にややこしくなります。ある意味では、極端に言ってしまいますと、先ほど言いましたように目的が1つということであれば、やはり発生抑制という観点からして排出業者にかけるべき税であると考えますし、また、そうした場合、現在の消費税的なやり方で十分に徴収は可能であると見ております。
 ということは、1つは、出す側の方が都心であれば、廃棄物としての流れで言ったときに、他のB県に移った時点でその事業所のある地域において徴収義務が発生するというふうにすれば、おのずから、地域、地域で施設を構えることによっての環境的な負荷に対する恩恵がそこで得られるというようなこともありますので、単純に物事を考えていった方が無難であると私は思います。

○小早川座長 三重県方式が大体いいということですか。

○三本委員 そうですね。

○碓井委員 たびたび発言して、すみません。
 先ほどの大塚委員のご発言と関連するんですが、事業者は既に循環型社会の形成に向けて努力に努力を重ねていると。そういう前提が成り立つと仮定して、発生抑制の効果が一体どういうふうに生ずるのかというのは私みたいな素人にはわからないんですが、その辺は、立派な研究がもう既に発表されているんでしょうか。

○小早川座長 今のはもう全体、最初の論点から全部引っくるめてということですね。
 何かありますか。

○産業廃棄物課(松澤補佐) 私ども環境省の方で、例えば金銭負担をトン当たり幾らにするとどれぐらい効果が出るだろうかという研究は、まだいたしておりません。この検討会の場で5つの自治体からご説明があって、今日はご欠席ですけれども、主に細田委員が、今、碓井委員がおっしゃられた点について何回もご質問されていたと思います。
 私の記憶する限り、岩手県さんの方で、中間処理をしてから最終処分する場合のトータルの費用と、中間処理をしないで直接最終処分をした場合の費用を比較して、トータルの費用は当然、中間処理した方が高くなるわけですけれども、その差に相当する分ぐらいの課税にはなっているという定性的な説明はございましたけれども、ほかの自治体からは、トン 1,000円にするとこれぐらい実際に減るのである、減っているのであるという点については、三重県さんからの、PR効果--という言葉ではなかったかもしれませんけれども、効果があったのではないかという説明以外、特に一般的に説得力のあるような具体的なお話はなかったと思いますので、実際にどのぐらい効果があるかというのは、これからだと思います。

○碓井委員 今の経済状況というか、それをどう見るか、私それも能力がないからですが、いろいろな経済状況の中で、他の条件が等しい中でならそういう分析も可能なのかもしれませんが、今の状況だと、仮に実績に基づいて算定するときも、その原因が他の経済的要因の変化によるものか、これによるものか、なかなかその分析が難しいのではないかという気がして、今、バーゲンの時期なものですから、大きく「発生抑制」と打ち出したとしても、「本当かいな」と言われそうな気がするんですね。

○産業廃棄物課長 念のため、今回の5県市からの発表の中で、目的としては、減量化のためだと言い切られているところはなかったと思います。減量化と行政施策ということで、併せ技という言葉が高橋委員からもありましたけれども、そういった両面をとらえられているのではないでしょうか。
 私どもも、もともとこの検討会でまずは三重県さんに発表いただくとしたところは、果たして1年間条例を施行されて、まさに今度7月に徴収されるというところで、さらに一歩進んで、より客観的な事実がわかるのではないだろうかという期待感を持って始めたというところがあります。

○長谷川委員 この「制度導入の効果と影響について」にもあるんですが、流入抑制や追い出し効果の影響はまだ不明ということで、三重県が一番最初に出てくると思うんですが、先ほど言いましたように、税額的には4億 1,000万円の税収が1億 3,000万円に落ちたということなんですが、三重県の産廃税の制度設計を見ていただきますとわかりますように、 1,000トンという免税点がございまして、要するに、 1,000トン未満であれば逆に他県から流入してくるという現状なんですね。ですから、必ずしもそういう流入抑制をやっているわけではありません。
 三重県では、環境先進県づくりの中の環境政策にのっとって、ちょっと特殊なことをやっておるんですが、いわゆる環境経営を推進してほしいということで、県内企業は当然のことながら、日本全国に呼びかけた日本環境経営大賞というのをつくって、その創設のもとに募集しておりまして、今回、滋賀銀行さんがパール大賞ということでトップ賞なんですけれども、こういう、環境と経済を同軸でとらえた環境経営をやることで、三重県そのもののいろいろな廃棄物を減らして、地域政策と併せて環境政策と産業政策が融合するような位置づけで環境政策に取り組んでおります。
 そういうことから考えると、いろいろこれからまた全国のことも含めましてあると思うんですが、流入抑制というのは、私どもの今の年間 1,000トンというもので仕切ってある以上は、そういう変な、何というんですか、域外への流出について障害とはなっていないと理解しております。

○小早川座長 確かに、税をつくったことで他県からの流入抑制という効果、これがもしあるとすれば、国の政策からするとやや問題があるところですが、そういう効果が現にあったというデータは必ずしもないし、それから、流入抑制と違う排出抑制そのものについては、こっちの効果が出るのは大変嬉しいはずのことですけれども、しかし、それも実証的なデータがあるわけではない。両面ともそういうことなんだろうと思います。

○大塚委員 論点の3から関係なくなって申しわけないんですけれども、廃棄物行政の中における税法ということで、もう一遍とらまえてみたいと思うんですが、要するに、地方自治体全体の今の産業廃棄物の大きな問題がいっぱい出てきておりますが、その中における自治体の位置づけというものを考えていきますと、税法の問題が今、議論されていますが、その前に、なぜ最終処分場が建たないのか、中間処理がどんどん、ダイオキシン等で全体量が減ってきているのかというようなことを考えますと、その大きな要因の中には、言いにくいんですが、やはり地方自治体の「迷惑施設はなるべく来てほしくない」という本音が相当強力に、やはり全国の広域処理の流通を妨げてきた大きな原因になっているのではないか。我々業界から見ていますと、そういう気がいたします。
 これは住民の同意も、それから事前協議の問題についてもそういうふうに考えますし、そういう意味では、全体的なトータルの中で自治体の果たす役割を、片方で税法がここまで来て、先ほど三本委員が言われたように、もうありきになってしまいますが、そのかわり、自治体としてはバランスを持って、この部分は阻害している要因だからこちらの方の政策は変更していきましょうというようなことがなければ、税法ありき、ほかの部分は一切変えない、そういう形でいけば、ますます逼迫して閉塞感が出てくるだけだと思っております。
 そういう意味では、トータル的な問題として自治体には考えていただかなければ、産業廃棄物行政はなかなか前へ進まないという気がつくづくしております。

○大庭委員 今、地方自治体にとって最終処分場、中間処理施設を含めての話だと思いますけれども、迷惑施設だという考えが非常に強いのではないかと。
 多分そういった考え方があるのは事実なんですが、基本的には、最終処分場にしろ中間処理施設にしろ、必要なことは地方自治体は十分認識してございます。
 北九州市の特性を言いますと、もともとものづくりのまちとしてやってきた土地でございますので、そういった処分場の確保だとか中間処理施設の確保につきましては、非常に計画的に取り組んでおります。短期的にどうだこうだということではなくて、将来を見通しての動きをやってきたつもりです。当然、地元住民の方々は、民間の方を含めてなんですが、地元対策というのが非常に大変だというところは、皆さん方がご想像される以上に大変でございます。実は私どもの方、今、PCBの処理施設が起工して、来年12月から本格稼働されるというで、地元対策ということに関して言いますと非常に大変でございますけれども、基本的には足を運んで、なぜ必要なのか、どういったことに役立っているよということを住民の方々にきちんと説明してやる、これの繰り返ししかないと思っています。こういった繰り返しを地元としてやる意思があるのかどうなのか、処分場にしろ何にしろ、そこが確保できるかどうかの一番の分岐点になろうかと思います。それは多分、民間の方々が設置される場合においても、その立場というのは公共団体がやる場合、公共関与の場合と全く同じではないかと思います。
 北九州市では、そういったことに関してはやっておるつもりでございますし、現在、私ども介入型が主なんですが、そういった意味で、計画的に処分場の確保を図ってきておるつもりでございます。
 それから、先ほど一廃と産廃の話が大塚委員からあったんですが、確かに一廃の方の住民負担は非常に低うございます。実は私の方も、一部手数料の有料化というのをやってございますけれども、正直言いますと、非常に低いというのは事実でございます。こういったものをいかに適正に--という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、応分の負担、応益負担をどう取り入れていくかについては、どこの自治体も結構まじめに議論をしておると思いますが、それが表に出るかどうかというのは、もう少し時間がかかるのではないかと思ってございます。

○小早川座長 議論はもう非常に基本的なところで進んでいますので、もう1、2、3、4の区別は気にしないで、このままいろいろご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

○高橋委員 これもまたわからない--なんて言ってはいけないんですけれども、多分、発生抑制という観点で言うと、このトン当たり 1,000円ぐらいかけるのと、それが削減コストの比較でどういうふうに理解されているのかということだと思います。削減コストがそれより安ければ削減していくわけですが、物によって、業界によって削減コストがそんな簡単に一律で決まっているとも思えませんので、そこはどういうことなのかなと。個々の、例えば建設業界とテレビ・電器業界と、自動車業界と、それぞれ削減コストは全部違っているのではないか。何を削減したいということなのかよくわからないので、一番多いのは、多分、不法投棄は建設だと思いますから、では、建設の削減コストなのかなという、そこら辺はどう理解したらいいのか。
 それからもう一つ、削減ではないんですよ、リサイクルを進めたいんですよということになると、リサイクルのコストはすごく高いと思います。だから、この程度ではとてもリサイクル促進になっていないのではないか。リサイクルとの関係はどういうふうに理解されているのか。この税を入れたことによって削減が進んだのか、リサイクルが進んだのか、そこはどう理解しているのか。
 リサイクルする場合、一番安いのは多分サーマルリサイクルであって、燃やしてしまえばいいわけですから、サーマルリサイクルを国がリサイクルとして認めないという方針をとっている限り、これはどういうふうになるんだろうか。だから、サーマルリサイクルとリサイクルと認めてくれれば、多分これはうんと進むのではないかと思いますから、国と地方自治体との整合性もいま一よくわからないなという気がします。
 そういう意味では、どこの点で発生抑制になっているのかが、いま一つよく見えてきません。

○小早川座長 今の話、先ほど事務局の方から、岩手県は中間処理を減らすコストのことは意識しているという話がありましたけれども、もっと一般的に何かありましょうか。

○産業廃棄物課長 論点の中にもありますように、それは直接的には書いてはいないのかもしれませんが、対象とする産業廃棄物でありますとか処理のプロセスにおいて料率を変えるというのはどうかといった背景としては、頭の中で、今、高橋委員のおっしゃったとおり、物や業界によってトン当たりの削減コストが違うのではないかなと思って、それであればなおさらのこと、有効に料率を考えるとするならばですが、するならば、単純に1トン 1,000円という値ではなくて、もう少し変化を持たせて考えることだってあり得るのではないかというのは、ちょっと思った次第です。
 私ども、今、小早川座長からご指摘のあったように、どれほどきちんとデータを持っているかというと、それがないものですから、逆に言うと、こういう場で先進的に制度を取り入れてくれた地方の皆様にお集まりいただいて、そこを考えるヒントを得たかったということでもあります。諸外国の料率というのは一体どういうことなのか、一般財源ということを前提での制度とするならば、今ここで議論しているような地方における目的税的なものとは全然違うんでしょうが、ああいった値自身どういった背景から出してきているのかというのも関心のあるところでありますが、現在のところ、手がかりとなるものが今、申し上げたようなものしかないというのが正直なところでございます。
 それから、リサイクルのコストの点、高橋委員からありましたが、得られた税収を直接的に、リサイクル事業を行う人のためにどの程度、支援として出していくのかというところは、必ずしもよく承知しておりません。最近、新聞報道で、三重県さんが県内のリサイクル事業を応援するということで、4事業者かどこかで決定されたという報道がありましたが、そのときに、一体どの点について、どういった応援のためにこれだけのお金を出しているかというところまでわかれば、大変参考になるかなと思います。

○三本委員 先ほど私が申し上げた中での発生抑制という考え方は、あるいは違いがあるかもしれませんけれども、例えば廃棄物として単一のものであれば、これは必然的にリサイクルの方に回っていくわけですね。リサイクルというのは、例えば素材が一定化すれば自動的に市場が生まれてくるというような方向にあります。そういう中で、実は建設系の廃棄物についてはなかなかそれが進まないという現状があって、私が申し上げたいのは、分別なんですね。
 例えば、建設現場において廃棄物がなぜ混ざるのかという問題なんですが、実は発生源では単品なんですね。例えば資材でみんな持ち込まれて、建築現場で資材が使われまして、後に、それを集め寄せるときに混合してしまうというふうな現状がございます。その時点で単一のものとして回収できれば、これは自然にリサイクル市場として回っていくわけですから、私は、そういう意味での発生抑制というのが大事なことだと思っております。
 そういう意味で、経済的な負担をかけることによって意識を変えていくというような見方で十分にいけると思います。

○小早川座長 いろいろなお話を伺っていて、排出抑制ということが、ヨーロッパ諸国でもみんな目的にそれを掲げているということなんですけれども、しかし、本当にそういう効果があるかどうかというデータはどうもはっきりしないというところがあって、ただ、そこに本当に目的を絞れば、今、三本委員がおっしゃられているように、それできっちりと制度設計をしていけば、その際、税ということに必ずしもこだわらずに。それはそれで制度としてはあり得るのかなとも思うんですけれども、ただ、どうなんでしょうかね、ヨーロッパ諸国に今すぐ聞いてみるわけにもいきませんが、日本の自治体でも、こういう税の仕組みを導入するときには納税義務者なり関係者なりに対する関係で、その排出抑制という、廃棄物行政全体の一番重要な目標でもあるわけですから、そこを強調されるのは自然だとは思うんですけれども、しかし、その制度設計が本当にそういう目的で完結して、三本委員が言われるように、目的をまずはっきり定めて、それに完全に沿った形で制度設計されているのか。
 私、こう言っては恐縮ですけれども、「排出抑制」というのは言葉としては言うけれども、しかし、制度全体の趣旨を本当にそれで説明しているのではないのではないか、先ほど長谷川委員が言われたように、むしろさまざまな施策の中の1つであって、その全般の施策として最終的には排出抑制に向かっていくけれども、税そのものは、やはり財源調達というところが本当はあるのではないかという気がするんですけれども。

○長谷川委員 三重県も、当然納税される方々の意見を十分聞くべきであろうということもあり、この税ができるまでに議会は2度流しております。その中で、先ほど来の排出抑制ということについては、産業廃棄物の発生を抑制したいという一つの思いが強くございました。
 当然減量、再生への効果も期待したわけでございますが、先ほども言いましたように、今まで排出事業者に当たる企業の方々と、このように政策形成の段階で議論したことはなかったと思うんですね。地方自治体が法定外目的税を創設できるということの中で初めて議論したことでございまして、十分時間があったわけではないんですが、ただ、従来型の、いわゆる行政サイドの意向だけをまとめて押しつけたという税ではございません。どちらかというと、今、税率トン 1,000円から 2,000円というような大きな幅がある中で動いておりますし、年間 1,000トンの免税点ができておりますのも、やはり地域の地場産業とか中小企業対策とか、それで税収がどれだけ得られるのか、それに対していろいろなことが議論されてスタートしたということでございます。
 先ほどヨーロッパの例で、どんどん税率を上げていくという話もありましたけれども、そういう意味では、免税点を下げたり税率を上げたり、いろいろなことをトータル的に、また、私ども、制度設計したときに5年で一応見直しの機会を持つというお話をしておりますので、一遍その辺で整理をしたいなということで、ちょっと今のこの議論の中では答えが出せないので申しわけないんですが、いずれにいたしましても、この7月末で税収が確定しますし、先ほど流入の問題も言いましたけれども、実際、県外から流入されてくるのが少なくなってきているというのは事実でございます。これが抑制かと言うと、私どもは 1,000トン未満を受け入れておりますので、抑制しているとは言いたくないんですが、皆さん県外の方々が年間 1,000トンを切ってきたというのは、かなりこの税収には影響があります。今のところはそのように見ております。しかし、最終的には7月末でまとめますので、また分析してみたいと思っております。

○飯野委員 私、実は環境政策を進めていくという立場と、財政学を勉強するという立場の間でちょっと揺れているんですけれども、財政学を勉強する立場からすると、そもそも我々住民は住民税を払っていますし、法人は法人事業税だとか住民税も納めていますから、本来はその中に含まれていてもいいコストであるにもかかわらず、なぜ産廃だけが取り上げられて別に税金をかけられなければいけないかという点では、若干の疑問があります。
 しかし、ほかの国、私はスウェーデンを専門にしているんですが、スウェーデンなどを見ても、結局、埋め立てのコストがほかのものと比べて余りにも高くついたので、そのコストを吸収するためという理由があって、埋め立てについてだけまず税金をかけるというスタイルでスタートしたんですけれども、我が国では一体、ほかのものと比べて埋め立てのコストだけを何とかしなければいけないという根拠があったのかどうかということを検討しないと、三重県がやったから自分たちも法定外目的税はいいんだということでは、私は根拠が薄いと思います。
 ただ、一方では、地方分権を進めるという方向が決まっているにもかかわらず、三位一体の改革が全然進んでいない。結局、今のところの結論は、地方自治体は自分たちでお金を集めるべきという議論も一方ではあるわけで、そういう環境のもとで一番かけやすいというか、国民が納得しやすいところにかけているのかなというところに根拠を見出しているわけで、そうなると、私は、この産廃税というのは地方分権を確立するための一つの手段であるということと、それから、やはり埋め立てのコストが他のものと比べてちょっと高くなっているので、こういうところに目をつけてやっているのかなと。
 ただ、住民の立場からすると、それこそ今度は保育所をつくるから、介護施設をつくるから住民税とは別に税金を出せと言われると、一体どれぐらい住民税のほかに税金を取られるのかという意味で物すごく不安になるというのも事実でありまして、そういう意味では、この産廃税だけにとどめておいてほしいと思いますし、逆に言えば、なぜつくったかという根拠も少し明確にしておかないと、住民は不安に思うのではないかという気がいたしております。

○小早川座長 今のお話よくわかりましたが、具体的に言うと、資料2の2ページの論点(1)の最初の○ですね、かなり長い文章なんですが、ここで言っているのは、結局、処分場所の都道府県の立場というのはどういうものかというのがあって、そして第2段落目、監視等の行政事務から始まって、これこれに必要な財源に充てるため税を徴収することは、産業廃棄物の処理という特定の分野に課税するということでとやかく言われるとしても、なお合理的ではないかということですよね。
 その次に、副次的には発生抑制効果も期待される、そういう位置づけになっていて、ここはこれで一つのメッセージがあると思うんですけれども。

○飯野委員 ですから三重県はいいんですけれども、では、すべての県にあるのかですね。

○小早川座長 私、財政学は全く素人ですけれども、課税自主権という観点からすると、国税なり、あるいは法定地方税なりで措置するのではなくて課税自主権でそれがなされておるということは、それはまさに地域的な特殊性がある、さらには今ちょっと特別な時期なので、恒久的な国の制度としてつくるのはどうか、例えば自治体が工夫して差し当たりのことをやりなさい、そのようなこともあり得るのかと思うんですね。
 この辺は、また碓井委員のお考えを伺いたいんですけれども、そのようなことも含めて考えると、ここに書いてあるようなことで一応筋は通るのかなとも思うんですけれども。
 このペーパーも今後また書きかわるかもしれませんが、こういう書き方についてはどうお考えか、ご意見があれば伺いたいと思います。

○碓井委員 全くそのとおりだと思います。

○小早川座長 これは、これでいいんですか。

○碓井委員 いいといいますか、まさに小早川座長が言われました、施策を行うのに必要な財源云々といいますが、それはそれぞれの地方公共団体で多様であり得るわけですね。ですから、そこを十分分析する必要があるのではないでしょうか。飯野委員がおっしゃったように、スウェーデンはもともと、今でも基本的にはそうなんでしょうが、地方公共団体まで設置しているわけですね。そのコストが膨大にかかるから、それは非常に説得力があるわけですが、そういう説明は今の日本では、少なくとも、あまねくだとする論議にはならないわけですね。公共関与も、それぞればらばらでしょうから。

○高橋委員 一廃もそうなんですけれども、多分、すべての税は最終的に転嫁されて初めて消費者の判断に応じて、廃棄物が少ない業界とか公害の少ない業界に変わっていくんだと思うんですね。例えば一廃の例で言うと、廃棄物がいっぱい出る業界のものは国民の負担が大きいということであれば、国民は多分、廃棄物が出ない業界のものに、あるいは出ない企業のものにシフトするわけですから、そういう意味では、税をかけるというのは一般的には国民の選択に応じてになると思うんですね。
 そうすると、産廃税も全部転嫁できるんです、それは全部消費者が負担するんですということになれば、それはそれでいいんだけれども、そこら辺の転嫁が、メカニズムができないまま何か、私は産業界ですから、やはり弱い者いじめでしょうという意識がすごく強いわけですね。結局、産廃税というのは第二法人税ではないのか。どうせ産業界に負担させても投票はしっこないし、献金もできないし、議会は非常に楽ちんだから、これは産業界をいじめたらいいんですという一番安易な財源調達手段でやっているのではないかなという気がして、それが今、飯野委員が言われた「国民が納得しやすい」というところではないかなと思っています。
 もう一つは、例えば産業廃棄物と担税力というのはどういう関係なのか、全然理解できない。産業廃棄物を出す業界に担税力があるとはとても思えないんですけれども、ここはどういう理解で課税標準を決めているのかもよくわかりませんから。
 いろいろな話をしましたけれども、転嫁ということで、国民の選択の中で自立的に産業構造を選んでくるという仕組みになっていない限り、この産廃税というのは、いずれにせよ中途半端な税なのではないかという気がしています。

○小早川座長 座長としましては、まだ次回があるからということで、こういうふうに非常に基本的、理論的に対立のあるままでも余り心配していないんですけれども。(笑)
 そういうことで、大変無責任で申しわけないんですが、大分時間も回ってきましたので、いかがでしょうか、あとお一方ぐらい。

○大塚委員 国際化の時代ですから、欧州との比較というのは今後、やはり重要になってくると思いますが、欧州における産業廃棄物のあり方と日本におけるあり方は、かなり違っているんですよね。先ほども言われましたように、スウェーデンの場合もほとんど公共が建てた施設及び民間と公共が混合されて建てた施設。デンマーク等でもそれと似たようなもので、非常に寡占化されている。特に最終処分だとか中間処理というのは日本ほどたくさんの施設があるわけではございませんし、市場が、日本の法律みたいに完全に民間に任せていきますよ、地方自治体は補完的にやっていきますというのと、地方自治体--というのは、ここでは州になりますが、州が主導的にやっていきますよという法体系と、その辺はまだ私も十分理解しておりませんが、この辺も少し研究しながらやるのと、やはりよその国でいきますと、ドイツは州でつくって、かえって違憲であかんかったという話だったんですが、47の自治体全部がこれをつくっていった場合に、国際的に見て非常におかしな国に映るのではないか。それが全部トン当たり 1,000円というのは共通です、納税義務者も一緒です、ほとんどが排出事業者ですと。
 そうしますと、今日はまだ5県市の概要が少ないからまだいいんですが、同様の事例が鳥取、岩手県のあたりに来てダーッと全部出てきますと、結局この検討会は、ここまで来るんだったら国税的に盛り込むかどうかの議論に入らなければ格好つかなくなるという気がいたします。
 外国の例を見ながら、そういう感想を持ちました。

○小早川座長 どうもありがとうございました。
 今のお話にもありますように、やはりいろいろなところの考え方をさらにきちんと出して、参考にしないといけないと思いますので、その辺は事務局の方でまた勉強のほど、よろしくお願いします。
 先ほどちょっと誤解を招くようなことを言いましたが、この検討会としてはまじめに議論をして、できるだけコンセンサスを得るようにしたいと思いますので、その辺はよろしくお願いいたします。
 それでは、本日は大変いろいろなご意見をいただきまして、ありがとうございました。これにつきましては次回もありますけれども、きちんとご議論の中に生かしていきたいと存じます。
 それでは、次回以降について、事務局から何かお話があればお願いします。

○産業廃棄物課長 座長からのご指示のとおり進めたいと思います。
 次回は第5回の検討会になりますが、今日いただいたご意見、新たな論点として整理すべきものが多々あったと認識しておりますので、ご意見を踏まえて論点を整理いたしたいと思います。
 次回につきましては、6月下旬から7月初旬に開催いたしたいと思っておりますので、お手元にある日程調整表にご記入いただき、事務局宛お送りいただきたいと思います。
 事務局からは、以上でございます。

○小早川座長 大変活発な議論をありがとうございました。
 本日はこれで閉会いたします。
 ご苦労さまでした。

午前11時59分開会