第4回「廃棄物処理施設に係る入札・契約適正化検討会」議事要旨
- <日時>
- 平成17年12月16日(金) 14:00~16:00
- <場所>
- 合同庁舎5号館22階 環境省第1会議室
- <議題>
- (1)入札・契約の適正化に向けた方策検討
≪議事≫
会議は公開で行われた。
入札・契約の適正化に向けた方策検討
資料1をもとに事務局が説明を行った。委員等の発言の要旨は以下のとおり。
【3(1)[2]市町村の工事発注事務に対する支援体制の構築について】
- ○市町村職員を対象とした研修については、環境省がスポンサーとなり、大都市自治体と相談しながら全国都市清掃会議等に専門家集団を組織するのが理想的ではないか。現役の公務員が貢献できる範囲には限界があるため、主にOBの方や、自治体職員に限らず中立な立場の方からなる専門家集団を作り、そういった方々が講師になって研修会を開催するといったものを考えている。実際、東京二十三区清掃一部事務組合にも、相当数の照会がきているので、国が組織化すれば、良い制度になると考えられる。
【3(1)[4] コンストラクションマネジメント方式(CM)の導入・活用について】
- ○まだ、具体的に国や地方公共団体が何を行えば良いのかがハッキリしていない。しかし、CMを行うために、国や地方公共団体として何をすべきかということを明確にすべきであるので、一般的なCM方式を廃棄物処理施設分野に特化して解説し、それを今後策定する発注の手引きの中に取り入れる方法も考えている。また、CM方式を活用した施設整備をモデル的に行い、その事業主体となる市町村と相談しながら事業を進め、発信していくということから始める。
- ○CMを行い得る企業が満たすべき基準や、国や地方自治体がどういう対応を取るべきかを、マニュアルなどで示すという方法もあるのではないか。要件などを明確に示すことで、企業も要件を満たす努力をするだろうし、CMという方式も浸透するので、意欲をもっているメーカーも仕事し易くなると思う。ただ、それがないとマニュアルに載せても内容が無くなる。
- ○土建等で行われているCMは図面ができて、構造が確定していて、施工方法等について色々知恵を出していくという面が多い。ところが、ごみ焼却施設の場合、性能発注であるため、契約条件が設計の条件書になっている。設計の仕方に関して、どこまでコンサルタントが理解できて、こういった構造や方法が良いといったことが言えるのか。あるいは、性能発注の場合には、メーカー側が設計したものを照査するが、それに対する照査の責任をコンサルタントは負えるのかどうか。このような点で施工契約の場合のCMとは異なり、性能発注の場合には取組み方が違ってくるのではないか。より難しいと思う。
- ○プロジェクトマネージメント(PM)とCMがある。例えば設計まで含めたマネージメントはプロジェクト全体のマネージメントでPM、CMはある程度設計があって、それをいかに専門領域にきちんと分けた上で、個々の競争原理を入れながら価格を透明にさせる。そんな理解をしているのだが、言葉の定義の仕方かもしれないが、今回の場合はPMの方が、性能発注のような形で考えた場合には分かり易いのではないか。
【3(2)[1]総合評価落札方式の導入・活用と3(2)[2] 施設の建設事業と長期包括的運営事業を併せた発注方式 との関係について】
- ○ 自治体の現場で一番問題となるのは、予算単年度主義から複数年の契約は難しいのではないか。発注時には、建設と運営を合わせて長期間を評価するが、実際には、すぐに落札とはならないと思われる。選定されたメーカーとは、契約書の中で建設工事だけでなく将来の長期運営事業についてもリスクを負わせる契約を行った上で、短期間毎に契約をくぎり、次回以降には随意契約でそのメーカーと契約することになる。リース契約のように長期継続契約という手法を条例化し、対応することも考えられるが、現行の財政制度上、許される範囲内での短期間の契約とならざるを得ないので、ここに支障が生じる恐れがあり、整理しておいた方が良い。
ただ、PFI方式で施設整備する場合にも交付金は交付されるので、地方自治体が長期間の債務負担行為を行うことを総務省も認めている。しかし、問題はPFI法の枠組みの外での長期包括的運営事業であり、その場合にどういった手法を自治体側でとる必要があるのかということを加える必要がある。また、新たに検討しなければいけないということであれば、その点を加える必要がある。 - ○実質的に、建設工事を請け負ったメーカーやその関係会社が、施設建設後の運営を受託するケースが多い。そのため、そのライフサイクル全体のコストで競争させる契約方式があるだろうというのが建設工事と運営事業を一括することの趣旨。総合評価という選定方式を導入するとすれば、ライフサイクルコスト以外に、例えば焼却施設から出てくる焼却灰の量を減らせるとか、排水の量を減らせるといった、様々な総合評価の項目を加えて、これを点数化して総合評価をするという方式も考えられ、ライフサイクルコストだけでなく、それ以外の工夫や技術の部分でも競争するということになる。こうすることで、より自治体側にメリットが出る方法を選ぶことが可能であると思う。
【3(2)[3]指名競争入札の見直しについて】
- ○ 指名競争入札をなるべく行い、総合評価落札方式による選定を導入しない場合には公募型指名競争入札を行うべきと書かれているが、総合評価方式を採用すれば一般競争入札ではなく指名入札でいいといった逆の受け取り方をされる恐れがあるのではないか。資格を満たす業者は全て指名をする取り組みが有効であろうと書かれてはいるが、こういった制限付き一般競争入札は、全く誰でも参加していいということは本来あり得ないので、当然のこと。
- ○ 予め指名する段階で、指名する発注側の恣意が入らないようにすることで、例えば要件を満たす者は相手の意思によらず全部指名してしまうという方式があるのではないかという指摘もある。また、相手方の意向を考慮し、それを透明なプロセスで公募して、意向ありという者は指名するというのが公募型指名競争なので、どちらがいいかというのはケース・バイ・ケースである。付け加えると、技術審査に技術資料を出させることになるため、指名した企業に負担をかけるケースがあり、例えば制限付き一般競争入札で、この企業が条件に合うから応募してくるだろうと思いながらも、応募してこないケースも多少ある。
- ○単純な価格競争で選定する場合と、品質を重視した競争によって選定する場合では、ケースが異なる。一般的に総合評価で行うか、指名で行うか、という問題ではなく、総合評価で行った方が相応しいケースと、指名で行った方が相応しいケースとがある。例えば、品質がある程度一定に決まっており、価格の競争のみを透明性をもって行えばいいケースは指名競争入札で構わない。そこで、総合評価における品質とは何かを明確にすることができれば、こういったケースにおいては総合評価形式で行う方が望ましいと手引きに記載することができる。
- ○しかし、現実には、発注の条件や設計条件書が大都市ではかなり整備されているが、中小都市ではあまり整備されておらず、効果が少ないと思う。これが十分でない場合の総合評価の導入は、入札参加企業の設計に頼らざるを得ない。その場合に、しっかりした仕様書を発注側で用意しておかないと、予想もしていなかったような設計が提出される恐れがある。これまで指名で行った場合には、提出された図面に対して、比較表を作成するなどして、機能的、性能的に低いところは改善指示等を行い、品質が同じになるように揃えて入札を行ってきたが、これができなくなる。
- ○総合評価の場合は、品質と価格の重み付けが問題であり、その基準をどうするかという事だと思う。これまでの、無理にレベルを合わせて価格で入札する方法自体が、不透明な方法だったのではないか。発注者側のリスクと受注者側のリスクのバランスの問題であり、地方自治体がリスクを負うのであれば、地方自治体でそれなりの性能、品質を明確に示さないといけないし、メーカーがリスクを負うのであれば、施設について15~20年間この価格で責任をもつという方式で決めるしかない。中間の事を行おうとすると良くない結果になるだろう。
【3(2)[5]設計・施工一括発注方式について】
- ○ 最終処分場を対象として、設計・施工一括発注と書いているのか。アンケート調査結果では、焼却施設もし尿処理施設もほとんど性能発注で設計と施工を一括発注しているようだが、改めて設計・施工一括発注方式を基本とすべきということは、最終処分場について言っているのか。
- ○実際は、ほとんど性能発注、設計・施工一括発注とアンケート調査結果にあるが、最終処分場を対象にということではなく、それを基本とすべきだということをこの検討会のメッセージとして明確にする必要があった。その理由は、6ページ[5]の最初の○に「設計施工の分離発注が、廃棄物処理施設建設工事の競争性向上には必ずしもつながっていない……」という事なので、プラント設備を伴うごみ焼却施設やリサイクル施設、し尿処理施設について、設計・施工一括発注を基本にすべきである、とするのが適当ではないかということ。
- ○ もう少し積極的に、なぜ一括発注方式でなければならないかという事を書くべき。競争性向上に繋がっていないから、一括発注で行うべきだと言われても、それでも競争性の向上には繋がらない。一般的には、設計・施工を分離して、設計をしっかりと行っていれば、公示の段階で競争性は高まるはず。設計と施工を一緒にすると、別の要素が入ってくるので、価格だけの競争ではなくなり、逆に競争性が低くなると考えるべきである。
- ○ごみ焼却施設のように、非常に特殊なシステムで、しかも性能・品質を要求するものであるため、設計・施工が一括でないと本来の機能が発揮できない。そのため、それは価格だけでなく、品質も競争の枠組みに入っている。だから一括の方式が望ましいという事である。そこが曖昧なまま性能発注を行い社会的に批判を受けているので、本検討会で競争性をどう明確化するかといった検討をしている。
【3(2)[6]建設コンサルタントの中立性の確保等について】
- ○「適正な対価が報酬として支払われるようにすることで、建設コンサルタント間の競争が促され、」という一文が新しく入ったのですが、どういう場合に報酬として支払われるのかが、わかりにくい。どうしても応募するための提案書作成には経費がかかる。そのため、意欲のある企業は一生懸命つくるが、意欲の少ない企業は作成しないため、いくら多くを指名しても、限定的な数しか応募がないのではないか。良い運用方法があるのか疑問である。
- ○これはコンサルタントについての記述であり、その前段にある発注支援業務内容の明確化のところで、ある種のワークロードが決まって、それに対してコンサルタントフィーを適正に支払うということ。現段階では、アットリスクCMの側のプロポーザルに対して報酬を出すか出さないかということについて書いていない。
- ○ある発注、選定を行う場合に、提案者に対して提案料などを支払った方が、いい提案が出て競争性が高まる、よってそういった提案には対価を支払うべきだ。おおよそ、こういった議論が他の公共調達の世界でも進んでいるという理解でよい。
- ○少なくとも1つのプロジェクトに複数の設計料を出すことは、これまでの会計上の原則で考えられない。設計料まではいかないが、提案料か企画料とかいったレベルで払えないことはないが、本気で取り組むのは2~3社だと思う。例えば、8社に声をかけて、残りの5社はお付き合いで、2~3社は必死に取り組むだろうが、多くの手間をかけて、人を使って、それで契約できなければ、その企業の負担は大きい。
- ○公共建築のように、コンペといったものもある。例えば、10社で本当の競争をというのは難しいので、そこから3社に絞って競争させる。ただ、参加者を絞ることは、法的に日本の制度では難しいらしいので、方策を検討していく必要がある。
- ○建築の世界だと、2段階、3段階とコンペを行っている。プロポーザルで仮に公募して100~200社あるとして、その中から要件をある程度満たしている者を選び数を絞る。また、簡単に提案してもらって10社ほどに絞る。その上で、もう少し突っ込んだ提案をしてもらい、これには様々な方法があるが、そこにある程度報酬を払う例もある。
【3(2)[7]その他の競争性を高める方策について
- ○海外のプラントメーカーやエンジニアリング企業に依頼してレビューすることが本当にできるのか。
- ○海外のプラントメーカーは、レビュー料を払わないとしてもらえないが、海外のプラントメーカーで日本のプラントメーカーと技術的に比肩しうるところは存在している。それからエンジニアリング企業は、日本の企業でできると思う。
- ○日本の場合、完成後のシステムとしての性能を求めているが、海外の場合は、例えばこのポンプは年間8,000時間連続運転可能といった設備ごとの性能を積上げている。これは全体での性能も求めているが、設備1個づつ全部の性能を求めている。日本の場合、入口と出口の問題があり、これだけギャランティできると性能達成という形なので、どうしても技術提案するメーカーの仕様になる。
また、3ページの「市町村の技術力の不足を補い、…」というところで、研修会という話が出たが、市町村職員の技術力を補うという点をどのように考えていくのか。自治体にとっては20年に1回程度の事業なので、それは全てCMなどでカバーするのか。しかし、この場合に、CMで行ったことが本当に適切なことであったかの検証力が市町村側にない。このことをどうするかという問題を整理する必要がある。 - ○市町村の技術力不足を補う方法について、プロジェクトの始まりから終わりまでの時限的な契約職員という制度を地方自治体が導入しない限り無理だと思う。例えば、期限付きの技術者採用のメニューについて、手引きの中に盛り込むなど。
【その他】
- ○国において、年間50施設ほどの全国の発注実績を、毎年度専門家の協力を得て行うと いうことについて、毎年度行えるのか。分析は別として、資料の収集・公表はその都度行わないと、相場が分からなくなる。
- ○今日は、委員からたくさんのご意見をいただいたので、それを考慮し、とりまとめ案を改訂して各委員に送付する。それについて委員のコメントを頂き、座長の判断で整理し、中間とりまとめとしたい。また、業界団体、都道府県、大中小の市町村に意見を照会したいと思っている。