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8.毒性等価係数(TEF)と毒性等量(TEQ)

(1)ダイオキシン類及びダイオキシン類似化合物

 ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の同族体210種の総称である。また、PCBのなかにも平面型の分子構造を有し、ダイオキシン類似の毒性作用を持つものがあり、コプラナーPCBと呼ばれている。

(2)毒性等価係数(TEF)

 上記物質の毒性発現は共通の作用機構として、Ahレセプターを介するメカニズムが考えられ、個々の同族体のそれぞれの毒性強度を、最も毒性が強いとされる2,3,7,8-TCDDの毒性を1とした、毒性等価係数(TEF:ToxicEquivalency Factor )を用いて表わす方法が用いられている。
 WHO等においては、TEFは、長期毒性、短期毒性、生体内(in vivo )及び試験管内(in vitro)の生化学反応についての試験結果を同族体間で比較して設定されている。TEFは、従来、その数字の改良がなされてきており、今後の新たな科学的知見によっては、さらに新たな数字に改善されるべきものである。

(3)毒性等量(TEQ)

 ダイオキシンは、通常は混合物として環境中に存在するので、摂取したダイオキシンの毒性の強さは、各同族体の量にそれぞれのTEFを乗じた値を総和した毒性等量(TEQ:Toxic Equivalent)として表わすことができる。国際的には、TEQで表された数値により、ダイオキシンの毒性が評価されている。

(4)最新のTEFによるTEQの算出

 現時点では、多くの研究により概ね適正であると支持されていることから、1997年にWHOで再評価された最新のTEF108)をもとにTEQを算出してダイオキシン類及びコプラナーPCBの暴露評価に用いることが妥当である。
 なお、現在、毒性があるものとしてTEFが与えられているのは、表2のとおり、PCDDが7種、PCDFが10種、コプラナーPCBが12種である。


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