報道発表資料本文


【資料】

公共の浴用に供する場合の温泉利用施設の設備構造等に関する基準

1 適用対象となる温泉

 本基準の適用対象となる温泉は、1キログラム中、総硫黄(硫化水素イオン、チオ硫酸イオン及び遊離硫化水素に対応するものをいう。以下同じ。)を2ミリグラム以上含有する温泉とする。

2 温泉利用施設の構造

 温泉利用許可者(温泉法(昭和23年法律第125号)第13条第1項の 規定による許可を受け、温泉を公共の浴用に供し、又は供しようとする者をいう。以下同じ。)は、硫化水素を原因とする事故の防止のため、温泉を公共の浴用に供する施設を次の設備構造等とすること。

(1)換気孔等
 浴室(露天風呂の場合は、利用空間をいう。以下同じ。)に換気孔又は換気装置(以下「換気孔等」という。)を設ける等により、浴室内の空気中の硫化水素の濃度が、次に掲げる数値を超えないようにすること。
(イ) 浴槽湯面から上方10cmの位置の濃度20ppm
(ロ) 浴室床面から上方70cmの位置の濃度10ppm
 換気孔等を設けたにもかかわらず浴室内の空気中の硫化水素の濃度がイに定める数値を超える場合、源泉から浴室までの間に湯畑その他のばっ気装置等を設けることにより、温泉中の硫化水素の含有量を減少させ、浴室内の空気中の硫化水素の濃度がイに定める数値を超えないようにすること。
 換気孔等は、2か所以上設け、かつ、そのうち1か所は、浴室の床面と同じ高さに設けること。(別図1参照)
(2)浴槽
 浴槽の湯面は、浴室の床面より高くなるように設けること。
 (別図2参照)
 浴槽への温泉注入口は、浴槽の湯面より上方に設けること。
 (別図3参照)

3 浴室等の管理

 温泉利用許可者は、利用者の安全を確保するため、浴室等において以下の内容を行うこと。

(1)換気状態の確認
 浴室内の硫化水素濃度が常に適正に維持されるよう換気孔等に対する確認を怠らないこと。また、浴室に隣接する脱衣室等においても、硫化水素が滞留しないよう、換気に十分配慮すること。特に、積雪の多い地方については、積雪により換気孔等の適切な稼働が妨げられることのないように十分留意すること。さらに、周囲の地形、積雪等により硫化水素が滞留するおそれがある露天風呂を利用に供している場合は、風速、風向等の気象条件の状況、変化等に十分配慮すること。
(2)濃度の測定
 都道府県知事又は保健所を設置する市の市長(以下「都道府県知事等」という。)が必要と認めたときは、浴室内の空気中の硫化水素濃度を検知管法又はこれと精度が同等以上の方法により、原則として毎日2回以上測定し、濃度に異常のないことを確認すること。なお、この測定のうち1回は、浴室利用開始前に行うこと。
(3)測定結果の記録及びその保管
 硫化水素濃度の測定結果を記録し、都道府県知事等から硫化水素濃度の測定結果について報告を求められたときは、直ちに提出できるようにその記録を保管しておくこと。
(4)その他
 浴室が利用に供されている間は、常に浴槽に温泉が満ちているようにすること。
 利用者の安全を図るため、浴室内の状態に常時気を配ること。

4 立入禁止柵等の設置

 源泉における揚湯設備、湯畑その他のばっ気装置、パイプラインの排気装置、中継槽、貯湯槽等の管理者は、立入禁止柵、施錠設備、注意事項を明示した立札等を設けること。特に、総硫黄の含有量が多い温泉を利用し、又は硫化水素濃度が高くなるおそれがある大規模な貯湯槽等を使用する場合は、動力等による拡散装置等を設けることにより、硫化水素を原因とする中毒事故の防止に万全を期すこと。



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