報道発表資料本文

(別紙)

「知床」に関するIUCN評価結果等の概要について


環境省

1.登録の可否について

○登録の可否に関する勧告は以下の3種類に区分されており、「知床」については、「登録」が勧告されている。
 
勧告内容 登録可否に関する勧告の種類
「登録」(inscribe)
  「登録不可」(not to inscribe)
  「再照会」(referral)または「延期」(deferral)※
※「再照会」または「延期」とされた推薦案件は、今次委員会では世界遺産としては登録されず、次回以降の委員会で再審査もしくは再評価が必要となる。



2.IUCNの評価結果

○世界自然遺産の登録基準に照らしたIUCNの評価結果(概要)は以下のとおり。

  「生態系」
・知床は北半球で最も低緯度に位置する季節海氷域であり、季節海氷の形成による影響を大きく受け、特異な生態系の生産性が見られるとともに、海洋生態系と陸上生態系の相互関係の顕著な見本である。
 
  「生物多様性」
・知床は多くの海洋性及び陸上性の種にとって特に重要であり、これらの中にはシマフクロウ、シレトコスミレなど多くの希少種が含まれている。
・知床は多くのサケ科魚類、トドや鯨類などの海棲哺乳類にとって世界的に重要である。
・知床は世界的に希少な海鳥類の生息地として重要であるとともに、渡り鳥類にとって世界的に重要な地域である。

※なお、我が国から提案していた「自然景観」の登録基準には合致しないとされている。



3.その他の勧告

○上記に加え、次のような措置について勧告がなされている。

(1)登録後に実施することが勧告されている措置

[1]遺産地域の海域部分の境界線を海岸線1kmから3kmに拡張するための手続が法的に確定した段階で、地図等を世界遺産センターに送付すること。

[2]登録後2年以内に、海域管理計画の履行の進捗状況と遺産地域の海洋資源の保全効果について評価するための調査団を招くこと。

[3]2008年までに完成させる海域管理計画の策定を急ぐこと。その中では海域保全の強化方策と海域部分の拡張の可能性を明らかにすること。

[4]サケ科魚類へのダムによる影響とその対策に関する戦略を明らかにしたサケ科魚類管理計画を策定すること。

[5]評価書に示されたその他の課題(観光客の管理や科学的調査などを含む)についても対応すること。

(2)その他
 推薦書の準備に際しての公衆参加や、極めて優れた推薦文書の準備、保全管理の強化を求めたIUCNの勧告への効率的な対応などの過程について高い評価を受けている。




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