3Rを通じた循環型社会の構築を国際的に推進するための日本の行動計画(通称:ゴミゼロ国際化行動計画)
平成17年4月28日
1.3Rイニシアティブ
人口の増大や経済社会活動の拡大に伴い、世界的に資源需要が急増し、また廃棄物の排出量も増加し、その種類も多様化しつつある。さらに、国際社会のグローバル化に伴い、循環資源を含む物品、製品や技術などの国際流通も活発化しており、環境や経済面での相互依存性が世界的に高まっている。このため、世界が協調して相互の便益を高めながら、環境と経済の両立した循環型社会づくりを進めることが、人類共通の課題となっている。
こうした状況の中、2004年に開催されたG8シーアイランドサミットにおいて、小泉総理が3Rイニシアティブを提唱し、G8各国のリーダーの合意を得た。3Rイニシアティブは2005年4月に東京で開催される3Rイニシアティブ閣僚会合において正式に開始される。
2.我が国の循環型社会構築に向けた取組
我が国は、かつての激甚な産業公害やごみ問題をめぐる住民と行政の深刻な対立などの経験を踏まえ、現在は環境と経済が両立する循環型社会の構築を目指している。そのために、循環型社会形成推進基本法及び循環型社会形成推進基本計画を策定し、2010年を目標とした定量的な数値目標を設定した上で、様々な利害関係者の協力の下、数多くの具体的な取組を計画的に進めている。
3.循環型社会づくりを国際的に推進するための日本の行動計画
我が国は、国内においては循環型社会の構築を目指した取組の一層の強化を図るとともに、自らが有する経験や技術などの世界への発信、開発途上国の能力向上のための支援や、国境を越えた地域レベル・地球レベルでの国際協調を通じて、3Rを通じた循環型社会の構築のための国際的な取組の推進に主導的な役割を果たしていくべき立場にある。このため小泉総理の指示の下、本行動計画を策定する。
(1)ゴミゼロ社会を国内で実現し、その経験を世界へ発信
ゴミゼロ社会の実現を目指し、廃棄物処理・リサイクルの仕組みをさらに循環型社会に適合したものに変革するとともに、3R推進のための技術開発等を推進する。
- 国と地方公共団体が連携・協働して、循環型社会形成推進のための地域計画づくりを推進し、3R推進のための目標を掲げ、必要な施策をパッケージとして進める取組を開始
- エコタウン事業の推進
- 個別リサイクル法の評価・検討を通じた3Rの推進
- 製品の設計・製造段階から3Rを配慮した「環境配慮製品」への取組の強化、「環境配慮製品」の市場拡大促進
- 有料化等を通じた家庭ごみの減量化の推進
- 廃棄物の不法投棄・不法輸出対策の強化
- 3Rに関する研究・技術開発の推進(例:廃棄物処理等科学研究費補助金に3Rイニシアティブ特別研究枠を新設)
- 産業界における3Rの推進
さらに、これまでの我が国の循環型社会形成に向けた経験を踏まえ、その知見を世界に発信する。
(2)開発途上国のゴミゼロ化を支援
開発途上国におけるゴミゼロ化のための取組に対する支援として、人材育成、技術協力などの取組に対する支援を実施する。
- 国際機関アジア生産性機構(APO)と連携し、アジア・太平洋地域におけるサプライ・チェーンのグリーン化等のグリーン・プロダクティビティー活動を推進(2004年のマレーシアに引き続き、2005年秋にタイで「エコ・プロダクツ展」を開催予定)
- 人材育成を通じた循環型社会構築のための拠点づくりや3R分野の協力を推進
- 草の根・人間の安全保障無償資金協力及び日本NGO支援無償資金協力によるリサイクル物資の開発途上国への輸送支援を推進
- グリーン・エイド・プラン(GAP)を通じた専門家派遣、研修事業の実施
- 国内外の民間団体が行う3Rを含む環境保全活動に対し、地球環境基金等による支援を実施
- 国連アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)、我が国外務省、環境省、北九州市などの関係機関の協力により推進している「クリーンな開発のための北九州イニシアティブ」により、事例収集やパイロット事業等を実施
(3)ゴミゼロ社会を世界に広げるための国際協調を推進
[1]様々な国々・機関と連携してゴミゼロ化政策を展開
- 3Rイニシアティブのフォローアップとして、高級事務レベル会合を2005年度に開催
- G8を中心とした関係諸国、国連環境計画(UNEP)や経済協力開発機構(OECD)等の国際機関との連携を強化し、3Rの取組をさらに促進
- 国際的な物質フロー会計(MFA)の普及及び研究の推進
- アジア太平洋環境会議(エコアジア)や日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)などの閣僚レベル会合において、循環型社会の構築のための地域レベルの取組を推進
- 「東アジア循環型社会ビジョン」を2012年までに策定するとともに、東アジア各国における「循環型社会形成のためのビジョン/計画」の策定等を支援
- 我が国環境省のイニシアティブの下に平成16年12月に発足した「有害廃棄物の不法輸出入防止に関するアジアネットワーク」等を通じた実務者レベルの連携強化により、東アジアにおける適正な資源循環を確保
- 各国が相互に連携し、域内における資源有効利用と環境汚染防止の両立を図るため、二国間政策対話の推進や、二国間での適正な資源循環ネットワーク構築のための共同研究等を推進
[2]アジアにおけるゴミゼロ化のための知識基盤・技術基盤を強化
- ごみ処理やリサイクルに関する意識の向上、技術の提供や制度構築の支援を通じたキャパシティビルディング
- 「東アジア3R研究ネットワーク(仮称)」を構築し、国際的な情報交換・研究等の促進により、循環型社会推進のための知識基盤・技術基盤を構築
- 循環型社会を目指した政策形成に関する我が国の経験や知見、技術を研修等を通じて、各国の政府機関との間で共有
[3]情報発信・ネットワーク化を通じてゴミゼロ化のための行動を促進
- グリーン購入仙台宣言(平成16年10月)で提唱された「国際グリーン購入ネットワーク(IGPN)」と連携し、環境に配慮した商品やサービスの購入を世界的に推進
- 3R優良事例を収集した「3R優良事例ショーケース(仮称)」を、国際機関を活用して構築
- 自治体のノウハウを活用した、循環型社会推進のための都市間ネットワークの構築を支援
- TEMMで合意された「循環型社会構築のためのシンポジウム/セミナー(仮称)」を2005年秋に北京で開催し、中央政府、自治体、企業やNGO等の相互理解と行動を促進