報道発表資料概要


(別紙2)

アジア太平洋環境と開発に関する閣僚宣言(仮訳)

(前文)(略)
(本文)
1.経済成長における環境の持続可能性と環境パフォーマンス
1) 以下のようなことを実現する手段により、貧困に対処しつつ、持続可能ではない経済成長による環境への圧力を軽減することによって、環境の持続可能性を改善するよう努める。
  a) 適切かつ実施可能な場合に、グリーン成長に役立つ経済的な措置による、環境コストの市場価格への反映。
  b) 適切な場合に、クリーンエネルギーや省自然資源の技術及び実践、再生可能エネルギー源、代替エネルギー源、汚染の少ないエネルギー源などの幅広い利用によってエコ効率を進めることによる、クリーナープロダクションの強化。
  c) 適切な場合には、伝統的な生活様式や文化的価値と結びつけ、また、循環型社会を推進することによる、消費パターンの環境持続可能性の改善。
  d) 貧困削減のための戦略となる、経済発展と環境保護を統合するモデルの推進。
  e) 人、とりわけ、貧困層の、生命、生計及び居住への危険を最小化するため、津波、洪水、干ばつ、サイクロン、砂嵐等の災害の管理のための警戒予報システムの機構の整備。並びに、このような災害を軽減するための適切な防災・対策機構の整備。
  f) 気候変動の悪影響を緩和し、適応するための戦略の推進。
  g) 経済と社会の発展の基礎である自然資源、とりわけ世界の食糧保障に重要な海洋及び沿岸域における自然資源について、保護と管理のための措置の推進。
  h) 自然資源の消費、廃棄物や汚染物質の最小化のための3R(廃棄物の削減、材料や製品の再使用及びリサイクル)の推進。
2) 以下のような手段により環境パフォーマンスを改善することを探求する。
  a) 関係者を適切な時期に実質的に関与させ、情報や参加の機会を提供することによる、公的部門及び民間部門の環境パフォーマンスと説明責任の強化。
  b) 加入している、地球レベルあるいは地域レベルの多国間環境条約の履行を確保。
  c) 環境アセスメント法を含め、国の法令、規則及び基準等の実効的な施行の推進。
  d) 生態系への打撃を回復し、予防するための、とりわけ生物多様性の喪失、陸上及び海域の劣化を回復又は予防するための行動。
  e) 持続可能な開発の3本柱(経済開発、社会開発、環境保全)に関する政策を統合し、民間部門、市民社会その他のグループとの効果的な複数関係者間パートナーシップを進めるための組織の設立や普及。
  f) 持続可能な開発の政策を形成するための道具として、現状や傾向を評価するための、環境の持続可能性や環境パフォーマンスの指標の使用に関する経験の共有の推進。
  g) 自然資源と環境の計画及び管理について、エコシステムアプローチの適用の推進。
  h) 環境的に持続可能な開発のための政策が、同時に貧困の削減のためになることの確保。
3) 以下のような戦略を特に奨励することを通じ、環境が経済成長の制約ではなく、持続可能な経済成長の機会をもたらすものであることを理解する。
  a) 環境に係る技術、製品及びサービスの市場の推進。
  b) 環境に係る社会資本への投資への関係者の関与とパートナーシップの構築の推進。
  c) 環境に関する技術の研究、開発及び実証の推進。
  d) 貧困と環境を指向した成長について焦点を当てつつ、環境と貧困の関連に関する経験や分析を共有するための知識共有ネットワークの推進。
  e) UNESCAP及びその加盟国等を通じグリーン成長のコンセプトに係るコミュニケーション戦略の醸成。
  f) アジア太平洋地域の経済移行諸国及び開発途上国、とりわけ小島嶼開発途上国及び最貧国のための持続可能な成長のための環境技術を普及するための、能力開発及び技術移転イニシアティブの推進。
2.主要なグループの役割
 主要なグループが、ヨハネスブルグ政治宣言で社会的パートナーとして認められていることを再確認し、主要なグループのそれぞれの役割の個々の重要性に敬意を払いつつ、以下のようなことについて主要なグループと話し合うことを通じ、主要なグループすべてとの安定的なパートナーシップを推進する。
  a) 持続可能な開発を達成するための様々な経済措置の活用の奨励。
  b) 以下を民間部門に奨励。
   
  • 環境ビジネスの機会の活用。
  • 環境市場の活用。
  • 持続可能でクリーンな生産方法の適用。
  • 環境的に安全な製品の開発。
  • 環境製品やサービスの普及。
  • 持続可能な開発を進めるような投資パターンの適用。
  c) 持続可能な開発に係る補完的措置として、公的部門・民間部門間のパートナーシップの推進。
  d) 以下による、消費における環境の持続可能性を改善するための市民社会の重要な役割の奨励。
   
  • 消費者の消費行動の環境の持続可能性に関する意識啓発。
  • 消費者側の需要管理(デマンドサイドマネージメント)の促進。
  • 適切な場合には、伝統的な生活様式や文化的、精神的価値と結び付け、ライフスタイルの見直しなどを通じた消費の環境の持続可能性の改善。
  e) すべての段階での教育と公衆の意識啓発を通じた持続可能な開発の推進。
3.持続可能な開発に関するヨハネスブルグ実施計画及び地域実施計画2006-2010について
1) ヨハネスブルグ実施計画、とりわけそれに含まれるプノンペン地域プラットフォーム、北九州イニシアティブ、バルバドス行動計画、小島嶼開発途上国の持続可能な開発に関する行動計画の更なる実施のためのモーリシャス戦略について、地域・準地域でヨハネスブルグ実施計画とその優先的なイニシアティブに関して加盟国及び準加盟国(以下「加盟国等」という。)によりとられた前進に謝意を表しつつ、今後も実施の努力を続けることを決意する。
2) 各国の優先度と目標を想起しつつ、アジア太平洋地域の共通の目標である持続可能な開発を達成するため、「持続可能な開発に係る地域実施計画2006-2010」が有用な枠組みであることを理解する。
3) 「持続可能な開発に係る地域実施計画2006-2010」に盛られた課題に取り組むための、アジア太平洋地域の環境的に持続可能な経済発展を目標として、環境的に持続可能な経済成長のためのソウルイニシアティブを歓迎する。
4) 持続可能な開発に関する世界サミット(ヨハネスブルグ・サミット)の成果のフォローアップとして作成された、本宣言の別添に記す地域・準地域イニシアティブ、並びにヨハネスブルグ実施計画の「その他の地域的イニシアティブ」の章にあるアジア太平洋の持続的な開発のためのプノンペン地域プラットフォームに盛り込まれているイニシアティブを支持する。
5) クリーンな環境のための北九州イニシアティブの実施のために採られてきた実際的で焦点の定まった活動や方策を支持し、2004年8月3〜4日に北九州市で開催された第3回北九州イニシアティブネットワーク会合において、メンバー都市の市長及び高級事務レベルで採択されたイニシアティブ実施のための行動計画を支持する。
6) 加盟国等にUNCED(地球サミット)とWSSD(ヨハネスブルグ・サミット)に適合するよう、環境と経済とを完全に統合することを支持し、国の経済計画と実施のプロセスに統合するような形で、持続可能な開発に係る国家戦略を形成し、発展させ、施行することを確保するよう要請する。
7) また、加盟国等に、貧困層や女性、子どもなどの弱者に係る環境や防災上の課題が、貧困削減に係る国家計画や政策枠組みに取り入れられるよう要請する。
8) 加盟国等に、既存の準地域の持続可能な開発に関する組織等の強化を行うよう求める。
9) 持続可能な開発の達成のため、二国間及び多国間の協力が重要であることを強調する。
10) 国際社会とりわけ先進国に、持続可能な開発を達成するための、共通であるが差異のある責任についてのコミットメントについて再認識させる。
11) 国際社会、特に、先進国に対し、共通ではあるが差異のある責任を認識するよう要請する。
12) 支援国、関連の国連機関、多国間財務機関その他の国際機関、民間部門、NGO及び市民社会に、「持続可能な開発に係る地域実施計画2006-2010」に対し、経済的、技術的な支援を含む、十分な支援を提供するよう要請する。
13) 「持続可能な開発に係る地域実施計画2006-2010」の進捗状況を把握するため、定期的なレビューの必要性について合意し、このため、ESCAP事務局長に対し、加盟国の自発的な情報提供に基づき、毎年、進捗状況報告書案を作成して検討に付すよう提出すること、さらに最終レビュー報告書を第6回環境と開発に係る閣僚会合に提出するよう要請する。
14) 次のアジア太平洋地域の環境と開発に関する閣僚会合を2010年に開催することを合意する。
15) 好意的なホストである韓国政府に対し、本会合に対する韓国政府の多くの支援、歓待及び優れた準備について、心からの感謝を表する。

 

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