報道発表資料本文

(別紙1)

IUCNからの2005年2月2日付け書簡(仮訳)

2005年2月2日
小野寺局長 殿


知床(日本):世界遺産リストへの記載に係る推薦

知床の世界遺産推薦に関し、IUCN世界遺産パネルが2004年12月13−17日に開催され、2004年11月5日付けで貴職から提出のあった追加情報について評価した。パネルはこの情報について注意深く検討を行い、この地域が多くの重要な特徴を有していることに注目した。これは、この地域の重要性は、生態系の生産性と、この地域が支える動植物に関わるものであるという、2004年7月のIUCNミッションが出した初期的な見解を強調するものである。パネルは、この地域の主な重要性は、陸域と海域の構成要素の相互関係に支えられており、その相互関係を維持することは、長期的な持続可能性にとって不可欠であるという点についても注目した。

IUCN世界遺産パネルでは、推薦地内外の海域環境の保護レベルの強化が必要であるとの意見に達した。特にパネルは、推薦地内の限定的な海域が、生息地を十分に含んでいるか否か、及び海洋生物の長期的な生態的健全性を確保し、海洋の餌資源に依存する陸域生物(鳥類を含む)を保護するために十分に強い保護を提供するものであるか否かについて疑問を呈した。

パネルでの討論の結果として、IUCNは、締約国が以下の点について対応できるか否かにつき、さらなる見解を求めることとした。

(a) 海域管理計画の作成を促進させ、海洋性の種の保護を確実にするため、この計画の中の規定を強化すること。
(b) 推薦地の海域部分を十分に拡張すること。

上記に対する貴職の見解をいただけると有難い。

回答は、推薦書類の一部として確実に登録するため、ユネスコ世界遺産センター フランシスコ・バンダリン宛へ公式送付するとともに、IUCN本部へコピー(可能であれば電子媒体)を送付していただきたい。IUCNがユネスコへの報告書の提出期限に間に合わせることができるよう、上記の点に関して、できるだけ早く、できれば2月末日までに、おそくとも2005年3月31日までに回答を願いたい。第28回世界遺産委員会の決議に従えば、2005年3月31日までに受理した情報しか諮問機関(訳注:IUCN)では審査されない。

この件に関する質問があれば、もしくは2005年3月末までに要求した情報を提供することが難しい場合には、ジョルジーナ・ピアードに連絡を取って下さい(世界遺産プロジェクト担当官)。世界遺産条約の履行に対する貴職の協力と支援に感謝する。


ウィリアム J ジャクソン
地球プログラム長




 報道発表本文に戻る