報道発表資料概要

全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)
平成16年度冬期観察の実施及び夏期観察結果等について
本文



1.平成16年度冬期観察の実施

(1) 観察期間 平成17年1月1日(土)から1月14日(金)まで
(参加者は、この期間中に1日以上観察する)
 
(2) 観察方法 [1] 肉眼による観察
       高度の異なる天の川の3部分(ペルセウス座付近、ふたご座付近、いっかくじゅう座付近)を観察する。
[2] 双眼鏡による観察
       すばる(プレアデス星団)のラケット形の中の星について、何等級の星まで見えたかを観察する。
[3] 星空の写真撮影
       一眼レフカメラを使用し、天頂部分の夜空をリバーサルフィルム(スライド用フィルム)に撮影する。
 
(3) 参加方法 都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境行政担当部局へ参加申込みを行い、「平成16年度冬期全国星空観察実施の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気環境行政担当部局まで報告する。
 
(4) 定点観察 別途依頼している全国23地点の定点観察地においての観察。
一般参加団体による写真撮影の方法(上記の(2) [3])と同様の方法で行い、引き続き夜空の明るさを測定する。



2.平成16年度夏期観察の結果概要

(1) 観察期間 平成16年8月6日~8月19日 (1日以上観察)
(2) 参加団体・参加者数 全国から594団体の参加申込があったが、天候不順等の影響により466団体(456地点)が観察を実施した。観察の延べ参加者数は7,690人であった。(昨年度夏期は456団体、延べ7,044人が参加。)
 
図1 実施参加団体数の推移


(3) 観察結果
  [1] 肉眼による天の川の観察
     肉眼で「天の川」の高度の異なる部分(白鳥座付近[高々度]、たて座付近[中高度]、いて座付近[低高度])の見え方を観察した。
 
図2 肉眼による天の川観察
   星座の高度に応じて見え方に違いがあり、高度が低いほど「夜空が明るくて天の川が見えない」という回答の割合が高くなったことから、地上に近いほど人工光の影響を受けていることが確認できる。
 
[2] 双眼鏡による観察結果
   双眼鏡を用い、こと座の1等星(ベガ)を含む三角形付近の星を対象に観察し、「平均観察等級」(何等級の星まで見えたのかの平均)を都市規模別にまとめた。(下図参照)
 
図3 都市規模別平均観察等級の推移(夏期)
※星の等級について
 天体を地上で観測した時のみかけの明るさを表した数字。その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいう。等級は数字が1減るごとに約2.5倍明るくなる。図3においては、数字が大きいほどくらい星まで見えることになる。

 規模の大きな都市ほど明るい星しか見えず、星が見えにくいという結果となっている。
 
[3] カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
   全国23地点の定点観察地で、天頂付近の夜空のカラースライド写真撮影を実施した結果をまとめた。なお、「夜空の明るさ(mag/□”:マグニチュードパー平方秒角)」の値が大きいほどより暗い星が見えたことを表し、夜空が暗いことを示す。(下図参照)
  
図4 同一場所での夜空の明るさの推移(夏期)
  
   上図は、定点におけるスライド撮影による夜空の明るさ判定の結果を図化したものである。スライド撮影による明るさ判定は第3者が客観的に行うので、前記の肉眼や双眼鏡による観察と比べると観察者による差が出にくく、また、観察場所の移動がない分、経年的変動データとしての信頼度は高くなる。
 観察結果は、総じて、各都市とも横ばいとなっていることが見て取れる。
 なお、次に全国の定点観測の結果を示す。
 
  ※今回の観察より再開した一般参加団体による星空の写真撮影の実施結果については、スライドの測定・分析等に予定以上の時間を要していることから、次回以降に発表する予定である。


星空の写真撮影の結果(定点観測の結果)
星空の写真撮影の結果(定点観測の結果)



 報道発表概要に戻る