報道発表資料本文

(別紙2)

(仮訳)

APFED6/04/Doc. 7.rev4
2004年12月3日

アジア太平洋環境開発フォーラム
第六回実質会合
2004年12月2日、3日
日本国・東京



アジア太平洋環境開発フォーラム第六回実質会合(東京)における
APFED委員の共同声明


2004年12月3日
日本国・東京


われわれアジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)の委員は、2004年12月2日・3日、日本国東京にて開催されたAPFED第六回実質会合に際し、次の声明を行う。

グローバリゼーション、貧困、先進国と途上国との格差、環境破壊、そして自然資源の持続的でない利用という状況の中で、持続可能な開発を達成するためには、地球規模の挑戦が不可欠であることを認識し、

アジア太平洋地域は世界で最大の地域であり、最もダイナミックかつ多様な経済に牽引されており、膨大な人材と自然資源、貴重な文化、伝統的な社会価値を有している。したがって、世界の持続可能性を達成するにあたって、この地域が鍵を握っているということを強調し、

この地域の支配的な開発理念(パラダイム)をより持続可能なもの、すなわち、より民主的で、公正かつ平和であり、経済的には活発で、自然資源の利用を効率的に行うような理念へと転換していく必要があることを確認し、

APFEDの一連のプロセスに参加した個人および団体、すなわち、政府、国際機関、非政府組織、学界、民間セクター、専門家等、すべての主体に対し、アジア太平洋地域の持続可能な発展を推進していく広範な提言の検討にあたって多大な貢献を受けたことについて、謝意を表明しつつ、

下記の点について、全員一致で合意する。


  1. われわれは、APFED委員や専門家等による三年間の協働作業の結晶であるアジア太平洋環境開発フォーラム最終報告書に関する議論をここに終結し、原則として承認する。本最終報告書は、アジア太平洋地域において最近の社会経済および環境の変化をもたらしている基本的要因に関する包括的な解析に基づき、この地域における持続可能な開発の推進に向けた取り組みへの広範な指針を提供するものである。


  2. この地域は世界で最も人口の稠密な地域であり、経済的に最も活発で、自然的、社会・文化的多様性に最も富んだ地域である。確かに、この地域に持続可能な形の社会を建設するための課題は大変に困難なものではあるが、この地域の長所を十分に活用すれば、そのような課題を新たな機会の創出に転換していける。膨大な人口は適切に教育されれば持続的な開発を進める人材とすることができるし、強い経済は技術革新を推進する。また、自然的、社会的、文化的多様性は、持続的開発のための知識ベースを強化する。われわれがこのアジア太平洋地域の持続的将来として描いているイメージは、したがって、多くの人材の活性化によって誰もが参加できる社会であり、適切な技術革新の促進により経済的に活発かつ環境上健全となり、自然的、社会・文化的多様性を基礎に知的財産が豊かというものである。このためには、この地域の社会経済全体が、モノを中心とした開発パターンから、倫理を重視して人間の知識で稼ぐことを強調した開発パターンへとシフトしていく必要がある。環境に生かされているという自覚に裏打ちされた知恵が花開くのである。このような将来ビジョンと強い政治的な意思、柔軟な社会的パートナーシップが結合されれば、この地域が猛威を振るう貧困という惨状と制約を乗り越え、21世紀の世界のリーダーとして真の意味で持続可能な社会に向かって動き出すことも夢ではない。


  3. 世界には持続可能な開発の推進に関し無数の提言がなされている。しかし、APFEDの提言は、その構成がわかりやすく、また、内容が明確であるため、持続可能な社会を築くための真に有用なガイダンスとなろう。APFEDの提言は (i)持続可能な開発に向けた統合的アプローチのための提言、(ii) ステークホルダー間の連携強化のための提言、(iii)主要分野別の提言という三つのグループからなっている。第一のグループは主として部門横断的な問題に関するものであり、環境および自然資源管理に関する意思決定、実施、モニタリングの過程に環境要素を組み込んでいく上で不可欠なものである。第二のグループは、市民社会、民間企業、公共部門という三つの主体を、あらゆる人間活動を環境上健全なものとしてゆくための活動へと、いかにして取り込んでいくか、その方策に言及したものである。第三のグループは、淡水資源、海洋・沿岸資源、エネルギーと清浄な大気、土地利用管理、化学物質問題という五つのセクターにおいて、持続可能性に関するさまざまな原則を適用していくための提言を行ったものである。


  4. われわれはまた、APFED最終報告書に盛り込まれた提言を実施に移すための第一歩を提案するものとして、APFEDアクションプラットフォームをここに発表する。APFEDアクションプラットフォームは、次の三つのメカニズムから構成される。すなわち、マルチステークホルダーの相互対話チャンネル、持続可能な開発に関する知識イニシアティブ、そして、持続可能な開発のための革新的な取組のショーケースである。これらの三つのメカニズムは相互補完的なものであり、この三つが一体となることによって、本地域においてすでに実施され、効果をあげているような様々なイニシアティブをさらに育成し、強化していくものである。われわれはアクションプラットフォームが新しい開発パラダイムの実現に向けての第一歩となるものと確信する。


  5. われわれは、アクションプラットフォームが提示する枠組みに基づいてAPFED提言を実施していくにあたって、関心を共有するすべてのステークホルダーによる支持を呼びかける。中央政府、地方政府、国際機関、民間企業、市民社会組織、とりわけ女性、こどもと若者、少数民族やコミュニティ、草の根組織、非政府組織、消費者グループ、教育者、科学や技術の学会などのすべての主体は、本地域に持続可能な社会を実現するにあたって重要な役割を担うものである。われわれAPFED委員は、将来のAPFEDプロセスにも引き続き協力することを確約する。とりわけ、アジア太平洋地域内のできるだけ多くの場所で、アクションプラットフォームが提示する枠組みに従って、APFEDの提言が着実に実施されることを促進していきたい。 


  6. われわれは、政府、国際機関、民間企業、市民社会組織といったさまざまステークホルダーがAPFEDのフォローアップ活動に適切に参加するよう働きかけたり、革新を奨励するようなさまざまな取り組みとの間で調整機能を構築したり、また場合に応じて、必要な援助や協力の斡旋に努めたりすることにより、持続可能な発展の推進者としての役割を果たす決意である。



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