報道発表資料本文

(別紙)

危機にある世界のサンゴ礁の保全と再生に関する沖縄宣言


 サンゴ礁とこれに関係する生態系は、人類のかけがえのない財産である。これらは、地球でもっとも多様な生物群集と美しい水中景観を保持し、防波機能及び地域の人々への資源、漁業資源、観光資源を産み出す。しかしながら、サンゴ礁とこれに関係する生態系は、過剰な漁業、浚渫や埋立てなどの沿岸開発、陸源物質の流入によって破壊される危機にある。さらに、大気中のCO2濃度上昇による海表面温度上昇、炭酸イオン濃度減少、海面上昇は、相乗的にサンゴ礁にストレスを与え、深刻なサンゴ礁の白化や大規模なサンゴの死滅をもたらす。局所的、地域的、地球規模の環境ストレスによるサンゴ礁の劣化は、少なくともサンゴ礁の健全度と機能、価値を損ない、最悪の場合、この人類の貴重な財産の喪失につながる。
 我々、第10回国際サンゴ礁シンポジウム(2004年6月28日~7月2日、沖縄、日本)参加者は、世界中でサンゴ礁の劣化がすでに危機的な段階に達していると認識している。我々は、これ以上のサンゴ礁の破壊を避け、これ以上のサンゴ礁の死滅を防ぐために今以上の努力が必要であることを強く訴える。サンゴ礁の保全と再生は、遅滞無く、各国が個別に、そして緊密な国際的連携のもと進めて行く必要がある。そのためには、科学的研究と綿密なモニタリング、管理ツールの開発を実施し、サンゴ礁の保全と持続的な利用のための適切な対策を講じることを提言する。加えて、既に劣化してしまっているサンゴ礁に対しては、科学的根拠に基づいた再生対策を講じなければならない。
 温室効果ガスを削減することにより、人為的な気候変動を抑制すると同時に、土地利用の変化や汚染による水質の悪化、漁業資源の大量採取などの直接的な脅威も減らすという両方向からの戦略をとらなければならない。この目的を達成するために次の4つの鍵となる戦略を提案する。1)持続的なサンゴ礁漁業を達成すること、2)サンゴ礁において、効果的な海洋保護区を増やすこと、3)土地利用の変化による影響を改善すること、4)サンゴ礁再生の新たな技術を開発すること。こうした取組は、自然科学者だけでなく、社会科学者、管理者、政策策定者、NGO、市民の参加と連携のもとに進め維持しなければならない。これらの任務は、最大の研究者組織である国際サンゴ礁学会(ISRS)や国際的に管理を主導する国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)、主要な国際機関(UNESCO、UNEP、IUCN等)、NGOの国際的な協力により強化していかなければならない。
 我々、第10回国際サンゴ礁シンポジウム参加者は、団結して、サンゴ礁に関わるすべての研究者、管理者、利用者、サンゴ礁を愛する全ての人に対し、上述した任務を達成することを訴え、関連する国際機関、各国政府、NGOに対し、この目的達成に向けた共通の理解と手段を見出すことを強く求める。



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