報道発表資料本文


 

 【環境省見解】

神戸空港の空港島埋立事業に係る工事中の環境影響検討調査報告書に対する環境省の見解について


 平成11年6月、環境庁長官(当時)は、神戸空港の空港島埋立事業に係る公有水面埋立免許の認可に当たって、工事中及び埋立地供用後における環境影響等の検討結果のレビュー等を求める意見を運輸大臣(当時)に提出した。
 今般、工事に関するレビューとして、事業者が、埋立工事開始から空港島の護岸概成後の平成15年3月までの空港島埋立事業が環境へ与える影響を把握・検討し、評価することを目的に、空港島埋立事業に係る工事中の環境影響検討調査報告書をとりまとめ、本年5月18日付で貴市から報告があったところである。
 環境省は、本レビュー結果について、下記のとおり見解を述べるので、神戸空港整備事業の今後の工事及びその後の供用において、事業者等と連携を図りつつ、特段の配慮をお願いしたい。

  1. 埋立工事に係る水質(濁り)の調査結果及び評価について
     当該事業の環境影響評価書では、「護岸工及び埋立工により発生する濁り物質については、いずれも工事最盛期で2mg/lを超える濁り物質の増加は、施工区域周辺に限られる」と予測している。本レビューにおいては、工事着工前の濁りの測定の平均値に標準偏差の2倍及び2mg/lを加えた値を基準として評価しているが、工事による濁り物質の増加についての予測結果の検証が十分に行われているとは言い難い。
     このため、空港島建設工事の影響を受けない調査地点を設定して環境監視点と比較する調査方法を併用すること等により、埋立工事による濁りの影響を的確に把握する方法をとる必要がある。これにより、工事の濁りによる影響が確認される場合には、必要な措置を講じる必要がある。
     
  2. 底質調査の実施について
     潮流に係る調査結果では、空港島東側及び西側の空港島近傍の調査地点において、潮流の流速が減少していることが確認されている。
     空港島近傍での流速の変化により、底質に栄養塩類や有機物の集積等の影響が生じることが考えられるため、空港島周辺において、適切に底質の調査を実施する必要がある。
     
  3. 埋立地供用後のレビューについて
     今後、環境監視結果を踏まえ、評価書で示された埋立地の存在、空港施設の存在、空港施設の稼働等に伴う環境影響に係る予測結果についてレビューを行うこととなるが、その際は、埋立地の存在に伴う潮流への影響、並びに埋立地の存在及び空港施設の稼働に伴う空港島周辺海域における水質、底質、海域生物等への影響について、それらの相互の関連も勘案し、再評価する必要がある。




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