報道発表資料本文


 

 【環境省見解】

「中部国際空港建設事業及び空港島地域開発用地埋立造成事業並びに空港対岸部埋立造成事業に伴う工事中の海域環境影響検討調 査報告(第2回)」に対する環境省の見解について


 環境庁長官(当時)は、中部国際空港建設事業等に係る公有水面埋立法に基づく認可に際して、環境保全の観点から、平成12年6月23日付で、運輸大臣(当時)及び建設大臣(当時)に対して、水質保全、自然環境保全等の対策とともに、工事途中における環境影響等の検討結果のレビュー等を求める意見を申し上げた。
 平成13年度には、中部国際空港株式会社及び愛知県企業庁(以下、「事業者」という。)が、レビューの一環として、事業実施による周辺海域への影響を早期に確認するため、平成12年12月までの水質、底質等の監視結果等を基に、環境影響検討調査報告書を取りまとめ、平成13年6月7日付で、免許権者である愛知県知事より環境省に対し報告があり、7月25日付で環境省の見解を提出した。
 今般、埋立造成工事が概成し、汚濁防止膜がほぼ撤去された段階における工事中の環境影響についての監視の検討結果等に基づき、第2回レビューとして標記報告書が取りまとめられ、平成16年3月19日付で貴職から報告があったところである。
 環境省は、標記報告書の結果について、下記のとおり見解を述べるので、中部国際空港建設事業等の今後の工事及びその後の供用において、関係機関との連携を図りつつ、特段の配慮をお願いしたい。

  1. 建設工事に伴う濁りによる影響について
     本件環境影響評価書では、空港対岸部の埋立工事最盛期における濁り(ΔSS)が1mg/lを超える範囲は事業予定地近傍に限られると予測された。しかし、濁りに係る環境監視では、当該事業予定地からかなり離れた監視点のSK1、SK2において航路浚渫工事が要因と考えられる2mg/l以上の濁りが観測されている。
     今後、工事の実施により生じる濁水等による水質、底質、海域生物等への影響について、引き続き監視を行い注意を払う必要がある。
     
  2. 空港島等の存在による海域環境への影響について
     空港南側海域の小鈴谷沖局監視点の流速は、近傍の調査点(旧MT局)の着工前の観測値に比べ、遅い傾向が見られることから、今後、栄養塩や有機物の集積による同海域の底質の変化に注意を払う必要がある。
     また、空港島等周辺の底質の調査結果では、TS2、TS6監視点の全硫化物値が、環境監視の開始時から継続して高い値で推移しており、TS4監視点においても、夏季に全硫化物値が高くなる傾向がみられることから、今後、底層の嫌気化に注意して、監視を行い、底質が悪化する場合には、必要に応じて対策を講じる必要がある。
     
  3. 海域生物への影響について
     海域生物に係る環境監視結果では、海域生物の生息環境には着工前後で顕著な変化はみられず、着工前後の海域生物の出現状況にも顕著な変化がみられていないことから、空港島等周辺の海域生物の変化については、顕著な影響はみられないとしている。
     しかしながら、一部の監視点において、上記2.のような物理的、化学的な海域環境の変化がみられること、さらに空港島等周辺の底生生物等の海域生物の個体数等に調査年によって変動があること、藻場面積については年による変化が大きいこと等から、空港島等の存在に伴う海水の流れへの影響、空港島等及び施設の存在並びに空港施設の供用に伴う水質、底質、海域生物等の相互に関連する環境影響等について、必要に応じ専門家等の指導を得て、引き続き監視を行い、注意を払う必要がある。
     
  4. 水質、底質、汀線、海域生物等に関する監視結果とその評価の公表について
     環境監視結果については、引き続き年度ごとに評価を行い、その結果、事業による環境影響が認められる場合には、適切な措置を講ずることとされているが、監視結果については、引き続き実施の都度、速やかに公表を行い、迅速な情報の提供に努める必要がある。




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