報道発表資料概要

全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)
平成15年度夏期観察の実施及び平成14年度冬期観察の結果について
本文



1 平成15年度夏期観察の実施

(1) 観察期間 平成15年7月19日(土)から8月1日(金)まで
(参加者は、この期間中に1日以上観察する)
 
(2) 観察方法 別紙「星空観察ノート」、「全国星空継続観察」、「8月星図」参照
 
(3) 参加方法 都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境行政担当部局へ参加申込みを行い、「観察の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気環境行政担当部局まで報告する。
 
(4) 定点観察 別途依頼している全国23地点の定点観察地において、1等星ベガを中心とする夜空のカラースライド写真撮影を実施する。



2 平成14年度冬期観察の結果概要

(1) 観察期間 平成15年1月21日~2月3日の観察期間に実施した。
(2) 参加団体・参加者数 全国から511団体の参加申込があったが、天候不順等の影響により344団体(351地点)が観察を実施した。観察の延べ参加者数は3,843人であった。(昨年度冬期は388団体、延べ4,478人が参加。)
 
グラフ1 参加者数


(3) 観察結果
  [1] 肉眼による天の川の観察
     肉眼で「天の川」の高度の異なる部分(ペルセウス座付近[高々度]、ふたご座付近[中高度]、いっかくじゅう座付近[低高度])の見え方を観察した。
 
グラフ2 観察対象別に見た「天の川観察」の結果


  星座の高度に応じて見え方に違いがあり、高度が低いほど「夜空が明るくて天の川が見えない」という回答の割合が高くなったことから、地上に近いほど人工光の影響を受けていることが確認できる。

 
   [2] 双眼鏡による観察結果
   双眼鏡を用い、冬の代表的な星座である「すばる(プレアデス星団)」の中の定められた区域の星を対象に観察し、「平均観察等級」(何等級の星まで見えたのかの平均)を都市規模別にまとめた。(下図参照)
 
グラフ3 都市別に見た「平均観察等級」の推移(冬期)


    ※  巨大都市 人口100万人以上
 大都市   人口30万人~百万人未満
 中都市   人口10万人~30万人未満
 小都市   人口10万人未満
 
 
 規模の大きな都市ほど明るい星しか見えず、星が見えにくいという結果となっている。星が見えにくい傾向は、中都市を除いてますます強くなってきており、小都市が最も顕著である。
 
  
   [3] カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
   全国23地点の定点観察地で、アルデバラン星を中心とする夜空のカラースライド写真撮影を実施した結果をまとめた。なお、「夜空の明るさ」の値が大きいほど夜空が暗いことを示す。(下図参照)
  
グラフ4 同一場所での夜空の明るさの推移(冬期)
  
    ※  図中の直線は、全体の傾向を読みとる上で便宜上引いたものであり、一つの目安として御覧頂きたい。
 
   上図は、定点におけるスライド撮影による夜空の明るさ判定の結果を図化したものである。スライド撮影による明るさ判定は第3者が客観的に行うので、前記の肉眼や双眼鏡による観察と比べると観察者による差が出にくく、また、観察場所の移動がない分、経年的変動データとしての信頼度は高くなる。
観察結果は、総じて、各都市とも横ばい若しくは右下がり(夜空の明るさの増加)となっていることが見て取れる。都市による経年変化の相違については、今後の調査に負うところが大きい。
なお、次ページに全国の定点観測の結果を示す。




アルデバランを中心とする夜空の写真撮影の結果[PDFファイル 28KB]




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