報道発表資料本文


別紙 環境大臣会合
         APEC持続可能な開発に係る環境大臣会合
                <共同声明>
            1997年6月9日―11日
                 トロント

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|国境を越え、我々は持続可能な開発のための共通のヴィジョンを構築した。行動の|
|時は今である。我々は、あなた方が我々の将来を作るのを支援したい。     |
|                  − APEC青年会議(1997年6月)|
|…21世紀の持続可能な都市は、政府、ボランタリー・セクターそして民間企業の|
|間のパートナーシップの上に築かれるべきである。              |
|   − APECビジネスリーダー・地方自治体フォーラム(1997年6月)|
└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――┘

 我々、APECの環境及び持続可能な開発担当大臣は、人類の繁栄と健全な環境を
実現するための根本的な目的として、持続可能な開発を決意するものである。
特に、我々は、APEC首脳からの持続可能な開発のための作業計画の要請を受け、
本地域の都市をより持続可能にするための決意を強調し、我々の行動計画を首脳に提
示し、政府の全てのレベル、民間、地方自治体や個々人の参加により、持続可能な開
発の原則を実行に移し、目に見える結果を出すために努力し、かつAPECの全ての
活動と意志決定への持続可能な開発の考え方の統合を改善し、そしてAPECエコノ
ミーが各国内の優先順位や状況を考慮しつつ、地域的、地球的なコミットメントを実
現するための役割を果たさねばならないことに合意した。
政府は必ずしも全ての答を持っていない。バランスのとれた政策作成と成果を確保す
るため、政府はより広い範囲のパートナーと協力しなければならない。
青年達からは、エンパワーメント及びAPECへの参画と承認された役割が求められ
た。
我々はまた持続可能な開発への方策を実現するために我々を支援するという意志と熱
意を聞いた。我々は、本地域の将来のリーダー達の想像力とエネルギーを引き出すこ
とを約束した。
民間セクターと地方自治体からは、協力のための機会と分野についての発言があっ
た。我々は、持続可能な開発を実現するためには民間セクターと地方自治体の能力が
必要であることを認識した。
他のAPECのフォーラムは、彼らの活動における環境にかかる要素を強調する強い
決意を表明した。APECにおける持続可能な開発は、人々と環境にやさしくする必
要性を強調した多面的アプローチが求められる。そのため、我々は、11月の首脳会
合のために、他のAPEC閣僚会合に参加する同僚に我々の討議の結果を提示するも
のである。

持続可能な都市:
APEC地域における持続可能な開発は、根本的に都市の持続可能性にリンクしてい
る。域内で都市に居住する人間の割合が2015年までの間に20%増加することか
ら、都市活動の環境影響に対処することは全ての生活質と福祉のための主要な目標で
ある。よって、都市計画と開発の全ての様相は、人間を中心におき環境保護と社会経
済的検討を考慮に入れたものでなければならない。都市部の貧困層への取組の必要性
及び経済福祉の増進の観点から、特に汚染防止及び管理、環境の面で持続的なインフ
ラストラクチャーの開発に重点が置かれるべきである。
持続的成長の一方で都市環境の質を向上させるために、我々は、以下の手段を特定し
た持続可能な都市にかかる行動計画を実施している。
・ 知識のギャップの橋渡し
・ 投資の奨励
・ 官民セクターのアジェンダの統合
・ 特にコミュニティレベルにおけるステークホルダーの参加と彼らの想像力と知識の
導出
・ 人間福祉と生活質の強調
この観点から、我々は、2003年までに、ローカルアジェンダ21の実施都市を現
在の170から2倍にするよう他の機関と共同して活動をすることを約束する。
我々はまた、メンバーの成功事例の大要を通じて持続的都市化のためのAPECの最
良の実施例を分け合うことを継続する。

海洋環境の持続可能性:
海洋環境の健全性は域内の人々の経済社会的福祉のために必要不可欠である。我々の
海洋はAPECメンバーと、また世界とつながっている。我々は、この共同的資源を
保護する活動を実施することを約束する。また、APEC域内の清浄な海洋に向けて
劇的な進歩を遂げるよう、約束を遂行する。APECの活動は、1998年の国際海
洋年にも貢献しうる。
APECは、以下の3つの目的を達成するため、APEC内外の民間セクターや他の
フォーラムと協力して、ゴールと実行手段を確立した。
・沿岸域管理の統合的アプローチ
・海洋汚染の防止、減少及び抑制
・海洋資源の持続的管理
我々は、APEC域内の海洋環境の持続可能性戦略を5月に完成した海洋資源保全
WGを祝福する。我々はこの戦略を承認し、これをリーダーに提言する。

クリーナープロダクション:
アジア・太平洋地域の工業分野の新たな投資は、より持続可能な産業開発を達成する
柔軟な費用効果の高い環境管理技術を統合する機会を提供する。APECは中小企業
の必要性に特に配慮しつつ、好事例の同定・普及や技術普及のための協力アジェンダ
の作成によって、工業セクターのクリーナープロダクションを促進する。我々は、実
施のための重要分野として農業分野を同定し、本セクターにクリーナープロダクショ
ン戦略を適用するために関連フォーラムを招待する。APECは、制度的、専門的、
官民の協力を通じてクリーナープロダクションのための分野横断的政策と方法のより
広範な適用を促進するものである。
環境的に持続可能で経済的に効率的な技術、政策、実施の適用を促進するため、
APECは次のことを促進することに同意した。
・クリーナープロダクションを促進するツールの開発と利用
・科学、技術、調査ネットワークへの参画と拡大
・技術、政策情報を共有するための能力とメカニズムの開発
・工業環境実行指標の開発
・電子的な情報のより広範な普及
・技術移転の促進
・科学分野におけるデモンストレーションプロジェクトの促進

我々は、IST作業部会が4月にクリーナープロダクション戦略を完成したことを歓
迎する。我々は、全てのAPECメンバー・エコノミーにおいて環境的に大きな前進
を実現するためには、これからの2年間で本戦略を成功裏に実施することが今の課題
であることをバンクーバーの首脳会議に報告する。

環境的に持続可能な成長に向けて:
我々は、APEC内の多くの持続可能な開発イニシャティブを連携・統合するための
調整を強化することを求める。これは関連するAPECフォーラム間の連携と、管理
コストの増加を最小限に抑え、効果と効率性を最大化しつつ、既存の機構の上に構築
されるべきである。我々は、閣僚に対し、こうした協力をさらに進めるための適当な
手法を開発すべく、他のフォーラムと協力して作業を行うことを指示する。
我々は、今年1997年は地球規模の持続可能な開発の進展のための重要な年である
ことを認識する。地球環境に関する約束事項の実施におけるAPECメンバーが果た
すべき責任を認識し、今月末にニューヨークで開催される国連環境開発特別総会の成
功を強く支援することを強調する。我々は、特別総会が、1992年のリオ地球サ
ミットで合意された約束事項を再確認し、持続可能な開発という共通の目的により近
づくための有効な作業計画を策定することを求める。
我々は、気候変動がAPEC地域内に与える影響を認識し、このため、今年12月に
京都で開催される気候変動枠組条約第3回締約国会議の重要性を強調する。全ての
APECメンバーが気候変動の影響に対し意味のある取組を進めることに合意する。
我々は我々の首脳が、COP3の成功及び気候変動枠組条約の目標の達成を支持する
強力なメッセージを出すよう勧める。
我々は、意味ある進捗を確実にするためのレビューを行い、APECにおける更なる
協力のために再開することに合意した。





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