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環境大臣意見本文


  1. 道路交通騒音等に対する配慮
     本評価書においては、事業実施区域の土地利用計画について記載されているが、騒音、振動の環境影響が可能な限り低減されるよう、具体的な環境保全上の配慮が必要であることから、以下の措置を講じる必要がある。
    (1)  事業実施区域が一般国道3号、九州旅客鉄道鹿児島本線に隣接していることから、住居用地に道路交通等の騒音、振動の環境影響が生じないよう、遮音壁の設置、緑地帯の設置等について検討し、必要な措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
    (2)  事業実施区域内には、松原上西郷線等の5本の都市計画道路が整備されることとなるが、これらの沿道において、住宅等への道路交通騒音、振動の環境影響が生じないよう、対策を検討し、必要な措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
      
  2. 学校、病院等に対する工事中の騒音等に対する配慮
    (1)  事業実施区域内には、学校、病院、住宅が既に存在しているが、工事中の建設機械の稼働に伴う騒音、振動、粉じんの環境影響が可能な限り低減されるよう、それらについて監視するとともに、学校や病院関係者等と協議を行い、環境保全措置を検討し、必要な措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
    (2)  (1)の環境保全措置の検討にあたっては、騒音等の影響を低減するため、現在想定している低騒音型建設機械の採用等に加え、必要に応じてその他の措置についても検討を行うこと。
      
  3. 工事中の騒音等の監視
    (1)  事業実施区域周辺には住宅等が存在すること、道路交通騒音が環境基準を超過している地域があること等から、工事中において、建設機械の稼働及び工事用車両の通行に伴う騒音、振動、粉じんについて監視を行い、必要に応じ対策を実施すること。
    (2)  工事中の沈砂池等からの濁水については、日常的な降雨時を対象として、予測・評価しているが、これを上回る降雨に対しても、濁水が河川に及ぼす影響を低減させることが必要であるため、放流水の濁りの状況について監視を行い、必要に応じて対策を実施すること。
    (3)  事業実施区域内及びその周辺で地下水が利用されていることから、工事中において地下水位のモニタリングを実施すること。
    (4)  盛土に使用される土砂については、土壌汚染に関する土取場の地歴等の調査を実施すること。
    (5)  上記(1)〜(4)について、その旨を評価書に記載すること。
      
  4. 動植物に対する配慮
    (1)  本事業の実施により、事業実施区域内で確認されたメダカの生息地が消失することとなり、環境保全措置としてメダカを移動しようとしているが、当該措置を講じることにより、メダカの生息環境の確保が可能であるとする根拠について評価書に記載すること。
     新たな生息地の整備及びメダカの移動にあたっては、予め専門家等の指導・助言を得るとともに、移動後の事後調査を実施すること。また、その旨を評価書に記載すること。
    (2)  イタチ等の動物については、既存の河川を利用して移動経路を確保しようとしているが、工事着手前に、専門家等の指導・助言を得て、可能な限り移動経路が確保されるよう検討を行うこと。また、その旨を評価書に記載すること。
    (3)  工事中に新たに希少な野生動植物が確認された場合は、専門家等の指導・助言を得、現地調査を実施した上で、これらの生息、生育環境に対する影響が最小限となるよう、適切な措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
      
  5. 景観に対する配慮
     駅前広場からの景観については、福岡県知事等から修景の方針を求める意見が出されたことから、配慮すべき修景の方針について、評価書に記載すること。
       
  6. その他
     評価書の縦覧にあたっては、一般に対し分かりやすく記載されていることが重要である。このため、以下の事項について措置を講ずる等、評価書が分かりやすいものとなるよう改めること。
    (1)  事業の地下水への影響及び地盤沈下については、既に実施した調査の結果等及び環境影響の程度について評価書に記載すること。
    (2)  工事中の濁水の予測結果の評価について、異なる降雨条件下にあることを明示していないことから、同じ条件下で比較しているとの誤解を生じる恐れがあるので、比較の対象が明確になるよう評価書の記載を改めること。
    (3)  工事中の粉じんの予測については、事業実施区域近郊における現況と比較し、評価書に記載すること。
    (4)  騒音、振動、粉じんの予測において、土砂掘削を対象とすると記載されているが、本事業の造成工事では切土工事以外に盛土工事も想定されていることから、土砂盛土の工事についての考え方についてもあわせて記載すること。