環境測定分析統一精度管理調査に関する平成13年度調査結果の取りまとめと平成14年度調査の実施について
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  1. 環境測定分析統一精度管理調査とは

     環境省が昭和50年度から行っている調査であり、環境測定分析に従事する諸機関が、指定された方法等により均一に調製された環境試料を分析し、それにより得られた結果を解析、検討することにより、環境測定分析の信頼性の確保及び精度の向上等を図るものである。なお、本調査の趣旨は上記のとおりであり、各分析機関から提出された測定データをもとに、各分析機関の評価、格付け等を行うための調査ではない。
     平成13年度においては、COD等(COD、全窒素及び全燐の3項目)を調査項目とした模擬水質試料1、環境ホルモン類(フタル酸ジ-n-ブチル、ノニルフェノールの2項目)及び揮発性物質(エチルベンゼン、塩化アリル及び塩化ビニルの3項目)を調査項目とした模擬水質試料2並びにダイオキシン類(ダイオキシン類及びコプラナーPCB)を調査項目としたばいじん試料を対象として精度管理調査を行った。その後、地方公共団体と民間の分析機関から得られた回答結果について、平成14年度環境測定分析検討会(環境管理局長が開催、以下「検討会」という)等(参考1参照)において解析・検討し、その結果を取りまとめた。

    環境測定分析統一精度管理調査の実施イメージ

  2. 平成13年度の調査結果について(概要)

     対象試料の分析は、各分析機関に対して指定した方法(注1)により行った。
     参加申込機関は、地方公共団体及び民間の分析機関を併せて模擬水質試料1(COD等)が545機関、模擬水質試料2(環境ホルモン類、揮発性物質)が235機関、ばいじん試料(ダイオキシン類及びコプラナーPCB)が165機関あり、このうち回答のあった機関は各々522機関、180機関、153機関であった(表1)。
     まず、COD等(3項目)、環境ホルモン類(2項目)、揮発性物質(3項目)及びダイオキシン類(TEQ)の代表的なヒストグラムを図1〜4に示す。また、異常値(はずれ値)等を棄却(注2)後、基本的な統計量(平均値、室間精度(CV:注3))、最小値、最大値及び中央値を算出した(表2〜4)。ダイオキシン類の毒性当量(TEQ:注4)については過去の結果との比較を示す(表5)。
     平成13年度からは、試行的に統計処理手法を導入した高度解析を全窒素、ノニルフェノール及びダイオキシン類について実施した。高度解析の結果は、「平成13年度環境測定分析統一精度管理調査結果」に記載している。
     各試料についての結果概要を示す。
    (1) 模擬水質試料1(COD、全窒素及び全隣)
     異常値等により棄却される回答は、全項目ともに数%であった。また、全項目ともに棄却後のCVは10%以下であり、左右対称のヒストグラムを示し、他の対象項目と比較して特に良好な結果であった。全窒素については、棄却後の平均値が調製濃度(設定値)と比較してやや高い値となった。この原因の一つは汚染(ブランク)によるものと考えられる。
    (2) 模擬水質試料2(環境ホルモン類及び揮発性物質)
     環境ホルモン類の2項目については、異常値等により棄却される回答は数%〜10%程度であった。フタル酸ジ-n-ブチル、ノニルフェノールの棄却後のCVは20%程度であり、ほぼ左右対称なヒストグラムを示し良好な結果であった。フタル酸ジ-n-ブチルについては、空試験値の低減が重要であり、マニュアルに指定されている抽出方法及び抽出濃縮比等に従い分析操作を行った場合に良好な結果が得られた。
     揮発性物質の3項目については、異常値等により棄却される回答数は、数%または0%であった。棄却後のCVについては、30%程度〜40%近くであり、他の対象項目と比較してばらつきは大きかった。塩化アリルと塩化ビニルについては、標準原液を自家調製した場合と購入している場合との間で、平均値等に有意な差が認められた。
    (3) ばいじん試料(ダイオキシン類及びコプラナーPCB)
       異常値等により棄却される回答数は、ダイオキシン類異性体、同族体、コプラナーPCB異性体及びTEQの中で1,2,3,7,8,9-HxCDFのダイオキシン類異性体を除き、数%であった。棄却後のCVについても、ダイオキシン類異性体の1,2,3,7,8,9-HxCDFを除き、ダイオキシン類異性体、同族体、コプラナーPCB異性体及びTEQですべて10%程度〜20%程度であり、ほぼ左右対称なヒストグラムを示し良好な結果であった。過去の結果との比較においても、TEQのCVについては良好な結果であった。コプラナーPCBは異常値等となった異性体が多様であり、その数も多い。主な原因としてはクロマトグラムのピークの同定の間違いが考えられる。
     
     
    (注1)分析方法
     [1] COD等(COD、全窒素及び全隣)
     「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46年環境庁告示第59号)に定める方法等
    [2] 環境ホルモン類(フタル酸ジ-n-ブチル及びノニルフェノール)
     「外因性内分泌攪乱化学物質調査暫定マニュアル(水質、底質、水生生物)」(平成10年環境庁水質保全局水質管理課)に定める方法等
    [3] 揮発性物質(エチルベンゼン、塩化アリル及び塩化ビニル)
     「要調査項目等調査マニュアル(水質、底質、水生生物)」(平成11年3月環境庁水質保全局水質管理課)に定める方法等
    [4] ダイオキシン類(ダイオキシン類及びコプラナーPCB)
       「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号別表第1)に定める方法等
     
    (注2)異常値(はずれ値)等の棄却
       両試料の結果とも、分析結果については次のように異常値を棄却した。((イ)を除いた後、(ロ)を除き、あわせて「異常値等」とした)
      (イ) 「ND」、「○○以下」又は「0」で示されているもの
    (ロ) Grubbsの方法により、両側確率5%で棄却されるもの
      数値的な異常値(はずれ値)の検定方法であり、JIS K 8402及びISO 5725に規定 されている一般的な方法である。
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    (注3)室間精度(CV)
       同一試料の測定において、試験室が異なっている測定値の精度をいう。精度は、測定値のばらつきの程度であり、通常は標準偏差(SD)及び変動係数(相対標準偏差、CV)で表す。なお、過去の調査事例等を考慮し、室間精度(CV)が20%台までの場合は「良好な結果」であると考えられる。
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    (注4)毒性当量(TEQ)
       ダイオキシン類等の量をダイオキシン類の中で最強の毒性を有する2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(2,3,7,8-TeCDD)の量に換算した量として表していることを示す記号。
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  3. 平成14年度の調査の実施について
     
     平成14年度の調査に関しては、平成14年度環境測定分析検討会における検討を踏まえ、別紙2のとおり調査を実施することとする。
     なお、昨年度から、独立行政法人、大学等の参加も可能としている。(参加申し込みについては下記参照)

     <公募期間>
      本日から8月30日(金)(当日必着)まで

     <参加申込みに関する問い合わせ>
      〒210-0828 川崎市川崎区四谷上町10−6
      財団法人 日本環境衛生センター環境科学部(担当:西尾、加藤)
      Tel:044-288-5132
     
     
  4. 平成13年度環境測定分析統一精度管理調査結果説明会の開催について
     
     平成13年度に実施したCOD等、環境ホルモン類、揮発性物質及びダイオキシン類に関する調査結果の説明会を札幌、東京、大阪の3都市で9月中旬以降に開催する。希望者は本日から募集する。(説明会の詳細、問い合わせは下記参照)
     なお、会場の都合等から、平成13年度環境測定分析統一精度管理調査に参加した機関を優先することをあらかじめ御了承願いたい。
    <開催予定、スケジュール>
     9月18日(水)  札幌
    9月27日(金)  東京
     10月 7日(月)  大阪
      
     <議事予定>
      午前 ダイオキシン類
    午後 COD等、環境ホルモン類及び揮発性物質
     
     
    <募集期間>
     本日から8月30日(金)(当日必着)まで

    <参加申込み等に関する問い合わせ>
     〒210-0828 川崎市川崎区四谷上町10−6
     財団法人 日本環境衛生センター環境科学部(担当:西尾、加藤)
     Tel:044-288-5132



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