現地プレスリリース資料


CRITICAL ECOSYSTEM PARTNERSHIP FUND

生物多様性ホットスポットの保全のための基金への日本政府の参加について
世界で最も危機に瀕する動植物種の保護に支援


2002年6月6日バリ − 日本政府は、本日、クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)への参加を表明し、民間団体が行う自然保護活動への支援としてはこれまでで最も重要な支援を発表した。同基金は地球上で最も危機に瀕しており、かつ生物多様性が最も豊かな地域を保全する取り組みである。

同基金への参加表明の中で、日本政府は健やかな環境を保全することへの強い意思を確認した。

大木浩環境大臣は、「生物多様性保全は、今日、世界が直面する最大の課題の一つである。CEPFの取り組みは、発展途上国の人々が健全な環境のためのプロジェクトをつくり、実施し、同時に経済的にも発展することを可能にするものです。このアプローチこそが、日本政府が同基金の重点的な取り組みへの参加を決定するに至った理由である。」と述べた。

CEPFは、コンサベーション・インターナショナル、地球環境ファシリティー、ジョン・D・キャサリン・T・マッカーサー財団、世界銀行、そして日本政府による共同基金で、生物多様性ホットスポットの保全のために、5年間に少なくとも1.5億米ドルの支援を行うことを目指している。ホットスポットとは、地球の陸面積の1.4%にあたる場所に陸域生物種の60%以上が集中して生息するという、極めて生物多様性が高い生態系であるにもかかわらず、著しくその生態系が破壊の危機に瀕している地域をさす。

これまで、CEPFのパートナーは、それぞれが年間5百万ドルを5年間支援することを約束しており、資金的支援、技術的な専門性、現場の知識を、発展途上国の生物多様性保全のために現地で活動する、非政府団体(NGO),コミュニティ・グループ、民間セクターに提供する。

「生物多様性ホットスポットは、緊急状態にあり、今がその保全の最後のチャンスといえる。生物多様性保全に現地の人々の参加を得ることにより、未来世代のために環境保全を成功させる最高の機会だと確信している。」CEPFの事務局長兼コンサベーション・インターナショナル上級副理事で、同基金の管理責任者であるヨルゲン・トムセン氏は述べた。

同基金のパートナーは、自然保護と経済発展が深く関わりあっていることを共通のビジョンとして、このほどインドネシアのバリで開かれている「持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)」の最終準備会合の機会に、日本政府の同基金への参加表明を発表した。バリ準備会合には、政府、市民社会組織、企業などの代表が3,700以上が参加した。WSSDはヨハネスブルグにおいて今年8月26日から9日4日まで開催される。

「人間の健康と長期的な繁栄は、この地球で共存し地球生命体を共に形成する他の生物種や生態系のそれと、切り離して考えることはできない。われわれは、生物多様性が重要な問題であるということを示す生きた証しである。CEPFは世界の目が、われわれにとって最も危機に瀕しながら最も生物的に豊かな場所、例えばスマトラに、向けられるよう協力を行う。」地球環境ファシリティーの議長兼CEOであるモハメド・T・エル・アシュレイ氏は述べた。

インドネシアのスマトラ島は、世界で最も緊急な自然保護が必要な優先地域の一つとして挙げられているが、CEPFが今年支出を決定した5千810万米ドルの支援のうち、最大にあたる1千万米ドルの無償支援が行われることになっている。1万種を超える植物が低地熱帯雨林に生息するスマトラ島は、スンダランド・ホットポットの一部を形成し、ゾウ、サイ、トラ、ヒョウ、オラウータンが一緒に生息する、世界でも唯一の場所である。

CEPFがすでに支援を実施中の他の8つのホットスポット地域は、ブラジルの大西洋沿岸森林、南アフリカのケープ・フロリスティック地域、コロンビア・エクアドル国境のチョコ・ダリエン地域、西アフリカのギニア原生林地域、マダガスカル、中央アメリカ、フィリピン、熱帯アンデスである。

支援は、ほとんどが中小規模の無償支援で、これらのホットスポットで生物多様性の保全に向けて取り組むNGOや大学、現地コミュニティを含む、現地で活動する草の根グループに向けられる。

「生活のために自然資源に頼る現地の人々こそが、このイニシアティブの真の受益者である。」と、世界銀行副総裁イアン・ジョンソン氏は語り、スマトラの低地熱帯雨林がもし森林破壊のスピードがゆるまなければ2005年には失われてしまうことにふれ、「私たちは早急に行動しなければならない。」と、警告した。

政府の全国調査によると、インドネシアは2千万ヘクタールの森林を1985年から1997年の間に失ったとしている。それ以降も、CIを始め他の専門家はさらに5百万ヘクタールあるいはそれ以上が失われたと推測している。

同基金の2000年の設立以来、CEPFのドナーカウンシル(理事会)は、アジア、アフリカ、中南米地域に、6千9百万米ドル以上の無償支援を承認した。


連絡先
奥田 直久 環境省自然環境局自然環境計画課 携帯電話l: 65-9017-5540 in Bali
Amalia Firman, CI-Indonesia, cell: 62-0816-1995611 in Bali
Sergio Jellinek, The World Bank, cell 62-0812-8570383 in Bali
Hutton Archer, GEF, cell 62-36-177-1234 in Bali
  Ray Boyer, The MacArthur Foundation, 1-312-726-8000 in New York




クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)について:発展途上国の地球上で最も生物的に豊かであるにもかかわらず破壊の危機に瀕する地域の保全を、大幅に進めることを目的に、5年間に1.5億米ドルの支援を行うことを目指し設立された。市民社会、たとえばコミュニティ・グループや非政府団体(NGO)、民間企業、などが生物多様性保全に参加するようになることを目標としている。(www.cepf.net)

コンサベーション・インターナショナル(CI)について:生物多様性保全においての世界的なリーダーとして、4大陸30カ国以上において、危機に瀕する生態系の保全のために活動している。将来世代が、精神的、文化的、経済的に繁栄するためには、地球の自然遺産が守られなければならいとの哲学のもと、地球の生きる遺産としての世界の生物多様性を保全し、人間の社会と自然と調和できることを示すことを使命として、活動を展開している。(www.conservation.org)

地球環境ファシリティー(GEF)について:171カ国の政府メンバーを擁し、共通の地球環境問題の解決のために、開発関係機関、学会、企業やNGOの活動を幅広く牽引している。GEFは、地球環境の危機的な課題に取り組むために、国際協力や国際金融のアクションをリードしている。(www.gefweb.org)

ジョン・D・キャサリン・T・ マッカーサー財団:民間の独立した助成財団として、人間社会に長続きする向上をもたらす努力を行う団体や個人を支援している。同財団は、健やかな個人や効果的なコミュニティ-たとえば、国内ならびに国家間の平和、出産に関する責任ある選択、健やかな人間社会を支えることができる地球生態系の開発を探求している。同財団による無償支援は、年間1千8百万米ドル以上にのぼる。(www.macfound.org)

世界銀行:世界最大の開発援助資金源として、その使命は、貧困と戦い長続きする効果を生むことや、人々の自助努力やその環境づくりを、資金提供、知識の共有、キャパシティーの構築、官民セクターパートナーシップの構築を通じて支援している。100ヶ国以上の発展途上国に支援を行う世界銀行は、1990年から2000年までの間に、環境プロジェクトにおよそ180億米ドルを投資した。(www.worldbank.org)


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