環境省総合環境政策環境基本計画第三次環境基本計画

第三次環境基本計画の進捗状況の第4回点検結果について

  第三次環境基本計画(平成18年4月7日閣議決定)の進捗状況の第4回点検結果に関する中央環境審議会の報告が、平成22年10月8日(金)に閣議報告されました。

1.第三次環境基本計画の進捗状況の第4回点検について

 第三次環境基本計画においては、中央環境審議会が、国民各界各層の意見も聴きながら、環境基本計画に基づく施策の進捗状況などを点検し、その後の政策の方向について政府に報告することとされています。
 今回の点検は、4回目の点検となります。去る10月1日、点検結果が中央環境審議会会長から環境大臣に報告され、環境省はこれを10月8日、閣議に報告しました。

2.中央環境審議会における第4回点検の進め方

○ 中央環境審議会総合政策部会において
をもとに、点検が行われました。
○ 点検にあたっては、効率的に実施するため、環境基本計画に記載された10の重点分野政策プログラムから、重点的に点検を行う分野(重点点検分野)として、5つの重点分野政策プログラムを選定しました。(下表参照)
○ さらに、各重点点検分野では、特に焦点を当てて審議を行う重点調査事項を設定しました。今回の点検では、平成20年の第2回点検において設定した各重点点検分野の重点調査事項について、その後のフォローアップを行うとともに、必要に応じて、重点点検分野ごとに新規の重点調査事項を設けて、点検を行っています。
重点分野政策プログラム名 H19 H20 H21 H22
地球温暖化問題に対する取組
物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組
都市における良好な大気環境の確保に関する取組
環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
化学物質の環境リスクの低減に向けた取組
生物多様性の保全のための取組
市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり
環境保全の人づくり・地域づくりの推進
長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法等の基盤の整備
国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進

3.点検報告書の概要

(1)全般的評価

(総括)
  • 各分野における環境施策の基本的枠組みの充実や施策の重点化は進められてきたが、今後、国レベルのみならず地域や地球レベルでの施策を戦略的に展開すべき。
  • 国、地方公共団体等の行政主体は、目標達成のために必要かつ十分な具体的施策を、目標達成に向けた工程とともに立案し、着実に推進すべき。
(各主体の状況)
  • 環境の状況について、地球レベルでの悪化を実感している国民の割合が高い。
  • 国民が環境保全に重要な役割を担うという認識は強く、国民の環境保全行動の実施率を向上させる取組が望まれる。
  • 地方公共団体と事業者・民間団体との連携・協働の仕組みづくりが必要。

(2)重点点検分野の点検

[1] 地球温暖化問題に対する取組

概況
  • 我が国の温室効果ガスの年間総排出量(平成20年度(2008年度))は、基準年(平成2年度(1990年度))の総排出量を1.6%上回る。

温室効果ガスの年間総排出量

 
今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:京都議定書の6%削減約束の確実な達成のための取組
  • 京都議定書の削減約束を達成するため、今後も、気を緩めることなく各種対策を着実に実施していくべき。
  • 京都メカニズムについては、引き続き、補足性の原則を踏まえつつクレジット取得を進めるべき。
重点調査事項[2]:温室効果ガスの濃度の安定化に向けた中長期的継続的な排出削減等のための取組
  • 地球温暖化対策のための税等の基本的施策について、経済活動や国民生活に及ぼす効果及び影響について考慮しつつ、総合的かつ計画的に検討し、内閣総理大臣のリーダーシップの下、必要な施策を積極的に講ずることにより、地球温暖化対策を推進すべき。
  • コペンハーゲン合意を基礎として、すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みが構築され、意欲的な目標が合意されることが必要であり、リーダーシップを発揮すべき。
重点調査事項[3]:地球温暖化による避けられない影響への適応のための取組
  • 住民等の多様な主体による参加型の温暖化影響モニタリング手法や温暖化影響可視化手法を開発すべき。
  • 地球温暖化の影響に対し脆弱であるアジア太平洋地域の途上国において、モニタリング・影響評価を行い、影響に適応するために関係各国との連携によるネットワークを構築すべき。

[2] 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組

概況
  • 資源生産性、循環利用率及び最終処分量は、順調に推移。

今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:自然の物質循環と社会経済システムの物質循環の両方を視野に入れた適正な循環の確保
  • 低炭素社会形成、自然共生社会形成と統合的に展開する循環型社会形成に向けた取組を推進すべき。
  • 地域活性化につながるような最適な規模の地域循環圏のための地域計画の策定による基盤の整備と、循環資源の性質別の地域循環圏の構築を進めるべき。
重点調査事項[2]:関係主体の連携や国際的な取組による施策の総合的かつ計画的な推進
  • 環境負荷の低いライフスタイルへ変革するため、学校や地域での環境教育を充実し、関係主体が相互に学びあえるような取組を進めるべき。
  • アジア3R推進フォーラムの下で、各国に対し情報・知識・経験の共有を促すとともに、国際共同研究等における情報も活用し、3Rの情報拠点の整備に関する取組を推進すべき。
重点調査事項[3]:物質フロー等に関するデータの迅速かつ的確な把握、分析と公表
  • 指標の要因の分析については、更に統計の早期化・精緻化、物量ベースの詳細な情報の把握等を進め、研究分野の成果も活用しつつ分析を深めるべき。
  • 中長期の循環型社会のグランドデザインを念頭に、今後の取るべき施策について検討を進めるべき。

[3] 化学物質の環境リスクの低減に向けた取組

概況

今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:科学的な環境リスク評価の推進
  • 化学物質対策について、その全体像を国民に分かりやすく示していくべき。
  • 化審法の改正を踏まえ、優先的にリスク評価を行う化学物質を絞り込み、順次リスク評価を行う取組の進捗状況を明らかにした上で、2020年の国際目標の達成に向けて着実にリスク評価を進めるべき。
重点調査事項[2]:化学物質の環境リスク管理とリスクコミュニケーションの推進
  • 環境リスクの低減に向けた取組全体の進捗状況を、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの一連の流れの中で、可能な限り定量的な指標を用いて示しながら、取組を着実に進めるべき。
  • 化学物質の環境リスクを低減に資する取組について、関係府省の相互の連携を強化し、より効果的・効率的に進めるべき。
重点調査事項[3]:国際的な観点に立った化学物質管理の取
  • 我が国の化学物質に関する優れた政策・技術の知見を活かし、アジアを初めとする国々に技術的な協力を行い、2020年の国際目標の達成に向けて、リーダーシップを発揮すべき。
  • 東アジアにおけるPOPsなどによる汚染について、各国と連携してデータの集積・解析を行い、情報発信すべき。

※各重点調査事項の提言について、一部に再掲を含む。

[4] 生物多様性の保全のための取組

概況

今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:生物多様性を社会に浸透させる取組
  • 事業者による生物多様性に配慮した活動への自主的取組を促すため、「生物多様性民間参画ガイドライン」を幅広い主体に普及広報し活用の促進を働きかけるべき。
  • 都道府県や市町村に対して「生物多様性地域戦略策定の手引き」を普及し、各地域における様々な主体による取組事例を紹介することによって、効果的な地域戦略の策定や実践的な取組を促すべき。
重点調査事項[2]:地域における人と自然の関係を再構築する取組
  • ポスト2010年目標の国際的議論を通じて得られた知見やCOP10の成果等を踏まえ、COP10後に、生物多様性国家戦略2010の見直しに着手すべき。
  • 持続可能な資源利用に関する全国の特徴的な取組事例の収集・分析・情報発信のほか、地域の活動に必要な助言や技術的なノウハウの提供により、全国的な里地里山の保全再生を促すべき。
重点調査事項[3]:森・里・川・海のつながりを確保する取組
  • 全国、広域圏、都道府県、市町村等の様々な空間レベルにおける生態系ネットワークの計画策定や事業実施に向けた条件整備を進めるべき。
  • 自然再生の取組の効果的な推進、広域的な取組の強化、自然環境学習や調査研究の推進を図りつつ、生態系ネットワーク等の国土的視点も考慮した自然再生の取組を推進すべき。
重点調査事項[4]:地球規模の視野を持って行動する取組
  • ポスト2010年目標について、関係者と意見交換を行いながら検討を進め、率先して日本から目標を提案することで、COP10における国際的な議論をリードすべき。
  • SATOYAMAイニシアティブを世界に向けて発信し、COP10を契機に多様な主体の支持・参加を得て情報共有などを行う国際的パートナーシップを設立することで、問題の解決に貢献すべき。

[5] 環境保全の人づくり・地域づくりの推進

概況

体験型の環境教育・環境学習活動に参加した国民の割合

地方公共団体の環境基本条例及び環境基本計画等の策定状況
(策定と回答のあった自治体数/有効回答自治体数)

(出所)中央環境審議会第55回総合政策部会(8月4日)資料より作成

今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:環境保全のために行動する人づくりと組織・ネットワークづくりのための取組
  • あらゆる世代を対象とした環境教育・環境学習の一層の充実と関連施策の効果的推進を図るため、各府省間での連携、地方公共団体との連携及び地域間での連携が進むよう必要な措置を講じるべき。
  • 組織やネットワークづくりを強化するために、NPO、市民等の各主体が、適切な役割分担の下、環境保全活動に参加・協働する多様な場づくりを推進すべき。
重点調査事項[2]:環境資源の保全と有効活用の実施を統合的に進める、それぞれの持つ資源や特長をいかした地域づくりのための取組
  • 環境負荷の少ない持続可能な地域づくりを推進するために、各府省間での連携、地方公共団体との連携及び地域間での連携が進むよう必要な措置を講じるべき。
  • 多様な主体が、それぞれの地域の自然資源の状況や特性を、より的確に把握しつつ、生物多様性や里地里山等の保全・活用を展開できるよう、情報提供及び情報収集に係る支援等を推進すべき。
重点調査事項[3]:多様な主体の連携・協力によって、より良い環境、より良い地域をつくるための地域全体としての意識・能力を向上させる取組
  • 住民、市民団体、事業者、行政等の多様な主体が、その地域の特性を的確に把握・活用しながら、互いに連携・協力した「地域環境力」の発現・向上に資する取組を強化することが期待される。

【参考】

【本件問い合わせ先】

〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2
環境省総合環境政策局環境計画課
電話:03-3581-3351(内線 6280)
FAX:03-3581-5951

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