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環境会計ガイドライン改訂検討会(第2回)議事録


日時: 平成16年10月8日(金)
9:30~12:00
場所: 三田共用会議所A・B会議室

1.開会

事務局:それでは定刻となりましたので、只今から第2回の環境会計ガイドライン改訂検討会を開催させて頂きたいと思います。今年は台風の当たり年ということで、お足元の悪い中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

資料確認

事務局:ではまず事務局のほうから資料の確認をさせて頂きたいと思います。お手元の資料をご覧ください。まず議事次第が1枚目にございまして、下のほうに配布資料一覧がございますので、それと併せてご覧ください。資料2-1といたしまして、「環境会計ガイドライン2005年版 目次構成案」がございます。それから資料2-2といたしまして、論点及び改訂骨子案というものがございます。それから毎回の議論で多分使うと思われるもので、会議終了後に回収させていただきたいと存じますが、前回、第1回目のときに配布いたしました、環境会計の事例、ここにご参加の皆様方の環境報告書から環境会計の部分を抜粋したものを一部。それから同じく会議の終了後回収させていただきたいと存じますが、環境会計ガイドライン、これは2002年版が収録されております、平成14年度の「環境会計の現状と課題」の報告書。同じく、事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン2002年版の冊子。それから、事前に委員の皆様には資料をお送りいたしまして、コメントを頂いておりますので、今後の検討にはもちろん反映させて頂くわけでございますが、委員の皆様にということで配らせて頂いております。1つは、塩田委員からのもの。もう一つは八木委員からのものでございます。また、本日、水口委員のほうから論文の提出がございましたので、こちらもご参考に配らせて頂いております。資料番号がこれもございませんが、第1回の議事録も配らせていただいております。こちらも事前にご確認いただいているものでございますので、来週中には環境省のホームページのほうに掲載させていただきたいと存じますが、まだ事実誤認等ございましたら、この会議の後に事務局のほうにお申し出いただければと思います。それでは資料の過不足や乱丁等ございましたら、お申し出下さい。大丈夫でしょうか。それでは以後の進行を、座長のほうにお願いしたいと思います。

2.議事

河野座長:おはようございます。議事次第により、議事に入るわけですが、その前に一言、申し上げさせて頂きます。前回、委員の皆様から、非常に貴重ないろんなご意見を多数頂きました。今回、第2回目は、改訂案の議論に入るのはまだ早いだろうと考え、その前に、改訂案の叩き台というか、そういう案を議論いただくということで、今回この案を議論するということになっております。それが資料の2-2ということでございます。その叩き台を作るにも考え方が、何か体系だったものが必要だろうと思います。今回も改定案ということでありますので、従来のガイドラインを改訂するということであります。現在660社ぐらいが環境会計を実施しており、その中のかなりの企業がガイドラインをそれなりに利用しているお客がいるということを考えますと、改訂案というか、改訂されたガイドラインについては、過去のガイドラインに相応に準拠したものになるんだろうと考えます。そこで、2002年のガイドラインをたたき台にして、今日の、骨子案となっています。骨子案は事務局のほうに検討してもらうということでお願いしました。皆様方に出して頂きましたそれぞれの案は、骨子案の中の該当の場所に、論点整理というようなことで組み込まれて、ここで議論をいただくというような内容のものになっております。そういうことで、資料の2-1、2-2が出来上がっているということであります。ここで、資料2-1および2-2を踏まえて、これから議論をいただくということになるわけであります。とりあえず、事務局のほうから、資料2-1及び2-2につきまして、説明をしていただくということにしたいと思います。

事務局:それでは資料2-1と資料2-2をご覧下さい。只今、座長のほうからご説明いただきましたように、資料2-1はこれで決まりというようなものでは全くございません。現行版の2002年版を一番左側に配しまして、この後、資料2-2のほうで論点の再確認をしようと思っているわけでございますが、改訂の骨子案をたたき台ということで、右側に書いてございます。さらに、2005年版の目次の構成案を、資料2-1の真中のほうに記載してございます。両方が一覧できるようにという意図でございます。
 実際の内容のほうは資料2-2を使いましてご説明させていただきたいと思いますので、資料2-2のほうをご覧下さい。「論点及び改訂骨子案」と題されたものでございます。こちらのほうは、第1回目に様々な重要な議論をたくさん頂きまして、それを事務局側で咀嚼しまして、まとめたものでございまして。「検討の方向性」は、一定のたたき台として、提出させていただいたものでございます。
 まず、論点の1、2、3が、ガイドラインの位置づけですとか、対象とする利害関係者ですとか、全般的なものというふうになってございます。論点の4から7がコスト対効果に関するものの、ガイドラインの主要なところですが、そうしたものになっております。論点の8以降が、例えば連結ですとか、環境効率性指標ですとか、これまでにはなかった新しい話題を入れたものとなっております。
 論点1のほうから参りますと、【内部集計のための精緻化と外部公表の集約について】ということでございます。ここに書いてございます本文のP(2)と申しますのは、これは2002年版のガイドラインに相当するページを参考のために書いたものでございます。ガイドラインは自主的な取組の参考となるように、より多くの手がかりを示すことがよい。例えば内部活用に役立つような考え方につきましては、より精緻に示し、外部公表のための開示情報としては、あまりにも詳細な環境保全コスト分類を示さずに、項目数を統合化する、などのほうがよい、と言うご指摘を頂いております。【検討の方向性】といたしましては、ガイドラインとしての考え方や例示の精緻化を進めつつ、公表のフォーマットの表記の上では、必要以上に複雑にならないように配慮していくのがよいのではないか。またその、ガイドラインとしましては、その項目は強制的、義務的なものではございませんので、記載された内容全てに取り組まなければいけないというわけではありません。それをガイドライン上にもきちんと説明していくということです。【改訂の骨子案】といたしましては、本ガイドラインは、自主的な取組の参考となるように、より多くの手がかりを示すことを目指しています。また、内部活用に役立つような考え方についてはより精緻に示すように配慮し、また、外部公表においては、多様な利害関係者のニーズに適合するような新たな考え方を導入しています。しかし、ガイドラインで示された内容の全てを公表する必要はなく、企業等において伝えたい内容を検討しながらガイドラインを活用してください。企業等の環境配慮の考え方に沿って情報を整理することにより、外部公表に限らず、内部管理上も環境管理目的に沿ったデータ把握が進み、環境会計手法が有効に活用されるものと期待されます。というようなことでまとめてございます。全体を通してご説明させていただきますので、次に参ります。
 論点2、2ページでございますが、【環境会計の利用目的の明確化】、ということで。現行のガイドラインにおきましては、環境会計情報では、企業間比較に対応するのは困難であるのではないかと。ですので、公表している企業単体、企業単独での環境会計情報を役立てる観点を重視すべきではないか、ということでございます。ただし一方で、現状で企業間比較が困難であっても、その方向性そのものを閉ざすべきではないのではないか、というような考え方もございました。ガイドラインの改訂にあたりましては、企業間比較をどの程度重視すべきなのかということを、ある程度明記していく必要があるのではないか、ということでございました。【検討の方向性】といたしましては、現行ガイドラインの2002年版におきまして、環境会計の位置づけといたしましては、「本ガイドラインに沿って作成された情報ができるだけ比較可能なものになるように我が国における環境会計に関する基本的な考え方を取りまとめ」たものとまとめられております。絶対的に比較可能であるということにはなっていないわけでございますが、方向性としては目指している、ということが現行のガイドラインの考え方でございまして。図のように、役割といたしましては、内部的な機能、内部管理目的に発表する場合と、外部機能ということで、社会とのコミュニケーションをはかる、両方の方向があるということでございます。現行ガイドラインの改訂にあたりましても、総合的な発展を目指して、外部公表の場合の企業間比較の視点を閉ざさないほうがいい、ということを考えています。【改訂骨子案】といたしましては、環境会計の機能と役割の節ですけれども、企業間比較の問題点を明記していってはどうかと。例えば環境会計情報に企業間比較は、各社の算定方法や、バウウンダリーが統一されていないという問題が、依然未解決な問題として残されているため、困難なものとなっています、というような趣旨のことをはっきり書いてはどうか、ということでございます。
 3ページ目に参りまして論点3でございますが。【対象とするステークホルダーの明確化】。環境会計情報には、不特定多数に向けて発信されるのではなく、特定の項目によりまして、特定のステークホルダーを主に対象とする、そういった内容があるのではないか。その場合、その情報が誰に向けたものなのかを明らかにしていく必要があるのではないか、というご指摘も頂いております。【検討の方向性】といたしましては、我が国におきます環境会計は、環境報告書における外部公表、これがかなりウエイトを占めて発展してきております。現行のガイドラインにおきましても、環境報告書と同様に、多様な利害関係を現状では念頭に置いている、ということでございます。一方で、内部利用目的の場合は、主として経営者を念頭に必要な情報を網羅把握していくことになるのだと思いますが、外部公表の場合はどうしても多様な利害関係者を対象に、複数の情報を発信する。多様な利害関係者が想定されますので、特定の利害関係者ごとに、別々の複数の情報を発信すると実務上なかなか煩雑な面もあるのではないかとか、こういうことが考えられます。このため、特定の利害関係者の関心が高い個別項目につきましては、詳細な情報を、本表とは別に付表などにより、これはもちろん自由でございますけれども、別に示すこととしてはどうか、ということでございます。【改訂の骨子案】といたしましては、具体的にどういった情報を誰向けに、というところまで、まだ検討が至っておりません。経済産業省では、平成13年6月に、「ステークホルダー重視による環境レポーティングガイドライン2001」を発行されておられまして、その中では、ステークホルダーを、金融機関等、取引先等、行政等、地域住民等、一般市民等、従業員等というカテゴリーに分け、そのグループの特性を分析されておりますので、こういったことが、我々の改訂の検討にあたっても参考になるのではないかということで、ここに載せさせていただいております。
 4ページに参りまして、論点4でございます。このへんから、コストの話に入って参るわけでございますが。前回、コストの新しい分類といたしまして、戦略的コストですとか、維持的コストですとか、環境損傷コストですとか、性格に応じた分類というのを導入してはどうか、というような論点がございました。ただ、コストの新分類、(1)でございますが、戦略的コストや維持的コストの検討にあたりましては、新しい概念を導入するということでしたら、それぞれ、その概念をどういうものなのか、両者の関係はどうなっているのか。例えば戦略的コストというのは、今までも投資額というものがあったわけでございますから、それとの違いを明らかにすべきではないか、といったような問題点がまだ残されているのではないかということでございます。【検討の方向性】といたしましては、当期の環境負荷、物量の総量の意味でございますが、環境負荷を基準期間と同程度に抑えるために要するコスト、こういったコストが維持的コストというふうに考えていたわけでございますけれども、現行のガイドラインの環境保全効果の考え方によれば、これは効果が算定されないということになってしまいます。そのため、そうした維持的な性格を有するコストを把握することは、もともと企業の積極的な努力を何とか適正に評価するために考え出そうというものでございます。ガイドラインの取扱いとしては、いろいろな方法が考えられるかと思います。(1)戦略的コストと維持的コストを区別して新たに集計する場合でございます。一つ目の・で、戦略的コストと維持的コスト、これの概念整理をきっちり行ないましょうと。そして新しい分類として加えるということを考えられますし。2つ目の・は、もともとは維持的な性格を有するコストを、何とか拾い上げたいというのが目的でございましたから、戦略的コストはあえて導入はせずに、現行の環境保全コストの分類のままでありましても、その中に維持的な性格を有するコストを内訳として可能な限り示すようにする、というような方向も考えられます。2番目でございますが、これはあえて新しい区分を導入しない場合でございます。環境保全効果の表現方法として、環境負荷の総量、基準期間の総量と、当期の総量と、その差を示すということで、これは明確にはどういうコストがかかって、どうだという関係がわからないわけですけれども、この企業の活動の結果、環境負荷の総量がどのように推移しているのかがわかるような形で示すことによりまして、何年間かの推移等から読み取っていただく、ということを期待するものであります。一方ガイドラインには、経済学上で言うところの、収穫逓減の法則、取組が進んだ企業ほど、環境保全効果は現れにくくなる、といった考え方をもう少しきちんと説明していく、ということも考えられます。【改訂骨子案】ですが。これは[1]の、最初の戦略的コストと維持的コストを新たに追加する場合の改訂骨子案の例でございます。(1)は従来どおりのものですから省略しておりますが、(2)に、コストの性格に応じた分類というような考え方を導入するパターンです。環境保全コストは、コストの性格に着目すると、戦略的コストと維持的コスト及びその他のコストに分類されます。戦略的コストとは、環境負荷の積極的削減に向けた戦略的なものであり、その効果が主として当該年度以降にも及ぶコストです。環境保全機能の一層のレベルアップを図るための、設備投資、研究開発費、管理システムの構築等の新規・拡充といったようなコストが該当します。維持的コストは法規制を遵守し続けるなど、環境保全活動を進めることにより環境負荷の発生量、環境保全の取組等を一定の水準に抑制または維持するためのコストです。環境負荷の水準を継続的に各種規制・基準値以内に抑えるためのコストや、向上のゼロエミッション達成後の維持運営コスト等が該当します。この他にも「その他」という概念があり得るのかなということで、上記以外のその他のコストとしては、環境損傷に対応するためのコストとして、汚染浄化費用や賠償金等すでに発生している環境損傷に対応して結果的に支出するような損失などが該当する、ということにしております。6ページに参りまして、新たなコスト分類の、2番目でございます。(2)といたしまして、環境保全対策分野等、これは前回お示ししたもので言いますと、地球温暖化対策のためのコストですとか、オゾン層保護の対策のためのコストですとか、廃棄物対策のためのコスト、といったような、そういう環境保全対策分野によるコスト分類が追加についての話題でございます。現行のガイドラインの環境保全コスト分類に加えて、環境保全対策分野などの新たな環境保全コスト分類を追加するとすれば、その狙いやメリットを明らかにすべきではないか、というご指摘でございます。現行のガイドラインでは、事業活動領域によるコスト分類が示されております。事業エリア内ですとか、上下流コストですとか、そういったようになっておりますが。コストの投下目的や環境保全効果との関係をより明確にする観点からは他の分類も考えられるのではないかと。こうした観点から、環境保全対策分野や各企業の環境目的、環境保全行動計画体系、これは企業ごとによって違うと思いますが、環境計画体系との関係について、新たなコスト分類を検討することとしてはどうかと。具体的には、事業活動領域によりますコスト分類の他にも、環境保全対策分野等のコスト区分を追加し、両者の、どういう関係にあるかという、関連表を付表等で示すことによりまして、内部管理または外部公表での有効な情報に活用できるのではないかということでございます。新たにもし追加するとしましたら、そのメリットのようなものを書いて、Q&Aで補うことも考えられると思います。一つ目の・でございますが、複数の環境保全対策目的をもつコストについて、環境保全対策分野ごとに割り振ることによりコストの投入目的が明確になるのではないか、ということです。既存のコスト分類との関係もより明確になるでしょう。また環境保全対策分野との関係で整理するようでしたら、より共通的な分類となりまして、先ほどの論点にも出てきた話題ですが、企業間比較にも役に立つでしょう。またその、各企業ごとの、管理上の体系でございますが、環境保全行動計画体系との関係で整理いたしましたならば、その企業ごとの環境マネジメントの実態に即したコスト管理が、よりわかりやすくなるのではないか、ということでございます。7ページ【改訂の骨子案】の(1)が現行のもので、(2)が先ほど出てきた話題でございまして、(3)が新たに追加するパターンでございます。[1]のほうが、環境保全対策に応じた分類ということで、地球温暖化対策以下、これこれのようなものが考えられるのではないか。[2]が、これは環境マネジメントに応じた分類ということで、方針、目標や計画に応じた分類です。例えば組織運営に関する目標ですとか、事業活動に関する目標ですとか、製品、サービスの提供に関する目標、といったような分け方ができるのではないかということでございます。8ページに、これは前回にお示ししました現行のガイドラインに見ます、環境保全コストの分類と、新たに環境保全対策の分野ごとのコスト分類を入れた場合に、マトリックスを、示しました。合計のところに、環境保全効果の総量も示すように、手を加えたものでございます。9ページに参りまして、新たなコスト分類の3つ目の話題でございますが。UNDSD、国連の持続可能開発部のほうの環境指標の中でも、いわゆる環境保全のためのコスト以外にも、環境負荷コストと言ったり、環境コストと言ったり、いろいろ言われますが、いわゆる原材料などの投入の原価そのものを入れる考え方でございます。その中でいきますと、製品に化体したコストの他にも、いわゆる無駄になってしまった、製品外のアウトプットとして、廃棄されるようなコストもあります。その製品外アウトプットの原材料等のコストの集計も新たに加えてはどうか、というような考え方もあろうかと思います。無駄になったコストを示し、その低減に向けた取組を示せるのであれば、株主や経営者にとっても非常に有用な情報になりますし、経営管理上、無駄がなくてもちろん効率的にはなっていくわけでございます。【検討の方向性】といたしましては、現行の体系の大枠を崩さずに別表で加えることも可能です。従来の環境会計ガイドラインでの環境保全コストの概念とは全く別の、新しい考え方でございますので、慎重に議論すべきでございますが、今後の課題として検討していく価値があるのではないかということでございます。【改訂の骨子案】では、製品のアウトプットを、原材料だけに絞ればいいのか、加工費のエネルギーとかを入れればいいのか、いろいろあろうかと思いますが、簡単な概念図をちょっと表としてあらわしてみました。こういったようなことを解説ないしQ&Aで示していくという方法があり得るのではないかということでございます。この表は、下のほうに、手順1、2、3と書いてございますが、原材料の投入量を、まあ100tか何かの原材料を投入したら、そのうち実際に製品になる部分が70tだとしたら、おそらく30tは無駄になったということでございますから、そういったような原材料費とか、それに相当する加工費相当分を計算していくことによりまして、通常の財務会計上はこれは全て単純に原価となってしまう部分を、無駄になった部分の原価相当額が把握できるのではないかという考え方でございます。
 論点5、環境保全コストの識別の困難性への対応についてでございます。これも前回頂きました重要なご指摘の一つだと思います。環境への対応が、従来以上に、一般的な取組となりわざわざ環境を意識せずに、当然のように、業務に浸透している中で、環境に関与しない活動のほうが少なくなってきており、環境保全コストを差額集計するという現行のガイドラインの考え方が難しいということでした。ないしは、按分集計については、按分基準が明確でないものもたくさんあるようでございますので、合理性の乏しい按分基準を無理やり仮定を設けて導入したとしても、それはデータの信憑性を低下させることにつながるのではないか、ということです。差額コスト集計や按分集計についてどう考えていくか、ということでございます。【検討の方向性】でございますが、これは非常に難しい問題でございますので、複数案で示させていただいております。まず、[1]でございますが、差額集計、按分集計が難しいということでございましたら、環境保全の割合が100%のコストのみを集計するという方法がまず一つ考えられます。ただしこの方法によりますと、現行の環境保全コストよりも、環境保全コストの割合が相当小さくなってしまうということになりますし、環境保全効果のほうは、通常全て把握するのに対しまして、環境保全コストのほうが一部しか集計されないということで、コスト対効果の面からもやや問題がある。[2]でございますが、環境関連のコストであれば、それは按分などしないで、全て、全額集計するということも考えられます。この場合は今度は[1]とは逆に、現行の環境保全コストよりも相当コストの額が大きなものになるということが考えられます。またこの場合も、やはりコスト対効果の関係からは、あまり明確な関係が出ないことになろうかと思います。[3]ですが、按分集計のような場合でございますけれども、按分に関する仮定についてある程度共通の考え方をガイドラインで示していく、といった方向でございます。何%含めるかは、各企業ごとで考えて下さいということになってございますが、なかなかそれは難しいということでございますので、ガイドラインの中で、こういう場合には25%で、こういう場合には50%、というように具体的に示す方法が考えられます。ただしこれは現実には、どこまでが何%かというのは、実務の実態ごとによって変わりえるものでございますので、一律に決めるのが難しいといった側面もございます。[4]が、その簡便な方法によりまして、按分集計をする場合ですが、その場合には例えば全額を集計した場合には内容を開示していくというのが現行のガイドラインの考え方でございますが、この方法をもう少し拡張いたしますと、例えば簡便な方法によりまして全額集計する、ないしは集計をしなかったような場合には、外部公表する場合にはそれがどういった内容なのかをきちんと算定方法に関する情報の開示を充実させていく、といった方法が考えられるのではないかということでございます。11ページでございますが、いろいろご議論があろうかと思いますが、とりあえず[4]の現行のガイドラインの方向を拡張していった方法を【改訂骨子案】としてお示しさせていただいております。環境会計に関する基本となる重要事項に、環境保全コストの算定基準ならびに差額集計している環境保全コストの主な内容やその集計方法。按分集計している環境保全コストの主な内容やその集計方法。あと、全額集計している環境保全コストの主な内容等を示していくということでございます。
 12ページに参りまして、論点6、これはコスト対効果の関係でございます。(1)コスト対効果の相互関連性を高めた把握ということでございます。現行のガイドラインにおけます環境保全コストの考え方を精緻化していくということでございましたが、それに併せて環境保全効果のほうについてももう少し整理すべきではないかというようなご指摘でございます。【検討の方向性】でございますけれども、コスト対効果の関係というのは非常に複雑でございまして、単純に1対1で対応するものだけではないと。1対2とか、またはコスト等は集計しなくても効果が上がっている、というようなものもあろうかと思います。こうした複雑な実態を念頭に置き、外部公表用としましては従来どおりとしまして、内部活用のためにコスト対効果をできるだけ関連付けて捉える方法を考えてはどうか、ということで、[1]と[2]を示しております。例えば[1]の方法は、コスト対効果の関連が、明確な取組のみを取り出して付表としてまとめる方法でございます。[2]は環境パフォーマンス指標ガイドラインにおきますコア指標のように、総エネルギー投入量ですとか、廃棄物の排出量ですとか、そういったような指標でございますが、コア指標のように重要な項目というものを、ある程度ガイドラインで示して、その重要な項目に関連するコストと、環境保全効果を抜き出して、付表として示していく方法が考えられます。【改訂の方針】といたしましては、[1]にありますように、非常に限定的な情報しか、情報が限定される可能性がございますが、せっかく今までいろいろ自主的、積極的な取組により発展してきておりますので、[2]のように、考え方をガイドラインの改訂に組み込みまして、「環境保全効果の表現方法」に追加記載するということはどうか、ということでございます。具体的にはガイドラインにおいて、コア指標に相当する指標を示していくなど。また、具体的な算定方法、集計範囲についても一定の考え方をガイドラインに記載する、ということが考えられます。
 13ページに参りまして論点7、今度は効果のお話でございますけれども。環境保全効果の表現方法の見直しです。環境保全効果の指標を、環境パフォーマンス指標ガイドラインが改訂されておりますので、それを参考に改訂していってはどうか、ということでございます。これは【検討の方向性】といたしましては、コア指標のような体系を念頭に置きつつ、環境パフォーマンス指標を具体例として示すことが考えられます。それに沿って公表用フォーマットも改訂することが考えられるのではないか、ということでございますが。例えば、ここでは【改訂の骨子案】といたしまして、お示ししたものでは、環境保全効果の分類は、コスト対効果を把握する観点から、環境保全コストの分類に対応させることが望まれます。しかし、環境保全効果のうち環境保全コストの各分類に対応する部分を抽出するのが実務上困難な場合は、判明する部分だけ対応関係を明示するか、あるいは環境保全コスト全体と環境保全効果全体を対応させることも可能だ、というのがこれ全般的なことをまず述べております。環境保全効果は事業活動との関連から4つに分類される。これは従来どおりでございますが、(1)がインプットに関するもの。事業活動に投入する資源に関する環境保全効果。これが例えば総エネルギー投入量ですとか、各企業等で管理されている特定の物質等。例えば、代替フロンや鉛などが対象に考えられるのではないかということでございます。(2)が、アウトプットに関するものでございますが、事業活動から排出環境負荷及び廃棄物に関する環境保全効果ということで、こちらも環境パフォーマンス指標のガイドラインから、コア指標に相当するものを持ってきております。温室効果ガスの排出量ですとか、廃棄物の総排出量などです。2番目の・の、特定の化学物質の排出量・移動量の、これも化学物質そのもの、全部を減らせばいいというものではありませんので、(1)の特定管理対象物質と同じような考え方を、ここでも取り入れることができるのではないかということでございます。(3)は、これは製品・サービスに関することでございます。例えば使用時のエネルギー使用量を減らすですとか、廃棄時の環境負荷物質排出量を減らすですとか、現行のガイドラインで、使用時廃棄時の環境負荷低減のことが書かれてございますが、そういったものが該当するのではないか、ということでございます。(4)はその他ということでございますが、例えばインプット時でもアウトプット時にもあり得る輸送に関するようなものも考えられるでしょう。こういうことでございます。こういったことを新たに、示してはどうかということで、15ページに表の一覧にしたものがございますが、同じ内容でございます。これももちろん、各環境会計に取り組まれる一般企業等におかれまして、実態に応じまして選択するということでございますので、義務的なものでは全くございません。あと環境保全効果の算定方法は、これは基本的に現行どおりなのですが、事業活動量による調整の方法に実例がございませんので、本文ではなく解説等でも足りるのかなということで、ここでは割愛させて頂いております。16ページに参りまして、維持的コストに係る環境保全効果の表現方法でございます。先ほどコストのところの話題にも出て参った話でございますが、維持的な性格を有するコストに対しましては、現行のガイドラインの考え方では環境保全効果がなかなか測定されることがない、ということでございます。このため、定量的な算定ではなく、環境保全の取組についての目標を達成しているか否か、そういったようなことで示す方法も考えられるでしょうし、また法規定、各種基準等による環境負荷の基準値と環境負荷の実績の総量の差として示すことも考えられるという、こういう表現で維持的コストへの対応を考えてはどうかということを提案しております。
 17ページ、論点8以降は、これは比較的新しい話題をここにまとめたものでございます。まず、連結環境会計について、でございますが、連結企業グループを単位としている例が次第に増えてきているということでございますので、何らかの基本的な考え方を示すべきではないか。【検討の方向性】といたしましては、基本的な考え方を示すことといたしまして、連結の範囲、集計方法などについて記述するということでございます。【改訂の骨子案】の(1)に連結の範囲でございますが、まず環境保全という目的から、まず環境保全上の重要性の応じた連結範囲の設定を検討するということでございます。判断基準でございますが、これは単純に量だけではなく、質的な面もございまして、その両方を統合的に勘案するという観点から、判断基準としては、例えば、当該企業集団の重要な環境影響を勘案した「環境負荷量」や「環境保全コスト」等の大きさ。また、当該企業集団の事業活動の態様に着目した質的な「環境負荷の影響」等が挙げられます。ただし、実務上は、連結財務諸表と同じような連結の範囲を行なっている例もあるようでございますので、そういったことを、あり得るような形にしてございます。(2)連結環境会計の集計の方法でございますが、これは基本的なことといたしましては、複数の法人組織を単一の組織体とみなして集計を行ないますので、同一のグループ内での取引は内部取引として消去されます。二重計上はしません、という基本的な考え方を示しております。18ページに、現在の環境会計に3つの要素がありまして、環境保全コスト、環境保全効果、環境保全対策に伴う経済効果についての、それぞれの算定の考え方を示しております。まず[1]、環境保全コストでございますが、コスト情報の集計は財務会計の延長線上で行ないやすいのではないかと思われますが、環境保全コストの集計については、子会社への生産移転に伴う環境保全コストや同一グループ内のグリーン購入のように企業グループ内部での取引により発生したコストを可能な限り消去したうえで集計するということにしております。環境保全効果の算定でございますが、例えばCO2の排出量などというものは、子会社と親会社で、おそらく内部取引は普通はありませんので、単純計上のものがほとんどだと思います。環境保全効果につきましては、原則として同一グループ内での各企業で算定した効果を合算します。単純合算をイメージしますが、ただし、やはりこのグリーン購入などに絡みまして、明らかに二重計上になるような効果、例えば、生産子会社のほうで、お客様先で、CO2排出量の効果を算定しているが、グリーン購入をする親会社のほうでもそれに伴うCO2排出量の効果を計上するような場合は、これは二重計上になりますので、そういった場合は消去して下さい、ということでございます。[3]もやはり同様に、同一グループ内で生じた取引につきましては、消去する、という考え方でございます
 19ページに参りまして、論点9でございますが、内部活用の話題でございます。これは現行のガイドラインにも重視すべきだという考えでございました。内部活用も非常に大事だということを、きちんと書いていこうという趣旨でございます。【検討の方向性】といたしましては、現行あります外部集計用のフォーマットをもちろん見直していくと同時に、内部で活用する場合の意味というような考え方についてももう少しきちんと示したほうがいいのではないか、ということです。【改訂骨子案】の[1]から[4]がございますが、ここにありますようなことを、環境会計情報の開示の次に、新たに内部活用のための章を設けまして、きちんと書いていくということでございます。例えば[1]でございますが、外部公表用データと内部管理情報の関係といたしまして、環境会計における外部公表用データは、企業等の環境保全活動に関するコストや効果を把握した結果の要約情報である。内部で活用するためにより詳細なデータを通常は持っているものですし、その全てを外部に公表する必要は全くないということでございます。2番目の・ですが、環境会計の内部活用は、企業等の外部公表用データを作成する途中段階での管理単位ごとの様々な集計結果を活用することが非常に有効、ということです。3つ目ですが、環境会計情報と経営情報の組み合わせによっても、いろいろな工夫の余地があるのではないでしょうか、ということです。[2]内部管理実務との整合性ですが、一般的に企業におきます環境の実務というのは、大方針を作りまして、目標を設定しまして、その目標を達成するために具体的な計画を立て、で、実施の作業というような流れで行なわれているわけでございますので、環境会計もそうした流れの中で、環境保全活動に即した形で、定量的な情報を提供し、経営判断に役立てる、というふうに活用されるべきだという考え方を明らかにしておきたい。[3]、[2]の考え方にも沿っていますが、内部管理の単位といたしましては、これは企業の管理単位によるものでありますので、例えば実行計画は、後で評価することになると思いますが、評価する際には、工場別でやっているのか、部門別でやっているのか、製品群別でやっているのか、いろいろな単位がございますが、それに応じて管理されることが非常に役に立つのではないか、ということでございます。[4]内部管理のみを目的とした手法でございますが、こちらも内部管理の場合には様々な手法があります。財務会計上におきましても、原価計算というものは製造原価明細表がございますが、公表するときの財務諸表としては統一したフォーマットがございません。内部で活用する場合には原価計算も複数の手法があるように、環境会計におきましても内部利用の場合には非常に有効な方法がたくさんございますので、そうしたことを参考にされればいいのではないかと。可能でありましたら経済産業省で、優れた研究をされておりますので、そうした成果もご紹介できればなあというふうに考えております。20ページはこれは、イメージ図でございます。
 21ページのほうに参りまして、これも新しい話題でございますが、環境効率性指標についてでございます。これは本来、分析のためのものでございますので、環境会計の情報を活用する、そのもののガイドラインとは少し性格を異にするものかもしれませんが、うまく活用すれば評価するために非常にわかりやすい情報を提供することが可能ですので、考えていってはどうか、ということでございます。【検討の方向性】といたしましては、例えば、現行のガイドラインのQ&Aに示されているような手法を、少し本文のほうにも取り入れることを考えてはどうかということでございます。【改訂骨子案】では、環境会計の数値を用いた分析のための環境評価指標で、新たに章を足してはどうかということです。(1)の方では、分析のためにそういった指標が有効である、というようなことをご紹介いたしまして、(2)で分析のための環境評価指標の考え方の内容を具体的に示す。これは前回お示ししたものとほぼ同じでございますが、[1]のほうは、環境保全活動が事業規模に占める割合を分析するための、全体に占める割合というようなものの指標の例でございます。22ページのほうに参りまして、(2)のほうは、これは特定の環境保全活動との関係を示すものでございますが、環境保全コストに対する環境保全効果の効率性を分析するための環境評価の指標というものもある、ということでございます。[3]は、環境会計の情報そのものではないものでございますが、環境負荷量の大きさから、事業活動量の影響を除去して分析するために、いろんな環境評価指標、いわゆる環境効率性指標というようなものが有用ではないかということで、例を掲げさせて頂いております。
 23ページのほうに参りまして、最後の論点、論点11ということでございますが。これは前回、ストック情報が現行の環境会計の体系にはないということで、それを補うために、設備投資情報というようなものを追加してはどうかということを、ご提案させていただきました。その中で、新たな考えを導入するんでしたら、その狙いやメリットを明記すべきではないか、といったようなご指摘も頂いておりました。【検討の方向性】でございますが、フロー情報中心の現行のガイドラインにおきまして、ストック情報を補完するものとして考えていってはどうかということです。設備投資情報の分類にも、[1]、[2]、[3]のように、幾つかのパターンが考えられるということをお示ししてあります。[1]ですが、これは地球温暖化対策、廃棄物等々というような、環境対策分野別の分類。前回お示ししたものでございます。この他に[2]としまして、企業等が自ら策定した環境保全行動計画、または目標に、それに沿った環境保全活動別の分類というのもあり得るでしょう。[3]は、財務会計と同じ分類です。建物、機械ですとか、資産種類別の分類といったことも考えられるのではないか、ということでございます。【改訂の方針】でございますが、こういったような考え方と付表の例を示してはどうか、ということでございます。一番最後、24ページのほうに、前回もお示ししました付表の例。これは今の例で行きますと[1]のほうですね。環境対策分野、領域別の分類による指標の例を示してあります。こういったことが考えられるのではないかということでございます。
 以上で私のほうを終わります。

河野座長:ただいま、資料2-2を中心に、資料2-1も含めてご説明頂きました。わりとたくさんに今回時間をとったので残りが90分ということであります。資料2-1を見ていただければわかるのですが、論点が11あります。論点1、2、3が全般にかかわること。それから4~7までがコストと効果に関わるところ。それから論点8以下が新しく加えるという項目に、論点がなっております。ここで、論点1~3をまず議論をし、それから4~7、コスト対効果を議論し、それから最後に論点8以下について議論するというふうに分けて、議論したらどうかと思うのですが。時間が90分あります。これに、とらわれる必要ないのですが、最初の部分で40分、中50分とか、最後の部分20分ぐらい、それぞれ前後してもいいと思いますが、できれば全般的なサーベイをして、それで、できれば次に、第3回に、検討案ですかね、提案につながる案にまとまるような形で議論がすすめられればと思っています。そうなればありがたいと座長としては思っています。そういうことで、とりあえず、論点1~3までについて、ご意見をお願いします。

國部委員:前回の議事録の14ページのところで、私も、このときの冒頭にお話させて、指摘させていただいて、前回の議論ではそういうような方向に行きましょうかというふうになっていたと思うのですが。1~3のところがこうなので、これに関わってお聞きしたいのですが。前回の議事録の14ページのところ、國部という名前のところの、上から7行目のところなのですが。「環境会計ガイドラインの改訂を行なうことは、こういう改訂をしたら誰にとってどういうメリットがあるのか、ということがはっきりしないと、細部ばかりが精緻化されていってしまって、より袋小路に入ってしまうのではないか」、というようなことを前回の委員会で再三主張させていただきまして。それも検討するということで、案が出てきたと思ったのですが。相変わらず、というか全く、この会計が、誰にとってどう役に立つのか、というのがわからないものがかなり多いのですけれども。この点のことを、まず1点だけ。

事務局:なかなか具体案が整理しきれないものもありましたので、非常にざくっとした書き方ではございますが、骨子案としてお示ししました。ポイントを絞って議論したほうがよいと思いますが、國部委員はどのへんが問題でしょうか?

國部委員:私はですね、例えば、維持的コストを分類することは、誰にとってどんなメリットがあるのか。あるいは環境設備のこういう設備を、ここまでばっとやることは誰にとってどういうメリットがあるのか、というのがちょっと理解に苦しむ。こういう情報が必要だ、維持的コスト、戦略的コストを存分に出したほうがいいということは、私これだけ環境会計に関わっていろいろな人の意見を聞いていますが、聞いたことがない。理論的にはこれはあるかもしれませんが、誰にとってどう役に立つのかが不明であるということ。だから、それぞれ改訂するところについて、そこをやっぱり明確化していただかないと、何のためにこれをしなければいけないのかというのがわからなくなって、かえってガイドライン全体の利用価値というのを下げてしまうのではないかというのが、私は最初に非常に不満です。それから個人的にはこの、USDND型のほうに変えていくことは、これは国際的なところとも合致していくし、それから製品アウトプットの原材料コストの集計などは、環境会計が今まで狭い領域でしかなかったのが、大きな対象にして、経済活動との連携も図れるようになるので有効だ、というような形で、これは私は、利用者目的と関わって、評価できると思うのですけれども。だから、混在しててですね、こういうこと。

事務局:まず維持的コストのほうですけれども、誰のためにと申しますともうこれは、本来は企業側のほうに、という発想からきているものです。現行のガイドラインももちろん、コスト対効果で捉えようというのは、一つの大きな目的ではあるのですが、明確に、コストと効果というのが対応していない。特に維持的な性格を有するコストにつきましては、今の環境会計ですと効果が全く評価できないということですから、それを打開するための案としまして、単純に総量的なものを維持するためのコストがどのぐらいなのかを示すことは、内部の方の理解にも助けるでしょうし、企業側にとっても一生懸命努力しているんですけれども、なかなか現れない部分がこんなにあるんですよ、ということを外部の方にわかっていただくためにある。

國部委員:個別の議論はまたしますわ。維持的コストのところで。ええ。いいんじゃないですか。

河野座長:維持コストというのは、この一番最初のところに関わる。先生の出された環境会計ガイドラインの目的という話になるわけですね。

國部委員:議論は論点の中だよね。

河野座長:論点2、3で。

國部委員:今、入ってないですね。

河野座長:ええ。ですから。

國部委員:だから私が申し上げたのは、個別についてこう、というわけじゃなくて、どこが、明確にする形に全体的にしていただけたらという。

河野座長:今の環境会計ガイドラインの使い方について。環境報告書を通じて、外部報告用のデータとして、環境会計情報として出されている。とすれば、環境報告書の中で特定の目的を明確に掲げて書くのはなかなか難しいだろうと思います。環境会計ガイドラインで考えられるステークホルダーがたくさんいるわけで、それと環境報告書に関わるステークホルダーもたくさんいる。とすれば、それらのステークホルダーに向けて基本的にはやっぱり発信すると言う話になるでしょう。で、先生がおっしゃったような議論は、多分、個別のところで、この情報は誰に役に立つのかというようなところで議論されればいいのではないか。個人的にはですね、座長としてじゃなくてですね、そいうふうに思うのですが。

國部委員:だから、それはちょっと全体的に、ああいう風に見えるのかなと。

河野座長:今の議論は、コスト対効果のところで、あるいは、他のところで。先ほど沢味さんのほうから説明がありました、経済産業省のステークホルダー別の環境コストの例がありましたが、今回、ガイドラインにおいてそういうことをやるか、そういう議論を含めて、そこでやったらいいかと思います。

水口委員:1~3までですと、私、論点2の提案は賛成です。こういう点でいいのではないかと。それから論点3の検討の方向も、基本的には賛成です。多様な利害関係を念頭に置いていくということで、やらざるを得ないと思います。ただ、細かいことですけれども、論点3の骨子案、ここまで今、河野さんおっしゃいましたように、細かいことつまり、特定のステークホルダーはこうで、このステークホルダーはこうで、というところまでは、なくてもいいのではないかと。それはやっぱり個々の企業の事情に応じるでしょうから。おそらくリテール小売業もあれば、工業のところもある。そこまではしなくてもいいのではないかな、と一つ思います。それから論点の1ですが、これも基本的にはその通りと思いますので、基本的には賛成。ただ、改訂骨子案の5行目のところで、「ガイドラインに示された内容の全てを公表するのではなくて」。それもその通りだと思うのですけれども、ただ、これだけ書いてしまうと、何でも、何も書かなくてもいいというふうにも思えてしまいますので。どこが内部なんだと。どこが外部なんだと、いうことは少し示した上で。最低限、やっぱり環境保全コストの分類があるとか、コストと効果が対応しているとか、そういうことは維持しましょうということなんだろうと思いますので、基本的にこういうことは共通していきたいけれども、細かいところまで全て記述する必要はないんだ、ということで、まあもうちょっと、書きぶりを検討していただきたいです。

井上委員:全体的なところということで、もし論点1、2、3というような形で、個別にいうのであれば、ちょっと今日は1枚の裏表を書かせて頂いているのですが。基本的には賛成はするところ。細かいところはあれですけれども。ただ、もう一つその、論点1、2、3という区切りではないのですが、全体的なところで、今度の改訂ガイドラインの、今までから、改訂される分と、それからこれからの方向性と言うのでしょうか。いろいろ、個々的なところだけでなくて、環境会計の方向性については、議論されているところだと思いますので。あっても、それに、これからの方向性みたいな部分が、あってもいいのではないかと思いまして。そういう点で、今回のガイドラインに関しては、非常に2点でとても優れた提案がなされているのかな、というふうに思ったところがあります。一つは、民間のいろいろな企業の実績とか研究の発展をかなり配慮した形で、それをどうにか取り入れようとされているということがすごくあると思っています。それから、2点目は、従来のいわゆる環境省型環境会計フレームワークとでもいうのでしょうか。その、すごく概念を拡大するような、だから論点と言うのでしょうか。そういうものが提案されていて。現時点では非常に個々的な提案というふうな感じではあるんですけれども、あまり名実的ではないのですが、今後の環境改善の体系的なフレームワークの発展の方向性を示唆する部分があるのではないかと思っています。特に注目しているのは、新たなコスト概念として、製品アウトプットの資材とか原材料、取得原価についての言及というのがなされているということ。それから環境保全効果の表現方法の見直しというところで、環境パフォーマンス指標ガイドラインの、指標体系を環境保全効果の分類体系に取り入れるという提案がなされていて。例えばそこでは製品サービス等の使用時効果という形で、いろいろなコスト効果のアンバランスみたいなものを補うような形の提案がなされたというふうに思っています。で、私はこれが、個々の改訂として提案されているのですが、これからの環境会計の発展の方向性を示していて、今の現行のガイドラインから、改訂後、といってもちょっと近い将来って、もしかすると少し先の将来になるのかもしれませんが、そういう方向性がすごく見えたような気がして。私は現行のガイドラインが、環境保全活動の効果が明確になるように考えられているのですけれども、従来のライン体系の両立内における、複式簿記とか財務会計上の資料とか投資とか収益とか損失とか、まあ資本概念というのはないんですけど、そういうものを利用して表現されていると思うんですね、今のままだと。ただ、改定案の中には、環境パフォーマンス指標のガイドラインを基礎とする、というような提案の中に、環境負荷とか、環境保全効果等も、環境会計のほう、それを中心にして環境会計を組み立てられる、発展性が示されているなあと思いまして。事業活動による、直接的にしろ間接的にしろ、社会的な価値の創出とか、創造というような意味でも、従来の財務会計でとらえられていない部分を、非常に、補填するというか、違う枠組みの、つまり財務会計とは別の、社会的な価値を表すような会計体系が作られる可能性も示して頂いたというふうな感じで、私はちょっと捉えております。今、多くの研究者の方とか、企業の実務が、そういう方向について、非常に真摯に、非常に個々的ではあるかもしれませんが、実績が積まれていて。たとえば環境影響指標の開発であるとか、貨幣換算の開発であるとか、何しろ環境負荷の複式簿記的な処理とか、そういう研究がされてきつつあるんですね。そういう意味では、環境会計の分担の体系が、財務体系的な今の環境省のガイドラインによるものと、それから環境負荷を中心にした、社会的な価値的なものを表す環境会計の連動というか、ポイントみたいな形で体系的なものができるのではないかなと期待してしまうわけです。で、こういう今後の環境会計のフレームワークの大きな転向がこれから必要になると、私は思うのですけれども。今回これをするということは、私は直接的には理解しておりませんが、今後のガイドライン改訂等は、それをある程度明記していくというか。もしそういう方向がとれたらいいなと、提案してくださいと思いますね。ちょっと長くなりましたが。

河野座長:ただいまの提案は、たとえば、今度のガイドラインの検討案の冒頭あたりに、この改訂にあたっての意見みたいなことで、方向性みたいなことを書くということでしょうか。その内容はまた皆さんに検討いただかなければいけない。で、そこに個々に中身がちりばめられている、というような形のことですね。ご提案の趣旨は。

井上委員:はい。そういうふうな流れの位置づけができればなというふうに思います。

河野座長:他になければ。

國部委員:先ほどのちょっと具体的なことを申し上げたのですが。論点1のところで、これはちょっと、いろいろな事情がおありだと思うので、可能であれば、というぐらいですけれども。後段のところで内部活用のところで、経済産業省のそういうものも取り入れられたら、とおっしゃったのですが、せっかくの機会なので、日本国政府としてやっている環境会計の全体的なところ、内部活用と環境、経済産業省のワークとこれとを連携させてというのが、書ければですね、もっとも望ましいのかなあと。私はでも内政的なところはわからないので、それはできれば、というふうに。それから論点2のところなのですが。論点2の改訂骨子案、1.2とかかれているのは、これ、「環境会計情報に関する企業間比較は、各社の算定方法や、バウンダリーが統一されていないという問題が依然未解決な問題として残されているため、困難なものとなっています」というのを追加するとすると、だからどうなの。だから、もっと比較可能性なほうに今後改訂していこうとするのか、だから、使う可能性はいったん棚上げして、各個別の会社での開示だけ使うのかという。だからどうなの、というのはどうしても入れていただかないと。これだけもし入れられても、非常にわかりにくい。

河野座長:國部先生はどうですか。書くべきだ、とか。そうじゃないかとか。

國部委員:難しい問題ですよね。これはまあ、ガイドラインのするところですけれども、比較可能性を高めるという方向で、外部情報開示を指向する以上、比較可能性を高める方向性を検討するとか、そのほうが望ましいということじゃないでしょうか。ガイドラインだから。

塩田委員:現実に実務を行っている立場からは、環境会計自体がまだ社会的に検討段階、試行錯誤の段階だという認識をしています。そういう段階では、全てに対応する必要はないという前提のもとに、より多くの手がかりを提示していくというスタンスは、私は正しいのかなと思います。ただ実務上ですね、数年間、あるシステムで環境会計を算出している側からいいますと、今回いろいろ提案されている内容に、自分たちも変えていくということになると、非常に難しいという印象は持っています。財務データのように整理されているわけではなく、たとえば環境情報がある項目でソートをかけたら今回提案がでているような数字がとれるという状況ではなく、まだ手作業を含めながら作業をしているという状況です。自社で対応ができるかというところでは、非常に疑問があるのですけれども、多くの手がかりを出されることは、よいことではないかなと思います。最終的にこれからも何回か改訂がされていくと思うのですが、方向として社会的に収斂していくという方向を目指していくということだと思います。我々も、ある収斂する方向性が見えれば、たとえばコストの話にしても、今の方向から変えていこうかということはあると思います。そういう意味では、特に環境会計の算出を何年も続けてきた企業にとっては、すぐに対応することは難しいかもしれませんけれども、こういう一つの方向性はあってもいいというふうに感じました。

西堤委員:私も先ほど國部先生がおっしゃったように、論点2のところの書き方というのがひっかかりましてね。やっぱり、だからどうなの、という部分というのは必要だと思うんですね。困難なものとなっています、ということは、基本的には比較可能性の視点を求めていくといって、書いておいて、最後にこういうふうに居直るというのも、なんとなくおかしな表現だなというふうに思いました。ちょっと具体的には浮かばないのですが、何か書き換えてほしいなと。

河野座長:方向性としては比較可能性を追求するという視点。文章をひっくり返して、困難だけど比較可能性を追求する。

小畑委員:私は、ステークホルダーの一つである、利用者側の金融機関という立場で、論点の2について意見を申し上げたいと思います。金融機関も個別のファイナンスの案件で、信用リスクの面だけではなく、環境リスクの面についても評価を行う必要がこれからは大きくなって行くと思いますが、現状は未だそこまで行っていません。そういう中で、一般論としてこの企業間比較というのは、金融機関の立場からすると、できるだけカウントされていけばありがたいなと思います。これは実務をしていない立場で言っているので、非常に無責任なものかもしれないのですが。そういう意味で、この後個別のところで、バウンダリーの問題とかそういうことも含めて、できる限り、たとえばそのバウンダリーも、連結も、会計のほうの考え方と整合性が取れていればいいなということを、利用者側の希望として申し上げたいと思います。

森下委員:今の点に関してなのですが、そもそも今の企業というのは、持株会社があり、連結があり、海外の展開ということで、そういう意味で言うと、企業の対応自体が違っていますから、精緻な比較というのはどんなにガイドラインを精緻化したところで、どだい、不可能に近い。ただ一方で、アバウトなというか、大枠の中での比較というのは、私は現行でもある程度は可能だというふうに思っていますので。また、そういう比較はある意味では重要になってくるんですね。ただその、ここだと、困難でできないというような書き方になっている。精緻な比較は難しいかもしれないけれど、いろいろな、言葉がまだあれですけれども、アバウトなというか大枠的な比較の中で、そういう比較をしていくという方法を、ここでも閉ざすべきではないと思いますし、そういうために、皆さん、外部公表というのが環境会計にはある、というふうに思っています。困難だからもう云々ということではなくて、せっかくの改訂ですから。

八木委員:一点だけ。今の点で、プリントにも書かせて頂きましたが。先ほどの國部先生の意見とも多少重なりますが、企業比較ということをおっしゃっているんですけれども、何を何のために比較するのか、という論点が全くでてきていないので、これは急にここで挙げるというのは難しいかもしれないですけれど、例えば個別のいろんなものを取り上げるときに、今回指標が出ていますよね。そういったものが出てきたときに、じゃあこれは比較に使える可能性があります、とかですね。こういった目的の比較に使えるというような、何か言及みたいなものを少しずつ入れていくとかですね。そういった何か、将来、比較からデータを取るときに、比較がうまくいくような布石みたいなものも、今回、入れていただけるとありがたいなと思います。

河野座長:それは例えばガイドライン本体に入れるのか、あるいは例えばQ&Aとか。

八木委員:ええ、そういう形でも。

八木委員:はい。

上妻委員:3のところなのですが。私、これはちょっと考え方が違っておりまして、あまり明確化する必要はないのではないかと思います。環境会計の目的や機能については、いろいろご議論があると思いますけれど、企業は、環境に対する取組について、ステークホルダー別に特化した情報を出しているわけではないのです。ガイドラインはあくまでも指針ですから、それぞれの企業ごとに、実情に合わせて使っていいものなので、必ずしも企業間比較が可能にはならないこともあり得るわけです。だから、あんまり細かくしてしまうと、本来の目的が見えにくくなってしまう懸念があります。比較可能性の確保を考えるのであれば、本当にコアなところだけ、たとえばゴミの問題とか、二酸化炭素の排出量とかを、努力目標でいいですから開示するように求め、あとはそれぞれの事情にあわせてくださいといったようなスタンスにしないと、うまくいかないと思います。今回の骨子案は、かなり細かくなっており、これがガイドライン化すると、これまでとはかなり開示内容が変わることになって、現実的に考えるとあまり好ましくないような気がします。ですから、集中的にどこか一番核心になるところだけ使えるようにしていったほうがいいのではないかと思います。

河野座長:今のステークホルダーの明確化というのは、後で議論にあがるところですが。國部先生のほうの意見もありますので。この点何か、ありますか。

古田委員:もともとの環境会計ということを考えたときに、企業の場合、環境会計なんでやるかというと、やっぱり環境問題を社内でエンカレッジするから意義あるわけですね。で、それから、そういった情報が実は内部として有効に利用されればいいということ打と思うんですね。だから、内部目的というのは、社内の活動をいかにエンカレッジとか評価して、情報が我々の中に残るか、という視点でやると考えています。そういう意味で、じゃあ外部に対してはどういうことかということですと、現時点でやっぱりあまり細かな情報に、こと細かく出すつもりは当然我々ありませんので。やはり大枠としてこれぐらいを考えていますということを、きちっとお伝えするということだと思うんですね。その情報をたぶんお使いになる方も、イメージできれば十分なんじゃないかというふうなことで。まあ、企業改革の問題が、ステークホルダーに対してどういうふうにやっていくかというところの、あまり深く追求しないで、進めるということでいいんじゃないかなと思います。

西堤委員:私も今、古田委員と同じようなことを言おうとしたんです。ここでは、ステークホルダーの分類を出しているの、これはやっぱり環境報告書のレポートのほうの分類であって。環境会計にといいますと、一番上の金融機関等は、まあかなりそういう評価するために使うんだと思うのですが、それより下の方は、本当の大枠がわかれば問題はないんじゃないかという気がする。だからこれさせられると、焦点がかえってぼけるんじゃないかなという心配が、ちょっとあります。

■論点4~7について

河野座長:ひとわたり、1~3についておっしゃっていただいたということで。何か方向性は出ているようにも思いますので。これを踏まえて1~3については、一応、議論したということにして、次は4~7。これは本当にいろいろあるかと思います。あと50分ぐらいできればですが、論点4~7、これは順番にそれぞれ、お考えになったところからやっていただけたほうがいいと。

國部委員:私も申し上げたんですけれども。基本的に私は、これは井上先生の、この4に対する意見として書かれていますように、新しいコスト概念を導入するということは、極めてですね、これまでの内容が複雑な上に、いっそう複雑化を増してしまうので、よほどそれを導入することに効果がない限り、今の時点では慎重になるべきではないかなと思います。ということはもう、はっきり言えば、戦略的コスト、維持的コストの導入は反対だ、ということです。それで、その検討の方向性というところに書かれていることも、よくわからないんですけれども、「当期の環境負荷を基準期間と同程度に抑えるために要するコストは、GL2002の考え方では、環境保全効果が算定されない」というのは確かにそうなのですが、環境維持コストは算定されるわけですよね。これは差額集計でも、当然それをする場合としない場合、環境保全をする場合としない場合というふうに分けて、しない場合とする場合に分けてコストを集計するわけですが、それはしない場合というのが基準年でなくて効果が算定されないだけであって、維持的コストは今のままでも十分、算定できるから。効果が、維持的コストに対する効果が出ないというのであれば、基準年を何もしていない状態に合わせれば、つまり環境に対して何もしなかった状態から、これだけ回復させました、というのがあれば、今の環境保全コストとの対比で議論はできる。実際企業の中で、何もしない場合を基準にしているところもありますから、そういう方向性で考えるべきで。新しいコスト概念の導入は、混乱のほうが大きいのではないかという気がします。

河野座長:今のことについて何か他にありますか?

水口委員:まず、明確に反対だと言われる方がいると、どうかと思うんですけれども。これ、外部か内部かというのがまず判らないのですが。内部的に使われる分には構わないと思いますので。内部的にこういう新しい考え方もありますよ、こんなこと全てをやる必要はないのだ、ということであれば、参考として出てきてもいいんじゃないかと思っています。まずそこを確認したいということと。個人的には、例えばトヨタ自動車さんは維持コストの環境投資も書いていますから、こういうニーズがないわけではないのだろうということは、理解します。3点目に、私の個人的な好みで言えば、検討する方向性の[2]の部分は大変賛成でして。維持的コスト、戦略的コストについても、導入するか、しないかとは別に、[2]のような考え方はいいのだと。それでこの[2]も、効果の表現方法のところは、論点の7と関わっておりまして。むしろ論点の7とあわせて、効果の表現方法として、公表のフォーマットを考えて、この4ページの[2]のような考え方を踏まえて負荷量の総量を、基準期間と当該年度、で、差額で効果はこういうふうに測れました、というような形の効果の公表用フォーマットとして。おそらくそれは付表でもいい、それがまた、全てやはり内部の活用にもなっていく。そういう提案をしていくことが意味がある。それが、先ほど井上先生からもお話のありました、環境会計の新たな方向性、というんでしょうか。財務会計の枠内から、もっと下の、環境の負荷だとか、社会的なベネフィットとか、そういうものも含めた体系に進んでいく、手がかりとなるといいと思っています。

八木委員:私も、出していたプリントの、ちょっと最初の資料と番号が違っていますけれど、3-5で書かせて頂きましたように、今、水口委員がおっしゃったのと、ほぼ同じ意見です。あえて戦略的コストについて入れるとしたら、これは前回の検討会でもたぶん、投資との違いという話が出ていましたけれども、最後に投資の付表がつきますよね。そこに効果をいれてあげれば、ほとんど同じような情報が出てくるのではないかと。ですから投資のコストと、それで発生する効果というのをセットで出して。あとは、通常の効果との関係を説明すれば、同じような情報が出てくるのではないかというふうに考えます。基本的には水口委員と同じように[2]の方向性。これはここだけに限らず、私の場合は全体ということですけれど、そういう形で効果を開示するということに賛成です。

河野座長:ということは、戦略的コストとか、維持的コストという言葉を使わないということでもいける。

八木委員:はい、そうです。

事務局:今の件について、確かに、水口委員からありました話で、外部公表と内部活用において、これがいったいどう取り扱うのかというところでございますが、資料2-1のほうの目次構成案の真中、2005年版のほうをごらん頂きたい。ガイドラインに記載する内容は、第一章からずっときていまして、6章の連結までは、これは内部、外部と両方含んだようなイメージでございます。手がかりを掴めるものを詳しめに書くということを念頭に置きました。7章以降でございますが、7章で環境会計情報の開示、という章を設けております。ここで、外部公表用フォーマットなり、付表でも外部に出してほしいと思うような付表があれば、それは企業側でソートできるものです。今のところ外部公表が必要かどうかはまだニュートラルでございます。

河野座長:内部、外部に関わらず、考えなくてもいいんじゃないかな、という意見もあります。

國部委員:[2]のところというのは、そういうことと思いますね。今までのガイドラインにない言葉ですから、わざわざ新しい言葉で書いて。

上妻委員:だったらQ&Aなどで説明すればいいのではないでしょうか。実際の使用例で説明すればわかりやすいと思います。

河野座長:本体では出さないで。実質的なことは盛り込む形、ということでよろしいでしょうか。

上妻委員:そうですね。

河野座長:ではこの件はこれで決着。他に何か。論点。

國部委員:この今のところの、8ページにばっと載っていますよね、環境対策分野と環境保全コストの表。これはまあ、国連の環境管理会計ワークブックの表を参考にされたと思うのですが。あの表は元々は、オーストリアの環境会計のガイドラインの中にあって、そして国連のワークブックにも載って、今度、世界改訂年度の、要求年度ガイダンスにも載ってくるということで、環境会計の一つのスタンダードと言われてるほどではないですけれども、最も有名な表に多分なってくると思うんですよ。私はそういう方向性で集約していったほうが、本当は日本のインターナショナルサマリーにしたほうがいいとは思うんですけれど。現状そうでもないし、しかもUNDSDのほうが日本のものよりも簡素なので、取り入れやすいのではないか。まあ、どちらかと言えば向上している、それは向上、他の問題より向上しているかもしれないですけどね。そうやってみますとこの8ページの表は、日本の側に、もともとが、縦のコストの分類の中に、この横のものが含まれているわけですね、土壌汚染とか、地球温暖化。だから同じものが縦のラインと、横のラインにあるので、これを導入するのであれば、縦のラインのコストの見直しをしなくてはいけない。もっと言うと集約ですね。私は縦のラインが複雑すぎるのが問題なので集約する、集約したことを、縦のラインを集約することで横で補うような、もう少し簡素化したものに改善できれば望ましいんじゃないかなと思うんです。それからもう一つ、これ、公表について申し上げますが、経済的効果について、全く言及されてないですよね。これ、前回、環境会計について議論したときに、コストをかけても効果がはっきりわからなければ、非常に企業としてやりにくいということが、いくつも出てきたと思うんです。そういうのが私は経済的効果についても、何らかの言及があるのかと思ったのですが、全くないんですね。で、しかしその、例えば国連の表であれば、こういう表の最後に、エンバイロンメンタルセイビングと入って、合計を出されるようになっていますので。どれだけ効果があるのか最後に出るかと思いましたけど、どうしても何らかの、改訂の形で解読いただく方向で検討していただきたい。

河野座長:今のご発言、縦のラインを集約するというのは例えば地球温暖化とオゾン層対策とを一本にするということですか。

國部委員:地球温暖化、オゾン層は、横のラインには必要ないんですよね。縦のラインでチェックします。縦でみる。横には必要ないんです。こういうのが、オゾン層破壊防止のためのコストと、オゾン層保護対策を入れますから、全く必要のないことが入っている項目が入っていることになる。もっと言いますと、地球環境保全コスト、1個だけでもいいし、事業エリア内コスト1個だけじゃなくて、この中の細目を、横に出す。そうすれば、こんな、何ていうか、細目を縦に戻して、この横のを圧縮して。こう。

河野座長:あと、経済的効果。この表を使うかどうか別にして、経済的効果という。

國部委員:まあ、ここでも。

河野座長:まあここで言えば、例えば下に入る経済的効果という。

事務局:ちょっといいですか。國部委員に確認なのですが、この場合は経済的効果を入れている場合は、あれは結局コストのマイナス項目として入れていると思うのですが。だから経済的効果を別に今なっているのですが、それがなくなって、環境保全コストとかの内訳項目に入れれば、いいという?

國部委員:もしね、評価値のようなものを作るのであれば、最後に合計って出すうえに、UNDSDの方法を取り入れて、全部、セイビングとレベニュー、ここにも入れるべきだと思う。

事務局:その場合、経済的効果が何か、なくなってくるような気がするんですけど。経済的効果を別に示す、今は、コストと経済的効果を別に示すような、まあ外部公表の場合ですね、外部公表のフォーマットの形になっていくのですが、そのUNDSDのような考え方ですと、コストの並びの一番下にレベニューのようなものを、コストのマイナス要因として入れて、差し引きして合計を、一緒に示すような形になっている。ですので。

國部委員:だから、なくなるんじゃなくて、この表に情報を入れるということ。しかもさらに、経済効果というようなものを出したい企業があれば別掲すればいい。

事務局:ああ、別掲。そういうことですか。

國部委員:だから国連のでもこれ、エンバイロンメンタル・コスタリー・レベニュー・インカム・セイビングですよね、非常に長い名前。だから、コスト/レベニューになっている。

事務局:はい。意味がわかりました。

河野座長:まあ横で。一行だと。

國部委員:まあ一行、あるいは環境保全対策分野に書いてあるのが全部。

森下委員:今のこの表に関連するのですけれども。今、國部先生がおっしゃったのと同じような感じなのですけれども、表の下に合計がついているんですよね。今まで公表用フォーマットでは合計をつけてなかったんですよね。というのは、(5)のように、多ければ多いほうがいいとするのと、それから逆に、事業エリア内コストなんかは、少ない費用で同じ効果があれば、少ないほうがいいわけであって。ちょっとそういう、合計をつけるということをしはじめて、今國部委員がおっしゃったことも含めていくと、この表そのものの平仄を見直していかなくてはいけなくなるので、ちょっとそこは慎重な判断が議論が必要だというふうには思います。

河野座長:合計は、今までのガイドラインとの平仄からいうと、ないほうがいいと。物量はあってもね。金額は確かにそうですね。

國部委員:UNDSDのも合計欄ありますし、一般の企業で環境会計の合計を出しているという実務の連携を考えると、ここも合計があったほうが私はいいと。

森下委員:合計をする場合には、順番を入れ替えるとかね。

國部委員:合計する場合はどうするかということね。

古田委員:この8ページの表は非常にインパクトがあって。我々も、集計のソフトウェアをもう作っているものですから。こういう表が突然現れてくるとですね。マトリックスですから、我々、事業所数が多かったり、月次にレポートを締めていくと、三次元のマトリックスとですね、ソフトを作り直さなきゃいけなくなる。今、たいがいの製品何かとこれですから。事業所ごとには、この、縦軸と、日々の数値を書いてくれ。マージすりゃいい。そういうソフトを動かしてますので。それがこれに変わるとですね、エクセルでやれない。こういうことがあるとちょっと、こう、私としては。たぶん、企業の皆さんには好ましくないかな、という。世の中こういうことを導入すべきだという、そういう議論が、全然別なところでまだ増えるという意味で。

國部委員:実務的な面で社会的コストと効果を考えて。企業さんのご意見は、十分斟酌すべきだと思います。

西堤委員:そうですよね。修正のコストが何か、やたら増えたり。そういうことが。

河野座長:確かに。これは個人の意見ですが。さっき國部委員によりガイドラインについて、将来5年先か10年先かわからないですが、調和化というような話がありました。この縦列ですか、この考えは、どこかで入れておいたほうがいいのかなとは思いますが。まあ、実務上の問題はね、確かに大切な問題ですが。これをどういうふうにするか。

古田委員:本当にそういう考え方でやるのであれば、やはり長期的にはこういう方法に改訂するべきだという形で、やはり示唆をしておくということと、ワンクッション入れたほうがいいのと。いきなりこれに変わりました、なんて言われたら、混乱が出ちゃうので。

河野座長:これは本体というより、こういう考えがあるということで、付表とか、あるいは場合によってはワンクッションということであればQ&Aですか、そこへ載せて、将来を見せる、そういう話ですね。

八木委員:企業の内部の管理としては、こういう形の管理をした方がわかりやすくなりますね。

水口委員:私もこれについて、ネガティブなポイントと、ポジティブなポイントとあるんだけれども。まず、國部先生はUNDSDを推奨したけれど、あそこは環境管理会計ワークグループということで、環境管理会計を想定しているのですが、こちらは外部公表も含めた環境会計をしているので、環境管理会計だといっているものを、どう評価していくのか。あれが世界的なスタンダードであるということは、果たしてどうなのだろうかということはちょっと思う。それが一点。しかし一方で、この表自体は、縦軸と横軸にするという考え方は、個人的にはわかりやすいのかなというふうに思っていますので。UNDSDは環境管理会計だから反対だ、という意味ではありません。もう一つ思ったのは、なるほどこの手の、実務的に集計するのは、ソフトを変えなきゃいけないということで。よく考えてみると、國部先生がおっしゃったように、事業エリア内コストの縦軸の部分が横軸にいくだけですから、実務上手間になるのはたぶん、上・下流コストの部分もこの項目で細目分けする、ということなので、現実にはエクセルの形で集計した上で、横のものを縦にもっていくという。まぁ、ソフトは組めるという気がします。それに関してもう一つポイントは、管理活動コスト、また研究開発コストは別だと思いますけれども、管理活動コストや社会活動コストなどは、分類が対応すること、これは按分するとかなるとますます大変なので、これはちょっと考えなければいけないというふうに思います。そのようなことを考えた上で、確かにいきなりこれに変更しましたというのは、ちょっと難しいかなと。むしろここで議論しなきゃいけないのは、将来こういう方向に行くべきなのか、やめたほうがいいのか、どっちがいいのか。私はどちらかというと、将来はこういう形にいったほうがいいような気がしているのですが、よくわかりませんが。そこをちょっと議論すべきことなんじゃないかなと。示唆だけ。

河野座長:それは私も個人的に考えてます。あ、すいません。どうぞ。

岩舘委員:今のお話を聞いて、それから今、盛り上がってましたですね、コストの新しい概念とかそういうものにつきまして。私どもは、このコストの新しい概念とか分類の、必要性というのは感じません。というのは、例えば、実際にお金を使う場合に、例えば電車、新しい電車を入れますというときに、例えば総額で何十億というお金がかかっている。このうち環境でいくらというのは、あまり意識しておりません。で、あと効果のほうについて。効果につきましても、環境でどういう効果というよりも、総合的な効果ですね。例えば、30年ぐらい前の、今現在主力で走っている電車と比べますと、4割ぐらい電力使用率が高くなる。そういうものももちろん、環境の面で非常に効果があるのですが、別にそれだけではないし、それを金額にうったえて他のものが云々という価格でもなく。当然経営だったら、その中には、定量的に把握できないものもありますし。そういうその中でやっているものですから、あまり、その、分けて、現実に環境でいくら、環境のほうからいくらと、あまり私どもからすると意味がないということでございまして。こういう公表するのは、私どもの実務上は業務量が増える心配のほうが。

河野座長:これも確認。岩舘さんのところでは、環境コストをかけてCO2がどのぐらい減ったとか、NOxが減ったとかいう情報は、環境会計上出しておられないのですか?

岩館委員:CO2の量については出しております。

塩田委員:効果とコストを対応させるという基本的なことを考えますと、環境保全対策分野別というのは、私も正解なのかなと思います。ただ、対応できるか、というのは別の話としまして。そちらの方が正解かなという気はします。それと、この表は、何度か出ていますように、詳細を分けていくと同じものになってしまう。それぞれの箱に例えばコストの区分の内容を書いていただく。あるいは場合によったら、これは建設業のガイドラインを作ったときには、そうしたのですが、具体的な業務内容を入れてしまう方法もあります。そういう意味では、どこまでこの表が詳細にできるのかわからないのですが、コストと効果という考え方には対応しています。ただ私ども、もう今、これまでの方向で集計していますから、すぐ対応できるかといったら無理なのですが。

上妻委員:ガイドラインは基準じゃありませんが、そこに盛り込まれる内容には一種の啓蒙的な効果があると思います。新しい考え方をガイドライン化して示すのはいいことですが、どこに入れるかが問題だと思います。ガイドラインの本体に近いところに入れると、強いメッセージとなって見る人をミスリードするというような、あやまった啓蒙効果がありますから注意が必要なのです。新しい詳しい表も、Q&Aなどで使用例を示すだけにしておけば、こんな使い方をすれば、こういう情報がわかるといったようなことが伝えられ、今後の改訂姿勢を示すという意味で、必ずしも悪いわけではないような気もします。要は扱い方の問題だと思いますね。

八木委員:私、前回、これを言うとまあ、事務局と後は若干違っていたのですが、同じようなことを提案させて頂いてはいるのですが、その場合には、上のほうには結局、環境パフォーマンスガイドラインとのリンクを意識した項目の入れ方をしたわけですね。で、実は同じようなタイプのものを、日機連とかでも開発したのですが、やはりそのときに、企業の方から同じような意見いただきまして。考え方は非常によくわかって、いいと思うのだけれど、もうすでにシステムが動いているから急には入れられないという意見をいただきまして。やはり同じようなことかな、というのは今思っていますけれど。ただ、基本的に、例えば内部と外部の環境会計をうまくリンクさせるとかですね、個別企業でいろんな需要が違っているものを、外部に出す時はある程度統一したフォーマットで出していくと言うときに使う、一つの考え方と言いますか。これをそのまま使えということではないと思いますけれども、こういうような考え方で情報をとりまとめて出していく、というふうな位置づけで捉えていただくと、まあわかりやすいかなと思います。

河野座長:大筋、どこかで扱ったらいいのではないか、ということ。それも本体の核の部分からかなりはずれたところであればいいのではないか、というご意見であったかと思います。

森下委員:今の、それに関連して。先ほど國部委員から、海外の状況のご説明がございましたが、そういうことを述べて、海外で例えばドイツのほうでこうだとか言いながら、それを例えば日本でやってみるとこうなる、というふうになれば、みんなよくわかりますし、じゃあ、今後こういうふうにするようになるのかなあと。やっぱり説明の仕方が重要かな。

西堤委員:そうですね。確かにこれ何のために、グローバルな基準に合わそうという目的があってこれでやるという、何かストーリーを考えておかないと。まずこれだけ見たら、何か細かいのになって、何か集計しにくくなるな、大変な作業が増えるかなと、企業側はそう思ってしまいますので。やっぱりそのへんの位置づけをなんとかはっきりさせていただければと思います。

上妻委員:ちなみに、ソフトの話が出ていましたけど、三次元的に対応させるには、ワークシートを増やして、それらを集計するシートを作っておけばいいだけの話ですね。

古田委員:いや、我々にとっては大した更新じゃないですよね。ただ、本当にこの環境会計というのを中小企業にも普及させていこうという考えであれば、何かしらの更新をするようなやつだと大変ですね。今のやり方であれば、多分、ちょっとパソコンに詳しい人がいればエクセルのシートを追加すればできる。そうじゃなくて。

水口委員:大がかりになる。

古田委員:あ、そうですね。

國部委員:先ほど水口さんのほうから、これは環境管理会計ではないかと言われたのですが、私、槌屋さんと一緒に9月の末にデンマークの会議に出席してきたのですが、その中で彼らが目指す方向は、できるかどうかわかりませんが、ナショナルアカウンティングとの共存、SMAとの統合と言うのが一つあって。私も槌屋さんも無理矢理、ロンドングループというランチミーティングに連れていかれてしまって、日本の状況を述べさせられたんですけれども。とにかくUNDSDは環境管理会計だけれども、外部公表用のデータベース、または統計上のデータベースで必要な情報基盤としても認識していると。方向性は広がっていくということでした。

河野座長:他に。一応この、8ページの表については、議論したということで。他に何か論点が残っているかと思いますが。

八木委員:9ページのほう、先ほどから話題になっていたところで。製品外アウトプットの原材料等のコスト。これは一応、Q&Aでつけるという形で、提案だったと思うのですが、これ先ほど私が水口さんと同じ意見だと申し上げた部分と関連してくるのですが。投入量、いわゆる総量ですね。その年度の総量と、その差額ですね。そういう形で、経済的効果とか環境保全効果を出した場合には、これは現在の体系でも、表の2の方にちょっと簡単に書かせていただきますけれども、この原価は簡単に出てくる、表にできると思います。だから現行の体系で新しいコスト概念として入れなくても、経済効果のところに、廃棄分の投入量が今年はこれくらいで、どれくらい減りました、というようなことを提示してやれば、そのままデータとしては簡単に出せると思うのですが。あまりいじらないでやるということですと、先ほども総量を出すというのが前提になりますけれど、そういう形で表示することも可能ではないかと思うんです。

西堤委員:さきに、國部委員のほうからおっしゃったように、効果のほうなのですが、何かこれあまり新鮮味というか何というか。何が変わるのかなというのがよくわからないので。我々企業としては、アバウトでもいいから何となくもうちょっと、わけのわかったほうがいいような見方というのでいろいろ、今、考えて捉えているのですが。そういう意味ではこれは、あまりそういう点は織り込まれていないように思うのですが。

河野座長:論点6?効果って、経済効果。

國部委員:経済効果が最初にも言いましたけど、全く論点で取り上げられてないですね。それは西堤さんと一緒で、是非。要するにやっぱり企業の意志決定の判断の材料として重要。

河野座長:今の西堤委員の話は、少し、環境保全効果も含めた情報についてのことですね。

西堤委員:そうですね。我々だから、無理やりというと何ですが、推定的効果だとか、顧客効果だとか、そういうようなのを自分たちで考えてトライしているのですが。そういったようなことについて、各社がそれぞれ独自にやればいいというのは、それはそういう考え方の一つだと思うので。それはそれなら、そういうふうにはっきりさせていただければ。

河野座長:効果の推定をどうするか、前回の議論を思い出しますと、2000年版から2002年版を作るときに、ある意味じゃトーンダウンした形に多分なったと思います。その一つは、推定的効果を書くのであれば、2000年版ですね、書くのであれば、算定方法を書くというふうな書き方になっていたけれど、そういう書き方にしても、多くの企業が誤解する、推定的効果の開示をやらねばならぬというふうなことに誤解するということが指摘された。そこで、まだ、成熟していないというところもあって、少しトーンダウンという訳です。現在のところ、私も全部の環境報告書を見ているわけではありませんが、推定的効果をやっている会社は十数社であろうと思います。これも先進的なところがやっている。個人的にはこういうことはどんどんやっていただきたいと思う。このガイドラインでどこまで、一度トーンダウンしたものを、今回もう一度復活させて、推定的効果をそれなりに重要な位置づけをして、将来のことを考えて入れるかということですが、皆さんご自由に、意見を出していただければと思います。

塩田委員:確かに私どもも、効果を殆ど物量で出していますが、それを貨幣換算して評価した方が、環境保全活動のモチベーションがあがるのではないかという話も出ています。ただ、例えばCO2一つの換算にしても、どういう数値を入れるか非常に難しい。どういう数値で換算をしたらいいかということについては、決まったものはない。各企業さんがそれぞれやられているという状況があります。ガイドラインである程度規定して、判断する必要があると思います。ある程度ガイドラインで規定して、あとはそれに従って、経済効果、貨幣換算、推定的効果を算出する方法はあると思います。

井上委員:私も、この効果のところについて、やはりコストとの連携を考えて、もう少し拡大していったほうがいいと思います。今回は、環境パフォーマンス指標ガイドラインを参考にして、というふうにしても、環境保全効果の表現方法が提案されていて。これは私が勝手に解釈してしまったのかもしれないのですが、その中に、財・サービスに関する環境保全効果というのがあって、これは顧客メリットという形で理解したんです。ということは、今回のガイドラインは、そういう使用時の、まして顧客メリットという、いわゆる企業の非常に製品・サービスという事業活動の効果をここに取り入れた、というふうに理解しているんですね。ただ、これは、パフォーマンスという形でも数量という形なので、今塩田さんがおっしゃったような貨幣的な換算とか、まして環境影響へのインパクトというか。環境のそのインパクト指標というのでしょうか。そういうような形で、より、物量を出せるライン、方向がかなり設定されているように思われるので、少なくとも次につながるものとして、これだというふうに出せないかもしれないのですが、Q&Aとか、おっしゃっているような形のものを、やっぱり盛り込むのが今必要な段階に来ているなと。

水口委員:きわどい盛り込みという形になって。ただ非常にこれは難しいなと思うのは、環境保全コストをかけたときの効果というのは、企業の側から見た実質的な経済効果というのは、多分企業イメージの向上だったり、ブランドイメージの向上だったり。そういうものが本当は経済的に、それはある、おそらく存在している。ただしそれを特定する方法というのは非常に難しい。これはブランド価値の会計という話になってしまうわけです。そういう非常に難しい点があるのと。それと、環境のコストをかけて、環境保全効果がある、まあCO2を減らしたとか、そういう目算で、それが、社会的にどのぐらいの価値をもっていたのかという、その、環境保全効果の金額価値というんでしょうね、社会的な効果、金額の。本来はその、環境保全効果が、金額換算された社会的価値の部分が、ちょうど企業イメージのブランドイメージの向上の部分と見合っていれば、社会とか市場は正しく評価しているということになるのかもしれませんが、現実にはもしかしたらそこに差異があるかもしれないし。そこをとる場合、ということが非常に難しい問題になるんですね。逆に考えれば、そこが正しく評価されるようになるために、この種の情報がこれから必要になるんだ、ということはあるかもしれない。しかしいずれにしても非常に議論しなければいけないことが多くて、簡単にガイドラインの本文に入れることは、多分難しい問題なんだというふうに。もう1点、推定的効果からちょっとはずれるのですが、UNDSDが経済効果としておそらく一番重点を置いているのは、むしろこの、先ほど八木先生がおっしゃられた原材料、製品外コスト。いわゆるマテリアルロスの削減という部分が、UNDSDはむしろそこに焦点をあて、経済効果を考えているので、当面はこのへんから出発するほうが、よりモデルもあって、いいのではないでしょうか。

國部委員:私はまあ、ずっと主張しているように、環境保全効果の物量はもうおいておいて、金額換算できる効果をできるだけ早急に、研究するほうに、できる限りガイドラインの中に本格的に盛り込んでいかない限り、環境会計を企業がやっているメリットは、どんどん企業側に見えにくいものになってしまう。事業者もそうです。と思いますので、ぜひとも、一つの重要な項目として入れていただきたい。そのときにも、経済効果は実質的な効果、あるいは推定的効果かと言われるものもあるし、ブランド価値もあるし。それからそれと全く別なものとして、環境保全活動が社会に与えたプラスの効果。社会的企業としての、社会的コストの削減というところもありますから、そこをどういうふうに、どう捉えるのかは別としても、環境コストをかけるほど、企業にとってのイメージ、というかプラスも多いし、社内のプラスも多いと。あるいは多くないような環境コストはかけるべきではない。社会的コストの損失で、それは地球全体の環境すら損傷しているということになるわけです。ですから、これぐらいの観点で見るべきではないかと。だから、特定の方法、いろいろな限界あるいは標準化まだいってないということがありますので、その中には配慮することは必要ですけれども、基本的なスタンスは、環境コストをかければかけるほど、社会的な富が増加するというスタンスじゃない限り。で、その情報というのはやっぱり、企業に対して投資している人たち、あるいは企業の製品を買う人たちにとって非常に有用な情報になると。ぜひ、そこを、できる範囲で。

河野座長:できる範囲というのは、Q&Aなのか。

國部委員:ガイドラインの本体で。

河野座長:本体で。測定がまだいまだここで議論できないようなことを、どういうふうに書き込むかという問題がある。

國部委員:ちょっとまだ原案ができていないから何とも。

上妻委員:私はこの件だけは反対なんです。どうしてかというと、実務がまだ成熟していないと思うからです。十数社とおっしゃいましたよね、座長は。

國部委員:それはあれですね、環境保全効果を金額換算している会社ですよね。

河野座長:いや、いろんな推定的効果のです。私の指摘した企業数は少ないかもしれませんが。

上妻委員:禁止しているわけではありませんので、各企業がやられて、それが有効なルールであるということがわかれば、他のところに広がっていくはずだと思うんです。ただ、社会的に見ても、推定的効果について、取り上げるケースが増えているとは思えないんです。推定的効果を示すことが必ずしも悪いとは思いませんが、ガイドラインというものの性格を考えたときに、実務の方向を積極的にどちらかに誘導できるようなところまでまだ時期が来ていない気がするんです。私は、ガイドラインで積極的に記述するには、ちょっとまだ時期が早いのではないかと思うのですが。

國部委員:私は、環境省のガイドラインができたときに、環境会計の実務が全くないときに、ガイドラインだけができて、実務ができた、いう経緯がありますから。実務が成長してこのガイドラインができたという、元々のガイドラインじゃないんですね、過去の経緯からすれば。たまた実務が成熟しているかどうかは議論が分かれますから、慎重な検討が必要だとは思いますけれども、さっき私が申し上げたことは繰り返しませんが、ガイドライン自身が全く今、実務のないところから始まったとしたら、つまり実務的要求があったわけですね、そのときは。環境保全係数の測定したい、環境省がやられている調査に対応するためですとか。今回も経済効果をなんとか波及させてほしいという企業側の要求はかなりあると、私は思います。

河野座長:少し、コストについてのガイドラインを作るのと、推定的効果のガイドラインを作るのは違うんじゃないか。前者におけるすでにデータとして持っているのを分類するという話と、後者では一定の仮定を設けて測定すると言う話になりますから。若干、違うかなあという気はいたします。まあこれは個人の意見ですけれど。

西堤委員:推定的効果というのは、まあまあ、環境でこういうのを取り上げている企業があるというような括り方でいいと思うのですが。少なくとも実質的効果ですかね。CO2を減らして、それを、横並びで比較できないとは言っても、CO2の金額って、各社の、それだけでも、ものすごい差があって、10倍ぐらい差があるようで、実際に見ますと。そういうような状況になっていますので。少なくともそこで実質的な効果はある程度、揃えないと。まずその第一歩は何か考えないといけないんではないかと、先ほど塩田委員がおっしゃったように思うのですけれども。まず今回、本文の形で入れるのは、そっちのほうを重点的にやって議論していただいて。

河野座長:今のお話ですけれど、環境保全効果で、物量で書かれているものを金額化するということについて、まあNOx、SOxなんかあり得ることですが、そういうものについては、何らかの形で本体の部分で取り上げたらどうかということですね。

西堤委員:もうちょっとあの、統一する。本体で取り上げなくても、例えば参考だけ、こういうの、1tあたりのCO2削減はこうします、とかですね。何かそういうのはできないのかなと思いますね。そうしないと。かなり、今、違った数字が一人歩きしていると思うんですね。それで皆さんあたふたしているのではないかと思うので。

河野座長:そのへんはしかしながら難しいですね。削減量に選択したそれぞれの価格をかける、この場合価格のところですね、これに問題があるの。ガイドラインとしてはどの価格がいいとも言えない、と書くとかですね。そうすると、ここでの結論としては、たたき台を作る、とりあえず、Q&Aに載せるというようなことで案を作ってですね、書き振りによっては、本体の中に入れるというようなことで、ここの議論は一応、しめるということでいかがでしょうか。

國部委員:原案を示してほしいですね。

河野座長:書いたものをね。Q&Aに入れるか、本体に入れるかという問題はありますが。一応、事務局、難しい宿題になりますが、一応議論を踏まえて原案をつくってください。

水口委員:原案を作られるのであれば、一言だけ。今、西堤さんがおっしゃられたように、現実には非常にこの、判断が違って、まばらであると。おそらくそれが今の貨幣換算の実体だと思うんです。つまり、基本的にどの企業が正しいというところがまだわからない、というその状況を踏まえて、やはり考えないといけないと思いますので。そこはぜひ考えて頂きたい。ですから私は、やっぱり上妻先生がおっしゃったことと同じで、ここでいきなりガイドラインの本文にそれが入ってくるのはやはり時期尚早という気がします。

西堤委員:おっしゃること、その、ただまあやっぱり比較可能性を目指すという方向性がありますので、そういう意味からはある程度、本文に入れなくても何か考えておかなければいけないのではないかと。

國部委員:まだ原案が出てこない段階で本格的な議論というのは。

河野座長:原案を作るのは難しい作業ですね。ですから、原案は例えば、Q&Aに一応据えるということにして、文章を書いてもらう。実は難しい書き方になるかもしれませんね。こういうことは実務で進んでいるこういういろんな換算の仕方がある、というところでとどめちゃう、先を書かないとかね。いろんな書き方があると思うので。それを見た上で、次回、どうするかは考える。

國部委員:Q&Aと決めないで。

河野座長:でも書き方とか、案として、どこにおくかというのがあります。それらによっては、本体部分に入れるかどうかという話になっちゃいますから、次のときはですね。

國部委員:本体部分に入れないという合意はない。

河野座長:だからそこはどこにおくか。とりあえずの案ですね。はい。

井上委員:基本的にですね、こういう問題を取り扱うという方向には賛同です。やはり、効果の議論を進めていかないと。やはり、議論を尽くしてないで急に入れてしまうと、後で混乱が起こったときに、もっとマイナスが出てくる可能性もすごくあると思うので。私は本体に入れていただけるなら入れたい、ということで、原案を見て、考えたいというのは、もちろん保留にするのですが、やはり議論を尽くした上で入れていくということを、まずやりたいなというふうに思います。で、ただ、Q&Aぐらいまでには、難しいけれども、いろいろ方向性を検討されていると、必要なんだという考え方は入れたいなと思います。

河野座長:Q&Aでもない、本体でもない、どこか。経済的効果について議論するというようなことに、とりあえずはしますかね。経済的効果はどこかで特に議論はしていませんよね。従来のこの2-1の経済的効果のところに、枠を作り原案を入れるとかね。何か。案を。

事務局:ちょっと確認ですが。今の2002年版のガイドラインでは、環境保全効果は物量の効果となっていまして。貨幣換算の話が出てまいりましたが、それを、物量での効果を貨幣換算する話をしているとしてみたいと思います。それを経済効果のほうに含めるという方法を検討すればいいということなのかどうかお聞きしたいのと。それと、もともと経済効果のほうは、記述の量が少ないというのがあるのですが、推定的効果かとか、内容は、否定しているものではありませんし、やっていただきたいと思っていますが。新たな論点ということになりますと、何か算式とかの案を出したほうがいい、というようなことになったのでしょうか。論点が今、わからないのですけれども。

國部委員:全然違うなあ。少なくとも経済効果、推定、環境保全効果の金額換算だけじゃなくて、実質的な経済効果、あるいは推定の経済効果も含めての議論だと私は理解していますが。私なんかこの、3つですね。実質の経済効果、それから推定的な経済効果、これは企業にとってのプラス。それから環境保全効果の金額換算、これは社会のプラスになる。この3つについての、議論を深めるための開示の方向を探るための議論がいる。というのが私の意見ですが。

上妻委員:それは企業で自由におやりになればいいんじゃないですか。

國部委員:という意見もある。私はそういう意見ではない。

河野座長:ですから、たたき台としては、経済的効果のところで、今の3つについて扱う。実質的効果というのは従来通りの案じゃないかと思いますが。それから推定的効果ですね。それから環境保全効果の金額化ですね。これも経済的効果というところに入れ込んで、案としては考える。次回はそれを入れるか入れないか最終的に決めるということで、とりあえずいいでしょうか。

水口委員:一つだけちょっと確認したいのですが。いわゆる環境活動に関わる経済効果というのは、その、企業にとって利益があるというか、企業利益に影響のある効果という意味だと私は思ったのですが、金額的に換算された場合、社会における効果も全部、いわゆる経済効果という理解。つまり環境保全効果を金額換算したものは経済的?という。

河野座長:実はそれを議論すると、社会的費用みたいな話にもなる。それはどこで扱うかということですが、今時間のことと考えながら言うと、とりあえずは今の枠で議論をして、案を作っていただく。次回の時に、環境保全効果の方で、物量と金額の効果の表し方がありますよ、とするのか。いやいや、それはもうやらない、という話になるかもしれませんね。議論をする場所をどこに置くかということです。論点の4、5、6、7ということでありますが、特になければ、8、9、10残りのところでご意見をいただければ。

水口委員:先ほどちょっと申し上げた、7として申しませんでしたが7のところで、この方向で結構だと私は思っています。で、特に、検討の方向性のところでは、最後に「指標の具体例にそって、公表用フォーマット等を改訂する」と書いてあって。その公表用フォーマットの改訂の案が、ここにまだ入っていませんが、ぜひ、先ほどもちょっと申し上げましたが、パフォーマンス指標と連動して、総量、差額で見えたほうが見やすいと思いますので、そこをぜひ、入れていただければと思います。

森下委員:それに関連して。ただ、その環境パフォーマンス指標は、マテリアルフローに非常に重きを置いていますので、結構入っていない項目があるんですね。大気とか水とか、そういうのが全部入っていませんので。なのであまりにも、パフォーマンス指標が、企業全体のマテリアルフローを把握するという目的で作ってあるので、ちょっとそこは、指標にならないことがある。そんな感じがいたします。

上妻委員:連結のところなのですが。連結子会社の財務データはすぐとれるでしょう。でも、環境情報は、環境情報システムが連結範囲まで全部フォローできているところはそれほど多くないような気がします。ガイドラインにできないことを書いてしまうと、作成者に無言のプレッシャーを与え、財務データは連結だけれど、環境パフォーマンスは連結じゃないケースが出て、かえって情報利用者をミスリードするような気がします。ですから、私はまだガイドライン本体で扱ってほしくないのです。

西堤委員:とりあえず企業の方とその、あの、実際に取り組んでやっていますとね。指標が難しくて、やっぱり。ものすごく負担かかります。海外のところなんて特に、ちょっとグローバルな展開なさっているところなんてやっぱり、その、押しつけていっていいのかということ。我々も疑問があります。なかなか取り上げてもこれ、できない。キヤノンさんなんかわりとやっておられるかと思いますが。

古田委員:環境負荷に関しては、我々も連結だと200数十社あるんですね。で、そのうちの180ぐらいの会社は販売会社なんですね。販売会社というのは、ビル借りてやっているわけで。そんなところに環境負荷ってあんまりないんですね。製品の輸送ぐらいなんです。そうやって見ていきますと、本当はキヤノングループは環境負荷ってやっぱり工場だったり、大きなところの販売拠点とかですよね。ですからまあ、連結と言いながらも、全部じゃあ、データを持っているかというと、我々も持っていません。ただし、我々が追求するに、もう98%ぐらいはカバーできるということですね。環境負荷ですね。そういう考え方でいいと思っているんですね。

水口委員:連結でだめになるということ。ご議論を聞いていて、単体での環境会計と、連結での環境会計では、情報の信頼度に意外と差があるんですよ。多くの会社がやられているように、単体と連結、単体とグループにわかれる。あるいは単体と海外、ということがありますので。ぜひ、連結にしたら連結だけでまとめていくというよりは、単体の、せめてセグメントとしては、やってもらって。

古田委員:あの、キヤノンなんかでいうと、今、キヤノン株式会社って、販売も分離していますし、生産も分離していますから。単体というのは事業企画、研究開発ぐらいで。そういう意味からすると単体のデータ出してもあまり意味がない。ですから、やはり、そういうグループとしての環境負荷を出して、90何%ぐらい、その連結の範囲にこだわるところではなくて、事実的な環境負荷で、大きなところをきちんと、PDCAを使ってまわしているわけですから。そういう考え方で臨機応変にやらないと、首しまっちゃう。

西堤委員:フレキシブルに考えないと。各企業ごとに形態違いますもんね。

水口委員:国内と海外のセグメントとか、工場部門と研究部門だったりとか、そういうセグメントは今?

古田委員:それは出せますけれども。例えば輸送とかいうと。輸送で見ていくと、一気通貫で見ていくとかいうのは、意味があるからやっていますね。

森下委員:今の提案についてちょっと、いや、皆さんの議論を捉えて申し訳ない。もう少し慎重にやられて。要するにグループでの連結でもなくて。単純に言えば、Dellみたいな会社の連結だと、企業グループの、たとえばNECとかキヤノンと比較する意味がなくなっていますので。ちょっとライフサイクルの概念をどう入れるかということも含めてここは考えないと。単純に財務上の連結だとかグループだとか言っていても。非常に見づらいことになるかなと。

河野座長:ざっと見たところによると、環境報告書ではかなり連結ベースというようなことになっていたと思います。それなりに連結というものがあるみたいなんですね。ですから、環境会計ガイドラインでは慎重に扱うべきだという意見が多いと思うんだけれども。こう、何か、考え方にふれるのか、もうみんな落としてしまうのか、というお話ですが。何か残しているほうが良いのでは。

森下委員:いや、残すべきだと思う。

井上委員:残すべきだと思って。今、キヤノンさんがおっしゃったように、やはりグループを捉えなければ、環境負荷とか、環境保全とかの実体というのは見えてこないという体質になっている企業の方が多いと思うんですね。ですから基本的にはそういう方向性は必要だと思うのですが。ただ、非常に、実務的にものすごい混乱性を持っていると思うんですね、これが。非常にこう、エリアというか、国際的なエリアの違いとか、国の違いとか、状況の違いを全部、加味していく。というか、ある程度すごい、必要性が高いとは思うのですが、そういう上でできることなので、やはり企業が段階的に取り組んでいくと思うんですね。やっぱり環境負荷の大きさとか、その重要度に応じて、企業が段階的に取り組む。で、どう段階的に取り組むのかということを、ある程度その、方向性を示していただくみたいなことが、すごく重要なんじゃないかなと思うんですね。で、現時点では今どういうモデルなのかをわかるような形が一番、望ましいのかなというような気持ちでやっているんですけれども。

河野座長:ご意見は、本体部分では、わりと軽く扱って、今おっしゃったようなこと、あるいは実務のことは、Q&Aみたいなところで書く、本体部分で詳しく説明すると、連結はやらなきゃいけないんだという誤解を与えてしまうというのではないか、ということですね。

井上委員:私は連結はやらなくてはならないと思います。ただどこまでをやるかという問題はあると思います。連結はやっぱり必要だとは思います。単体では何もわからないというところがありますから。ただ、企業の環境負荷の重要度の考え方とか、まとまっていないので、それをきちっと開示していくことが、今回のガイドラインを段階的に取り組むと、今回のガイドラインの中で開示するということが、必要なんじゃないかと思うんです。ただ、連結の技術的なもの、内部的な取引をどう相殺消去するのか。そのことに関してはQ&Aでいいと思うのですが。

河野座長:わかりました。時間がきていますが。どうぞ。

水口委員:論点11について二言あるのですが。一つは、基本的に共通情報を増やしていくということが、賛成なのですが。最後のページの設備投資の一覧表、ここまで厚く出すというのはね、疑問で。これだと、何か設備投資のプライオリティだけがすごく重要であるかのように見えてしまうので、ここをあまり開示させて精緻化するよりも、むしろ設備投資もそうですけれども、その、企業活動の中で、自然環境の改善にこれだけ貢献したとかですね。特に建設情報みたいなところでは、環境改善活動、というのをしてですね。いろいろその、むしろ自然を増やしているということもあるわけですから。そういうストック情報こそ、広げていく。それはいきなりできないですから、それも方向を示唆するだけなのですが、その方向を示唆するということに、ぜひ重点を置いていただけたらありがたいなと思うんですね。で、その上でもちろん、そのとっかかりが設備投資を集計ということは、いいと思いますけれども。ストック情報と言いますとやはり、ストック情報は将来の方向性を示しているような情報もですが、これは設備投資というよりはですね、この環境資産も、あれですね。まあ資産といえば価値だけれど、そういう方向に少し広げていただいたら。

國部委員:この間、環境省の槌屋さんとUNDSDの会議に出たときに、日本の環境会計を、これ、環境省はどうやって利用しているのかという質問も結構あって。これだけ政府が音頭を取って集めさせている情報を、政府が利用しないというのは考えられない。と言われておりました。私は環境省の人間ではありませんが、今はまだ準備段階でこれから必ず利用するはず、とかを答えておいたんですけれども。この点、かなり重要だと思うんですね。ここまでデータがそろってきて。ですからぜひ、その、こういう環境会計の情報を収集し、環境政策のところに進めていくのかというのを、できる範囲でガイドラインにするべきなのか、何か違う文書になのかはわかりませんが、ぜひ環境省さんにそういうことを。環境会計についてずっと申し上げていて、課長さんが2回変ってしまった。

事務局:政府のほうの環境会計情報の活用でございますが、マクロ情報としてはもちろん活用しておりまして、こちらは主にコスト情報になっております。ただ統計的な扱いにとどまります。各企業ごとの個別の状況になりますと、監督規定があるわけではありませんので、参考にしているという程度でありますが。具体的な提案がございましたら、そこにも何かいただければと思います。

河野座長:時間が過ぎましたが、まだ、この点だけは質問、意見を述べておきたいという点があれば出して下さい。一応今日議論していただいた論点1~11まで、検討案に入れてください。議論がなかったものもありますが、それはそのまま一応、検討案に組み込む形で、次回またそこからということにしていただきたいと思います。何か特にありますでしょうか。ないということですね。本当にいろいろ議論していただきました。事務局が大変だと思いますが、今日の議論を踏まえて、検討案を次回出していただきたいと思います。今日の検討会はこれで終わりますが、事務局の方で日程等、あれば。

事務局:はい。大変重要な議論をたくさんいただきまして、ありがとうございました。今、座長よりご説明がございましたが、基本的には本日出しました論点のところについて、追加するようなものも含めまして、草案を作っていきたいと考えております。その後に具体的に現行のガイドラインにつきまして、ここを変更したほうがいのではないかとか、これは削除したほうがいいのではないかとか、というところがございましたら、メールでもファックスでも結構ですので、できたら来週中ぐらいまでに、事務局にご一報いただければと思っております。それらの意見も踏まえまして、改定案のほうに盛り込んでいこうと思っております。次回でございますが、環境会計のガイドラインの2005年ガイドライン改定案という形でお示ししたいと考えております。よろしくお願いしたいと思います。

河野座長:ということで。また次回は9時半ということで、かなり早い時間ですが、よろしくお願いします。それでは検討会終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上